著者
古林 通孝 安田 直明
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.395-403, 2010 (Released:2015-01-27)
参考文献数
26
被引用文献数
1

都市ごみ焼却施設の発電量向上策の一つの考え方として,窒素酸化物自主規制値緩和を取り上げ,窒素酸化物排出濃度の違いによる周辺環境への影響の度合いと,期待される発電増加量や温室効果ガス削減効果について整理した。都市ごみ焼却施設からの窒素酸化物排出濃度は,触媒脱硝装置などを採用しなくても,100~120ppm程度が期待される。そこで,簡易な大気拡散計算により,国内の建設予定施設の周辺地域の大気環境濃度を推算したところ,排出濃度が50ppm (触媒脱硝装置を採用) から120ppm (触媒脱硝装置を不採用) に緩和されても,二酸化窒素の環境基準に対して,1~4%程度の増加にとどまることが推測された。また,施設規模150ton⁄day×2炉の都市ごみ焼却施設について,自主規制値が50ppmから120ppmまで緩和されると,発電量として2,205MWh⁄年の増加が見込め,この発電増加量は1,237ton⁄年の二酸化炭素削減量に相当することが推察された。
著者
石合 純夫 横田 隆徳 古1川 哲雄 塚越 廣 杉下 守弘
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.259-264, 1990 (Released:2006-07-06)
参考文献数
16
被引用文献数
4 3

側頭葉後下部の出血性脳梗塞により,漢字の失書をきたした症例を対象とし,書取り不可能な漢字の視覚認知と書字動作に障害がないかを明らかにするため,写字過程の詳細な分析を行った。書取り可能な漢字と不可能な漢字から,字画数が一致するように選んだ28字の写字過程をアイカメラで記録した。手本の平均注視時間と平均注視回数は,書取り可能な漢字と不可能な漢字の間で差がなかった。また,平均書字時間も差がなく,写字過程における筆順の誤りは,書取り可能・不可能な漢字とも1文字ずつであった。以上より,書取り不可能な漢字であっても,手本を見て書くべき漢字がわかった場合には,ただちに自分の字体で正しく書き下すことができることが明らかとなった。このことは字画数が多いほど,また,習得学年が高いほど漢字の失書が重度となる点とともに,側頭葉後下部損傷による漢字の失書が,漢字の想起障害による可能性を示唆するものと考えられた。

1 0 0 0 東北考古学

著者
東北考古学会 [編]
出版者
東北考古学会
巻号頁・発行日
1960
著者
古田 真緒 白井 暁彦
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.52-54, 2016-11-05

体験者とAIがペアを組んでロボットを操作して将棋をプレイするツール「A.I.See」を提案する。体験者は専用の眼鏡をかけることでAIからヒントを貰い、将棋を楽しむと共に、強くなった感覚を得る事ができる。観戦者は、体験者同士が繰り広げるゲームやロボットの動きを見て楽しむ。表向きは人とAIが一緒に遊び、人を成長させる体験であるが、本ツールの真の目的はシンギュラリティを迎えた人類とAIの関係を体験可能にすることである。
著者
中世古 知昭
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.5, pp.987-994, 2020-05-10 (Released:2021-05-10)
参考文献数
11

多発性骨髄腫は,化学療法に対する反応性が不良で,治癒困難な疾患であったが,1990年代以降,自家造血幹細胞移植療法が確立し,さらに2000年代に入り,プロテアソーム阻害薬(proteasome inhibitor:PI)であるボルテゾミブや免疫調整薬(immunomodulatory drugs:IMiDs)であるサリドマイド及びレナリドミド等の新規薬剤が次々と登場し,予後が劇的に改善した.さらに,第2世代のPIであるカルフィルゾミブやイクサゾミブ,IMiDsであるポマリドミドに加え,骨髄腫細胞上に発現するCD38やSLAMF7を標的とするダラツムマブやエロツズマブといった新規抗体薬も登場し,多発性骨髄腫の予後はさらに改善しつつある.また,フローサイトメトリーやPCR(polymerase chain reaction)法,次世代シークエンサーによる微小残存病変(minimal residual disease:MRD)検出法が開発され,MRD陰性化が得られた症例では,生存期間が大幅に延長することが示されている.
著者
古橋 勉 新田 博幸 工藤 泰幸 真野 宏之
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.821-826, 1999-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
9

液晶ディスプレイは,薄型,軽量,低消費電力が特徴であることから,ノートPCなどの表示装置として広く採用されてきている.現在では,対角画面サイズが15インチ以上,解像度が1024×768画素以上の大画面,高精細液晶ディスプレイが各社から製品化されてきている.これに伴い,液晶モニターという新しい市場も拡大してきている.本文では,この液晶ディスプレイの駆動方式と駆動回路ならびに高速伝送技術に関して解説する.
著者
高橋 優宏 岩崎 聡 吉村 豪兼 古舘 佐起子 岡 晋一郎 西尾 信哉 宇佐美 真一
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.129-135, 2022 (Released:2022-08-25)
参考文献数
13

一側伝音・混合性難聴症例に対し臨床研究「一側性伝音・混合性難聴に対する埋め込み型人工中耳の有効性に関する探索的臨床試験」において人工中耳(Vibrant Soundbridge®: VSB)埋込み術を4例施行した.本邦における人工中耳臨床試験(両側難聴)と同様に裸耳骨導閾値はいずれの周波数においても維持され変化がみられず,装用後6ヶ月での安全性が確認できた.さらに4例とも人工中耳臨床試験(両側難聴)と同様に良好な自由音場装用閾値を示し有効性が確認された.また,本研究における騒音下での語音弁別,方向定位検査も良好な結果であり,一側性伝音・混合性難聴症例において人工中耳VSBの有効性が示唆された.今後,本邦での適応拡大が期待される.
著者
古泉 大輔 橋本 康弘 陳 ユ 大橋 弘忠
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集 第2回横幹連合コンファレンス
巻号頁・発行日
pp.135, 2007 (Released:2008-11-27)

人間は顔に対する認識能力が優れているため、現実の顔だけでなく顔イラストに対しても、その個性を認識し、描かれている表情を感じ取ることが出来る。本研究では、イラストで描かれた顔に対する人間の評価を元にして表情を定量的にモデル化し、それを任意の顔イラストに適用することで、元の顔の特徴を保持したまま表情のみを変化させられるシステムを構築した。
著者
中島 健二 中曽 一裕 古和 久典 YASUI Kenichi 安井 建一
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

我々はこれまでにParkinson病(PD)の発症要因および増悪因子を検討する中で,PD患者における血漿高ホモシステイン(Hcy)の存在を報告してきた(Yasui et al.,2000).今回高Hcy血症の生じる機序を検討するため,20例の未治療PD患者において,L-dopa内服前後の血漿Hcy及びメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)遺伝子多型を検討した.PD患者のL-dopa内服前の血漿Hcy値は11.0±4.5μMで健常対照群(n=55)の10.2±5.3μMと有意差を認めなかった.一方,L-dopa内服後の血漿Hcy値は18.8±13.5μMであり,内服前と比較して有意な上昇を認めた.さらに血漿Hcy値をMTHFR遺伝子多型別にみると,C/C型(wild)では10.9±1.6μMから14.6±2.4μMへ,C/T型では10.3±4.0μMから14.1±4.2μMへ,T/T型では11.9±7.1μMから29.3±21.8μMへと上昇し,いずれも有意な上昇であり,特にT/T型では顕著だった(Yasui et al.,Acta Neuro Sca in press).さらに,高Hcy血症は血管障害の危険因子であるため,L-dopa内服PD患者における動脈硬化性変化を頸動脈超音波検査で検討した.PD群(n=100)では健常群に比して有意に中内膜複合体厚が高値であったが,L-dopa非投与PD患者では健常群と有意な差を認めなかった.さらに血漿Hcy値,MTHFR多型を同時に検討したところ,MTHFR 677T/T多型を有するL-dopa投与PD患者においては高Hcy血漿を伴う頸動脈中内膜肥厚が認められた.以上よりPD患者群における頸動脈中内膜肥厚への,L-dopa内服に伴う高Hcy血症の関与が示唆された(Nakaso et al.,J Neurol Sci 2003).また,53例のPD患者においてHcy産生の中間代謝産物s-アデノシルメチオニン(SAM)およびs-アデノシルホモシステイン(SAH)を測定してSAM/SAH比を算出し,臨床型と比較検討した.同比は罹病期間が長くなる程,またwearing off現象を有するPD患者において低値であったが,有意差は無かった.
著者
古賀 広志
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.71-86, 2020 (Released:2021-10-18)

In this paper, I clarify the significance of dark tourism from the viewpoint of sociomateriality. For that purpose, I will proceed with consideration of the keyword “experience economy” that is related to both dark tourism and sociomateriality. Therefore, this paper is structured as follows. First, the concept of dark tourism is reaffirmed. Next, the relationship between dark tourism and the experience economy is examined. After discussing the relationship between the experience economy and social materiality, we examine the relationship between dark tourism and social materiality.
著者
楫山 健太 眞鍋 堯彦 佐古 達彦 花桐 武志
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.541-546, 2022-07-15 (Released:2022-07-15)
参考文献数
16

症例は72歳男性.咳嗽,左前胸部痛を主訴に当院を受診した.来院時の胸部CTにて左胸腔内に巨大腫瘤が認められ,腫瘤による縦隔偏位および左肺気管支の圧排による無気肺が認められた.エコーガイド下に針生検を施行し,組織診断の結果,脱分化型脂肪肉腫が疑われた.手術は胸腔鏡下に開始し,腫瘤を摘出する際に左第4肋間開胸を施行した.術中所見では腫瘍は前縦隔より発生しており,左肺および胸壁などの周囲組織への浸潤は認められなかった.病理学的精査の結果は脱分化型脂肪肉腫の診断であった.今回われわれは前縦隔に発生した巨大腫瘤を呈した脱分化型脂肪肉腫の切除例を経験した.腫瘍切除に際して,腫瘍が巨大であるため通常開胸では視野確保が困難であり,胸腔鏡下操作が有用であった一例と考えられた.
著者
邉 敬花 吉澤 望 宗方 淳 古賀 誉章 平手 小太郎
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.78, no.688, pp.437-444, 2013-06-30 (Released:2013-08-30)
参考文献数
15
被引用文献数
3 4

This study aims to ascertain the limits to which a solid angle can be used as an indicator for evaluating the senses of physical oppression and of openness in urban spaces. For that, a logistic regression analysis focusing on the street as a whole and the proportion by evaluating value was conducted by evaluating each criterion found through a logistic regression model to assess the limits of the effects of the solid angle. The allowable values for the sense of physical oppression are configured using a threshold if the sense of physical oppression is felt, but reconfiguration of the allowable values for the sense of openness is not necessary. Therefore, for those respondents who indicated that a sense of physical oppression exists, it appears that the limits of that allowable sense of physical oppression are as follows: using judgment of 75% of the evaluators, the rate of solid angles was 76%; using judgment of 50% of the evaluators, the rate of solid angles was 65%; and using judgment of 25% of the evaluators, the rate was 53%. Compared to the studies of the Japan Society of Civil Engineers, Spreiregen and Takei, those allowable values are more appropriate.
著者
関根 麻理子 牧野 利明 田中 耕一郎 嶋田 沙織 四日 順子 古屋 英治 地野 充時 田原 英一
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.182-203, 2021 (Released:2022-07-29)
参考文献数
25

医療安全委員会では,安全に漢方方剤を使用するための啓発活動を行っており,前回,日本医療機能評価機構の薬局から登録されたヒヤリ・ハット事例を分析した。今回は,同機構の医療機関から登録された医療事故とヒヤリ・ハット事例を分析した。漢方製剤が関係する事例は626件であった。医療事故には,薬剤性肝障害事例があった。 ヒヤリ・ハット事例に関しては,処方時では漢方エキス製剤の1包の内容量の勘違いによる用法用量の誤り,調剤時では製剤番号・外観の類似や漢方処方名の類似による調剤の誤り,投薬時では漢方処方名まで確認せずに,漢字表記やメーカー名だけで判断することによる投薬の誤りがあった。ヒヤリ・ハット事例は当事者本人や同職種者に限らず,他職種者や患者本人から発見される事例も多かったことから,ヒヤリ・ハット事例は同職種者間での共有に留まらず,他職種者とも共有することが,医療安全の推進につながると考えられた。
著者
古田 忠夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.12, pp.845-847, 1977-12-15 (Released:2011-11-04)

うすくちしょう油の年間生産量はしょう油全体の約10%程度である。近年僅かではあるが.他の地方の中小メーカーでも製造されているが.そのなかには単にこいくちしょう油を脱色したような製品がある。うすくちしょう油の本来の風格を保つために.製造の留意すべき点について述べていただいた。
著者
澤村 貞昭 田中 和生 古賀 泰裕
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.1054-1063, 1999-10-20 (Released:2011-02-07)
参考文献数
17
被引用文献数
11 11

無菌マウスに腸管出血性大腸菌O157: H7 (以下0157) 1×105CFUを感染させると感染が成立し, 感染8~9日後にマウスは全例死亡した.この感染動物実験系を用いてO157感染症に対する抗生物質療法の有効性を検討した.KM, DOXY, MINO, CP, CCL, AMPC, FOMおよびMFLXの8剤についてMICを測定し, 嫌気的条件下で低いMIC値を示したFOM, NFLX (FOM, 0.78;NFLX, 0.10μg/ml) をO157感染無菌マウスに投与した.O157感染3時間後よりFOM (500mg/kg/day) 或いはNFLX (50mg/kg/day) を1日2回, 連日5日間投与したところ, 生残率はそれぞれ83.3%, 100%と著明に改善し, いずれの抗生物質を投与した群でも糞便中にはべ口毒素は検出されなかった.次にFOMの投与開始時間を感染3, 6, 12, 24時間後にしたところ生残率はそれぞれ100, 100, 0, 0%であった.即ち, FOM, NFLXは感染早期に投与を開始するとべ口毒素を放出する事なく0157を除菌する事が明らかとなった.