著者
加藤 享 古川 善夫 村田 芳久
出版者
JAPAN SOCIETY OF GYMNASTICS for All
雑誌
体操研究 (ISSN:18835872)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.27-37, 2014

24名の大学生(18±0.5歳)を対象に4種類の体ほぐしの運動を実践した。実践後に、それぞれの大学生に気づいたこと、調整したこと、交流したことについてコメントカードに記述することを求めた。「 2人でリズムに乗って 」仲間やリズムに動きを合わせることや体が温まったことについて16名が気づき、仲間や音楽に動きを合わせることについて13名が調整した。また、仲間と動きを合わせることと互いに教え合うことを交流として12名が記述していた。なお、仲間と動きを合わせることは交流や調整と捉えられていた。 「 3~6人の運動」運動の工夫や友達との信頼関係について10名が気づき、運動の工夫と体の姿勢について15名が調整した。コミュニケーションをとることや運動を行う人数が増えると楽しいことについては12名が交流として記述していた。 運動の工夫は気づきや調整と捉えられていた。「あんたがたどこさ」歌いながら運動することの楽しさについて10名の学生が気づいた。ボールや歌に動きを合わせる調整を14名が行った。全員で歌うことや仲間の歌を聴くことを12名が交流と記述していた。歌のリズムに合わせて動くことは気づきや調整と捉えられていた。「 組み体操 」相手の動きが自分に影響することについて5名が気づき、仲間とバランスをとることを4名が調整した。コミュニケーションについて12名が交流として記述していた。
著者
笠谷 和比古
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
no.7, pp.p89-104, 1992-09

慶長八年二月、徳川家康は征夷大将軍に任ぜられ、徳川幕府を開いた。関ヶ原合戦の勝利によって覇権を確立し、天下人としての地位を不動のものとした家康が、この将軍任官によって徳川幕府という新たな政権を樹立し、豊臣家にかわる徳川家の天下支配を制度的な形で確定したとするのが、これまでの通説的な理解である。 しかし私の関ヶ原合戦に関する研究によるならば、同合戦において家康の下で戦った東軍(家康方)の軍事的構成が、専ら豊臣系諸大名を主力としており、本来の徳川軍の比重がきわめて低かったという事実が明らかとなった。すなわち家康の軍事的勝利は、専ら豊臣系諸大名の多大の貢献によってもたらされていたのであり、それ故に関ヶ原戦後の政治体制においては、豊臣系諸大名の勢力は強大なものとなっており、また大坂城の豊臣秀頼を頂点とする豊臣政権も解体されたのではなくて、潜在的な政治能力を充分に保っていた。 本稿は家康の将軍任官のより立ち入った意義を、このような政治状況との相関の中で検討し、さらにはそれを踏まえて、関ヶ原合戦より大坂の陣に至る近世初頭の政治史的展開、およびこの時期の国制の構造を考察する。
著者
古宇田 亮一
出版者
Japan Society of Geoinformatics
雑誌
情報地質 = Geological data processing (ISSN:0388502X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.131-136, 2012-09-15
被引用文献数
2

簡易にデスクトップ・インストールでき,オフラインでも直ちに利用可能なフリーのデスクトップ・アプリケーションについて,FOSS(Free and Open Source System)ベースを主としてその動向を略述する.FOSS であることによって,アプリケーション相互の連携とプラグインの形での取り込みや統合化が進み,ソースコード公開によって多数の専門家のボランティアが参加して,より使いやすくアルゴリズムの充実した体系に進歩している.このFOSSによるデスクトップ・アプリケーション環境はビッグデータの処理,クラウドコンピューティング環境で威力を発揮している.様々なFOSSデスクトップ・アプリケーションのうちから,地理情報システム,画像処理とリモートセンシング,3次元モデルと地球統計学の23種のアプリケーションを紹介する.2012年8月現在のバージョンとダウンロードサイトを表に示す.またビッグデータ化しつつあるフリーな地図・地質図・衛星画像のダウンロードサイトも紹介する.
著者
関根 康人 高野 淑識 矢野 創 船瀬 龍 高井 研 石原 盛男 渋谷 岳造 橘 省吾 倉本 圭 薮田 ひかる 木村 淳 古川 善博
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.229-238, 2012-09-25

エンセラダスの南極付近から噴出するプリュームの発見は,氷衛星の内部海の海水や海中の揮発性成分や固体成分の直接サンプリングの可能性を示した大きなブレイクスルーであるといえる.これまでカッシーニ探査によって,プリューム物質は岩石成分と相互作用する液体の内部海に由来していることが明らかになったが,サンプリング時の相対速度が大きいこと,質量分析装置の分解能が低いことなどの問題があり,内部海の化学組成や温度条件,海の存続時間など,生命存在の可能性を制約できる情報は乏しい.本論文では,エンセラダス・プリューム物質の高精度その場質量分析とサンプルリターンによる詳細な物質分析を行うことで,内部海の化学組成の解明,初期太陽系物質進化の制約,そして生命存在可能性を探ることを目的とする探査計画を提案する.本提案は,"宇宙に生命は存在するのか"という根源的な問いに対して,理・工学の様々な分野での次世代を担う若手研究者が惑星探査に参入し結集する点が画期的であり,我が国の科学・技術界全体に対しても極めて大きな波及効果をもつ.
著者
古谷 規行 小川 昂志 藤井 千晃 川添 禎浩
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.35-43, 2016-01-25 (Released:2016-03-01)
参考文献数
35

高イソフラボン含有黒大豆 ‘高イソ黒65号’ は市場評価の高い ‘新丹波黒’ のイソフラボン含量を向上させた品種である.‘高イソ黒65号’ の煮豆や豆腐などを調製して,加工品のイソフラボンおよびアントシアニン含量を調査した.さらに子実や加工品の抗酸化能を調査した.‘高イソ黒65号’ は子実のイソフラボン含量が532.4 mg/100g-DWで,‘新丹波黒’ の2倍以上であった.‘高イソ黒65号’ の加工品のイソフラボン含量は ‘新丹波黒’ の2倍以上で有意に高かった.調理によりマロニル化配糖体が減少しグリコシドが増加した.調製方法により加工品のイソフラボン含量や組成が異なり,蒸し豆はイソフラボンの損失が抑えられ,豆腐ではアグリコンの生成量が多くなった.また,アントシアニン含量は子実や加工品で ‘新丹波黒’ と遜色ない結果であった.‘高イソ黒65号’ の子実や加工品の機能性は子実およびいずれの加工品においても ‘新丹波黒’ よりH-ORAC値が高くなった.このように丹波黒大豆系品種 ‘高イソ黒65号’ は,イソフラボンおよびアントシアニン含量が高く,機能性が高い大粒黒大豆で,その特性を生かす加工品として蒸し豆や豆腐が有望と考えられた.
著者
古池 若葉
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.A87-A101, 2009-03-15

本稿では,ASD 児者における言語的な問題について,語用論上の困難に焦点を当ててその様相を示した上で,語用論的能力のアセスメントに役立つと考えられる検査や手法について整理し,今後の課題について考察した。その結果,主な知見として以下の3 点が得られた。第1 に,ソーシャルスキルにおいては言語的な側面が重要な位置づけにあるが,既存のソーシャルスキル尺度は語用論的側面をアセスメントする上で十分とは言えない。第2 に,ASD 児者は,形式的な言語に問題が見られなくても,談話や会話などの語用論的側面に問題を持つことが多い。第3 に,Wechsler 知能検査は,高機能ASD 児者の語用論的能力に比べて言語性知能を過大評価しやすく,語用論的能力を測定するアセスメント方法は未確立ながら,ナラティブの産出を調べる方法や,会話を分析する方法によるアプローチが行われている。これらの知見を踏まえて,心理士として,言語臨床にどこまで携わる必要があるかについての考察を加えた。
著者
谷口 宏充 栗谷 豪 宮本 毅 長瀬 敏郎 菅野 均志 後藤 章夫 中川 光弘 伴 雅雄 成澤 勝 中川 光弘 奥野 充 伴 雅雄 前野 深 嶋野 岳人 板谷 徹丸 安田 喜憲 植木 貞人 古畑 徹 小嶋 芳孝
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

頭山およびそれを包括する蓋馬溶岩台地に関して、現地調査、衛星データー解析、採集した資料の化学分析・年代分析、国内の関連地層の調査・年代分析などの手法を用いて、白頭山10世紀巨大噴火の概要、白頭山及び蓋馬溶岩台地の火山学的な実態を明らかにしようとした。開始してから1年後に北朝鮮のミサイル問題・核開発問題などの諸問題が発生し、現地での調査や研究者との交流などの実施が徐々に困難になっていった。そのため、すでに収集していた試料の分析、衛星データーの解析及び国内での調査に研究の主力を移し、可能な限りの成果を得ようとした。その結果、近年発生している白頭山における地震多発とマグマ活動との関係、存在は知られているが分布や内容が全く未知である蓋馬溶岩台地の概要が明らかになり、更に、地下におけるマグマの成因についても一定の結論を得た。混乱状態にある白頭山10世紀噴火の年代問題をふくめ、また、北朝鮮からの論文を含め、研究成果は12編の論文として論文集にまとめられつつある。
著者
古谷野 哲夫
出版者
The Crystallographic Society of Japan
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.319-322, 2014

Chocolate consists of solid particles such as cocoa, sugar, and milk solids which are dispersed in a continuous fat phase. The major fat in chocolate is cocoa butter, and it is crystallized at room temperature, so chocolate is a food which we eat crystals. Therefore, fat crystals play a great role in chocolate quality and storage stability. In this paper, polymorphism of cocoa butter and the transformation of polymorphic forms are reviewed including recent results.
著者
世古龍郎 金田重郎
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.403-404, 2012-03-06

本稿では,認知文法の基本的な考え方を準用して,オブジェクト指向理解の背後に,日本語と英語の言語差が存在し,クラス図を作成は日英翻訳と同じであることを主張する.具体的には,クラス図は,英語の第1文型~第5文型にそのまま対応している.従って,動詞中心であり,「格」を自由に助詞によって指定できる日本語を,そのままクラス図にあてはめるのは,容易ではない.その問題に対し,認知言語のコアイメージによるクラス図生成を試みる.日本語による仕様書記述中に含まれる因果関係を取り出す作業が必要と思われる.言葉の持つ「意味」を日本語と英語で一致させる事で,オブジェクト指向の本質の理解を高める事を述べる.
著者
野崎 秀俊 古賀 昭人 川上 弘泰
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
日本化學雜誌 (ISSN:03695387)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.1285-1287, 1958

第11報と同じ温泉で40℃と60℃について採水後の比抑圧係数とベンジジン反応の時間的変動を調べた。その結果,地蔵湯 (酸性硫化水素泉) では硫化水素が逃げると共に比抑圧係数の値も減少する。その速度は高温ほどはやい。人工泉との違いも前報と同様にはっきり現われている。竹瓦温泉 (含食塩重曹泉) はその変化がきわめてはやく値も地蔵湯の約1/10である。この場合, 地蔵湯ほど含有ガスの量に比例しておらず, 遊離炭酸のみならず水酸イオン, 炭酸イオンなどが比抑圧係数の老化現象として現われると思われ, 温度の違いは,さほどではない。またベンジジン反応は急速に消失した。
著者
古山 準一 本城 信吾 森園 竜太郎 森田 康太郎 代田 充 長谷川 公範 内沢 政英 水尾 仁志 河上 彩恵 高木 秀雄
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.84-91, 2010-02-25
被引用文献数
1

症例は,75歳,男性.C型肝硬変症,肝細胞癌(HCC)にて当院通院中.2008年3月より血便を生じ,下部消化管内視鏡検査にて出血性直腸静脈瘤と診断.2008年7月HCCの治療目的にて入院.HCC治療時の上腸間膜動脈・脾動脈造影門脈相では遠肝性側副血行路は認めず,下腸間膜動脈造影にて下腸間膜動脈は直腸壁を造影し,その後排血路の一部として直腸静脈瘤が造影され下腸間膜静脈より脾静脈へと排血されていた.その後,直腸静脈瘤に対して内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)・硬化療法(EIS)併用療法を施行.直腸静脈瘤の口側端で,腸管壁外へ流出すると考えられた部位へEVL施行後,透視下でEISを施行.その後,造影CTにて直腸静脈瘤の血流は消失した.本症例は,血管造影にて直腸静脈瘤の血行動態を把握後にEVL・EIS併用療法を施行する事によって安全に治療しえた1例であったので報告する.<br>
著者
古賀 成昌
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.19, no.9, pp.1849-1855, 1986 (Released:2011-03-02)
参考文献数
9
被引用文献数
1

外科治療ができない癌に対し, 体外循環を応用した血液加温による全身温熱療法と癌化学療法を併用した全身温熱化学療法の成績と, 本法の問題点について述べた.全国集計例132例の成績ではCR, PRがそれぞれ2例, 30例にみられたが, 症例の背景を考えた場合, この成績は評価できるものと考える.全身温熱療法の宿主免疫能をはじめとした生体への影響は大きくはなく, 今後適応症例を選び, 操作の簡便化, 制癌剤の投与タイミング, 温熱感受性などの問題点を解決することにより, 本法の治療効果はさらに向上できるものと考える.