著者
石田 憲二 松田 祐司 佐藤 憲昭 神戸 振作 井澤 公一 古川 はづき 西田 信彦
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

本研究班では、主に、強相関電子系超伝導体における超伝導対状態、発現機構解明を目指して研究を行った。また重い電子系における量子臨界現象も研究した。主な成果を以下に挙げる。(1)人工超格子による二次元重い電子状態の創製と、人工超格子の手法による量子臨界の制御とそこでの強結合超伝導(2)強磁性超伝導UCoGeにおける(1)強磁性と超伝導の共存、(2)自己誘導渦糸状態の発見、(3)イジング型の異方性を持つ強磁性ゆらぎにより引き起こされる超伝導(3)熱伝送率の角度回転によるUPt3の超伝導ギャップ構造の決定(4)Uru_2Si_2の「隠れた秩序」における対称性の低下(5)準結晶Au-Al-Ybに見られる量子臨界現象(6)磁気励起の解析から明らかになったUsn_3における磁気異常の起源(7)二次元構造を持つ重い電子系Ce(Ru_<1-x>Fe_x)POにおける強磁性量子臨界現象
著者
座古 保
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

近年アルツハイマー病に代表される、ミスフォールディングタンパク質が凝集することが原因で引き起こされる疾病が社会的問題となっている.本研究では生体内でタンパク質凝集を抑制する働きをしている分子シャペロンタンパク質の1つであるプレフォルディンがアミロイドβタンパク質やポリグルタミンタンパク質などの疾病タンパク質凝集にどのような働きをしているかを調べたところ、凝集が抑制されることを見出した.
著者
古賀 裕之 谷口 忠大
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

テレビ会議システムなどの普及により,場所や時間的な制約に関係なく意思決定の場を設けることが可能となってきている.その一方で,意思決定を活発化,円滑化するための場の設計方法については見落としがちである.本稿では,意思決定の場におけるコミュニケーション支援のためのメカニズムデザインを経済学的,心理学的観点を踏まえて行い,その場の設計が意思決定の場におけるコミュニケーションに与える影響について考察する.
著者
倉内 伸幸 古庄 雅彦 寺島 竹彦 谷口 きよ
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.258-263, 1997-12-01
被引用文献数
1

1990年から1992年にチュニジアで収集したオオムギ遺伝資源について, 農業形質に関する一次特性および二次特性調査を行い, チュニジアオオムギの育種素材としての有用性について検討した.また, 収集地域別に形質の地理的傾斜があるかどうかを検討した.一次特性は, 300系統を調査した.供試系統は, すべて並性でかつ皮性であり, 芒が多く, 粒大であった.また, 出穂期, 成熟期, 稈長および穂長にはそれぞれ大きな変異がみられ, 日本品種と比較すると, 出穂, 成熟がやや遅く, 長稈で長穂の傾向が認められた.1000粒重は53.0gであり, 日本品種の35.4gに比べ種子が大きかった.地域別の農業形質の特徴をみると, 北部の系統は長稈で穂が短いのに対し, 南部の系統は短稈で穂の長い傾向が認められた.中部の系統は, 北部と南部の系統の中間を示した.二次特性は, 縞萎縮病抵抗性について, 158系統を検定し, 2系統が抵抗性を示した.縞萎縮病抵抗性を示した系統は北部および中部から収集した系統であった.うどんこ病抵抗性については, 149系統について調査し, 75系統が抵抗性を示した.北部, 中部, 南部から収集した系統から, うどんこ病抵抗性を示す系統が見出された.播性については206系統について調査した.135系統(66%)の系統がII以下の低い秋播性, 57系統(28%)の系統がIII, IVの中程度の秋播性で, 14系統(6%)の系統がVI以上の高い秋播性を示した.高い秋播性を示した系統は, チュニジア西部のアトラス山脈山麓から収集された系統であり, そこでは強い耐寒性と高い秋播性が要求されるためと推定される.以上のように, チュニジアオオムギ在来種から, 多収性および耐病性育種に利用が期待される系統が見出された.
著者
土方 嘉徳 青木 義則 古井 陽之助 中島 周
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.566-576, 2002-02-15
被引用文献数
10

情報検索におけるユーザ分析では,ユーザが閲覧したコンテンツのどの部分に興味を持ったのかを取得することが重要となる.既存の手法でこのようなユーザの興味に関する情報を取得しようとすると,ユーザにアンケートに答えてもらうという手間をかける問題や,Webページ中の一部分というような細かい単位では自動取得できないという問題があった.本稿では,ユーザのWebページ閲覧中のマウス操作を利用して,ユーザが興味を持ったと思われるテキスト部分を全体のテキストから自動抽出する手法を提案する.本研究では,まず事前調査としてユーザのWebページ閲覧中のマウス操作の観察とインタビューを行い,どのような種類の操作がユーザの興味と関連があるのかを明らかにする.次に,これらの操作の対象となるテキスト部分が実際にユーザが興味を持った部分であるのか否かを,「TextExtractor」と呼ぶ実験システムを実装し,被験者実験を行うことで検証する.実験の結果,テキスト中におけるユーザが興味を持ったキーワードの割合は,文書全体よりも,これら各々の種類の操作が対象とするテキスト部分の方が高いことが検証された.また,これらの操作すべてを使ってテキスト部分を抽出した場合,ユーザが興味を持ったキーワードを抽出する精度は,ランダムにキーワードを抽出する方法に比べて約4倍,tf・idfに比べて約1.4倍高いことが確認できた.In the area of information retrieval, it becomes important to acquire which portion of the content the user was interested in. The existing techniques for acquiring this information have the problem which forces the user to answer questionnaires or the problem which cannot carry out automatic acquisition in a fine unit like the portion in a Web page. This paper proposes a method for extracting the text parts which the user might be interested in from the whole text of the Web page based on the user's mouse operation.First, we conduct observations and interviews to discover what kind of operation is related to the user's interest.Second, we build a system called ``TextExtractor'' and conduct an experiment to see the effectiveness of the discovered operations. The result showed that the ratio of the keywords which the user was interested in was higher in the targeted text parts of any kind of the discovered operations than that in the whole document.When we extracted texts using all kinds of discovered operations, the precision to extract keywords of TextExtractor was about 4 times compared with that of random extraction and about 1.4 times compared with that of tf-idf.
著者
古賀 章彦
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

大規模なヘテロクロマチンが短期間(種分化が起こる程度の時間)に増幅(生成を含む)あるいは縮小(消失を含む)する現象が、ヒト科やテナガザル科など、霊長類の多数のグループでみられる。その機構の解明につなげることを目指し、増幅や縮小を起こしたヘテロクロマチンの特性を調べた。反復配列が転移などでセントロメアやテロメアに入り込んだ際にこれが起こること、および増幅や縮小の効率は塩基配列に依存することが判明した。
著者
古澤 照幸
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.71-81, 2006-12

占い師やマジシャンが心を読んだり、占ったりし、当たっていると思わせる技術をコールド・リーディングという。このコールド・リーディングには数々の技術があるが、さらにMeタイプ、Weタイプという人のタイプ分けを行うことで心を読もうとする新しい技術がある。この技術について調査を学生に実施し、妥当性を検証した。結果からは一切、この技術は妥当ではないことが分かり、このことについて考察が行われた。
著者
三橋 俊雄 宮崎 清 坂本 勝比古
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.82, pp.49-56, 1990-11-30
被引用文献数
1

本小論は,大正期から昭和戦前期における農村・農家副業としての工芸生産に関する史料を解析し,今日の地域産業おこしに対する基本的視点を見定めようとしたものである。本小論の検討内容ならびに結論は,次のように要約される。(1)疲弊する農村救済策としてなされたこの時期の農商務省による副業奨励施策は,時代の推移につれ,その中心を,地域資源を活用した地域工芸の創生に移していった。(2)初期商工省工芸指導所ならびに高崎におけるブルーノ・タウトは地域工芸のあるべき理念・方法を提示した。両者は,ともに,伝統的・地域固有資源の再認識に基づく工芸デザイン活動が地域社会に根づいていくことこそ,調和ある社会発展にとって不可欠であることを説き,実践した。(3)初期工芸指導所および高崎におけるブルーノ・タウトの活動には地域産業自体の「内発的」活性化に向けての要件が含まれ,今日の地域工芸産業の振興に関しても示唆する点が多い。
著者
森 一樹 木下 大輔 古宮 誠一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J95-D, no.3, pp.437-446, 2012-03-01

筆者らは,ソフトウェア開発プロジェクトの開発計画(スケジュールと開発を担当する要員の割当の)案を自動的に立案するシステムを研究開発してきた.工程遅延が発生した場合に,これまでは,クラッシングやファーストトラッキングに基づく対策案(工程遅延を回復できるような開発計画案)を自動立案する仕組みを研究してきた.工程遅延の回復方法には,クラッシングやファーストトラッキング以外に休日出勤による方法が挙げられる.これまでのシステムでは,休日を要員割当処理上の制約としては捉えず,全ての休日を単に割当不可能な日とみなし,非明示的に(つまり,アプリケーション上,変更不可能な対象として)扱っていただけであったが,この論文では休日を『要員割り当て対象日に関する制約』として捉え,原則として要員割当ができない日として,明示的に(つまり,アプリケーション上,変更可能な対象として)扱う.しかし,ユーザが指定したいくつかの工程のみは,休日も要員割当可能な日として扱う.これにより,特定の工程のみは休日にも要員を割り当てるような対策案を自動立案するとともに,提案した仕組みの有効性を検証している.
著者
東川 和夫 野口 潤次郎 古田 高士 渡辺 義之 清水 悟 児玉 秋雄
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

当初の研究目的は、被覆写像に対して、両多様体の多様複素グリーン関数及び対応する不変計量に関する不等式がいつ等号になるか、例で調べてみること。等質有界領域のバーグマン計量に対する正則双断面曲率が非正であれば、擬対称領域かという問題に解答をつけること。この2点であったが、いずれも記述すべき進展が見られなかった。この問題に関連して、次の3つの新しい結果を得た。(1)上に伸びる連分数展開を考えることによって、閏年を4年に一度置き、それを32回に一度やめ、そのやめることを691回に一度やめ、それをやめることを、703回に一度やめれば、真の時間と暦上の時間との違いは、常に24時間以内であることを示した。(2)互いに素なAとBに対して、pはAの平方とBの平方の和であり、奇数であるとする。このとき、(i)直交する二つの位数pのラテン方陣で、それぞれが、対蹟的完備であるものが存在する。ここで、ラテン方陣が対蹟的完備であることは、すべての対蹟の関係にある位数がAの方陣と位数Bの方陣を合わせたものに文字の重複がないことである。(ii)位数pの魔方陣で、対蹟的完備であるものが存在する。ここで、魔方陣が対蹟的完備とは、すべての対蹟の関係にある位数がAの方陣と位数Bの方陣を合わせたものの数の和が定和になることである。(3)5以上の自然数Nに対して、合同変換群が位数Nの回転群でしかないような1つの平行6辺形による平面のタイル張りが存在することを示した。
著者
井上 芳光 古賀 俊策 近藤 徳彦 上田 博之 石指 宏通 芝崎 学 近江 雅人
出版者
大阪国際大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

ヒトの環境適応能の老化機序を解明するため,全身協関的視点から検討した結果,以下のことが示された.体温調節機序は男女とも,入力系→効果器系→出力系→中枢系の順序で老化し,下肢の汗腺機能は下腿が大腿より,下肢の後面が前面より早期に老化する.老化に伴い非温熱性要因の複合的入力に対する反応が小さくなる.若年者でみられた熱放散反応の性差は老化によって小さくなる.高齢者の汗腺機能の夏へ向けての亢進が若年者より遅延し,また,暑熱下の起立耐性に影響する皮膚血流量調節の関与は高齢者では小さく,夏季における高齢者の血栓形成は若年者より促進される.体温調節機序の入力系や出力系に対して老化遅延策は見出せなかったが,効果器系では運動習慣の確立が有効である.
著者
古閑 博美
出版者
嘉悦大学
雑誌
嘉悦大学研究論集 (ISSN:02883376)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.145-157, 2003-10-01

今また、論語が注目されようとしている。それは、「心の乱世」と呼ばれる現状があることと無縁ではない。社会や教育の荒廃は、人びとの行動や精神に悪影響をおよぼし、取返しのつかない状況を生む。大学教育の現場で、学生の学力低下や態度不良が指摘されるようになって久しい。社会人としてふさわしい態度を形成するうえで、徳行や礼が実行されない環境を放置してよいはずがない。歴史的経緯からも、論語は、日本にもたらされた当初から教育的価値の高い書物として活用されている。古典に親しむ教育を検証し、かつて実行された日本のよき教育的指導のあり方を、再び学ぶ必要があると思われる。筆者の実践から、現代の大学生であっても、礼をともなった交誼のあり方に心地よさを感じている者が少なくないと断言できる。政治経済・福祉・教育を取り巻く情勢は厳しい。少子化に歯止めが期待できない今日、大学の今後も決して楽観できるものではない。しかし、人間が作った社会である以上、人間がその現実を直視したうえで是正し、よりよいものにしていくしかない。論語に学ぶ意味も、まさにその点にあると思う。
著者
古野 哲郎 神山 亜紀 明石 智義 臼井 真理子 高橋 武美 綾部 真一
出版者
Japanese Society for Plant Cell and Molecular Biology
雑誌
植物組織培養 (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.275-280, 1993
被引用文献数
10

西洋タンポポのカルス培養細胞から完全な植物体を再生させた. カルス細胞をNAAとBAを添加した1/2MS培地上明所で培養すると, 一部の培地上で著しいシュートの形成が見られた. ホルモン無添加培地で発根させ, バーミキュライトを経てポット中の土壌に移植したところ, 開花し, 種子を得る事ができた. カルス培養ではトリテルペン酸 (オレアノール酸, ウルソール酸) が顕著に検出されたが, 再分化すると検出されなくなり, 代わりに分化器官ではトリテルペン-3-オール量が増加した. トリテルペン-3-オールの組成をHPLCで解析したところ, カルスではα-およびβ-アミリンが主要な成分であるのに対して, 分化器官ではタラキサステロール, ルペオールなどがさらに見出され, 特に乳液ではタラキサステロールが主成分であった.
著者
古谷 成司 フルタニ セイジ Seiji FURUTANI
出版者
千葉大学教育学部授業実践開発研究室
雑誌
授業実践開発研究 (ISSN:18848818)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.35-42, 2009-03

本研究では、朝ごはんを題材とし、「朝ごはんを食べること」の必要性を理解することをねらいとした授業プログラムを開発し、その成果と課題を考察することを目的とする。現在、文部科学省から「早寝早起き朝ごはん」国民運動が進められており、子どもたちの生活習慣の乱れが問題視されている。このことが学力低下や生徒指導上の問題を引き起こしているともいわれている。そこで、「朝ごはんを食べること」がなぜ必要かということを、血糖値や体温をとりあげて科学的根拠に基づいた理解を図るように授業実践を行った。その結果、「朝ごはんを食べること」の大切さについて理解が深まり、さらに、「朝ごはんを食べよう」とする意識も高めることができた。