著者
黨 康夫 小川 忠平 大友 守 荒井 康男 佐野 靖之 田代 裕二 古田 一裕 若林 邦夫 伊藤 幸治
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.50-55, 1999
参考文献数
15
被引用文献数
5

症例は30歳女性. 1997年5月中旬頃よりの腹痛, 腹部膨満感で当院救急外来を受診. 腹部X線写真にてイレウスを疑われ, 緊急入院となった. 白血球数の増加(12300/μl)及び好酸球比率の上昇(42.5%)を認めたが, CRPは陰性であった. 腹部CTにて大量の腹水貯留及び回腸から上行結腸にかけて広範囲に腸管壁肥厚が認められた. 腹水中細胞のほとんどは好酸球であった. さらに末梢血及び腹水中IL-5が著明高値を呈した. 消化管粘膜生検では好酸球浸潤は証明されなかった. 6月3日よりプレドニゾロン50mg/日の経口投与を開始し漸減. 症状は著明に改善し末梢血好酸球数, IL-5も正常化した. これらの所見から漿膜下優位型の好酸球性胃腸炎と診断した. 鑑別には腹水中好酸球増加の確認が有用で, かつIL-5が疾患活動性の指標となりうる可能性が示唆された.
著者
小野田 正利 小林 正幸 近藤 博之 平沢 安政 藤岡 淳子 山下 晃一 近藤 博之 平沢 安政 藤岡 淳子 志水 宏吉 井村 修 木村 涼子 中村 高康 野田 正人 岩永 定 山下 晃一 田中 規久雄 古川 治
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

学校の教職員と保護者の間に、いま時として鋭い対立関係が生じてしまい、教育活動に大きな影響が出ていることが、わが国の学校問題の一つに急浮上してきた。本研究では、質的調査と量的調査を組み合わせ、同時に教育学の観点からだけでなく、心理学、精神医学、福祉学、法律学などの多様な分野の専門研究者を交えて、これらの問題の原因究明とともに、良好な関係性の構築の方向性を明らかにした。
著者
岡島 いづみ 山田 和男 菅田 孟 佐古 猛
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.553-558, 2002-09-20
被引用文献数
3 39

亜臨界から超臨界領域の水を用いてエポキシ樹脂の分解を行った.その結果,350–380℃,25MPaの条件で樹脂は完全に分解し,約90%がフェノールやイソプロピルフェノールなどの単環フェノール類や,比較的分子量の小さな生成物である水+メタノール可溶分として回収された.一方,380℃における熱分解では分子量の大きな残渣やTHF可溶分が生成物の約半分を占めていることから,反応場に水が存在することで樹脂の炭化が抑制され,低分子化が進行することを確認した.また超臨界メタノールを用いた場合には,エポキシ樹脂の分解は起こるものの,同様の条件の超臨界水分解に比べて軽質化はあまり進まなかった.当該技術の応用の一例として,エポキシ樹脂をマトリクス樹脂として使用した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の分解・炭素繊維の回収を試みたところ,380℃,25MPaの超臨界水を用いると樹脂分は低分子化して炭素繊維からはがれ,付着物のない炭素繊維を回収することができた.
著者
上田 敏郎 島村 佳伸 東郷 敬一郎 藤井 朋之 岡島 いづみ 平松 正敬 佐古 猛
出版者
The Society of Materials Science, Japan
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.964-969, 2010
被引用文献数
2 5

Carbon-fiber reinforced epoxy was decomposed using subcritical water and supercritical methanol to reclaim carbon fibers. The tensile strength of the reclaimed carbon fibers was measured. Then SEM observation, XPS, and Raman spectral analysis were conducted to elucidate the change of tensile strength caused by decomposition. The tensile strength decreased by 6% in the case of decomposition with supercritical methanol, and by 12~17% with subcritical water. The surfaces of reclaimed carbon fibers were resin-free. Decomposition did not affect the fiber surface and fracture surface morphology. Subsequent XPS analysis revealed that functional groups of the carbon fiber surface had been removed. Raman spectral analysis showed decreased graphitization of the carbon fiber surface. These results imply that the fracture toughness of the carbon fiber surface decreased because of breakage of carbon-carbon bonds in the carbon fibers as a result of decomposition.
著者
小島 輝之 山本 康高 吉川 大弘 古橋 武
出版者
日本感性工学会
雑誌
感性工学研究論文集 (ISSN:13461958)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.63-70, 2007-05-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
11

The purpose of this study is to visualize the impressions on words between two subjects. We employ Semantic Differential (SD) method that is one of the most popular methods to quantify individual subjectivity. The number of dimensions of eachi mpression word is same with that of objects in SD data. It needs to be reduced to less than three dimensions for visualization. This paper proposes the visualization method which focuses on correlations of SD data between two subjects. The impression words are visualized on three-dimensional space where impression words having high correlation between two subjects' SD data are put close one another. We can investigate and discuss the similarities/differences of impression words between two subjects through this visualized space.
著者
古賀 健太郎
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 : 日本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 (ISSN:09187863)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.65-78, 2009-03-31

無形資産が経済価値を生む原理には,「個別資産の経済価値の増大」と「資産の組合せによる経済価値の増大」とがある.人的資産に焦点を当てれば,前者は「従業員の能力を引出す」こと,後者は「従業員の協働を促す」ことに置き換えることができる.さらに,前者は,会計情報の意思決定誘導機能,後者は意思決定支援機能と密接に関係している.米国の管理会計研究は,「従業員の能力を引出す」ために,会計情報を用いて意思決定を誘導する機能について多くの成果を上げてきた.その一方,「従業員の協働を促す」ために,会計情報を用いて意思決定を支援する機能については十分に理解されていない.むしろ,日本において,意思決定の支援機能を研究する可能性が大きい.日本の実務が「従業員の協働を促す」ことを重視するからである.さらに,意思決定の支援機能と誘導機能との相互作用についても,研究の可能性が大きい.
著者
遠藤 保子 八村 広三郎 仲間 裕子 山下 高行 崔 雄 古川 耕平 松田 凡 高橋 京子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

舞踊人類学やアフリカの舞踊に関する研究動向を概観し、舞踊の最新の記録法としてモーションキャプチャを利用したデジタル記録を指摘した。アフリカで人類学的なフィールドワークを行いつつ、モーションキャプチャしたデジタルデータからアフリカの舞踊の特徴(多中心的な動作や性差による相違点等)を考察した。アフリカの舞踊の教材化について論じ、小学校高学年を対象にした開発教育のための教材(DVD、指導計画)を制作した。
著者
古崎 睦
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.9, pp.829-834, 1999-09-05
被引用文献数
5 3

ホタテ貝の中腸せん(腺)(ウロ)を焼却処理すると, 含有重金属の中で比較的低沸点のカドミウムは一部気化すると考えられる. そこで, ウロを焼却したときの(1)焼却残留物, (2)焼却管壁析出物, (3)焼却飛灰, 及び(4)排ガス吸収液中の鉄, 銅, 亜鉛, カドミウムの量を調べ, 焼却過程におけるこれらの物質収支を検討した. 湿ウロは1kg当たり平均約20mgのカドミウムを含んでいるが, これを空気中900℃ で加熱するとその約57%が気化した. 気化したカドミウムの多くは焼却管壁に析出するが, 飛灰からも16%程度回収された. 一方, 窒素中で加熱した場合の残存率は10%程度で, 管壁から約88%, 飛灰から6.0%, 吸収液から1.8%のカドミウムが検出された. カドミウム金属を同条件で加熱した場合には, 空気中では酸化のみが進行し, 窒素中ではほぼ100%が気化した. また, 焼却残留物質量/ウロ質量で表される灰化率が大きいほど, すなわち焼却の進行が不十分であるほどカドミウム気化率が大きくなる傾向が認められた. これらの結果より, ウロを焼却した際のカドミウムの気化は, 有機成分の燃焼時に局所的な酸素不足雰囲気が形成されることによって進行すると考えられる.
著者
宇山 智彦 秋田 茂 山室 信一 川島 真 守川 知子 池田 嘉郎 古矢 旬 菅 英輝 粟屋 利江 秋葉 淳
出版者
北海道大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2008

近代ユーラシアの諸帝国を比較し、帝国権力と現地社会の非対称な相互作用、帝国間競争における小国や越境集団の役割、周縁・植民地の近代化、そして20 世紀の帝国崩壊と脱植民地化の多様な展開を論じた。現在の地域大国は半帝国・半国民国家的な性格を持ち、かつての帝国の遺産と記憶に大きな影響を受けている。情報の不完全性のもとでの権力と少数者集団の駆け引きを論じる帝国論の方法は、現在の大国・小国関係の分析にも役立つ。
著者
古田島 洋介 前田 雅之
出版者
ジョルダン
雑誌
表現者
巻号頁・発行日
no.17, pp.76-102, 2008-03
著者
古谷 昭雄 山口 眞由
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.151-156, 2007-03-31

毛髪は法医学上、個人識別を行う基本的事項としてきわめて重要である。今回は毛髪の物理学的性状について引張強度と伸張率について年齢群別正常標準値の算出を行った。引張強度については、正常標準値の結果から10歳-19歳の年齢群を最高値に、以後の年齢群については加齢にともなって漸減の傾向がみられ、60歳以上では最低値を示した。男女とも幼年期には弱いが、少年期、青年期に強く、壮年期、老年期に近づくにつれて次第に弱くなっていった。伸張率については正常標準値の結果から10歳未満から加齢にともなって増大し、60歳以上では最高値を示した。加齢とともに少しずつ増大し、60歳以上で最高値を示したことは加齢が進むにつれて水分の吸収がよくなり、しなやかで弾力性がよくなってくるのではないかと推測される。今回の引張試験により個人識別が容易にできる可能性がある示唆をあたえてくれた。
著者
川城 信子 土橋 信明 荒木 昭夫 古賀 慶次郎 河野 寿夫 伊藤 裕司
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.97, no.6, pp.1056-1061, 1994
被引用文献数
14 1

NICU退院時のABRが正常であり,その後難聴と判明した症例10症例について検討した.退院時のABRが正常であったので難聴に気付いた時期が遅れた.難聴は生後10カ月から3歳3カ月で判明した.難聴の程度は90dB以上の高度難聴が6例,低音部の聴力が残存し,高音漸傾型の高度難聴が3例,60dBの高音漸傾型で中等度難聴が1例であった.<br>全例が周産期に重症の呼吸婚環障害があり,全例が挿管し人工呼吸の呼吸管理を行っていた.原因疾患としてPPHNの状態が10例中8例に認められた.これはPPHN25例中の8例,32%に難聴が発生したことになる.人工呼吸管理症例166例中12例,7.2%に難聴の発生があった.ECMOを使用した症例が6例あり,ECMO使用例8例の75%に難聴が発生したことになる.難聴の原因として人工呼吸管理方法に問題があるのかもしれない.また,アミノグリコシド系の薬剤,フロセマイド利尿剤も全例に使用されており,これらの薬剤の使用も否定できない.ABRが正常であっても安心してはならず,重症の呼吸困難症例では聴力についての観察が必要であり,6カ月および1歳前後にはABRによる聴力のスクリーニングが必要であることが判明した.
著者
八島 栄次 古荘 義雄 飯田 拡基 古荘 義雄
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008-06-04

本研究では、未開拓の研究領域である二重ラセン構造を有する分子・超分子・高分子を創製するための一般性の高い方法論の開発、構造と物性との相関の解明、ラセン構造に由来する情報機能(複製、情報の保存)の発現、不斉触媒や光学分割材料等への応用を目指し検討を行った。その結果、人工二重ラセンを介したDNA同様の完璧な鎖長及び配列の認識と複製、不斉の伝搬(不斉増幅)、二重ラセン構造の顕微鏡による直接観察等に初めて成功した。さらに、バネのように可逆的に伸縮する分子スプリングを世界に先駆けて創製するとともに、ラセン構造に由来する実用的な光学分割材料や不斉触媒の開発、メモリーデバイスへの応用にも成功した。
著者
古屋 聖児 小椋 啓 田中 吉則 桝森 直哉 塚本 泰司
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.407-410, 1997-06

北海道都市部及び東京在住の20歳代から50歳代の一般事務系サラリーマン2,839人よりえられた,自己記入方式のアンケート調査より,排尿後尿洩れの発症率,頻度,程度及び発現状況などを検討した.排尿後尿洩れの発症率は,17.1%であった.「殆ど毎日」尿洩れを経験している人は,排尿後尿洩れ経験者の14.0%を占めた.これは,全対象者の2.3%,約50人に1人の割合であった
著者
古森 徹哉 宮本 智文
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

沖縄県那覇近海で採集した有棘目動物オニヒトデの棘の凍結乾燥粉末について、魚毒活性を指標に溶媒分画、従来法による各種クロマトグラフィ-並びに購入設備を駆使して毒成分の精製を行い、メタノ-ルエキスより1種のステロイドオリゴ配糖体サルフェ-ト(20S-thorasterosideA)及び、2種のアルキルグリセロリン脂質(sn-1-0-hexadecylglycerol-3-phosphorylcholine,sn-1-0-octadecylglycerol-3-phosphoryl-choline)の単離同定に成功した。これら3種の化合物はいずれも強い溶血作用を有し、従来不明であったオニヒトデ棘の溶血毒はこれら3種の成分に起因することが判明した。次に、上述棘粉末の水エキスについて購入設備を駆使したゲル濾過によるクロマトグラフィ-を繰り返し、in vitroで細胞毒性を示す2種の蛋白質(Protein I 並びに Protein II)を得た。Protein Iは最終的にμBondasphereを使用したHPLCで精製した結果、分子量は約14650であり、アミノ酸分析により、Asp_<17>・Thr_<11>・Ser_8・Glu_<15>・Pro_5・Gly_<18>・Ala_9・Val_<12>・Met_2・Ile_7・Leu_6・Tyr_2・Phe_7・Lys_<14>・His_1・Arg_2の16種のアミノ酸組成を明らかにすることができた。また、N末端配列分析の結果、末端より25種のシ-クエンスが判明した。この結果をもとにGENASを用い、既知蛋白質との比較を行ったが、類似シ-クエンスを示す酢蛋白質は検索されず、新規蛋白質と考えられた。Protein Iはin vitroで選択的細胞毒性を示す結果を得ており、現在1次構造解析が進行中である。Protein IIについては、まだ、単離には至っていないが、SDS-PAGEで分子量約8万と推定され、マウスに対しては未精製ながらも強い致死作用を示すことから、Protein IIがオニヒトデ棘毒成分のマウスに対する致死毒の本体であることが推察された。