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著者
吉田 充
出版者
炭素材料学会
雑誌
炭素 (ISSN:03715345)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.169, pp.235-235, 1995-11-27 (Released:2010-06-28)
被引用文献数
13
著者
佐藤 珠江 吉田 茜 長谷川 菜生 浦野 明日香 殿村 由樹 椛澤 里沙 小野田 公
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.801-805, 2018 (Released:2018-10-26)
参考文献数
23

〔目的〕本学理学療法学科に在籍する女子学生の月経症状の程度と生活スタイルを明らかにすること,月経困難症,月経前症候群(PMS),月経前不快気分障害(PMDD)の実態とそれぞれの認知度を明らかにすること.〔対象と方法〕本学女子大学生115名(年齢:20.7 ± 1.31歳)を対象とし,PMDD評価尺度と独自に作成した質問紙にて月経症状と生活スタイルを調査した.〔結果〕84%の人が月経前症状を有しており,22.5%が月経周期異常をきたしており,53.2%が月経中に鎮痛薬を服薬することが明らかとなった.月経困難症,PMSおよびPMDDについて,6割以上の学生が「知らない」と回答していた.〔結語〕早期から病態について理解し対処する必要がある.
著者
吉田 永祥 吉田 政弘 岩上 泰雄 瀧 幾子 薗 輝久 内野 清子 田中 智之
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.361-366, 2003-12-15 (Released:2016-08-07)
参考文献数
14
被引用文献数
1

An investigation on the recolonization and population dynamics of the Redback spider (Latrodectus hasseltii) was conducted bimonthly at a seaside park in Kaizuka City, Osaka, Japan, after all the spiders were completely removed from the study area in December 2000. The Redback spiders invaded again in February 2001, and their population density was recovered in December 2001. This study confirmed that breeding of Redback spiders began in June and continued until December.The minimum population observed in June was composed of only adult female individuals, while the maximum population found in December 2001 mainly consisted of larvae. The prolonged breeding might have caused the increase of population density and dispersal. The temperature measured ranged from -0.5℃ to 46.1℃ ; however. the Redback spider tolerated this harsh environment. This confirmed that the Redback spider, a tropical or subtropical species, is capable of colonizing even in the temperate area in Japan.
著者
嶋田 有紗 吉田 英樹 志田 航平 中村 洋平 前田 貴哉
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.35-41, 2018 (Released:2018-04-06)
参考文献数
13

本研究では,ホットパック(HP)とストレッチングの同時施行によりHP施行時間の短縮が可能か検討した。健常者17名の左右いずれかのハムストリングスを対象とした。全対象者にHPでの大腿後面の加温開始前(基準)と加温開始5分後および20分後にHPを適用したままストレッチング(股・膝関節90°屈曲位とした仰臥位での膝最大自動伸展運動)を行う条件(同時施行条件)と,HPを適用せずに同時施行条件と同一時点でストレッチングのみ行う条件の2条件を日を改めて実施した。検討項目は,各条件の各時点におけるハムストリングスの伸張痛の程度(NRS)とストレッチング時の膝最大伸展角度とした。結果,同時施行条件でのみ基準と比較して加温開始5分後および20分後での同等のNRSの有意な軽減と膝最大伸展角度の有意な増加を認めた。以上から,HPとストレッチングの同時施行によりHP施行時間を5分まで短縮可能と考えられた。
著者
吉田 賢彦 初田 隆 寺元 幸仁
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.445-459, 2015-03-20 (Released:2017-06-12)

これまでの児童画コンクールの是非をめぐる論議においては,子どもが入選作品をどのように捉えているのかといった,子どもの視点にたった考察が欠けているのではないかと思われる。そこで本稿では,コンクール入選作品を刺激対象として,これらを子どもと教師がどのように評価するのか,また,コンクールの入選作品であるという事実認識が作品の価値判断にどういった影響を及ぼすのかを調査・考察した。結果,子どもと教師の作品評価の枠組みや,標準的な作品イメージを基にコンクール作品の評価を行っていること,子どもの評価枠組みは教師の評価に影響を受けていることなどを示すことができた。
著者
中井 俊一 佐藤 正教 武藤 龍一 宮腰 哲雄 本多 貴之 吉田 邦夫
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2013年度日本地球化学会第60回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.228, 2013 (Released:2013-08-31)

漆はウルシ属樹木であるウルシが分泌する樹液を脱塵,脱水などの処理をした後,空気にさらし,酸化酵素ラッカラーゼの働きにより硬化させ,塗料や接着剤として用いられてきた.ウルシ属の樹木は日本の他,中国,ベトナム,タイなどに自生している.現在,日本の漆工芸で使われている漆は大部分が中国,ベトナム産である.日本では縄文時代早期の遺跡から,漆塗の髪飾り,腕輪などが出土し,古い時期からの利用を示している.漆塗料の産地を決めることができれば,漆文化の起源や,時代による交易圏の変遷を考える手がかりになりうると予想できる.漆の主成分である有機化合物の分析により,日本産の漆をタイ,ベトナム産のものと区別することはできるが,日本産の漆を中国,韓国産のものと区別することはできない.そこで土壌の源岩の年代により変動する87Sr/86Sr同位体比を用いて漆の産地推定を行うことを検討してきた.
著者
下田 好行 小松 幸廣 岩田 修一 四方 義啓 吉田 俊久 榊原 保志 岩田 修一 四方 義啓 榊原 保志 山崎 良雄 長谷川 榮 吉田 武男 黒澤 浩 永房 典之 赤池 幹 青木 照明 岸 正博 中村 幸一 岡島 伸行 熊木 徹
出版者
国立教育政策研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

知識基盤社会を生きるために知識情報を熟考・評価し、表現・コミュニケーションしていく「キー・コンピテンシー」を育成する学習指導法の枠組みを開発した。また、この枠組みにそって授業実践を小学校と中学校で行った。その結果、この学習指導法の枠組みの有効性を確認することができた。
著者
吉田 淳
出版者
JAPANESE SOCIETY OF OVA RESEARCH
雑誌
Journal of Mammalian Ova Research (ISSN:13417738)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.190-197, 2011 (Released:2011-11-10)
参考文献数
7

企業にとって社会的責任を重視することは,消費者の社会的満足につながり,株価も上昇することとなるが,医療機関においても,社会的責任の体制を構築することは,患者の信頼性と満足度,さらに医療の安全性の向上につながる.少子化対策に対し不妊治療の役割は大きいが,不妊治療は他の医療と異なり新しい生命の誕生を伴うため,提供する医療の結果が将来の社会に及ぼす影響は大きい.その一つ,体外受精や顕微授精では,一度精子と卵子を体の外に取り出して,できた胚を子宮に戻すため,卵子や精子の取り違え防止には,細心の注意を払う必要がある.さらに,体外受精や顕微授精の工程は器械によるオートメーション化ができないヒトの手を使った手作りの医療のため,胚を破壊,紛失するなどの医療事故が起こる可能性がある.従って,不妊治療を目的とする施設は,すべての工程を記録・透明化するなどして,患者から信頼が得られる施設となる必要がある.このような観点から,医療施設を訪れる人々や社会全体から信頼を得るため,企業・組織の社会的責任の考え方を不妊治療医療に置きかえて応用するのが非常に有効になる.医療機関の理念を決め,生命倫理と社会倫理をもって不妊治療を行い,患者から寄せられた要望や苦情の内容を対応策とともに開示し,定期的な監査を受け,かつ患者や職員の満足度を把握し,社会啓蒙活動を行いながら社会的責任を継続して果たすことが不妊治療専門医療機関において質を向上させることにつながる.
著者
吉田 亮太 原 耕介 中澤 里沙 北村 夏輝 小保方 祐貴
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.112-120, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
31

【目的】複合性局所疼痛症候群を呈する症例に対し超音波療法を施行した結果,著明な疼痛消失を認めたため報告する。【症例紹介】外傷を契機に1年にわたる左足部痛と歩行障害を呈する50歳代の女性であった。理学療法評価結果より,疼痛は単なる侵害受容性疼痛とは考え難く,中枢神経系,末梢神経系,自律神経系における問題が複合的に生じた結果誘発されていると考えられた。【治療プログラムと経過】介入開始後3 週までは中枢,末梢,自律神経系に対する治療を施行したが,疼痛に変化はなかった。評価を再度行った結果,足部の循環障害が疼痛を誘発していると考えられた。そのため,循環障害に関与していると考えられた下腿前面筋群に対し,超音波療法を施行した。その結果,即座に歩行時の疼痛消失を認め,その後6ヵ月間,再発することはなかった。【結語】本症例を通し得られた知見はCRPS に対する循環障害の関与とそれに対する超音波療法の有用性を示唆するものである。
著者
寺尾 愛也 日野 貴文 鈴木 正嗣 近藤 誠司 吉田 剛司
出版者
Association of Wildlife and Human Society
雑誌
野生生物と社会 (ISSN:24240877)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.41-50, 2016 (Released:2017-06-17)
参考文献数
24

In Japan, the use of firearms to culling in areas surrounding the main road would be an effective option to control overabundant deer. This culling practice is linked to the laws and regulations regarding road and traffic; however, wildlife managers lack knowledge of these laws and regulations. We have identified Japanese regulations and conditions, and have focused on problems and prospects of the existing laws on sharpshooting, which was practiced at the National Route 453 in Shikotsu, Hokkaido, as a model case. Under these laws and regulations, strict safety control by blocking traffic and attending to public interests for culling is required in order to engage in culling around the road. However, the Road Law and Road Traffic Law do not specifically support road usage for culling intended for wildlife population control. Consequently, those laws require a viewpoint of wildlife management to solve conflicts that occur in and around the road.
著者
吉田 安規良
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.115-125, 2007-11-30
被引用文献数
2

ナトリウム-銅(II)-グリセリン錯体法を利用して,脂肪が酵素によって分解し,グリセリンが生成することを確かめる教材実験を開発した。基質としてオリーブ油を選定した。消化液は市販のビオフェルミン健胃消化薬錠から0.50%(W/V)リパーゼAP6溶液を調製して用いた。試験管にオリーブ油と調製した消化液を1.0 mLずつ入れて撹拌した後,40℃で24時間反応させた。24時間後の消化液はナトリウム-銅(II)-グリセリン錯体法によって,グリセリンの存在を示す青色を示した。失活した消化液では青色を示さず,グリセリンが生成しないことを確認した。遠心分離機の代わりにろ紙やディポーザブルメンブレンフィルターユニットを用いても実験が可能であることを確かめた。ビオフェルミン健胃消化薬錠以外の胃腸消化薬でも,同様の結果を得られるものがあることを確認した。
著者
宇野 裕之 立木 靖之 村井 拓成 吉田 光男
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.93-101, 2019 (Released:2019-08-23)
参考文献数
23

動物福祉(アニマルウェルフェア)に配慮したニホンジカ(Cervus nippon)の効率的な生体捕獲を行うためには,機動性が高く,安全に捕獲することが可能なワナの開発が求められている.二つのタイプの小型(1.8 m×4.4 m)の囲いワナ,アナログ式体重計を用いたタイプ(アナログ型)及びデジタル台秤を用いたタイプ(デジタル型)を開発し,2015年1月~3月及び2016年1月~2月にかけて,北海道浜中町の針広混交林内で野生個体を対象にした捕獲試験を行った.10回のワナの作動で,合計17頭(メス成獣6頭,メス幼獣8頭,オス幼獣3頭)のニホンジカを捕獲し,10回の内7回の捕獲で複数頭の同時捕獲に成功した.捕獲効率(ワナ1台×稼働日数当りの捕獲数)は,アナログ型では0.136~0.167頭/基日,デジタル型では0.444頭/基日であった.研究期間中の捕獲個体の死亡率は0%であった.ワナ設置に係る労力として,アナログ型では2~3人の作業で7時間,デジタル型では2人で10時間を要した.電源として用いた12 Vバッテリーは,厳冬期の気温が氷点下になる条件下で,6日間以上機能が持続することが明らかとなった.開発した小型囲いワナは,設置及び運搬が容易,安全性が高く,複数頭の同時捕獲が可能であり,消費電力も比較的小さいことが明らかとなった.
著者
吉田 香奈
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、アメリカ合衆国において近年急速に拡大している公立大学の授業料無償化政策の特質と課題を検討することを目的としている。研究期間は5年間とし、以下の手順で研究を進めることとする。初年度の2019年度は(1)州政府の公立大学授業料の実質無償化政策に関するデータ収集・特色ある州の抽出および先行研究のレビュー、(2)訪問調査による情報収集(ワシントンD.C.等)を実施する。続いて2020~2023年度はインディアナ州、ミズーリ州、デラウェア州、テネシー州、ニューヨーク州(現段階での候補州)の中から訪問調査を行う。以上から、各州の無償化政策の理念、財源、受給要件、給付方法等の比較分析を行う。
著者
吉田 昌弘
出版者
多文化関係学会
雑誌
多文化関係学 (ISSN:13495178)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.47-67, 2007

本研究の目的は、批判的談話分析という言語学的手法により、1918年の建国以来、多民族が共存してきた旧ユーゴスラヴィア連邦共和国の、1990年代における紛争の激化と民族浄化にまでいたった要因を解明し、将来的に類似の紛争防止に貢献することである。批判的談話分析とは、社会コンテクストや談話を分析して、その社会の共通認識やイデオロギーを考察するものである。本研究では、旧ユーゴスラヴィアの社会コンテクストを、クロアチア民族とセルビア民族の関係を歴史的に概観し、各民族指導者の他民族に対する言及を含んだ談話と紛争直前期のメディア報道の検証をおこなった。その結果、歴史的考察からは(1)第2次世界大戦以前までは、大規模な民族間の衝突は存在しなかったこと。(2)第2次世界大戦期には、旧ユーゴ紛争と類似の対立構造が存在し、同様に陰惨な民族浄化が行なわれたことが明らかとなった。また、第2次大戦期と旧ユーゴ紛争期の民族指導者の談話分析から、(1)他民族排斥イデオロギー(2)地政学的イデオロギー(3)優生学的人種イデオロギーを共有していたことが浮かび上がった。さらに、第2次世界大戦期の民族対立を利用したレトリックが、旧ユーゴ紛争に第2次世界大戦期の恐怖心を付与し、民族という枠組みで旧ユーゴ社会を「内集団・外集団」化してしまったことを検証した。以上の分析結果を総合し、(1)第2次世界大戦期からユーゴ紛争までの指導者層のイデオロギーと民族対立の構造が時間的連続性をもってこの地域に継続されていたこと。(2)連邦がひとたび崩壊すると、このイデオロギーや歴史的民族対立の記憶が表面化したこと。(3)レトリックにより生成された民族浄化国家のプロトタイプが、拡大再生産され、第3帝国と結合・巨大化し、そのプロトタイプこそが、紛争当事者に和平交渉の拒絶、他民族への憎悪の助長と排斥、徹底抗戦を促したのではないかと結論づけた。
著者
山口 智恵子 吉田 直美 高岡 哲子
出版者
北海道文教大学
雑誌
北海道文教大学研究紀要 = Bulletin of Hokkaido Bunkyo University (ISSN:13493841)
巻号頁・発行日
no.41, pp.87-95, 2017-03-15

本研究の目的は,わが国の高齢者介護予防プランに関するケアマネジメントの研究動向の明確化と今後の課題を検討することである. 文献抽出は,医学中央雑誌web 版(2006 ~ 2015 年)で,keyword「介護予防ケアマネジメント」と「介護予防プラン」を単独で,「高齢者」「介護予防」「ケアマネジメント」でand 検索を行い原著論文の絞込みをした.分析対象は,得られた文献中19 件であった.文献はマトリックス方式を用いて整理した.この結果,文献の掲載年別では2011 年が最も多く,2006 年の介護保険改正法の全面施行に伴う介護事業効果の見直しに関連した研究などが行われていた.対象者及び協力者は「高齢者」が多く,次いで,「三職種(社会福祉士,介護支援専門員,保健師)」,「地域包括支援センターの職員」が多かった.文献の中心テーマは【実態把握】と【システムの構築】が抽出された. 本研究の結果,短期間に見直し改正が行われる政策動向に伴い,現状の把握を行いながらも,システムの構築をめざす状況が明らかとなった.今後も当事者である高齢者や多職種との調整などの中心的役割を担う看護職者を対象とした実態把握研究と,システムの構築に関わる介入研究が継続的に行われる必要がある.
著者
吉田 信也 松崎 太郎 大下 美奈 坂下 茉以 堀 健太郎 森 和浩 細 正博
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0775, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに】関節可動域制限の原因の一つとして神経系の可動性や柔軟性の低下が関与していることが考えられており,我々は先行研究においてラット膝関節拘縮モデルにおける坐骨神経周膜の肥厚および坐骨神経束と神経周膜の密着(神経周囲腔の消失)を報告し,これが神経の滑走を妨げている可能性を示した。また膝関節不動化期間中に拘縮予防目的に関節可動域運動(以下,ROM-ex)を行った結果,神経周膜と神経束の間に神経周囲腔が観察され,神経の滑走が神経周膜と神経束との間で生じている可能性を報告した。そこで今回,ラット膝関節拘縮モデルに拘縮治療目的でROM-exを施行し,それが坐骨神経周囲組織に与える影響について病理組織学的に検討することを目的に実験を行った。【方法】対象には9週齢のWistar系雄ラット28匹を用い,それを無作為にコントロール群(n=7),拘縮群(n=14),実験群(n=7)の3群に分けた。拘縮群および実験群は麻酔後,右膝関節をキルシュナー鋼線と長ねじを使用した創外固定を用いて膝関節屈曲120°にて不動化した。この際,股関節,足関節に影響が及ばないように留意し,ラットはケージ内を自由に移動でき,水,餌は自由に摂取可能とした。コントロール群は自由飼育とした。実験群は不動化処置の2週間後より腹腔内にペントバルビタールナトリウム溶液(40mg/kg)を注射して深麻酔下で膝関節に対しROM-exを2週間行い,ROM-ex時以外の期間は不動化を維持した。ROM-exはラットの体幹を固定した状態で行い,まず膝関節屈曲位を5秒間保持し,次にバネばかりを使用して右後肢を坐骨神経に伸張ストレスが加わるように体幹より120°腹頭側方向へ約1Nで牽引し5秒間保持する運動を3分間繰り返した。ROM-exは1日1回,週6回,2週間施行した。拘縮群の半数(n=7)は不動化2週間後にジエチルエーテルにて安楽死させ,可及的速やかに右後肢を股関節より離断し標本を採取した。実験期間終了後,同様に残りのラットを安楽死させ,右後肢を標本として採取した。採取した右後肢は10%中性緩衝ホルマリン溶液にて組織固定を行い,次いで脱灰液を用いて脱灰を4℃にて72時間行った。その後,大腿骨の中間部にて大腿骨に垂直に切断し大腿部断面標本を採取した。5%硫酸ナトリウム溶液で72時間の中和後,パラフィン包埋して組織標本を作製した。作製したパラフィンブロックをミクロトームにて約3μmにて薄切した。薄切した組織切片はスライドガラスに貼付し,乾燥後にヘマトキシリン・エオジン染色を行い封入した。観察部位は大腿中央部の坐骨神経周囲組織とし,光学顕微鏡下に病理組織学的に観察した。【倫理的配慮】本実験は所属機関の動物実験委員会の承認を受けて行われたものである。【結果】コントロール群は全例で坐骨神経束は神経周膜と遊離しており,神経周囲腔が観察された。実験群においては7例中6例で神経周囲腔を認めた。一方,拘縮群では全例で坐骨神経内の各神経束は神経周膜と密着しており,神経周囲腔の消失が観察された。また拘縮群および実験群では神経周膜の線維性肥厚が全例で観察された。【考察】今回,ラット膝関節拘縮に対してROM-exを行った結果,坐骨神経の神経束と神経周膜の間に神経周囲腔が観察された。これは神経の滑走が神経周膜と神経束との間で生じている可能性を示唆するものであると考えられる。また,一度拘縮を生じた膝関節にROM-exを行うことで,坐骨神経の神経周囲腔に関しては可逆的な組織学的変化が生じ,コントロール群に類似した組織像が観察されたと考えられる。一方で,神経周膜の線維性肥厚は拘縮群と同様に実験群全例で観察されており,ROM-exは神経周膜には影響を及ぼさないものと思われた。【理学療法学研究としての意義】臨床場面において使用頻度の高い治療手段であると思われるROM-exが坐骨神経周囲組織に与える影響について病理組織学的に観察・検討することにより,神経滑走性に対するROM-exの治療効果やその運動方法などの妥当性に対して示唆を与えうると考えられる。