著者
堀江 秀樹
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.346-351, 2012 (Released:2014-01-31)
参考文献数
12

グアニル酸がグルタミン酸の味を強めることはよく知られている。何種類かの野菜(ナス,トマト,ニンジン,ダイコン,ネギ,ホウレンソウ)の蒸し処理によりグアニル酸が生成することを見いだした。ニンジンジュースへのグアニル酸の添加(蒸し野菜に含まれる濃度レベル(10 mg/l))をパネルは官能的に判定できた。蒸し野菜に含まれるグアニル酸はグルタミン酸のうま味を強めることにより,味に寄与することが示唆された。トマトのオーブン加熱は呈味成分を濃縮し,グアニル酸も生成した。焼いたトマトのうま味は,濃度の増加したグルタミン酸とグアニル酸の間の相乗効果のために,生のトマトよりも非常に強いものとなる。グアニル酸含量は調理野菜の味研究における重要な指標となるものと考えられる。
著者
堀口 兵剛 中嶋 克行 姫野 誠一郎 松川 岳久 小松田 敦 千葉 百子
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

鉱山由来の秋田県のカドミウム(Cd)汚染地域において、集落単位の住民健康診断と、腎機能低下患者を対象とする医療機関におけるCd腎症スクリーニングを実施した。多くの集落において農家中心の地元住民は自家産米摂取により現在でも高い体内Cd蓄積量を示した。Cdによる腎尿細管機能への影響は全体的には明確ではなかったが、Cd腎症と考えられる高齢患者が認められた。スクリーニングによりイタイイタイ病(イ病)患者を疑う人も見つかった。以上より、秋田県のCd汚染地域では現在でもCd腎症やイ病の患者が潜在するため、今後も住民のCdによる健康影響についての経過観察を継続する必要があると考えられた。
著者
秋山 滋男 土井 信幸 田沼 和紀 堀 祐輔 宮本 悦子
出版者
日本アプライド・セラピューティクス(実践薬物治療)学会
雑誌
アプライド・セラピューティクス (ISSN:18844278)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.103-118, 2022 (Released:2022-09-15)
参考文献数
22

一般消費者は疲れ目、アレルギー症状などの軽度な眼疾患の予防や治療を目的にOTC点眼薬を使用している。しかし、点眼薬は無菌製剤であることから不適切な使用による汚染などが原因となりトラブルが発生することが予測される。そのため、薬剤師・登録販売者はOTC点眼薬の購入者に対して適正使用に関する情報提供を行わなければならない。 本研究では、OTC点眼薬の購入経験・使用歴のある一般消費者(以下、購入経験者)を対象として、OTC点眼薬の購入方法とその選択基準や理由、OTC点眼薬の適正使用に関する知識および理解度についてのアンケート調査を実施した。 薬剤師・登録販売者から購入経験者への商品に関する説明状況について尋ねた結果、「特に説明はなかった」が70.7%と最も高い割合であった。OTC点眼薬の開封後に添付の説明書(以下、添付文書)を読むかの設問では、「添付文書を読む」と回答した割合は52.9%(254/480)であった。同様に、購入経験者の適正使用のための主体的な行動指標項目と考えられる「使用時に添付文書を読んでいる」、「薬剤師・登録販売者へコンタクトレンズの使用状況を伝える」、「お薬手帳を提示している」などの項目について実施している割合は低かった。薬剤師・登録販売者からの一般消費者に対するOTC点眼薬販売時に使用目的や患者背景の確認が行われておらず、適正使用に関する指導も不十分である可能性が高く、OTC点眼薬購入者は相互作用、有害事象、副作用などを誘発しやすい状況にあると考えられた。
著者
堀田 哲也
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

シェーグレン症候群(SS)は乾燥症状を主症状とする自己免疫疾患であり、関節リウマチ(RA)や全身性エリテマトーデス(SLE)など他の自己免疫疾患を合併することも多い。本研究ではSS患者よりゲノムDNAを抽出し、SLEなどの自己免疫疾患との遺伝的背景をおもに一塩基多型(SNP)解析を行い比較検討した。STAT-4、IRF-5などSLEで関連が認められた遺伝子多型はSSでも関連があることがわかり、自己免疫疾患共通の遺伝的背景の存在が示唆された。
著者
石野 麻衣子 堀本 ゆかり
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.419-425, 2022 (Released:2022-08-20)
参考文献数
19

〔目的〕理学療法士のメンタリング行動特性に関する行動指標を作成し,信頼性と妥当性を検証すること.〔対象と方法〕臨床業務に従事し,かつ職員指導経験がある経験年数5年以上の理学療法士を対象に,web形式の無記名アンケートを実施した.探索的因子分析により尺度の信頼性,因子的妥当性を検討後,得られた因子モデルを基に確認的因子分析を行った.〔結果〕有効回答401件を分析した結果,「効果的な教育支援」,「精神的支援」,「専門職のモラル」,「モデル機能」,「キャリア支援」の5因子が抽出され,一定の信頼性,妥当性が確認された.〔結語〕理学療法士の育成過程で,心理的・社会的側面への支援とメンター育成の必要性が示唆された.
著者
田上 公俊 森吉 泰生 堀田 栄喜
出版者
一般社団法人 日本燃焼学会
雑誌
日本燃焼学会誌 (ISSN:13471864)
巻号頁・発行日
vol.57, no.180, pp.120-126, 2015 (Released:2018-01-26)
参考文献数
18

Recently “plasma-assisted combustion”, especially for the use of non-equilibrium plasma for ignition has garnered interest as a new combustion technology for high efficiency and low emissions in combustors such as internal combustion engines. In this paper the focus is placed on the review of non-thermal plasma ignition and introduction of authors' recent results of this field. The ignition characteristics of non-thermal plasma are examined and compared with those of a conventional spark ignition. It is shown that a streamer discharge characterized by non-thermal plasma can ignite combustible mixtures as well as conventional thermal plasma and there are also some advantages, such as volumetric ignition and less heat loss. Through OH LIF measurement, a number of OH radical is shown to accumulate from pulse to pulse during a train of repetitive pulses, and the created radicals can initiate chemical chain reaction, which results in ignition finally.
著者
堀内 元 中島 大貴 桜井 伸二
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.695-705, 2018-12-10 (Released:2018-12-20)
参考文献数
17
被引用文献数
2

The purpose of this study was to clarify the exertion of torque and motion related to the generation of mechanical energy in both hip joints during baseball batting. The participants were 98 male amateur baseball players (body height: 172.6±5.6cm, body weight: 70.3±8.1kg, age: 19.0±1.9yr, career: 11.0±2.8yr). The batting motion was recorded using a motion capture system (10cameras, 250Hz), and the ground reaction forces acting on each foot were estimated using 2 force plates (1000Hz). Hip joint angles were expressed as Euler angle of the thigh relative to the lower torso. Hip joint torques were calculated using inverse dynamics. Other kinetic variables–e.g. hip joint torque power, mechanical work by hip joint torque–were also calculated. The main results were as follows: 1. Throughout the analysis phase, there was no significant correlation between the bat head speed at impact and the angles of both hip joints. 2. For the hip joint on the pitcher side, the generation of mechanical energy by flexion and adduction torque was large during the phase before maximum pelvis rotational velocity. 3. For the hip joint on the catcher side, the generation of mechanical energy by extension torque was large in the phase before maximum pelvis rotational velocity. These results suggest that there are no differences in the kinematics of both hip joints depending on the bat head speed at impact. In addition, it is indicated that the ability to exert flexion and adduction torques for the hip joint on the pitcher side and the extension torque for the hip joint on the catcher side during baseball batting motion contribute to the generation of mechanical energy.
著者
堀田 龍也
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.72-79, 2017-12-15

平成28年(2016年)12月の中央教育審議会答申および平成29年(2017年)3月に告示された新学習指導要領においては,情報活用能力が「学習の基盤となる資質・能力」と明記されるなど,情報教育の重要性がより高まっている.本稿では,中央教育審議会答申から新学習指導要領にかけての情報教育に関連する審議等について,その経過を踏まえて解説する.まず情報教育が学習における方法知として期待されてきたことを示した上で,新学習指導要領における情報活用能力の位置づけ,各教科等との関連,特に小学校段階におけるICTの基本的な操作スキルやプログラミング教育,今後の研究の必要性などについて説明する.
著者
村井 政史 伊林 由美子 堀 雄 森 康明 古明地 克英 八重樫 稔 今井 純生 大塚 吉則 本間 行彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.227-230, 2017 (Released:2017-12-26)
参考文献数
12

症例は31歳の女性で,出産後に上下の口唇に黄白色の痂皮ができ,剥けるようになった。剥脱性口唇炎と診断し,陰証および虚証で,出産後で気血ともに虚した状態と考え帰耆建中湯で治療を開始したが無効で,同じく気血両虚の十全大補湯に転方したが改善せず,胃の調子が悪化した。胃腸への負担が少ない虚証の方剤がよいと考え補中益気湯に転方したところ,口唇の痂皮は著明に改善しほとんど目立たなくなった。剥脱性口唇炎は慢性に持続した炎症性疾患であることから少なくとも口唇の局所は陽証と考えられ,少陽病をもカバーしうる補中益気湯が奏効したものと思われた。また,剥脱性口唇炎には何らかの精神医学的要因が関与している可能性があり,柴胡の解鬱・抗ストレス作用や陳皮の理気・鎮静作用もまた,本症例で補中益気湯が奏効した一因であると思われた。
著者
堀田 典裕
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.59, no.462, pp.177-184, 1994-08-30 (Released:2017-09-20)
参考文献数
1
被引用文献数
1

This paper is an attempt to study on the suburban developments around Nagoya in the modern age and here is analyzed Shinmaiko Bunka-mura "Syoroen" in terms of its historical background as well as its spatial characteristics of the town and the houses. Although Shinmaiko was developed as a seaside resort town in 1910's, it was redeveloped as a suburban residential area named "Syoroen" by a railway company during 1920-1930's. The town was planned by Susumu Shinoda who was the part-time architect of Aichi-denkitetsudo Co.Ltd. In those days. Its road and public facilities such as station, clubhouse and houses are organized around a roundabout and harmoniously designed.
著者
堀井 裕之
出版者
明治大学
巻号頁・発行日
pp.1-312, 2018-01-01

2017
著者
松澤 哲宏 堀江 義一 矢口 貴志 坂本 裕美子 吹春 俊光
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.jjom.H22-05, 2011-05-01 (Released:2018-03-30)
参考文献数
10

千葉県船橋市の農場の温室で栽培中のシクラメンの鉢の土壌表面に多数の白色の菌核が発生した.同時に菌核の発生した鉢からまれに小型の黄色のキノコが発生した.この菌核から純粋分離した菌株,培地上で形成された菌核,鉢から発生した黄色のキノコ,保存されていたコガネキヌカラカサタケの標本から DNA を抽出し,ITS,D1/D2 領域の塩基配列を用いて分析した結果,鉢から発生した菌核およびキノコはコガネキヌカラカサタケであることが知られた.すなわち鉢の土壌上に多数発生した菌核は同時に発生したキノコと同一の菌種である事が明らかとなった.これまでコガネキヌカラカサタケの菌核による栽培植物の被害は報告されておらず新しい知見として報告する. 併せてコガネキヌカラカサタケの培地上での性質を記載した.
著者
牧迫 飛雄馬 島田 裕之 土井 剛彦 堤本 広大 堀田 亮 中窪 翔 牧野 圭太郎 鈴木 隆雄
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.197-206, 2017 (Released:2017-06-20)
参考文献数
31
被引用文献数
2

【目的】地域在住高齢者に適するようにShort Physical Performance Battery(以下,SPPB)算出方法の修正を試みた。【方法】高齢者4,328 名をSPPB(0 ~12 点)で評価し,歩行速度と椅子立ち座りは対象者の測定値(四分位)を基に,立位バランスは立位保持の出来高によって配点した地域高齢者向けのSPPB community-based score(以下,SPPB-com)(0 ~10 点)を算出し,24 ヵ月の要介護発生との関連を調べた。【結果】対象者の78.7% でSPPB が,10.5% でSPPB-com が満点であった。SPPB-com が4 点以下で要支援・要介護発生率が高く(12.8%),SPPB-com,年齢,女性,MMSE が要支援・要介護発生と有意に関連していた。【結論】SPPB を再得点化したSPPB-com は地域在住高齢者の要支援・要介護リスクを把握する指標として有益となることが示唆された。