著者
嶌田 聡 宮川 和 東 正造 森本 正志 奥 雅博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.1231-1242, 2008-05-01
被引用文献数
17

本論文では,興味や関心の高い映像シーンの検索・ナビゲーション機能を実現するために,視聴者発信情報から映像シーンの内容を表す特徴ワードや概要などの高次のメタデータを自動抽出する方法を提案する.一般に,視聴者発信情報からメタデータを抽出する場合にはノイズが含まれることが問題となる.そこで,映像シーンを視聴しながらコメントを付与していく視聴連動型のコミュニケーション機能をファンコミュニティに提供することにより視聴者コミュニティの協調行動を誘導させることで視聴者発信情報の品質を向上させる方法を提案する.まず,視聴連動型の掲示板コミュニケーション機能を実在するファンコミュニティに導入し,視聴者コミュニティの協調行動が誘導されたことを検証した.次に,得られた視聴者コメントからTF-IDF法でシーンを代表する特徴ワードを求め,更に,映像シーンに対して視聴者が付与したコメントの中で特徴ワードを含む"文"を集約したシーン代表コメントを生成し,これらを映像シーンのメタデータとして抽出した.被験者16人による評価実験を行い,抽出したメタデータが,未視聴映像の検索については約半数のシーン,再視聴映像についてはほぼ全部のシーンに対して重要な手掛りになることを確認した.
著者
宮川 量
出版者
日本ハンセン病学会
雑誌
レプラ (ISSN:00241008)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.325-353_8,7, 1936

Ni havas tri grandajn rebonigistoj de lepruloj en nia historio. La unua Imperiestrino Komjo, 1000 jaroj anteue; la dua, Ninso, budhisto en kamakura tempo; la tria, Imperiestrino-vidvino.<br>La humaneco de Imperiestrino Komjo, kaj Imperiestrino-vidvino, nun tempe, estas honoraj, kaj luminentaj faktoj tra la historio de nia lando.<br>Ninso estas fama budhisto en Kamakura tempo, kaj li rebonigis multajn leprulejn.<br>Li naskigis en Sikisima, en Nara distrikto.<br>Lia patro "Ban Sadajuki" kaj lia patrino "Jenoki" mortis kiam li estis infano.<br>Kiam li estis 16 jaroj, li eniris en monahan vivon, kaj kiam 23 jaroj li eniris en la Saidaiji templo, tie li lernis sekreton de budhismo de lia majestro Jeison. Jeson estis la plej kompatema kaj scienca budhisto en la tempo.<br>Do li havis bona influon de lia majestro multe, Kitajama-juhacikendo, la malnova leprulejo en nia lando, estis konstruita per la helpo de lia majestro kiam li estis en la Saidaiji templo.<br>La konstruajo de Kitajama restadas en Nara urbo nuntempe. Kiam li estis 36 jaroj, iris al kanto-orienta parto de Japanujo, kaj restadis 10 jaroj en Sansonji, Hitaci distrikto, poste translogis al Kamakura. Kiam li 51 jaroj, bondigis Gokurakuji Templo. Tie Ii konstruigis Kuuagajacu hospitalo, kie li helpis 57250 malsanuloj, dum 20 jaroj, kaj en la malsanuloj 46800 estis rebonigis.<br>Do en tiu tempo registaroj kaj popoloj respektis lin kiel budao de medikamento.<br>Plue li faris multajn bonajojn, kaj mortis per la vivo 87 jaroj, 1303.<br>En lia tempo multaj naturaj malfelic&otilde;j okazis kaj multaj homoj suferadis per malsano kaj malsato.<br>Kvankam la budhistoj en la tempo havas multajn fludojn, sed ili ne atentis la kompatemajn malsanulojn kaj malsatulojn escepte nur Jeison kaj Ninso.<br>Ninso koncentradis lian tutan vivon al malsanuloj kaj kompatindaj homoj. Tial ni respektas lin sincere.<br>Nun tempe ni havas la problemo de lepro kial la unu de la plej gravaj problemoj, kaj esperas tian solvadon, ke ciuj lepruloj en japanujo vivos en leprulejo ferice kaj estos flegato.<br>La honorajn kompatemajn Emperiestrajn familiojn, ni havas fence, donas la grandan progreson al la rebonigo de lepruloj.
著者
川端 祐一郎 浅井 健司 宮川 愛由 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_213-I_230, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
47
被引用文献数
1 1

1970年代以降,心理学及び社会科学諸分野において,物語形式の思考や物語形式をもつ情報の提示によってもたらされる心理的・社会的な効果に関する実証的研究が行われている.本研究では,公共政策に関する合意形成の促進への応用を企図して,公共政策をめぐる情報を「物語性の強いシナリオ」によって与えることの効果と,受け手の認知的傾向としての「物語志向性」がこの効果に与える影響を検証する実験を行った.実験の結果,受け手の物語志向性とシナリオの物語性の組み合わせによって,情報に接触した際の態度の形成・変容に有意な差異が生ずることが明らかになった.また,「物語性」の定義とシナリオ作成方法を明確化したことで,公共政策をめぐるコミュニケーションの実践に物語型情報を応用するための手法に関し,具体性のある示唆が得られた.
著者
宮川 渉
出版者
日本音楽学会
雑誌
音楽学 (ISSN:00302597)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.90-105, 2020 (Released:2021-03-15)

本稿の目的は,カイヤ・サーリアホが,《光の弧》において,フランス国立音響音楽研究所(IRCAM)で開発されたコンピュータ技術を用いていかにスペクトル音楽の作曲技法を実践したかを検証することである。そのため,まずスペクトル音楽の作曲技法の中核をなすものが「モデル」と「変形プロセス」という2つの考えに基づいていることを確認し,次にこれらの2点が《光の弧》においていかに現れているかを検証した。具体的には,サーリアホが残したコンピュータ・プログラムのデータ,スケッチなどの分析を中心に調査を進めた。 その結果,「モデル」という考えは,IANAというコンピュータ・プログラムを用いてチェロの音をスペクトル解析した結果を和音として使用するサーリアホの手法の中に見出すことができ,また「変形プロセス」に関しては,Formesというコンピュータ・プログラムが算出した「補間法」を用いてリズムを構築する方法において見られた。しかし,サーリアホはコンピュータが算出するデータをそのままの形で使用したのではなく,それらを変形させたり,一部のみを取り上げたりすることによって,作曲に必要な音素材に変えていった。このように《光の弧》の作曲過程において,彼女はスペクトル音楽の作曲技法を厳格にではなく,より自由な形で扱っていることが判明した。
著者
宮川 麻紀
出版者
関東学園大学
雑誌
関東学園大学紀要. Liberal arts (ISSN:09194355)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.35-50, 2014-03-31

This research note investigated body image of Vietnamese factory workers employed at the Japanese company in Ho Chi Minh City, Vietnam, and compared with that of Japanese college students taking a sports management course. Body image was assessed a questionnaire in terms of body shape satisfaction and dieting experiences. Questions regarding their ideal body shape, own liking, liking of body shape of the other sex, and health conditions were answered by marking silhouettes. Three hundred ninety subjects (52 males and 338 females) participated in this study. The average BMI of the Vietnamese workers was significantly greater than that of the Japanese college students (20.2 vs. 22.7). Many Japanese wish to lose their weights but desirable weight were bigger(62.3kg) than Vietnamese(49.7kg). However, only 18.9% of Japanese had a dieting experience and 8.1% of Vietnamese. It is said that the three-fourths of Japanese girls believe Japanese boys like slimmer girls. This misunderstanding sometimes causes health problems in Japanese girls, and therefore, it is necessary to educate body image and good health. This investigation suggested that Vietnamese workers may have a healthier conception about their body images than Japanese, probably because of the social awareness and eating habits in Vietnam.
著者
田中 皓介 長谷川 貴史 宮川 愛由 三村 聡 氏原 岳人 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.356-368, 2018 (Released:2018-11-20)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

近年の日本では大型店舗立地による雇用機会,税収,買い物客の増加が期待されるものの,その根拠は乏しい.それどころか先行研究では,大型店舗での買い物は地元商店での買い物に比べて,地域経済の活性化に繋がらないことが実証的に示されている.本研究は,京都市での先行研究の知見が他都市においても妥当するかを検証するため,岡山市を対象に調査・分析を行った.その結果,買い物支出のうち岡山市に帰着する割合は,地元小型商店,地元中型商店ではそれぞれ67.13%,55.21%であった.一方,天満屋,全国チェーンYではそれぞれ40.00%,28.48%に留まり,地元小型商店や地元中型商店の方がチェーン型大型店舗よりも,買い物支出が岡山市に帰着する割合が高いことが示された.こうした傾向は京都市を対象に行った先行研究の知見を支持する結果である.
著者
宮川 明子 森崎 直子
出版者
一般社団法人 日本福祉のまちづくり学会
雑誌
福祉のまちづくり研究 (ISSN:13458973)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.25-34, 2022

<p>高齢者の外出時のトイレの状況について明らかにし、課題や利用しやすいトイレについて検討することを目的とし、403名を対象とし街頭調査を行った。対象者の約6割が外出時のトイレに不安を抱いており、高齢になるにつれ、トイレの使用頻度が増え、トイレの心配が増える傾向であることが示された。また、女性高齢者のトイレの利用しやすい条件として、「待ち時間が少ない(混んでいない)」、「清潔である」、「手すりがある」、「流し方がわかりやすい」、「荷物掛けや荷物置きがある」であることが明らかとなった。これらの高齢者のニーズに応じたトイレの整備や環境を整えることは、高齢者の外出に向けた環境づくりに重要な要素である。</p>
著者
翁 百合 Högberg Pereric 宮川 絢子
出版者
公益財団法人 NIRA総合研究開発機構
雑誌
NIRAオピニオンペーパー
巻号頁・発行日
vol.52, pp.1-14, 2020

スウェーデンは、強制的なロックダウン政策を採用せず、国民の自主性に任せる緩やかなコロナ感染症対策を採用している。こうした政策を採用した背景には、ロックダウン政策は、短期的に効果はあっても再び感染拡大を招くため、国民が長期に耐えられる政策を採用すべきとの専門家の判断がある。同時に、憲法で、中央政府は、国民の移動を禁止できない、地方自治体の自治を尊重する、公衆衛生庁といった専門家集団である公的機関の判断を尊重することが規定されていることに注目すべきである。この強制をしない政策に対して、海外からは批判も多く聞かれるが、国民の評価は比較的高い。歴史的に政府への国民の信頼は培われてきており、また科学的エビデンスに基づく政策決定であることを理解して、国民はこれに協力している。また、自らの行動を自ら決めることを尊重する国民性も支持の背景として指摘できる。有効な手立てを講じて国民の健康を守るためには、各国で実施される政策について知見を増やし、参考にすることも有益と思われる。その際、その国の文化、歴史的背景、社会的資本、法制度や医療制度など多面的に研究したうえで、わが国にとって最善の在り方を検討、模索していく必要がある。
著者
高木 祥 金岡 恒治 大久保 雄 大塚 潔 宮本 渓 辰村 正紀 椎名 逸雄 宮川 俊平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3O2042, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】骨盤傾斜角度は脊柱アライメントに影響を与え、骨盤前傾位では腰椎前彎角は増加し、骨盤後傾位では逆に減少する。腰椎の過剰な前彎は腰痛の原因の一つと考えられ、腰痛のリハビリテーションとして腰椎前彎角を減ずることを目的に下肢のストレッチや骨盤後傾運動が行われている。骨盤前後傾運動においては,体幹の表層に位置するグローバル筋だけでなく,深層に位置するローカル筋の関与が最近の研究によって明らかにされてきているが,まだ詳細については不明な点が多い。また臨床において骨盤前後傾運動を実施する際,その運動範囲や運動様式には個人差が見られ,その評価は評価者の技術・経験などに影響される主観的なものであるため、より客観的に評価するための指標が望まれる。その指標の一つとして,骨盤前後傾可動域は比較的簡便かつ定量化が可能であり,有用だと考える。しかし,これまでに骨盤前後傾運動時の筋活動と可動域との関係を報告した研究は見当たらない。そこで本研究の目的は骨盤自動前後傾運動時の骨盤周囲筋の筋活動を明らかにし,さらに矢状面での骨盤前後傾可動域と筋活動との関係性を明らかにすることとした。【方法】健常成人男性12名(22.6±1.4歳,169.9±5.7cm,69.6±7.6kg)を対象とし,動作課題は立位骨盤中間位から最大前傾位までの骨盤前傾運動,次いで最大後傾位までの骨盤後傾運動を指示し,各運動中の筋電図を計測した。筋電図測定には,両側の腹直筋(RA)、外腹斜筋(EO)、脊柱起立筋(ES)および片側(右側)の広背筋(LD)、大殿筋(GMA)、半腱様筋(ST)、大腿直筋(RF)に表面電極(Vitrode F-150S; 日本光電)を貼布し,両側の腹横筋(TrA)、多裂筋(MF)にはワイヤ電極(UNIQUE MEDICAL社)を超音波ガイド下に23G注射針をガイドとして整形外科医によって挿入した。その後,電極が適切に刺入されていることを確認するために,電気刺激を加えて目的筋の収縮を超音波で描出した。ワイヤ電極刺入に関しては筑波大学倫理委員会の承認を得て実施した。サンプリング周波数は2000Hz,バンドパスフィルターは20-500Hzとした。等尺性最大随意収縮(MVC)時の筋活動で標準化した%MVCを算出し,さらに立位姿勢を保持するために要する筋活動の影響を取り除くため,骨盤前後傾運動時と安静立位保持時の%MVCの差で各筋を比較した。また骨盤前後傾可動域測定には,被験者の上前腸骨棘(ASIS)と上後腸骨棘(PSIS)にマーカーを貼付し,デジタルカメラを用いて矢状面における骨盤前傾位・中間位・後傾位の静止画を撮影した。その後,画像解析ソフトimage-J(NIH)を用いてASISとPSISを結んだ線が水平となす角度(骨盤傾斜角度)から骨盤前後傾可動域を算出した。さらに骨盤前後傾運動でそれぞれ大きい活動を示した筋を抽出し,筋活動と骨盤前後傾可動域との関係性について検討した。分析には骨盤前後傾運動時の各筋の筋活動の比較にTukey HSD法による多重比較検定を用い,骨盤前後傾可動域と筋活動との関係にはPearsonの積率相関係数を算出した。有意水準は5%未満とした。【説明と同意】被験者には事前に研究について書面と口頭による説明の後,同意を得て研究を実施した。【結果】骨盤前傾運動時には骨盤中間位に比較して,両側のMFが23.9%,右ESは19.0%,左ESは13.6%と有意に増加した。また骨盤後傾運動時は左TrAのみ14.7%と有意に増加した。また,特に大きい活動を示した両側MF(前傾)、左TrA(後傾)と骨盤前後傾可動域との相関係数はそれぞれ,0.68(右MF),0.62(左MF),0.53(TrA)であり,骨盤前傾可動域と両側MFでは有意に高い関係を示した。【考察】骨盤前傾運動では骨盤の上後方に付着するMFやESによって,骨盤の後方が引き上げられ,骨盤の前傾運動が生じると考えられる。一方の骨盤後傾運動では,これまで恥骨に付着するRAが主に作用すると考えられていたが,今回の結果ではRAよりもTrAの筋活動が大きかった。TrAは骨盤前方の腸骨稜や鼠径靭帯にも付着するため,収縮により骨盤の前方が引き上げられ,骨盤後傾運動が生じると考えられる。また,骨盤前傾可動域とMFの間には有意に高い関係が認められたことから,より大きく骨盤を前傾させるには,MFの大きい筋活動が必要とされることが考えられた。骨盤後傾運動では左TrAと後傾可動域に正の相関は認めたものの,ばらつきが大きく個人差や左右差が大きいことも推察された。【理学療法学研究としての意義】本研究により,骨盤自動前後傾運動時の筋活動が明らかとなり,骨盤の運動を客観的に評価する指標として,骨盤前後傾可動域の有用性が示唆された。
著者
ノイツラ・ ゾフィー 宮川 創
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.s3, pp.s123-s126, 2022 (Released:2022-11-02)
参考文献数
11

2017年にドイツのヘルツォーク・アウグスト図書館(HAB)で発見された新出キリシタン資料ローマ字本日本語訳『コンテムツス・ムンヂ』の翻刻プロジェクトで用いられた技術と公開方法について論じる。本論文著者両名による日独共同研究プロジェクトにおいて、ルール大学ボーフムのオースタカンプ・スヱン教授の指導のもと、本文献のデジタル化を目標としたデジタル技術活用に関する議論と実践がなされた。そこでは、機械学習による自動翻刻ソフトウェアTranskribusを用いて、そのHTR(Handwritten Text Recognition)モデルに学習させ、自動および手動修正で文献のレイアウト・補助記号などを忠実に再現したデジタル翻刻が行われた。本プロジェクトは、このデジタル翻刻に基づいて、本キリシタン版をデジタルアーカイブ化し、可能な研究対象として公開し、国際的な研究に活用できるようにするモデルを提示する。
著者
間田 康史 宮川 真紀子 林 大雅 海野 徹也 荒井 克俊
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.103-112, 2001-03-20 (Released:2010-10-28)
参考文献数
29

雌性発生により繁殖している三倍体ギンブナの卵をキンギョ精子で受精後,様々な条件で低温あるいは高温処理を施すことにより,四倍体あるいは四倍体-三倍体モザイクが作出できた。40℃,60秒間の高温処理では受精後5分に処理を開始した群で四倍体の出現率が高かった(67~100%)。DNAフィンガープリント分析とRAPD-PCR分析から,四倍体は父親キンギョ由来のDNA断片を示すことから,精子核ゲノムが取り込まれて作出されることが判明した。高温処理(40℃,60秒間,受精後5分)を施した受精卵の細胞学的観察から,三倍体では本来膨潤しないはずの精子核が雄性前核となり,三倍体雌性前核あるいは二細胞期の割球の核と融合することにより四倍体核が形成されることが判った。同一水槽で三倍体と四倍体を飼育した場合,12月齢魚では成長に差は見られなかった。これらの三倍体は全雌であったが,四倍体では17個体中10個体が雌で,残りの7個体は性的に未分化であった。
著者
古田 勝経 溝神 文博 宮川 哲也 森川 拓 永田 治 永田 実 福澤 悦子 油座 マミ 櫻井 淳二 庄司 理恵 藤井 聡
出版者
一般社団法人 日本医療・病院管理学会
雑誌
日本医療・病院管理学会誌 (ISSN:1882594X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.199-207, 2013 (Released:2013-09-10)
参考文献数
15

褥瘡は寝たきり高齢者に多い慢性創傷であり,難治であり医療費や患者の生活の質に影響を与える。チーム医療で治療を行うことが治癒促進につながるが薬剤師の積極的な関与が少なく本来のチーム医療の有用性は示されていない。そこで,本研究では,薬剤師の積極的関与のある褥瘡チーム医療治療群と褥瘡ハイリスクケア加算群とで,褥瘡治癒に関する費用対効果を検討した。患者数は(褥瘡チーム医療治療群 / ハイリスクケア加算群) 295名/80名,DESIGN点数の減少を用いた費用対効果の比較では総費用(円/点) 6,709 / 24,549で,褥瘡チーム医療治療群はハイリスクケア加算群に比べ約4分の1におさえられていた(p<0.001)。
著者
宮川 慎司
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アジア経済 (ISSN:00022942)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.28-60, 2020-09-15 (Released:2020-10-14)
参考文献数
50

途上国の貧困層は,生活の上で当局に認められないインフォーマルな活動を行うことが少なくない。本稿は,互いの苦境を理解するマニラ首都圏の貧困層自身が,なぜ2010年代半ばになって反インフォーマリティの規範をもつようになったかについて,スラム地域の「盗電」に関する調査から考察する。盗電を行う住民と行わない住民双方の論理から,盗電を許容しない規範が生じる理由を明らかにする。もとよりスラム住民は火災発生の恐れがある盗電に対して批判的な規範をもつ一方で,電力正規契約を得る障壁の高さから盗電を正当化していた。しかし近年の2つの法執行強化により,盗電は許容されなくなりつつある。第1に,技術的な取締りの導入により,盗電を取締られた住民が金銭的負担の不公平から盗電に対して批判を強めた。第2に,ドゥテルテ政権下における公的機関の行政手続き改善を背景に,正規契約を得る障壁低下の可能性が示され,盗電の正当化が難しくなった。
著者
小田 桂吾 大垣 亮 廣野 準一 山田 恵子 宮川 俊平
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.207-211, 2021-04-30 (Released:2021-08-19)
参考文献数
18

本研究は,国内大学女子バスケットボール選手を対象に1シーズンの前向き傷害調査を行い,その実態を明らかにすることを目的とした. 発生した傷害は延べ13件で,傷害発生率は1.36件/1000 player-hoursで、受傷部位は,足関節が6件で最も多かった.全傷害のうち,復帰まで29日以上を要する重症度の高い傷害が84%を占めていた.先行研究と比較して,競技復帰まで長期間であったことから,今後,傷害発生予防に向けた取り組みの必要があると考える.
著者
宮川 泰夫
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.51-66, 1992
被引用文献数
1

東アジアは, 国際政治経済構造の変革が, その国際工業配置体系の変容に如実に示されている地域である. とくに, 自動車産業の展開は, 戦前の日本フォード, 日本GMの生産停止と日本の国産車育成に始まり, 満州・中国への展開と, 国防経済体制の構築と密接に関連して始まった. 第二次大戦後の中国での自動車産業配置も, こうした国防経済体制配置と無縁ではなく, またその配置には, 長春第一汽車製造廠の配置にみられるように直接的には中ソの政治経済構造が, 間接的には戦前の日本の自動車工業配置が生かされている. 日華平和条約, 日韓基本条約の締結による国際工業配置体系の変容は, それぞれの国内の産業育成政策, 国防政策と関連して生じ, 内外の産業構造の変動と都市集積に左右された. 自動車工業の配置変動, 提携関係の変化は, こうした点を良く示している. この提携関係の変化は, 1972年の日中国交回復によって如実に示されはしたが, むしろ石油危機と変動相場制移行を契機とした自動車工業の内に典型的に示された日本工業の国際競争力強化や海外展開と深く関連して基本的には生じてきた. そして, 日米間の政治・経済構造の変革がその大枠を規定したが, 1975年の十堰の第二汽車製造廠設立に示される中ソの政治経済構造の変質もその国際工業配置体系には微妙に影響している. 1978年の中国経済開放政策は, 日本・香港・台湾を含む東アジアの工業配置を変質させ, 1985年からの台湾, 旧ソ連の変革, 88年のオリンピックを契機とした韓国の変質とあいまって, 自動車工業に典型的に表われているように東アジアに新たな錯綜した国際工業配置体系を欧・米をも巻きこんで形成しつつある.