著者
飯田 智哉 宮川 麻希 那須野 正尚 田中 浩紀 吉田 雄一朗 蔵原 晃一 朝倉 謙輔 梁井 俊一 松本 主之 仲瀬 裕志
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.526-531, 2019-04-25

要旨●家族性地中海熱(FMF)は,腹部,胸部などに漿膜炎による疼痛を伴う周期性発熱を特徴とする遺伝性自己炎症疾患である.FMFで消化管粘膜障害を呈することはまれとされてきたが,近年,炎症性腸疾患に類似した消化管病変を合併した症例の報告が散見される.一方で,FMFの小腸病変についての報告はいまだ限られている.本稿では,FMFの小腸病変に関する報告例をまとめ,その内視鏡像について論じる.FMF患者に認められた小腸病変は,アフタ,びらん,潰瘍,浮腫などが多くを占めていたが,FMFの小腸病変の内視鏡的特徴を明らかするためには,さらなる症例の集積が必要である.
著者
吉川 周作 水野 清秀 加藤 茂弘 里口 保文 宮川 ちひろ 衣笠 善博 三田村 宗樹 中川 康一
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.505-520, 2000-12-01
被引用文献数
17 32

神戸市東灘区魚崎浜で掘削された東灘1,700mボーリングコアの火山灰層序を明らかにした.本コアは,基盤の花崗閃緑岩(深度1,545.7m以深)と,それを不整合に覆うK1-L層・K1-U層から構成される.淡水成のシルト・砂・砂礫主体のK1-L層(深度1,545.7~691.8m)は,朝代火山灰層に対比できるK1-1382火山灰層を挾み,大阪平野地下の都島累層と陸上部の大阪層群最下部・下部下半部に相当する.海成粘土層と淡水成の砂礫・砂・シルトの互層からなるK1-U層(深度691.8~23.3m)は,31層の火山灰層を挾み,大阪平野地下の田中累層と大阪層群下部上半部~段丘堆積層に相当する.本層中のK1-648,K1-566,K1-537,K1-488とK1-486,K1-444,K1-422,K1-351,K1-348ないしK1-347.4,K1-245,K1-223,K1-175,K1-141,Kl-101,K1-26火山灰層は,イエローIIないしIII,ピンク,光明池III,山田III,アズキ,狭山,今熊II,八町池I,八町池II,カスリ,港島I,鳴尾浜IV,八田,甲子園浜III~VI,平安神宮の各火山灰層に対比された.この火山灰対比により,19層の海成粘土層を,それぞれMa-1,Ma0,Ma0.5,Ma1,Ma1.3,Ma1.5,Ma2,Ma3,Ma4,Ma5,Ma6,Ma7,Ma8,Ma9,Ma10,Ma11(1),Ma11(2),Ma11(3),Ma12層に対比した.
著者
牛尾 哲敏 野間 和夫 松尾 悟 高橋 雅文 浜津 尚就 大西 英雄 増田 一孝 中山 功 宮川 忠士 高橋 昌章
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.538-541, 1994-04-01
被引用文献数
5

以上の実験と結果に基づき私達は, 1)180度収集法では, SPECT収集時のスタート位置, 標的臟器と検出器との距離により画像歪みが生じるために, 画像の信頼性には問題が残る.2)360度収集法は180度収集法と比べ, OUT(前壁部想定)とIN(後壁部想定)の画像の歪みの差が少ないため有用である.3)密度1.0g/cm^3における回転中心(深部)のMTFは, エネルギーの高い^<123>I, ^<99m>Tcが^<201>T1より優れている.そのため, ^<123>I, ^<99m>Tcを用いた心筋SPECTでは, 吸収補正の問題は残るものの, 画像の正確度から360度収集がよい.4)今回実験に用いたファントムおよびLSF, MTF, 歪率, S/N比スペクトルによる解析方法は心筋SPECT画像の画質評価に有用である.と言った知見を得る事ができた.最後に, この機会を与えてくださった核医学分科会会長藤田先生ならびに, 座長先生, 各役員の皆様に深く感謝致します.
著者
宮川 安生
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1156, pp.138-141, 2002-09-02

「現代教養文庫」シリーズで親しまれてきた社会思想社は、6月25日に不渡りを出しました。1990年代に入ってから、売上高がじりじりと下がる苦しい時期を迎えました。何とかヒット企画を出して盛り返そうと模索してきましたが、力及びませんでした。 事実上の倒産——。6月28日に新聞紙上でそう報道されると、多くの読者から電話を頂きました。
著者
中宮 英次郎 宮川 優一 戸田 典子 冨永 芳信 斉藤 るみ 住吉 義和 高橋 真理 徳力 剛 前澤 純也 三原 貴洋 竹村 直行
出版者
獣医循環器研究会
雑誌
動物の循環器 = Advances in animal cardiology (ISSN:09106537)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.41-47, 2011-12-01
参考文献数
12

2歳6カ月齢,去勢オスのノルウェージャン・フォレスト・キャットを各種検査に基づいて肥大型心筋症と診断し,エナラプリルの投与を開始した。第1357病日に左房の高度な拡大が見られたため,ダルテパリン療法を追加した。さらに,第1616病日に左房内に spontaneous echo contrast (SEC) が,そして第2155病日には左心耳内に血栓形成が認められた。本症例は第2229病日に死亡した。SECは拡大した左房内での血液うっ滞により生じ,ヒトでは心房内での血栓形成または血栓塞栓症の危険因子と考えられている。獣医学領域ではSECの臨床的意義に関する記載は極めて限られている。本症例はSECが確認されてから613日間生存したことから,血栓予防療法を含む心不全療法が的確に実施されれば,SECは必ずしも予後不良を示す所見ではないと考えられた。
著者
阿部 敏紀 相川 達也 赤羽 賢浩 新井 雅裕 朝比奈 靖浩 新敷 吉成 茶山 一彰 原田 英治 橋本 直明 堀 亜希子 市田 隆文 池田 広記 石川 晶久 伊藤 敬義 姜 貞憲 狩野 吉康 加藤 秀章 加藤 将 川上 万里 北嶋 直人 北村 庸雄 正木 尚彦 松林 圭二 松田 裕之 松井 淳 道堯 浩二郎 三原 弘 宮地 克彦 宮川 浩 水尾 仁志 持田 智 森山 光彦 西口 修平 岡田 克夫 齋藤 英胤 佐久川 廣 柴田 実 鈴木 一幸 高橋 和明 山田 剛太郎 山本 和秀 山中 太郎 大和 弘明 矢野 公士 三代 俊治
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.384-391, 2006-08-25
被引用文献数
18 56

極く最近まで殆んど不明状態にあった我国のE型肝炎の実態を明らかにする目的で,我々は全国から総数254例のE型肝炎ウイルス(HEV)感染例を集め,統計学的・疫学的・ウイルス学的特徴を求めてこれを解析した.その結果,[i]HEV感染は北海道から沖縄まで全国津々浦々に浸透していること;[ii]感染者の多くは中高年(平均年齢約50歳)で,且つ男性優位(男女比約3.5対1)であること;[iii]我国に土着しているHEVはgenotype 3とgenotype 4であるが,後者は主に北海道に偏在していること;[iv]年齢と肝炎重症度との間に相関があること;[v]Genotype 3よりはgenotype 4による感染の方が顕性化率も重症化率も高いこと;[vi]発生時期が無季節性であること;[vii]集積症例全体の約30%は動物由来食感染,8%は輸入感染,2%は輸血を介する感染に帰せしめ得たものの,過半の症例(約60%)に於いては感染経路が不明のままであること;等の知見を得た.<br>
著者
山田 慎太郎 藤井 聡 宮川 愛由
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.155-164, 2016

A referendum in a manner of direct democracy has been occasionally adopted in Japan for a political decision. However, it may not always maximize public interest, and it may thus lead failure. This referendum failure can easily emerge when those who insist a controversial policy, such as politicians who can benefit from the policy, use sophistry to justify the policy. This is because voters can not rationally judge the policy ouing to the sophistry. In this research we focus on politicians' remarks related to the referendum of "Osaka Metropolis Concept" of which voting day was 17th May, 2015 in Osaka City. We quantitatively analyzed remarks by 2 politicians, who are representative debaters in 2 major political parties in Twitter for a month (from 17th, April, 2015 to 17th, May, 2015), and remarks by them in a debate TV program casted in 12th, February, 2015. The result indicates that sophistry accounted for 33.9 % of the Twitter sentences and 48.0 % of the verbal sentences spoken by a politician who insisted the concept, whereas almost no sophistry (only 0.1 %) for the other politician. This result implies that there was risk that voters might not be able not rationally judge based on such frequent sophistry.
著者
池本 竜則 中田 昌敏 梶浦 弘明 宮川 博文 長谷川 共美 井上 雅之 下 和弘 牛田 享宏
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.31-40, 2014-03-10 (Released:2014-03-29)
参考文献数
19

Musculoskeletal pain and other clinical complaints are known to increase with age, however its relationship to these symptoms remains unclear. In this study, we investigated the correlation between musculoskeletal pain and other clinical complaints. Questionnaires containing self–reported complaints collected from 3891 people over 30 years old were used for our study. Serf–reported complaints comprised of 33 items including three musculo­skeletal disorders (knee, low back, neck) and another thirty complaints. Firstly, we divided subjects into the following eight different categories by their musculoskeletal condition; a group without musculoskeletal disorder (Control), a group with knee pain alone, a group with low back pain alone, a group with neck stiffness alone, three groups which had overlapping pain in above two regions and a group with overlapping pain in all regions. Secondly, we investigated the epidemiological background and analyzed the number of other complaints in each group.   In terms of epidemiological background, the ages in groups with any musculoskeletal disorders were significantly higher than those in control. Moreover, groups with musculoskeletal disorders except low back pain alone were significantly more prevalent in women. Groups with any musculo­skeletal disorders had significantly greater numbers of other complaints compared to control. Comparing the three groups with mono–regional pain, we discovered the number of other complaints was more significant in the group with neck stiffness than in the other two groups. The theoretical number of other complaints in a group with pain in all regions was significantly greater than the sum in each group with mono–regional pain.   These findings suggest that musculoskeletal disorders are not only a regional problem but also affect other organs in the human body, followed by an increase of other unidentified complaints.
著者
松坂 敏博 森山 陽一 小笹 浩司 太田 秀樹 藤野 陽三 宮川 豊章 西村 和夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.1-18, 2017 (Released:2017-01-20)
参考文献数
25
被引用文献数
1 7

我が国の社会や経済活動を支える重要な社会インフラとなっている高速道路は,名神高速道路の開通から既に50年以上が経過したように,経過年数の長いものが増えてきている.高速道路の構造物は,過酷な使用状況に曝されており,長期的に健全な状態で機能させることが重要な課題となっている.本稿では,東,中,西日本高速道路会社3社が管理している高速道路の構造物の2011年度末時点での健全度データと点検調査データなどを用い,さまざまな角度から変状の要因を分析するとともに,これらのデータを用いて経年劣化の見通しを予測した.そのうえで,高速道路を長期的に健全な状態で機能させるために必要な,これらの構造物の大規模な更新や修繕の計画と課題について示した.
著者
宮川 博士 木田 建次
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.7, pp.491-498, 2012 (Released:2017-12-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本格焼酎製造に一般的に使用されている「差しもと」の安全で安定したユニークな方法の紹介。微生物の乾燥や冷凍耐性のキー物質であるトレハロースが酵母の活性に影響し,一次醪製造工程で撹拌又は通気によって酵母菌体のトレハロース濃度を高めることで活性を高レベルに維持できる。ただし,製造規模が大きくなると細菌汚染の可能性が高くなるので微生物管理には注意を要する。
著者
小田 桂吾 吉田 和歌子 藤沼 絢子 児玉 真知子 鈴木 恒 吉田 怜 成田 崇矢 馬見塚 尚孝 金森 章浩 宮川 俊平 平野 篤
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3P3435, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】膝前十字靱帯(以下ACL)再建術後、再度ACL断裂を受傷した症例について調査し、今後のリハビリテーション(以下リハ)プログラム及び予防プログラムについて検討することを目的とする.【対象および方法】平成15年4月から平成20年9月までの期間に、当院で自家半腱様筋腱(および大腿薄筋腱)を用いた解剖学的二重束でACL再建術施行例のうち経過観察可能であった155名(男性70名,女性85名,平均年齢24±10歳)のうちACL再受傷した4名を対象とした.調査項目はACL再受傷発生頻度,性別,年齢,競技種目,競技レベル,再受傷期間,受傷機転について検討した.なお本研究は当院の倫理委員会の審査を受け、承認されたものである【結果】全手術例に対するACL再受傷発生率は2.6%であった.症例の性別,年齢,競技種目は男性1例(24歳、サッカー、JFLチーム所属).女性3例(16~17歳、バスケットボール部所属で全国大会出場レベル1例,県大会出場レベル1例、ハンドボール部所属,県大会出場レベル1例)で再受傷期間は165±47日であった.【考察】再断裂した症例は1例(女性,バスケットボール部全国大会出場レベル)を除いて競技復帰前に受傷していた.移植腱の成熟および骨の癒合は3~6か月程度要すると報告されていることから、この時期のリハは筋力の回復状況や膝固有感覚の回復を考慮したプログラムを実施すると同時に危険肢位等のリスク管理を十分患者に理解させ、再断裂を未然に防ぐことが重要である.また2例は部活動以外のアクシデントで再断裂している.スポーツ活動中だけでなく日常生活レベルでのリスク管理の指導も十分行う必要性がある.以上のことは以前から報告されているが、改善されていない理由として患者本人の病態意識の低さだけでなく、再断裂した症例は全て初回も再受傷も非接触型で受傷していることから我々のリスク管理を含めた予防トレーニングの指導力不足も関係しているのではないかと考える.また当院では術後6カ月でBIODEXを用いた筋力検査を行い患健比マイナス15%以内、H/Q比60%以上を競技復帰の目安にしており今回、競技復帰後に再断裂した症例はこの目安をクリアし順調に筋力が患健比約90%回復していたにも関わらず再断裂に至ってしまった.当院のACLのリハは筋力検査の結果を競技復帰の目安にし、術後平均約8か月でリハ終了としているが、まだ競技復帰に対して不安感を持っていながら、この時期を境に今まで行ってきたリハのプログラムを終了していたことが誘因のひとつであると推察した.
著者
宮川 義隆
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.28-36, 2020 (Released:2020-02-22)
参考文献数
25

血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura: TTP)の標準的治療は,永らく血漿療法であった.後天性TTPに対する抗体医薬リツキシマブが,Phase 2医師主導治験の成績をもとに,2018年8月に保険収載された.海外のシステマティック・レビューによれば,リツキシマブは再発・難治例の9割に有効性を示す.欧米では,後天性TTPにカプラシズマブが承認された.カプラシズマブは,フォンビルブランド因子に対する低分子抗体である.カプラシズマブは,重篤な血栓症,死亡リスク,血漿交換の回数を減らす効果がある.先天性TTPを対象に,遺伝子組換えADAMTS13製剤の臨床試験が進められている.本稿では,TTPに対する分子標的治療の幕開けを中心に紹介する.
著者
宮川 歩夢 名和 一成 山谷 祐介 大滝 壽樹 杉原 光彦 奥田 隆 住田 達哉
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.63-76, 2020-04-27 (Released:2020-05-07)
参考文献数
17
被引用文献数
1

国立天文台VERA石垣島観測局を中心とした名蔵川流域において,地下の地質構造を反映すると考えられる重力異常を明らかにするために重力測定を実施した.この重力測定では絶対重力測定及び周辺での相対重力測定を組み合わせている.絶対重力測定は国立天文台VERA石垣島観測局の重力計基台において,また相対重力測定は周辺域の62地点において実施した.得られた重力測定結果に既存の重力データを加え,重力異常図を作成した.おもとこれにより,名蔵湾から於茂登岳だけに向かって,負の重力 異常が大きくなる傾向がみられた.これは,於茂登岳を構成する漸新世の珪長質深成岩が周囲のジュラ紀付加体に比べて密度が低いことによると考えられる.さらに於茂登岳麓から名蔵湾にかけて負の重力異常の帯が確認された.このことは,名蔵湾から於茂登岳に向かう局所的な基盤形状を反映し,密度の低い堆積層が埋める埋没谷の存在を示唆する.