著者
赤澤 みなみ 加藤 喜明 小島 康夫
出版者
一般社団法人日本エネルギー学会
雑誌
バイオマス科学会議発表論文集
巻号頁・発行日
vol.10, pp.157-158, 2015

For estimation of pyrolysis reaction of resinol type linkage, syringaresinol (SR) and pinoresinol (PR) were pyrolyzed with Py-GC/MS method, and major pyrolysis products were identified by MS library and fragmentation. Pyrolysate distributions from SR and PR were similar, so considered to be subjected the same reaction mechanisms, although relativities of their methoxyl groups the aromatic rings were different. Syringyl group (from pyrolysis of SR) was changed into catechol or guaiacol by homolytic elimination of the methoxy group, while guaiacyl group (from pyrolysis of pinoresinol) was changed to cresol by rearrangement of the methoxyl group. Furthermore, these reactions for SR started at low temperature than PR.
著者
太田 祐介 長橋 究 小島 康裕 上原 博和
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.530-534, 2021

72歳,女性。大動脈弁狭窄症による心不全のため大動脈弁置換術を予定していたが,血小板減少を認めヘパリン起因性血小板減少症Ⅱ型と診断された。手術の延期が考慮されたが,循環動態が不安定であったため予定通り大動脈弁置換術を施行した。<br> 手術開始時にアルガトロバンを4μg/kg/minで持続静注を開始し,人工心肺開始時にメシル酸ナファモスタットを30mg/hで開始した。活性化凝固時間の推移を確認しながらアルガトロバンの投与量を調節した。大動脈遮断解除後,アルガトロバンの投与を終了し,大動脈遮断解除の1時間後に人工心肺を終了した。止血に難渋し人工心肺終了から7時間後に手術を終了した。手術時間12時間21分,人工心肺時間3時間10分,出血量3444mL,輸血量6400mLであった。<br> 本症例は,過去の症例報告と比較してアルガトロバンの投与量は少なかったが,人工心肺終了後の出血量を減らすことはできなかった。
著者
小島聡子
出版者
明海大学
雑誌
明海日本語
巻号頁・発行日
no.8, 2003
著者
小島 久子 鞠子 茂 中村 徹 林 一六
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.55-64, 2003

長野県菅平にある筑波大学の樹木園に植栽されたブナとミズナラの開葉時期と,葉の霜に対する耐性について実験を行った.実験にはマイナス5度以下に調節できる生育箱と野外で同じような冷却条件が与えられる自然放射冷却装置を製作して用いた.この自然放射冷却装置は既報の論文を参考にこの実験のために製作した.同時にブナ群落の分布限界とされている黒松内を中心とした北海道南部各地の温量指数と遅霜出現時期を検討した.開葉時期は1988年から1994年までの7年間記録し,その平均を求めた.それによると,ブナはミズナラより平均10日ほど早く開葉し,それに要する日温量指数はブナで平均113℃日,ミズナラで182℃日であった.一方,開葉したばかりの葉の霜に対する耐性の実験では,ブナの開葉したばかりの葉は霜に遭うと枯死し,開葉前の芽の段階では霜にあっても枯死しなかった.ミズナラは枝の先端に複数の冬芽を付け,若葉が霜で枯れても側芽が開葉し,その後成長できた.それにたいして,ブナの頂芽は前年の8月ころから形成され,側芽をもたないので,開葉後,遅霜に遭うとその後の成長ができなかった.ミズナラは,開葉時期が遅いことと,側芽を持つことによって,遅霜の害を回避している.開葉時期の遅れは,遅霜のない地域では光合成の開始時期の遅れとなり,物質生産においてブナに対して不利である.ブナは光合成を早く開始する代わりに遅霜に遭遇する危険をもつ.この二つの実験から,ブナは日温量指数が113℃日に達した後遅霜がある地域には自然には分布できないが,ミズナラは上に述べた生態的特性によってその地域でも分布でき,より北に分布を広げることができると思われる.日温量指数が113℃日に達した後に遅霜がある地域を北海道南部で調べてみると,倶知安と岩見沢が相当する.ブナが分布できる黒松内と倶知安のあいだには羊蹄山,ニセコアンヌプリなどの山塊があり,この山塊付近が113℃日に達した後遅霜がある地域に当たりブナの自然分布を妨げていると考えられる.これをブナの北限を説明する開葉時期-遅霜仮説とする.この仮説から,日温量指数が113℃日に達する前に最後の遅霜のある地域では黒松内以北でもブナは生育できるので,人為的に植えればブナは生育できるであろう.
著者
小島 泰雄
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

0.シンポジウムの問い<br> 中国の改革開放政策は1978年12月に開催された中国共産党第11期三中全会で路線が決定されたもので、ここから中国は経済改革と対外開放によって近代化を進めることとなった。1990年代半ばに始まる高度経済成長もこの政策の延長線上に位置する。しかし20年にわたる高度経済成長は中国社会を大きく変え、その中で改革開放という概念の相対化も進んでいる。いまこの40年の歴史と地理を振り返るべき時期に立っている、と私たちは考えた。<br> 本シンポジウムは、改革開放を単に経済政策の次元において捉えるのではなく、地域構造や生活空間といった地理学的視点から問い直すことを目指している。この再考を通して、同時代の中国を対象として進められてきた地理学研究の位置づけを明確にするとともに、これからの研究のあるべき方向性を探ってゆくことにつなげたいと考えている。あわせて学際領域である中国研究に対して、地理学から発信してゆきたい。<br>1.改革開放の旗手<br> 改革開放政策の下でまず取り組まれたのは、農村と農業の制度改革であった。人民公社に象徴される集団農業が20年あまり続けられ、農業生産は増大したものの、農民の生活は豊かさを実感できるものとはならなかった。集約農業を支える労働意欲の活性化と明快な分配をめざして生産請負制が導入され、農家が経営主体として復活した。この結果、農業生産は伸び、農家の収入も増大した。しかし集団農業の下での純農村化により大量の農業労働力を抱えていた農村を開発することは、農業のみに依存して前進させることは難しかった。1980年代半ばに登場した郷鎮企業は、農村の産業化を通してこの隘路を突破するために設立された経済体であった。<br> 集団化により農民の生活空間は、生産隊―生産大隊―人民公社という基層空間に強く結びつけられていった。生産請負制と郷鎮企業はこの空間構造を前提としていたた点で、社会主義建設期と連続している。改革開放期は農民の生活空間を組み替えることなく始動したとみなされるのである。<br>2.市場経済化と農民工<br> 「離土不離郷」が農村発の改革開放政策における中心的なスローガンとされたことは、ある意味、弥縫策的な改革の一面を示していたとみなされる。しかし中国経済の市場経済化は、農村変化が外在的な要因によって促されるという、近代社会一般に観察された過程への移行をもたらした。1990年前後の経済調整をきっかけに大量の労働者が農村から溢れ出した。「盲流」「民工潮」と名付けた都市住民の驚きと蔑みの視線の中で、農民は都市へ、沿海地域へと労働力としての移動をはじめ、1990年代の半ばには7000万人に達していた。そして農村から出稼ぎに行った労働者は、高度経済成長の最前線である工場の組み立てライン、道路やビルの建設現場、都市の種々のサービスを担ってゆくこととなった。<br>3.連続と不連続<br> 「離土離郷」は農業から離れ、農村を去ってゆく農民の生活空間の分散を捉えた概念である。2017年のモニタリング調査によれば、「外出農民工」は1億7千万人と膨大な数にのぼる。その出現から四半世紀をへて、農民工の内実も多様化している。生産現場の第一線にとどまる者は壮年化し、現場を辞して農村に帰郷する者、都市に生活の拠点をつくる者、そして1980年代以降の生まれである「新世代農民工」と呼ばれる一群は、学歴社会化と歩調をあわせて、労働強度の強い現場を忌避するようになっている。多様化しながら連続する農民工は、その存在こそが問題でもある。すなわちどこで働こうが、農村出身者は農民と捉えられ、社会主義建設期に形成された二元構造に基づく身分としての農民という規定が根強く残っているのである。<br> 一方、農村は衰退に転じている。1980年代半ばの豊作貧乏を機に、農民にとっての農業は相対化されてゆき、穀物生産も停滞することとなった。農民の収入に占める非農業就労や出稼ぎによる収入は増大し、農業収入は縮小していった。農村の労働力は1995年の4.9億人から2016年には3.6億人に減少し、このうち1.7億人が出稼ぎに行き、さらに1億人が農村内部で非農業就労している。農業は農村に残された高齢者が担うという側面も強くなっている。改革開放がめざした農村開発は基層空間の農業については連続していない。<br>4.いくつかの論点<br> 農民の生活空間の変遷から改革開放期を振り返ると、そこから検討を深めるべき点が浮かび上がってくる。まず社会主義建設期の何を改革し開放しようとしたのか、という目的をめぐる検討である。シンポジウムでは空間論を軸に、ここに挙げた中からいくつかの論点を取り上げて討論してゆきたい。
著者
小島 秀子 松浦 輝男
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.268-279, 1998-04-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
59
被引用文献数
28 35

Chiral crystallization of optically inactive (achiral) compounds such as benzophenone, phenol, phenanthrene, etc. has not been a commonly known phenomenon in organic chemistry. These compounds are known to crystallize to chiral crystals from their solutions. This review deals with this phenomenon, describing (1) what is chiral crystallization and how to find organic compounds undergoing chiral crystallization, (2) the preparation of chiral crystals from achiral organic compounds, (3) the characterization of chiral crystals, (4) the crystal structure of chiral crystals and the factors of the generation of chirality, (5) the chiral crystallization of two-component molecular compounds, (6) absolute asymmetric synthesis utilizing chiral crystallization, (7) other applications of chiral crystallization. Part 1 describes chapters (1), (2), (3), and (4).
著者
小島 千昭 平田 真人 津村 幸治
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第57回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.1927-1934, 2014 (Released:2016-03-02)

Swing instability is an undesirable emergent phenomenon of a power network, in which generators coherently lose synchronism after an unexpected injection of a disturbance. In this paper, we analyze a mechanism of this phenomenon for a power network where subsystems with multiple identical generators are hierarchically interconnected. We first decompose the dynamics of each subsystem into oscillatory and zero eigenvalue modes by mode decomposition. As we see that the zero eigenvalue modes govern an unstable behavior, we define the transient stability margin in terms of the modes. As a main result, we clarify the energy transfer to the zero eigenvalue modes by using the stability margin, the collective dynamics of the entire system and the strength of the connection between subsystems. Based on this characterization, we predict that this energy transfer to the zero eigenvalue mode increases when a phenomenon of the swing instability emerges and confirm this prediction by using numerical simulation. A contribution of this paper is that we clarify an emergent energy transfer from a control theoretic view point.
著者
小島 憲之
雑誌
文学史研究 (ISSN:03899772)
巻号頁・発行日
no.38, pp.1-8, 1997-12

一 : 私なりの、恐らく最後の仕事に関係するが、最近『漢書』(巻九十四「匈奴伝」上)を幾たびとなく繰返して読むうちに、 / 年老いて気衰へ、髪歯堕落て、行歩度を失ふ。(「年老気衰、髪歯堕落、行歩失度」) / という、張澤なる者の上書に逢会する。……
著者
鈴木 一正 小島 勝 海辺 剛志 中村 海人 粕谷 忠道 山崎 健也 時永 耕太郎 田代 淳 木村 亮 野呂 昌弘 秋草 文四郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.12, pp.2417-2425, 2016
被引用文献数
2

<p>41歳,男性.発熱,著明な浸出性胸腹水,全身のリンパ節腫脹,CRP高値を認め,原因不明の重症漿膜炎として大量ステロイド,シクロスポリンを投与するも無効.その後,シクロフォスファミド大量静注療法(intravenous cyclophosphamide:IVCY)を追加したところ,著効し,胸腹水は消失した.その後,リンパ節組織を再度検討し,臨床所見とあわせて,TAFRO症候群の診断に至った.本症例はIVCYがTAFRO症候群に有効である可能性を示唆する貴重な症例であると考える.</p>
著者
森崎 玲大 小島 仁志 金澤 朋子 村田 浩一 小谷 幸司
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.597-602, 2020

<p>This study targeted six exhibition zones with different characteristics at the Yokohama Zoo "Zoorasia ," which grasped visitor satisfaction at each exhibition zone, clarified the relationship between visitor satisfaction and the purpose and attributes of visitors, identified the management and operation issues at each exhibition zone from a visitor satisfa ction perspective, and examined the factors that led to its occurrence. Ultimately, the aim of this study was to discuss a response policy in relati on to the management and operation policy of Zoorasia. The main results of this study are as follows:(1) Visitor attributes are classified into three types. (2) The degree of visitor satisfaction varies by exhibition zone and visitor type. (3) The factors affecting overall visitor satisfaction vary by exhibition zone and visitor type. (4) The management and operation issues (important improving items) vary by exhibition zone. With the above results, the response policy was discussed by relating issues in the management and operation of each exhibition zone with the current management and operation policy.</p>
著者
小島 基洋
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.17-28, 2017

村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』(一九七九年)は, 語り手の三人目の恋人を襲った悲劇的な死を隠蔽すべく, <<虚偽>>の詩学を用いて書かれている. この目的のために, 村上は「ハッピー・バースデイ, そしてホワイト・クリスマス」という<<虚偽>>のオリジナル・タイトルを付け, 最終的なタイトル「風の歌を聴け」が付けられた後には, カポーティの短編「最後のドアを閉めろ」という<<虚偽>>の出典を指示する. また<<虚偽>>のSF作家デレク・ハートフィールドの自死について語り, 物語の<<虚偽>>の焦点を当てるのは, 彼女が死んだ1970年4月ではなく, 8月である. 更に, 彼女への鎮魂の意味合いが強い「風の歌を聴く」という表現の代わりに, 「雲雀の唄を聴く」という<<虚偽>>のフレーズを使用する. 恋人の死という余りに重いテーマは新人作家であった若き村上春樹には表現することが困難であったのだが, 彼は後年, 『ノルウェイの森』(1987年)において, それを見事に表出するに至る.
著者
小島 和男
出版者
学習院大学
巻号頁・発行日
2007

博士論文
著者
長田 賢一 岡 寛 磯村 達也 中村 郁朗 富永 桂一朗 高橋 忍 小島 綾子 西岡 久寿樹
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.19-28, 2008-03-30 (Released:2016-11-30)
参考文献数
13

The fibromyalgia impact questionnaire (FIQ) is a 10-item, patient-reported outcome measure to capture the total spectrum of symptoms and problems related to fibromyalgia. The original version of the questionnaire was developed in English and psychometrically validated. It has been translated into 8 languages and used worldwide as the only disease-specific questionnaire for measuring patient’s fibromyalgia status. In order to develop a Japanese version of the FIQ, we translated the original into Japanese and performed a linguistic validation of the translated questionnaire. The translation and evaluation were performed in a standard manner to ensure conceptual equivalence between the original and its translation: 1) forward-translation by two independent Japanese translators (English to Japanese); 2) back-translation by an English native translator (English to Japanese); and 3) a pilot testing for comprehension in patients with fibromyalgia. The original developer and two Japanese clinicians were involved throughout the validation process. As a result of the evaluation, the translation of daily activities such as “walking several blocks” and “doing yard work” proved challenging. Cultural difference was the main cause in finding equivalents. The numerical rating scales were not always completed properly; therefore, detailed scale instructions were attached to the front page of the questionnaire. Through multiple procedures, a linguistically validated Japanese version of the FIQ (JFIQ) has been successfully developed.
著者
山岸 稔 三原 武彦 河西 紀昭 大山 宜秀 小島 邦彦 後呂 みゑ 渡辺 登 小口 弘毅 阿部 由紀子 朝倉 昭雄 塙 勇至 薄井 晶子
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.p371-380, 1981-08

adenosine triphosphate (ATP)の諸作用のうち,これが赤血球膜の電解質調節機構(ポンプ機能)のエネルギー源となることは従来より知られている一方,最近はプリン代謝系酵素に対する作用としてadenylate deaminase (AMPDA)を刺激し5'-nucleotidase (5 Nase)を阻害することが報告された。そこで血清電解質異常の例として高カリウム(K)血症を伴う腎尿細管性アシドーシス(renal tubular acidosis, RTA)遠位K排泄障害型,また赤血球プリン代謝酵素異常の例として赤血球adenosine deaminase (ADA)高値を伴う遺伝性球状赤血球症(hereditary spherocytosis, HS)を選び,各症例の赤血球内外のK値, Na値,およびADA値, nucleoside phosphorylase (NP)値などを中心に測定して検討を加えた。RTA症例では,高K血症のときは赤血球内K値も上昇し,またその値は血清K値とほぼ平行的に変動することがKC1負荷テストで示された。しかしその赤血球膜のポンプ機能は, HSクリーゼ症例のようには増強されていないことがADA, NP測定値より示された。さらにATPのプリン代謝系酵素に対する作用として,これがADAを刺激し, NPを阻害することが推測された。