著者
王子 剛 並木 隆雄 三谷 和男 植田 圭吾 中口 俊哉 貝沼 茂三郎 柴原 直利 三潴 忠道 小田口 浩 渡辺 賢治 藤井 泰志 喜多 敏明 小暮 敏明 小川 恵子 田原 英一 萩原 圭祐 矢久保 修嗣 南澤 潔 村松 慎一 和辻 直 花輪 壽彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.224-230, 2014 (Released:2014-11-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1 4

漢方医学では舌の色や形状を観察する舌診が患者の体質や病状を知る重要な手掛かりになると考えている。我が国において,舌診に関する書籍が複数発行されているが,記載内容が不統一で臨床的な舌診所見の標準的な記載方法はまだ確立してない。舌診の研究および学生への漢方教育において標準的な舌診臨床所見は必要である。そこで舌診の日本の文献(計12文献)を用いて,色調や形態の記載について比較検討した。その結果を用いて舌診に習熟した多施設の漢方専門医のコンセンサスを得た上で,舌診臨床診断記載の作成に至った。作成にあたり,実際臨床において短時間で観察し得る舌所見を捉える事と初学者でも理解し易いよう,微細な所見の違いよりも確実に捉えやすい舌診所見に重点を置いた所見記載とした。
著者
小川 絢子 子安 増生
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.171-182, 2008-08-10 (Released:2017-07-27)
被引用文献数
6

幼児が他者の誤った信念を理解するためには,実行機能の発達が必要不可欠であることが,最近の「心の理論」研究から明らかにされてきている(Carlson& Moses, 2001; Perner &Lang, 1999)。実行機能の中でも,ワーキングメモリと葛藤抑制の機能が「心の理論」と特に関連することが示されている。しかしながら,日本において実行機能と「心の理論」の関連を検討した研究はほとんどみられない。本研究の目的は,実行機能と「心の理論]が,日本の幼児において関連するのかどうかを検討し,関連があるのであれば,実行機能の下位機能のうち何が「心の理論」と関連するのかを,因子分析を用いて下位機能の因子間の関連性および独立性を考慮した上で検討することであった。3歳から6歳児70名を対象に,「心の理諭」2課題,実行機能6課題,および語彙理解テストを実施した。その結果、年齢と語彙理解テストの成績を統制しても,ワーキングメモリ課題の成績と「心の理論」課題の成績との間に有意な相関がみられた。加えて,ワーキングメモリと葛藤抑制の因子間相関は非常に高かった。 これらの結果から,幼児期においては,葛藤抑制の機能の多くはワーキングメモリによって説明される可能性があり,1つの課題状況に対して,自己視点を抑制し,他者視点を活性化するといった操作を可能にするワーキングメモリ容量が,誤った信念の理解に必要であることが示唆された。
著者
二宮 敬虔 小川 原嘉明 橋本 樹明 広川 英治 村中 昇 前田 健 藤原 宏悦 飯田 浩 河原 哲雄 木村 雅文 高安 星子 NINOMIYA Keiken OGAWARA Yoshiaki HASHIMOTO Tatsuaki HIROKAWA Eiji MURANAKA Noboru MAEDA Ken FUJIWARA Kouetsu IIDA Hiroshi KAWAHARA Tetsuo KIMURA Masabumi TAKAYASU Hoshiko
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.1-92, 1995-03

本報告では, 1991年8月30日に M-3S II-6 号ロケットにより打ち上げられた"ようこう"の姿勢制御系に関する詳細な説明を行う。"ようこう"は近地点高度約500km, 遠地点高度約800km, 軌道傾斜角約31゜の軌道に投入され, そのミッションとして軟 X 線帯及び硬 X 線帯の各高分解能望遠鏡を使用して, 太陽の精密な X 線画像を日々撮り続けている。 "ようこう"にはこれまでにない高分解能の X 線太陽望遠鏡が搭載されているため, 撮像された太陽像にブレが生じないように非常に高い安定度の姿勢制御が要求されている。このため姿勢制御系はバイアスモーメンタム方式に基づく姿勢安定化を図った上で, アクチュエータとして2台の強力なモーメンタムホイールと高速応答の小型コントロールモーメントジャイロを使用することによって精密で安定な太陽指向姿勢を保持し, この制御要求に応えている。本報告書の構成は以下のとおりである。第1章で衛星の形状, 地上支援系を含む姿勢制御系の概要を, 第2章で姿勢制御モード構成と各モードの制御方式概要を, 第3章で機体の力学特性と姿勢擾乱特性を, 第4章で"ようこう"に搭載した姿勢制御系機器の性能を, 第5章で地上支援系の構成, 機能を, 第6章で打ち上げ前に地上において確認してきた姿勢制御系の動作確認試験の目的と概要を, 第7章で飛翔結果に基づく姿勢制御系搭載機器の動作, 姿勢制御性能, 及び衛星に働く空力外乱トルクの推定結果について記述している。
著者
アルカバズ ユセフ 嶋田 智明 小川 恵一 有馬 慶美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C4P2159, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】本研究の目的は,重さの異なるリュックサックを背負った際の,体幹姿勢と体幹・下肢の筋活動の変化について分析することである.この領域の先行研究においては,リュックサックを背負うことと腰痛の関連性が指摘されている.しかしながら,多くの研究が学童児を対象としたものであり,成人を対象としたものは少ない.そこで本研究においては成人におけるリュックサック負荷の影響を確認することとした.【方法】対象は1 9名の健常男子大学生(平均年齢は21±3歳)であった.方法は,4つの異なる重量のリュックサックを負荷した立位で筋活動および姿勢を測定した.4つの立位肢位は,(1)リュックサックを背負わない立位,(2)被検者の体重の10%に相当するリュックサックを背負わせた立位,(3)15%のリュックサックを背負わせた立位および(4)20%のリュックサックを背負わせた立位であった.筋活動は両側の腹直筋,脊柱起立筋,内側広筋および大腿二頭筋を表面筋電計で記録した.一方,体幹姿勢はVICON250を用いて,矢状面,前額面および水平面で記録した.なお,データの記録は開始から10秒後の5秒間行った.また,疲労の影響を考慮しすべての測定の間に1分間の休憩を挿入した.得られたデータの統計処理はRepeated ANOVAを用い,有意水準を5%未満とした.【説明と同意】対象者には,口頭および書面にて研究趣旨,方法および実験に伴うリスクについて説明し,書面にて同意を得た.【結果】脊柱起立筋,内側広筋および大腿二頭筋の筋活動はリュックサック重量の変化に伴う増加率に差は生じなかった.一方,腹直筋の活動は,リュックサック重量の増加に伴い増加した(P<0.05).しかしながら,そのリュックサック重量の増加に伴う筋活動の増加率は直線でなく,負荷なしの立位肢位と体重の10%に相当するリュックサックを背負わせた立位肢位の間で最も高い増加率を示し,15%,20%では緩やかな増加率であった.一方,体幹姿勢の変化は,リュックサックを背負わない立位肢位を0°とした場合,体重の10%に相当するリュックサックを背負わせた立位肢位で3.37°伸展し,その後の15%,20%でもそれぞれ3.02°,3.90°とリュックサック重量の増加に伴う変化は確認されなかった.しかしながら,リュックサックを背負わない立位肢位と比較した場合,すべての重量で有意に伸展した(P<0.05).【考察】リュックサックを背負わない場合と比較して,リュックサックを背負うことにより腹筋群の筋活動と体幹伸展角度が増加した.しかしながら,筋活動はリュックサック重量の増加に伴って増加したのに対して,伸展角度はリュックサックを負荷した際には増加したが,その角度はリュックサック重量に左右されなかった.これは,リュックサック重量が増加しても一定の姿勢を保つための身体の生理的反応と考えられる.この傾向は,体重の20%に相当するリュックサックを背負わせた際に最も顕著となったため,腰部へのリスクという観点から避けるべきであろう.しかしながら,今回の研究においては,リュックサックの使用頻度,使用時間,種類そして使用者の幅広い年齢層に関する因子については言及できないため,今後,それらの因子の影響について検討すべきである.【理学療法学研究としての意義】本研究は理学療法研究の中でも疾病および傷害予防に属するものである.近年,リュックサックの使用頻度は増加傾向にあり,それにより発生する腰痛を未然に防ぐことは,筋骨格系疾患の予防,治療およびリハビリテーションを担う理学療法士にとって重要な使命である.したがって,本研究はリュックサックに由来する問題のメカニズムを明らかにする一助となると考える.
著者
太田 純子 川津 智是 調 裕次 矢敷 敦 松岡 縁 小川 一恵 板東 弘子
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.273-276, 1993 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10

心因的背景が原因となった剥脱性口唇炎の2例を報告する。症例1の17歳男性は思春期における自我同一性形成途上での不安, 葛藤, 挫折感が自傷行為になったと考えられ, 症例2の17歳女性は醜形恐怖症が原因となったと考えられる。いずれも皮膚科的治療では寛解に至らず, カウンセリングや向精神薬によって精神状態が改善してはじめて口唇炎も改善した。
著者
小川 正廣 OGAWA Masahiro
出版者
名古屋大学文学部
雑誌
名古屋大学文学部研究論集. 文学 (ISSN:04694716)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.1-36, 2014-03-31

There has been a long discussion since antiquity about the abrupt ending of the Aeneid which leaves the readers with a very disturbing impression: at the decisive duel in the twelfth book Aeneas, after having hesitated for a moment and inclined to spare Turnus' life, kills him, suddenly driven by fury and anger. On this unusual last scene the ancient commentary of Servius has presented a typical "optimistic" view, attributing the glory of pietas both to the hero's hesitation and his killing for revenge. The present paper attempts to offer another interpretation, which will acknowledge his hesitation as showing a great desire to be relieved of the burden of sorrowful and useless war and his vengeance for the death of Pallas as revealing his deep sense of guilt and his innermost longing to punish himself. Thus the death of Turnus would be foreshadowing Aeneas' own dying in the near future which is predicted repeatedly in the epic. We shall arrive at this conclusion after the detailed consideration of how the hero reacts to the deaths of Dido, Pallas, Lausus and others.
著者
小川 節郎
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.903-909, 2011 (Released:2011-12-13)
参考文献数
9

神経障害性疼痛はペインクリニック診療上,治療が困難な疼痛性疾患の一つである.その理由は疼痛の発生機序が複雑で,機序に見合った鎮痛薬や鎮痛の手段の選択が明確になっていないことがあげられる.本稿では,末梢の神経線維の状態,本症の末梢性疼痛機序に関し,異所性イオンチャネル,神経成長因子の関与,リゾホスファチジン酸の作用,エファプスの発生,アロディニアの発生機序,グリアの関与などにつき解説し,治療においては疼痛機序に見合った鎮痛法を選択することの重要性を強調した.また,近年,本症に対する薬物療法に注目が集まっているので,最近の情報についても解説した.
著者
田口 正樹 佐々木 健 林 信夫 加納 修 大月 康弘 小川 浩三 松本 英実 鈴木 直志 新田 一郎 櫻井 英治 粟辻 悠 西川 洋一 佐藤 公美 小林 繁子 神寳 秀夫 佐藤 雄基 佐藤 彰一 石部 雅亮
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

前近代の西洋と日本について、法律家を中心に、公証人、弁護人、軍人、商人など多様な専門家を取り上げて、専門家と専門知を存立・機能させる環境、専門家と専門知が権力構造において占める位置、専門家間の組織形成とネットワークの広がりといった側面を検討して、専門家と専門知の発展を国制史に組み込んだ。ドイツの研究グループとの学術交流により、専門家に関する文化史的視点を補強して、その意味でも従来の国制史の枠を広げた。
著者
門岡 幸男 小川 哲弘 高野 義彦 守屋 智博 酒井 史彦 西平 順 宮崎 忠昭 土田 隆 佐藤 匡央
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.79-83, 2019 (Released:2019-04-23)
参考文献数
19

Lactobacillus gasseri SBT2055株 (LG2055) の摂取による消化管を介した保健機能に関する研究を行った。内臓脂肪蓄積抑制作用については, はじめに, LG2055を含む高脂肪飼料を摂取したラットで腸間膜脂肪の脂肪細胞の肥大化が抑制されることを見出した。さらに, この知見を基にヒト介入試験を実施し, 有効性探索, 用量設定および最終製品での確認という一連の試験において, LG2055の摂取による内臓脂肪蓄積抑制作用を確認した。免疫調節作用については, マウスにおける小腸免疫グロブリンA産生促進作用およびインフルエンザウイルス感染防御作用を確認し, さらに, ヒト介入試験においてインフルエンザワクチン特異的抗体価およびナチュラルキラー細胞活性の亢進を確かめた。以上の成果の活用例として, 内臓脂肪蓄積低減作用に関する知見に基づいた特定保健用食品の許可取得および機能性表示食品としての届出があげられ, 実際の商品への保健機能表示が可能となった。
著者
小川 泰弘 佐藤 充晃 駒水 孝裕 外山 勝彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4E2OS7a02, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究の目標は,日本法令の要約を提供することである.そのためにランダムフォレストによる重要文抽出に基づく自動要約を提案する. 従来の自動要約に関する研究においては,原文書の情報のみが用いられてきた.近年では機械学習に基づく手法なども提案されている. しかし,そうした機械学習において利用される学習データの量は,特に日本語においては,充分でなかった. それに対し,本研究の法令の要約においては,政府が作成する「法令のあらまし」を利用することにより,この問題を解決する. さらに,従来利用されてきた決定木やSVMを使った手法に代えて,ランダムフォレストを用いた重要文抽出を提案し,その性能が従来手法を上回ることを示す. 本論文の貢献は,従来よりもサイズの大きな要約用コーパスを作成した点と,重要文抽出におけるランダムフォレストの有効性を確認した点にある.
著者
渡邉 裕之 松下 泰之 渡辺 篤 前田 敏郎 温井 一彦 小川 嘉正 澤 淳悟 前田 博
出版者
日本計量生物学会
雑誌
計量生物学 (ISSN:09184430)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.37-60, 2004-06-30 (Released:2012-02-08)
参考文献数
35
被引用文献数
6 20

It is very important to provide safety information of new drugs to physicians and patients as soon as possible after the early postmarketing period. For that purpose, it is important to appropriately collect and analyze the spontaneous reports accumulated in databases of companies and regulatory agencies. This paper reviews the analytical methods to assess spontaneous reports. Bate et al. (1998) presented Bayesian Confidence Propagation Neural Network (BCPNN) Method used by Uppsala Monitoring Centre (UMC) of the World Health Organization (WHO). DuMouchel (1999) presented Gamma-Poisson Shrinker (GPS) Program of U. S. Food and Drug Administration (FDA), and Evans et al. (2001) presented Proportional Reporting Ratios (PRR) of the Medicines Control Agency (MCA). Furthermore, DuMouchel and Pregibon (2001) extended the GPS Program, proposing the Multi-Item Gamma Poisson Shrinker (MGPS) Program, which then became the standard method for the FDA. This report also reviews the practical problems (e.g. database, duplication cases, code of Medical Dictionary for Regulatory Activities (MedDRA)) encountered in Japan.
著者
小川 知彦
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究は,成人性歯周炎の原因菌として目されるPorphyromonas gingibalis菌体表層の41K線毛ならびに菌体表層蛋白72K-CSPに対する特異抗体を用いて,成人性歯周炎患者の歯周ポケット中のP. gingivalisを特異的に検出することならびに同菌体のこれら表層蛋白の抗原エピトープを明らかにし,歯周病患者の歯肉溝液,唾液ならびに血清中の特異免疫反応を,試料採取したペ-パ-ポイント上でELISAにより発色し,迅速かつ容易に評価しようとした.その結果、概略次のような結果を得た.1)歯周病患者の血清を用いて,B細胞エピトープ領域をELISA法により検討した結果,41K線毛では6領域,′72K-CSPでは7領域がそれぞれ明らかとなった.2)防水加工したペ-パ-ポイントを作成し,所定数のP. gingivalis菌体を同ペ-パ-ポイント上に吸着し,作出したウサギ抗血清やマウスモノクローナル抗体を用いて,P. gingivalisの細菌数とELISAによる反応性において明確な用量-反応関係が得られた.3)歯周病患者の歯肉溝液,唾液ならびに血清中のP. gingivalis線毛蛋白抗原やそのエピトープに対応するペプチド抗原に対する特異抗体を調べ,その反応性と歯周病との関係を検討した.その結果,P. gingivalisの2つのタイプの線毛蛋白抗原やそのB細胞エピトープのペプチドと患者歯肉溝液および同血清と明確な反応がみられた.また,2つのタイプの線毛蛋白抗原に両方反応する血清やそれぞれの線毛抗原にしか反応しない血清が認められた.さらに,歯肉溝液との反応において調べた限りでは,特にIgGサブクラスにおいて病態の悪化にともないIgG4サブクラスの反応性が強まる傾向が見られた.
著者
生川 菜々 小川 晃一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J103-B, no.2, pp.79-89, 2020-02-01

本論文では,32×32 MIMO (Multiple Input Multiple Output)・AOA (Angle of Arrival)複合アンテナに関し,MIMO・AOAアンテナ間の電磁結合による到来波推定機能の位相摂動を緩和させるため,リアクタンス素子の装荷を図り,測角精度の改善方法ついて検討した.32×32 MIMOシステムの位相モノパルスAOAアンテナは多数のMIMOサブアレーに囲まれているため,電磁結合が生じ到来波方向推定が困難になる.この問題を解決するため,負荷インピーダンスのリアクタンス値を制御する方法を提案し,高精度な到来波方向推定が可能となることを示した.解析結果より,負荷インピーダンスを最適化することによって,0.2度以下の推定角度誤差が得られた.直接波レベルが小さいKファクターが-10dBのライスフェージング環境下においても5度以下の測角精度が達成できることを明らかにした.更に,負荷インピーダンスを装荷し,ライスフェージング環境下のOTA (Over-The-Air)実験を行った.その結果,リアクタンス負荷を装荷することにより測角誤差を低減できることを確認した.更に,測角誤差低減メカニズムを素子上の電流分布から考察した.
著者
川田 寿里 山田 裕道 松葉 よう子 小川 秀興
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.137-142, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

電解酸性水の手指洗浄効果を検討した。外来診療終了時に医師・看護婦の計12名が電解酸性水 (弱酸性水, 強酸性水) の流水にて30秒間手揉み式の手洗いを行なった。対照には水道水を用いた。手洗いの前後で寒天培地に手掌を接触させて, 37℃, 48時間培養し, 手洗い後の細菌コロニー数の減少率より有効性の判定を行なった。弱酸性水は有効率79.2%, 著効率54.2%, 強酸性水は有効率79.2%, 著効率66.7%, 水道水では有効率56.3%, 著効率27.5%であった。通常の手洗い行為において電解酸性水による手指洗浄効果は水道水よりも有意に優れていることが示された。
著者
蔡 義民 藤田 泰仁 村井 勝 小川 増弘 吉田 宣夫 北村 亨 三浦 俊治
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.477-485, 2003-12-15
被引用文献数
29

飼料イネサイレージ調製用乳酸菌をスクリーニングするため, ホモ発酵型で耐酸性が強く, 発酵過程において旺盛に増殖できる乳酸菌「畜草1号」菌株を選抜した。 16S rRNA遺伝子の解析やDNA-DNA相同性試験に基づいて畜草1号菌株はLactobacillusplantarumと同定した。畜草1号菌株を添加したはまさりとクサホナミの飼料イネロールベールサイレージでは無添加サイレージに比べ, サイレージのpH値, 酪酸およびアンモニア態窒素含量が低下し, 乳酸含量が高まった。また, 1年間の長期貯蔵を行っても, 糸状菌の増殖がなく, その品質が良質に保持された。