著者
大川 清孝 上田 渉 青木 哲哉 大庭 宏子 宮野 正人 小野 洋嗣 中内 脩介 山口 誓子 倉井 修
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.981-990, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
16
被引用文献数
2

【背景・目的】他疾患との内視鏡的鑑別診断を行うために,カンピロバクター腸炎とサルモネラ腸炎の内視鏡像の特徴を明らかにすることは意義があると考えられる.【方法】7年間に当院で経験した両疾患について,臨床像,罹患部位,内視鏡像を後方視的に検討し比較した.内視鏡像を検討できたのはカンピロバクター腸炎43例とサルモネラ腸炎7例であった.【結果】両疾患の臨床像は類似しており差はなかった.罹患部位は下行結腸~直腸についてはカンピロバクター腸炎で有意に高率であった.大腸の内視鏡所見は,両疾患とも粘膜内出血と浮腫が特徴であった.大腸の潰瘍出現率はサルモネラ腸炎が29%で有意に高かった.回盲弁の潰瘍出現率はカンピロバクター腸炎が45%で有意に高かった.【結論】両疾患における大腸内視鏡像の特徴は粘膜内出血と浮腫であり,両疾患の鑑別には回盲弁の潰瘍の有無と大腸の潰瘍の有無が有用である.
著者
丹野 宗彦 山田 英夫 村木 俊雄 田渕 博己 村田 啓 千葉 一夫 浅津 正子 小野寺 洋子 千田 麗子 染谷 一彦
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.271-274, 1983-06-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
6

ラットを用いて絶食時の飼育温度が甲状腺ホルモンの代謝, 動態にどのような影響を及ぼすか検討した。その結果, 23℃, 5日間の絶食では, 血清サイロキシン (T4) , 3, 5, 3'-トリヨードサイロニン (T3) , free T4およびreverse T3 (rT3) 値は対照群に比して有意の低下を示した。絶食群間でT4, free T4およびrT3値を比較してみると, free T4値は低温になるほど増加傾向を示したのに反して, T4値は, 23℃, 18℃, 15℃絶食群間では有意差を認めなかった。また, rT3値は寒冷になるほど増加傾向を示した。30℃絶食群ではいずれの甲状腺ホルモンも対照群に比して著明な低下を示した。これらの実験結果より, 絶食時の甲状腺ホルモンの代謝は, 絶食時の気温により変動し得ることを示唆するものである。
著者
高砂 浩史 梶 友紘 松森 隆史 小野 元 後藤 哲哉 田中 雄一郎
出版者
一般社団法人 日本小児神経外科学会
雑誌
小児の脳神経 (ISSN:03878023)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-6, 2022 (Released:2022-03-15)
参考文献数
11

最近10年間に経験した虐待が疑われる小児頭部外傷18例を検討し当院での取り組みを報告する.被虐待児の年齢や外傷種別などの臨床像は過去の報告と同様であった.一方当院での虐待防止委員会の取り組みとして,病院職員全体への啓蒙活動を充実させ報告の敷居を下げることで取り扱い件数が増え,児童相談所通告には至らずも育児支援を要するネグレクト事案などがあぶり出されることが増えた.小児専門以外の脳神経外科医も虐待を念頭に置いた診療と虐待に伴う社会対応を熟知する必要がある.
著者
槇原 絵里奈 池田 太郎 小野 景子 新濱 遼大
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.742-751, 2022-03-15

オンラインジャッジシステムには多くの問題が収録されており,これらをプログラミング学習におけるアルゴリズムの自学自習支援として活用することで,教員の問題作成コストをへらすことができる.一方,学生が主体的に自身のプログラミング能力に適した問題を選択することは困難であり,最適な問題自動選択手法が望まれている.本論文では,オンラインジャッジシステムにおけるユーザの解答履歴に着目し,解答履歴,解答の正誤を深層学習モデルあるLong Short Term Memory(LSTM)により学習し,問題間の関係に基づいた問題推薦が可能な手法を提案する.オンラインジャッジシステムであるCodeforcesの実データを対象に提案法の性能を検証し,ユーザの解答履歴の高い推定性能を確認した.また,遷移の可視化により,難易度の高い問題へ遷移するための最短な問題経路や,様々な種類の問題へ着手できる核となる問題を明らかにした.
著者
渡邉 保奈美 小野寺 康 佐藤 魁星 川田 将平 佐々木 信也
出版者
一般社団法人 日本トライボロジー学会
雑誌
トライボロジスト (ISSN:09151168)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.191-200, 2022-03-15 (Released:2022-03-15)
参考文献数
20

Ionic liquids containing halogens have good lubricity, however, they are reported to cause corrosive wear. In contrast, halogen-free ionic liquids do not cause such corrosive wear, but they do not have good lubricity comparable to the halogen-containing counterparts. In this study, we focused on specific halogen-free boron-containing ionic liquids that exhibited low friction performance. The performance was mainly due to its boron-containing anions, because it was realized with both phosphonium-based and ammonium-based cations. Surface analysis and scratch test with atomic force microscope (AFM) were conducted with phosphonium-based cations to clarify the low friction mechanism. The boron-containing ionic liquid, [BOB][P66614], showed lower friction of around 0.01, which was much lower than MoDTC-containing engine oils did. The cause of the ultra-low friction with [BOB] [P66614] is thought to be due to the fact that the reaction film formed by friction has a very smooth surface and suppresses contact between metals. On the other hand, another boron-containing ionic liquid [BMB] [P66614], which did not form a smooth surface, showed relatively high friction compared to [BOB] [P66614]. Scratch tests with AFM indicated that the softer reaction film derived from [BOB] [P66614] led to the formation of a smooth sliding surface.
著者
西村 顕 小野山 薫 野口 祐子 大原 一興 藤岡 泰寛
出版者
一般社団法人 日本福祉のまちづくり学会
雑誌
福祉のまちづくり研究 (ISSN:13458973)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-9, 2017-03-15 (Released:2017-11-21)

知的障害や発達障害のある子どものキッチンまわりの事故およびそれに対する保護者の対応について、アンケート調査をおこなった。横浜市内の全療育センターの知的通園施設と全特別支援学校(知的障害のみ)の小学部に通う子どもの保護者を対象に1,197部のアンケートを配布し、有効回収部数は794部(66.3%)であった。キッチンまわりで発生した事故(ヒヤリ・ハット含む)について、好発年齢は1-4歳であった。子ども242人(30.5%)にヤケドの経験があり、168人(21.2%)にケガ(切り傷等)の経験があった。保護者の対策としては、口頭注意が中心であり、市販のチャイルドロックやベビーゲートの設置も多かった。
著者
藤田 眞作 小山 行一 小野 茂敏
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.1, pp.1-12, 1991-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
19
被引用文献数
11

インスタントカラー写真に用いるo-スルホンアミドフェノール色素放出剤の分子設計における知見を述べる。この化合物の色素放出能力は,酸化と加水分解による。これらの効率が,ベンゼン環の置換基によって,大きく変化することを見いだした。とくに,相当する酸化体(o-キノン・モノスルホンイミド)の加水分解の副反応を調べ,それがt-ブチル基の立体障害により抑止できることを見つけた。一方,放出されるアゾ色素の堅ろう性は,アゾ成分中の電子供与基の存在で向上することを示した。色素放出剤の合成設計においては,o-アミノフェノール中間体の合成経路を種々検討した。その中から,ベンゾオキサゾールを経由する経路を開発した。Beckmann転位によるベンゾオキサゾールの合成法,スルホニルクロリドの合成条件,2-メトキシエトキシ基の導入方法,キノンの新規還元法を述べる。この研究によって,この色素放出剤を用いるインスタントカラーフィルムが,実用化された。
著者
小野澤 寿志 持木 彫人 福地 稔 熊谷 洋一 石橋 敬一郎 石田 秀行
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.2433-2437, 2015 (Released:2016-04-29)
参考文献数
14

症例は66歳,男性.胃癌U,Post,cType2,cT2,N0,H0,P0,M0,cStage IBの診断にて,腹腔鏡下胃全摘術,D2(-10)郭清術,Roux-en-Y再建術を施行.術後,第3病日より39度台の発熱を認め,第7病日に施行した上部消化管造影検査で,吻合部から腹腔内への造影剤流出を認め,縫合不全の診断となった.第8病日,透視下内視鏡下に経鼻胃管による経鼻経食道的腹腔ドレナージを開始.第22病日(ドレナージ開始後12日目)に膿瘍腔の消失を認めたため,胃管抜去しドレナージ終了した.その後は症状再燃なく,第38病日に退院した.胃癌術後の縫合不全により生じる腹腔内膿瘍に対し,経腹的アプローチが困難な症例でも,本治療法は低侵襲的に治癒可能であり,有用と考えられる.
著者
小野 正樹
出版者
筑波大学留学生センター
雑誌
筑波大学留学生センター日本語教育論集 (ISSN:13481363)
巻号頁・発行日
no.13, pp.117-128, 1998-02-20

本研究は日本語とドイツ語の初級教科書のダイアローグを取り上げ,情報提供内容の異なりを見たものである。言語と情報提供内容の関わりがあると仮定した上で,情報内容を情報提供者の1)アイデンティティ,2)感覚,3)行為,4)所有物,5)家庭,6)所属組織,7)所属地域,8)文化の8 つの範疇に分類し,どのような情報内容が初級教科書で取り上げられているのかを観察した。その結果,日本語では家庭や所有物についての情報提供が多く,また,目標言語からみて異国で作られた教科書は文化の内容が多いことが明らかになった。\This paper examines the tendency of "informative" content in conversations found in textbooks of Japanese and German. The following eight areas of information are investigated: 1) identity, 2) feelings, 3) activity, 4) possessions, 5)family, 6) organization of affiliation, 7) area of affiliation and 8) culture. We conclude from this observation that we can see more information about family and possessions in Japanese textbooks, and that the textbooks written abroad involve more information about culture.
著者
島田 潤一郎 松田 信二 町田 利生 永野 修 本間 甲一 沖山 幸一 小野 純一
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.222-226, 2009

超急性期脳梗塞に対する血栓溶解療法において,初診時軽症または急速な症状改善のみを理由に適応除外された症例の予後を検討した.【方法】2002年4月から2007年9月に発症2時間以内に来院した脳梗塞症例のうち,初診時軽症あるいは急速な症状改善のみを理由に経動脈的又は経静脈的血栓溶解療法から適応除外された70例を対象とした.退院時予後不良(modified Rankin scale &ge;3)の割合および予後不良に関与する因子を統計学的に検討した.【結果】対象は男48,女22,平均年齢70.3才.初診時軽症による適応除外45例中3例(6.7%),急速症状改善による適応除外25例中8例(32%)が予後不良であり,症状改善を理由とした群で高率であった(Fisher直接法,p=0.0128).【結論】急速な症状改善のみを理由とした適応除外例では退院時予後不良の割合が高く,除外決定には慎重を期すべきである.<br>
著者
海津 正倫 JANJIRAWUTTIKUL Naruekamon 小野 映介 川瀬 久美子 大平 明夫 PRAMOJANEE Paiboon
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-11, 2022 (Released:2022-03-03)
参考文献数
12
被引用文献数
1

タイ国南部ナコンシタマラート海岸平野の砂州の形成と発達を,衛星画像,DEM,掘削調査,堆積物の年代測定結果などに基づいて明らかにした.砂州Iは長さ80 kmに及ぶ連続性の高い砂州で,砂州Iの背後にあたる砂州の西側には低湿地が広がり,泥炭層が形成されている.泥炭層基底付近の年代から砂州Iは7500年前頃形成されはじめたと考えられる.砂州Iの東側には砂州IIが発達し,最も新しい砂州IIIは現在の海岸線を縁取るように発達している.埋没砂州Yは海岸平野南部のフラバット山付近から南に向けて延びており,海岸平野の西縁付近には更新世に形成された砂州Xが顕著に発達している.これらのうち,砂州X,砂州I,砂州IIが北から南に向けて発達したと判断されるのに対し,砂州IIIは北のパクファナン入り江に向けて延びている.このような違いは1500年前頃以降の海況の変化を反映していると考えられる.
著者
武田 将明 小野 正嗣 都甲 幸治 久保 昭博
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、世界文学、フィクション論、現場との交流という3つの角度から、現代における文学研究の可能性を広げることを試みた。世界文学に関する、ともすれば英語圏中心の考え方を批評し、また、現代の文化人類学・AI研究を文学研究に応用する可能性を模索し、最新のフィクション論から改めて文学の意味を捉え直し、国内外の文学者・研究者と幅広く交友することで、批評・研究が文学の現場に生かされる可能性を模索した。
著者
小野 田武 和田 啓輔
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.515-523, 1983-06-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
17

The growing scope of homogeneous metal catalyst in C1 chemistry is briefly reviewed. The matal catalyzed C1 reactions, important from industrical point of views, are classified, first, into several groups, in words of the starting material or the reaction pattern. Then, the relationships, between the elemental reaction path and the characteristic feature of the metal center, are discussed. Finally, some comments are added for application of the homogeneous catalyst to the actual commercial plant.
著者
山田 正人 遠藤 和人 立尾 浩一 小野 雄策
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第19回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.48, 2008 (Released:2008-11-25)

産業廃棄物等の排出源は多種多様であり、異物の混入や有用成分含有の高低などの要因により、素材産業で直接活用できない廃棄物も少なくなく、これらの廃棄物を活用する産業の受入条件にあった原料に加工する役割を破砕選別業者が担っている。また、破砕選別業者は、分散した排出源から収集された廃棄物を集約し、より遠方の利用者への供給を行うなどの輸送効率の改善も担っている。 このように破砕選別技術は、廃棄物から循環利用される有価製品または廃棄物製品(処理費を利用側に支払って利用)を生産しており、産業廃棄物分野における循環型社会形成のコアとして機能しているが、同一の廃棄物であっても、破砕選別による生産品の質や生産物の輸送先、残さの埋立処分費等が廃棄物の発生や利用の地域や破砕選別施設が有する技術によって異なり、コスト構造が複雑である。そこで、破砕選別技術に要する処理コストの構造を明らかにし、破砕選別技術の活用を誘導する要因を解明するための基礎情報を収集した破砕選別対象品目の処理費用と再生利用率の関係を整理した内容を報告する。