著者
尾崎 奈津
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.65-79, 2007-01-01 (Released:2017-07-28)

本稿は否定命令文の機能と特異性,さらに命令文と否定の関わりについて記述したものである。従来,叙述の否定文は先に肯定的想定があってはじめて使用されることが知られているが,否定命令文も叙述の文と同様,肯定的な事態,すなわち命令文の対象となる行為が先にあって使用される。そしてその行為の成立する時間および意志性という二つの要因により,文の機能が,事態の実現を要求する《命令》から,〈不満の表明〉・〈当為的判断〉・対象となる行為に対する〈評価〉・〈願望〉に変化する。実例では後者の《命令》以外のもののうち,叙述文的な機能を担う〈不満の表明〉〈当為的判断〉〈評価〉の例が非常に多く出現する。しかもその中で〈評価〉は否定命令文に特有のものである。こうしたことから,否定命令文は肯定命令文に比べて叙述文に傾く傾向が強いといえる。
著者
永渕 裕子 伊藤 彦 小泉 宏隆 風間 暁男 高木 正之 山田 秀裕 尾崎 承一
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.75-81, 2016-03-30 (Released:2016-05-31)
参考文献数
13

子宮腫瘍と両側副腎腫瘍を呈した悪性リンパ腫(ML)合併シェーグレン症候群(SjS)の2剖検例を経験した.症例1:関節リウマチとSjS合併の83歳女性.下腿浮腫精査で子宮腫瘍を指摘.症例2:SjSの83歳男性.発熱精査で両側副腎腫瘍を指摘.2例共生検できず.剖検でびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の診断が確定した.MLによる子宮と副腎病変は稀で,SjSでの報告はない.SjSに合併する腫瘍の鑑別として重要と考え,報告する.
著者
浅野 一朗 藤井 繁佳 尾崎 和人 竹原 功 矢野 夕幾 福原 育夫
出版者
一般社団法人 日本食品工学会
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.133-141, 2005-06-15 (Released:2010-06-08)
参考文献数
17
被引用文献数
8 9

コーヒー飲料製造業において, コーヒー抽出粕は燃料や産業廃棄物として処理されている.コーヒー抽出粕にはβ-マンナンが多く含まれており, 著者らはコーヒー抽出粕の有効利用法として, 抽出粕に含まれるマンナンを加水分解して得られるマンノオリゴ糖 (MOS) の生理機能性について検討してきた.本研究では, MOSを含むコーヒー飲料の体脂肪に及ぼす影響について, 二重盲検ヒト試験で検討した.肥満 (1度) (25kg/m2≦BMI<30kg/m2) の成人30名を2群に分け, 一方には1日300mLの飲用でMOSを3gが摂取できる試験コーヒー飲料を.もう一方にはMOSをコーンシロップソリッドで置換したコントロールコーヒー飲料をそれぞれ12週間摂取させた.そして, 摂取開始時, 4週目, 8週目, 12週目に医師による診察, 採血尿, 理学検査, CT撮影を行った.試験飲料群は, コントロール飲料群に比べ臍部横断面全脂肪面積, 皮下脂肪面積, 内臓脂肪面積の有意な低下が観察された.これより, 本試験飲料 (MOS摂取量: 3g/日) の摂取により, 体脂肪を減少させることができると考えられた.
著者
尾崎 新平 草場 正彦 植田 耕造 宮本 定治 恵飛須 俊彦
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.32-36, 2017 (Released:2022-09-03)
参考文献数
14
被引用文献数
1

Lateropulsion は,脳幹損傷後で起こる左右方向の姿勢制御障害として報告されているが,介入報告はほとんど見当たらない.近年,介入として直流前庭電気刺激(GVS)が注目されている.今回,lateropulsionを呈した一症例にGVSを実施し,即時効果を検証した.症例は60歳代の男性で,診断名は脳梗塞(小脳,橋,中脳).実験デザインは,シングルケースデザインの操作交代デザインを使用した.刺激条件とControl条件を5回ずつ乱数表に基づいてランダムに実施し,各々の条件中の足圧中心(COP)動揺を重心動揺計で計測した.解析方法は,randomization検定を用い,刺激条件とControl条件でCOP変数を比較した.評価時期は発症から38日目に実施し,計測は1日のみで即時効果を判定した.結果は,左に偏倚していた重心位置がGVS中ほぼ正中になり,GVSの即時効果があることが示された.
著者
木村 優里絵 尾崎 知伸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回 (2018) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1H2OS13b02, 2018 (Released:2018-07-30)

不完全情報ゲームの一つである人狼ゲームでは,ゲーム中の会話から,他プレイヤの役職を推定することが重要となる.本論文では,役職推定の更なる精度向上を目的とし,複数のベクトル表現と多様な集計方法を用いて各プレイヤの発言をベクトル化する手法を提案する.また人狼BBSのログデータを対象に,種々の分類モデルを用いて提案手法を評価する.
著者
尾崎 昭弘 高田 外司 浦山 久嗣 熊本 賢三 榎原 智美 坂口 俊二
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.727-741, 2006-11-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
23

背部の経穴位置決定の基準とされ、歴史的にも論議が繰り返されてきた「大椎」の経穴位置に焦点を絞りシンポジウムを行った。シンポジストからは、 (1) 経穴の位置は、時代や文化と共に治療対象・治療目的・治療用具によって変化していることから、「大椎」の位置が第2頸椎棘突起上部、第6・7頸椎棘突起間、第7頸椎・第1胸椎棘突起間と変遷してきたのも例外ではないとする見解、 (2) 背部取穴法の基準点である「大椎」の位置が異なると、臨床的価値が無意味なものになるので第6・7頸椎棘突起間に統一すべきであるとする見解、 (3) 頸椎のなかで体表臨床学的に重要なのは第6頸椎であり、運動性と脊椎の区分という点では第7頸椎であるが、鍼灸の発達してきた過程を考えると「大椎」の位置は臨床的効果から決めるのが合理的であるとする見解、 (4) 第7頸椎・第1胸椎棘突起間を国際標準化案として作成しているが、この位置については中国・韓国共に異論がないので現行のままで良いとする見解、が寄せられた。本シンポジウムでは、統一見解をみるには至らなかったが、「大椎」は臨床的にも重要な意義を有しており、今後に検討が必要である。
著者
堀内 康生 木寺 克彦 志野 和子 尾崎 元 舟木 仁一 上野 成子 吉村 彰友 菅原 猛行 藤谷 宏子 玄 俊孝 更家 充 中島 理 一色 玄 夏原 由博
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.15-21, 1990-08-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

7施設に通院ないし入防中のダニに高い抗体価を有する喘息児47例を対象に防ダニ布団カバーを使用し臨床症状の経過およびダニ数の計測を行った. ダニ数の計測に際し, 防ダニカバーを使用しない群を対象群とした. 防ダニカバー使用群では使用1カ月後にダニ数は著明な減少を認めた. 発作点数も減少し咳漱・夜間睡眠などの臨床症状も改善した. しかし, 夏季にはダニ数が増加し, 臨床症状も悪化した. 室内のダニ繁殖による侵人が考えられ, この時期には除湿や部屋の掃除を徹底することが必要かと考えられた.
著者
高野 勝弘 尾崎 由基男
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.953-959, 2008 (Released:2009-01-13)
参考文献数
10
被引用文献数
5 1

To monitor the effectiveness of anti-platelet therapy should be important since anti-platelet drug "resistance" or non-compliance can be evaluated clearly by it. However, the anti-platelet therapy monitoring is not widely practiced, probably due to poorly-standardized platelet function test. Among the anti-platelet drug resistance, aspirin resistance is one of the most important topics in clinical thrombosis and hemostasis field. Also, clopidogrel resistance recently became a big issue. Monitoring of anti-platelet therapy is needed for further understanding of these anti-platelet drug resistances.
著者
尾崎 一郎
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2022-06-30

本研究は、専門家ですら読解に困難を覚えるほど、極めて複雑化した現代日本の法言語、すなわち法令の条文と判決文とについて、美的洗練という観点から、簡潔明瞭な言語への転換が人々の法への理解度と共感度を大きく改善することを実証し、法化時代を迎えた日本の法令や判決が今後備えるべき美的合理性の具体的な形を実践的に提言するものである。実証の手段として、法言語の計量分析と実験室を用いた社会心理実験を併用する。
著者
宮本 英昭 石上 玄也 田中 宏幸 尾崎 正伸 日野 英逸
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

数値計算とデータ解析により火星表面は水平方向に飛来するミュオンが地球上より多く存在し,ミュオグラフィが適用しやすいことを確かめた.ピンゴ状地形の内部氷コアをモデル観測シナリオとして,30日程度で観測可能となる超小型ミュオグラフィ装置を設計し,この原理実証モデルを開発した.地上の3地点で5週間に渡り実証試験を実施し,開発した装置が十分な精度で密度構造を計測可能なことを確かめた.3年と短い研究期間であったが,世界発の宇宙版ミュオグラフィ装置の原理実証機の作成と運用,さらに火星で運用するための移動手段の開発・運用に成功し,予定以上の大きな成果を得ることができた.
著者
尾崎 由佳
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PA-004, 2021 (Released:2022-03-30)
被引用文献数
1

経験サンプリング法(ESM)とは,一日数回×数日間にわたって繰り返し自己報告を求めるという調査手法である。スマートフォンの普及にともないESMの実施が容易になったことから,近年,大きな注目を集めている。exkumaは,ESMのために開発されたソフトウェアである。通信アプリLINEを通じたシグナリング(回答タイミングの通知)と,Webブラウザで回答データ収集を行うという特徴を持つ。本研究では,exkumaを用いてESM調査を実施し,シグナリングの効果検証を行った。調査1には大学生306名が参加した。4回×5日間にわたるシグナリングに対して,有効回答は81 %と高い回答率が得られた。調査2には国内の20歳~69歳の成人145名が参加し,4回×7日間のシグナリングに対して90 %の有効回答が得られた。また,調査1・2に共通して,調査時間帯(9時~21時)内にシグナル送信時刻が均等に分布しており,従来の疑似ランダムによる方法よりも適切に無作為化されたシグナリングが行われていることを確認できた。これらの結果はいずれも,exkumaによるシグナリングの有効性を示唆している。
著者
尾崎 護
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2002

制度:新 ; 文部省報告番号:乙1669号 ; 学位の種類:博士(法学) ; 授与年月日:2002-02-12 ; 早大学位記番号:新3285 概要書あり
著者
田島 怜奈 尾崎 正明 内山 瑛美子 西田 佳史 山中 龍宏
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.554-557, 2022 (Released:2022-07-20)
参考文献数
13

Many serious injuries occur in preschools. Effective injury prevention requires measures customized to the individual preschool. This paper proposed a field-adaptive injury prevention support system that combines both epidemiological analysis of big data of accidents occurred at Japanese preschools and video analysis on accidents/incidents occurred at a specific preschool. While the big data analysis revealed serious injury patterns common in preschools, the video analysis allowed us to extract behavioral patterns in real situations arising at the target preschool. Analysis from both sides enabled the grasping of the behaviors and environments that could lead to serious accidents at the target preschool.