著者
橋壁 道雄 山崎 雙次
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.65-69, 2003-02-01 (Released:2008-05-23)
参考文献数
12

帯状疱疹後神経痛21例にワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(商品名: ノイロトロピン®)を投与し,その前後で疼痛スコアを測定した。ノイロトロピン投与前後のスコアを全体で比較すると有意な差はなかったが,投与後には低下傾向がみられた。21例中8例(38.1%)については明らかなスコアの低下がみられ有効であったと考えた。また,サーモグラフィーを用いた投与前後の皮膚温の比較では,投与前に皮疹部の皮膚温が健側より低下していた症例は,差がなかった症例より有意にノイロトロピン有効例が多かった。有効例8例中5例(62.5%)にサーモグラフィー上,皮膚温上昇が認められたが,不変·無効例13例では全例に投与後に有意な皮膚温上昇は見られなかった。また,有効例は不変·無効例より有意に投与前の疼痛スコアが高かった。よって,PHN患者ではサーモグラフィーを施行し,皮疹部の皮膚温の低下がみられた場合,あるいは投与前の疼痛スコアが高い症例にノイロトロピンの投与を行うと疼痛の軽減が期待できるものと考えた。
著者
山崎 本務 畠山 久 永井 正洋 室田 真男
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.735-736, 2018-03-13

近年、ICTを用いた疑似体験型避難訓練システムが提案されている。先行研究では、タブレット端末に震災による被害状況を表示し避難訓練学習を行った。しかし、大規模地震発生時の複合的な被災状況を再現できないという問題点があった。そこで本研究では、大規模地震発生時に安全な避難行動を取るために周囲の状況を適切に判断することができる能力育成を目的とした。そのために、360°画像を用いて学習者の周囲に複合的な被災状況を擬似的に表示できるタブレット端末ベースのシステムを開発した。これにより、学習者は、自分の周りの複合的な状況を観察し、危険性を予測する訓練が可能となる。本システムを活用して高等学校における避難訓練を実践し、効果の分析と評価を行った。
著者
小川 峻右 山崎 和彦
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

近年キャラクターはテレビや漫画から生まれたものだけでなく、企業で開発されたもの、地方自治体で作られたものも多く存在する。日本人の生活の中で様々な世代から支持されるキャラクターには共通要因、パターンがみられる。共通要因とパターンをキャラクターから抽出し、それらを取り入れた新しいキャラクターの発想法を考案することを研究とする。
著者
山崎 浩史 西山 謹吾 片岡 由紀子 岡本 健 山崎 史幹 島津 友一 真鍋 雅信
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.211-214, 2003-04-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
15

Thirty-three people (nine groups) ingested fish belonging to the grouper family; eleven people subsequently complained of muscle pain and muscle weakness of the neck, shoulder, hip and thigh 3 to 43 hours after the meal. Rhabdomyolysis was suspected based on the patients'symptoms and the results of blood examinations, and five patients were admitted to hospital. Fluid therapy was administered, and all of the patients recovered and were discharged from ospital on the 4th day of admission. A palytoxin-like substance was detected in the fish and was presumed to be the cause of the rhabdomyolysis. If patients with food poisoning complain of muscle pain and have no symptom of the digestive system, the possibility of poisoning by palytoxin or a palytoxin-like substance should be considered. Although such poisoning is commonly caused by parrotfish, other fish species may also carry these substances.
著者
奥 猛志 井形 紀子 豊島 正三郎 重田 浩樹 山崎 要一
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.463-468, 2008-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
23
被引用文献数
3

小児の歯科治療に対する年齢別適応性ならびに笑気吸入鎮静法の使用有無別でのトレーニング回数を調査し,以下の結果が得られた。調査対象は,742名(男児390名,女児352名),平均年齢6歳3か月(1歳~15歳)の健常児である。1. 3歳未満の小児では歯科治療に対して協力を得ることは難しかった。3歳児は協力度が57 .7%と歯科治療に対する適応・不適応のターニングポイントであり,それ以降は暦年齢の増大とともに増加した。2.トレーニング回数は3歳児の平均が2.0回であり,暦年齢の増大とともに減少した。3.笑気吸入鎮静法を使用した患児のトレーニング回数は使用しなかった患児と比較して多い傾向が認められた。
著者
山崎 信明
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.63, no.509, pp.189-196, 1998-07-30 (Released:2017-02-02)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

In this study, I reserch Otai which is a post town of old Nakasendou in the Edo era. I analize the regional characteristics of the house plan and the townscape in the "Shukuezu"; old maps in the middle of the Edo era. As a result, the following things can be said ; relatively small houses were intensively seen both in Kamimachi and Shimomachi while rather big houses were seen in Nakamachi, each town had its own streets view, those small houses had many similarities with neighbor farmhouses in terms of the size and the house plan.
著者
Michel Nicolas 坂田 隼人 栗田 啓大 山崎 俊彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1O101, 2018 (Released:2018-07-30)

バナー広告においてクリック率は広告効果を評価する上で非常に重要な指標である。広告主は大量の広告画像候補を経験と直感に基づいており、効果測定をする際には実際に広告配信することで行わなければならない。このプロセスは非常に時間と労力がかかる上、効果測定のための広告コストや、本来ならば高い広告効果が出るはずだった画像が担当者の判断によって配信されない機会損失が発生するなどの問題がある。そこで、私たちは広告画像からクリック率の高いものと低いものを分類する技術をCNNによって実現した。はじめに、画像や画像及び広告に関する様々なメタデータからクリック率を予測するモデルを構築した。これにより、広告業界の人間による広告効果予測の精度を大幅に上回ることを示した。また、CAMを適用することにより、広告画像のどのような領域や要素がクリック率を高めるのかを示唆するシステムを構築した。本研究により、広告画像のいち早い評価と広告画像作成においてデータに基づいた示唆を与えることに成功した。
著者
近藤 美弥子 中澤 誠多朗 岡田 和隆 松下 貴惠 山崎 裕
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.17-21, 2018-09

近年高齢者の味覚障害患者は急増しているが,原因が特発性で亜鉛の補充療法で奏功しない場合は,対応に苦慮する症例を少なからず経験する.今回,種々の薬物療法では効果が得られなかった味覚障害に対し,患者自ら自発的に行動療法を実践した結果,味覚の改善が得られた症例を経験したのでその概要を報告する. 症例は 75 歳女性.当科受診4か月前に,突然味覚異常を自覚し,その後舌痛も感じるようになった.そのため耳鼻咽喉科に3か月間通院したが,改善なく当科紹介受診した.当初,カンジダ性の味覚障害が疑われ抗真菌薬が投与されたが,舌痛の軽快のみで味覚の改善は認めなかった.次に,ロフラゼプ酸エチル,亜鉛の補充療法,2種類の漢方薬が長期投与されたが味覚に変化は認めなかった.その頃,テレビで視覚障害患者のドキュメンタリー番組を見て大いに感動し,味覚異常に執着しないで前向きに生活していくことを患者自らが実践するようになった. この行動療法により初診から2年目頃には,食事が美味しいと思えるほどに味覚の回復が得られ,その状態を維持している.
著者
松野 陽一 山崎 誠 新藤 協三 岡 雅彦 中野 真麻理 永村 眞 落合 博志 鈴木 淳
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本研究は各時代を代表する個人言語資料が多数残存する作家の自筆資料を網羅的に収集し、高精度の画像として時系列的に整理保存するとともに、これらの資料を科学的に判定する方法と技術を開発することを目的とした。最大の研究目標であった『自筆画像研究支援ツール』 (これは自筆本画像の任意部分とその解読文とを任意に関連づけ、コメントを付けてデータベースとして格納し、キーワードや任意文字列から、複数の部分画像を検索比較し印刷することのできる画期的なデータベースソフトである)に実際にデータを格納する実験を行い、プロトタイプ版の改良を継続した。現在NT版のみであるが、ほぼ研究上の諸要求に応えるものとして完成していることを検証した。試行版として世阿弥自筆『能本集』と後白河院自筆『梁塵秘抄断簡』を材料としてCD-ROM版を作成した。自筆本の資料調査と収集は所蔵者及び保存機関の許可が厳しいことから、写真による撮影を東大寺と真福寺に限定し、凝然と能信の自筆資料を中心に、それぞれのかなりの年代的幅を持つ個人言語資料自筆資料を収集した。これによって、筆跡の経年変化を分析する上で有力なデータが得られた。研究成果『自筆画像研究支援ツール』の改良と普及のために、平成十四年度学術振興会科学研究費補助金『古典籍・古文書解読のための自習システムの開発』を引き続き申請した。本研究の成果を国文学研究資料館の近くホームページで公開する予定である。
著者
上東 伸洋 坂部 創一 山崎 秀夫
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.273-278, 2016

<p>本研究ではSNS 交流が,共感力や現実の友人関係,QOL(Quality of Life)を連鎖的に向上させるという仮説を設定した。そして,情報系大学生を対象に集合調査法で調査し,共分散構造分析で検証した。その結果,SNS 交流がそれらの要素を向上させていることが検証された。また,SNS 交流のネットと現実の共感力へ及ぼす促進効果が現実友人関係やQOL に与える影響は,SNS 疲れやテクノ・ネット依存症傾向の悪影響よりもその向上効果が高いことが示された。さらに,ネット共感力が現実共感力を向上させる可能性も示唆された。 </p>
著者
山崎 浩 篠崎 勝彦 平田 雄志
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.683-688, 1999-09-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1

凍結濃縮のための氷晶製造技術として掻面型製氷機と側面にフィルターを有する縦型円筒フィルターを連結させ, 氷晶含有比率0.50~0.53の柱状氷晶ケークを製造する技術を開発した.フィルター上部から連続的に排出する氷晶ケーク中の氷晶粒子は製氷機から生成したスラリー中のものと比較して平均粒子径が約2~4倍に成長した.この現象は主にフィルター内で氷晶ケークと濃縮液が分離する過程で生じることが確認された.このような氷晶の成長は主に氷晶間の接触・融合によるものであると考えられる.さらに柱状氷晶ケークをガラス製カラムフィルターに充填し, 冷水で氷晶ケーク内の濃縮液を押し出し置換することにより, 氷晶ケーク内の残留溶質分濃度はmg/lオーダーとなり, 濃縮液をほぼ完全に回収することができた。この方法は遠心分離法と比較して優れた回収性を示し, しかも, 濃縮液の希釈がほとんどないことが明らかになった.
著者
山崎 浩 篠崎 勝彦 平田 雄志
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.704-707, 1998-07-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1

10kg/m3CCNa溶液を用いてアイスライニングによる凍結濃縮における氷晶層中への溶質の取り込みについて撹拌回転数Nとブライン温度と溶液の氷点との温度差ΔTをもとに検討した.溶質のみかけの分配係数Kへの影響はΔTよりNの方が大きい.ΔT=2.8~7.9℃, 撹拌回転数N=20~400min-1の条件下における氷晶層の成長速度は10-7~10-6m/sである.氷晶層への溶質の分配係数Kは氷晶層の成長速度より, むしろ, その氷晶層の表面状態の影響を受ける.氷晶層の表面状態は凍結界面の溶液側の撹拌によって影響を受け, 弱い撹拌条件下では複雑な形状の氷晶層が生成し, その比表面積は大きくなる.そのため氷晶表面に付着する溶質量が多く, 結果的に氷晶層に取り込まれる溶質量も多くなるものと考えられる.
著者
山崎 浩 矢沢 久豊 平田 雄志
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.30-36, 1998-01-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
9
被引用文献数
6 9

ジャケット付き撹拌晶析槽の内壁面に予め形成した氷層から氷晶を成長させることによってのみ溶液が濃縮される新しい凍結濃縮法 (アイスライニング法) を開発した.セファロスポリンCNa溶液の凍結過程について濃縮液の濃度と液量を測定することにより, 本法はアイスライニングを使用しない単純凍結と比較して高濃縮液の回収に極めて優れていることが明らかになった.溶質の見かけの分配係数は, 濃縮液の溶質濃度に対する氷の溶質濃度の比として定義した.実験の結果, 分配係数は, 供給液濃度が低い場合, ブライン温度と供給液の氷点が小さい場合, また, 撹拌速度が大きい場合に減少した。さらに, 本法は, 蒸発濃縮法と比較して濃縮液中の溶質の劣化がほとんどないことが確認された.
著者
加々良 耕二 山崎 広志 矢沢 久豊
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.604-609, 1994-09-15 (Released:2009-11-12)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

フォスミドマイシン精製晶析は液滴からの溶媒の物質移動を伴う結晶化過程と, 撹拌による析出結晶の機械的破砕過程を含む複雑な晶析法である.本晶析法によって得られるフォスミドマイシンの粒径および粒径分布をコントロールするため, 5lベンチスケールおよび200l一パイロットスケールで実験を行い, 粒径に関しては単位体積当たりの撹拌所要動力 (n3d5/V) およびZ因子が, また粒径分布に関しては単位時間当たりの流体の平均循環回数 (nd3/V) が装置形状・スケールに関係なく良好な相関関係を与えることを見出した.さらにこの因子を仕様の異る無菌室の200l晶析槽に適用した結果, 製剤化に適した所望の粉体特性を有するフォスミドマイシンが得られた.