著者
宮脇 淳 石井 吉春 遠藤 乾 山崎 幹根 林 成蔚 木村 真 若松 邦弘
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

台湾の直轄市制度の拡充に伴う政府間財政調整制度改革の政策議論、韓国の広域市制度の展開、欧州の財政危機問題に伴う財政と政治の理論的関係等について合意形成にまで掘り下げた比較研究を行い、その成果を日本の地方分権議論に反映させる調査研究を行った。とくに、台湾の直轄市制度に関する調査研究は、日本の大都市制度議論、財政調整制度のあり方、そして閣議意思決定との関係について新たな視野を形成した。
著者
[ウネ]村 泰樹 野尻 卓也 小川 匡市 三澤 健之 池内 健二 山崎 洋次
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.142-145, 2001-02-01
被引用文献数
9

症例は71歳の女性.22年間の血液透析歴がある.以前より左側腹部を中心とした腹痛が時にあり, 大腸憩室および虚血性腸炎と診断されていた.1997年に大腸鏡下生検を施行し消化管アミロイドーシスと診断された.本年1月, 下腹部痛のため緊急入院翌日に下腹消化管穿孔と診断し緊急手術を施行した.直腸Ra後壁に径約1cmの穿孔があり, 同部には径約3cmの硬便が存在していた.穿孔部を含む大腸部切除および人工肛門造説術を施行した.粘膜下の小血管壁などにびまん性に β_2-microglobulin 染色陽性のアミロイドの沈着を認めた.穿孔機序としては憩室炎, 硬便による機械的圧迫の他に, アミロイドによる腸壁虚血の関与が示唆された.長期透析患者では, 透析アミロイドーシスを消化管穿孔の危険因子として認識する必要がある.
著者
長谷 和徳 西口 純也 山崎 信寿
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム
巻号頁・発行日
vol.15, pp.187-198, 2000
被引用文献数
20 6

Many computer simulation studies of human bipedal walking have been conducted in the field of biomechanics. The musculo-skeletal systems in previous models, however, have been simplified two-dimensionally, and theoretical methods in robotics have been applied for the motor control mechanisms. The purpose of this study was to develop a more precise simulation model of human walking in order to improve the practicability of the simulation method. As a result, a model was created in which the musculo-skeletal system of the entire body is modeled three-dimensionally, and a mechanism for motor control was constructed by a neuronal system model having a hierarchical structure. The inertial properties of the entire human body were represented by a three-dimensional , 14-rigid-link system. These links include the feet, calves, thighs, pelvis, lower lumbar region, upper lumbar region, thorax, upper arms, and forearms. The body's dynamic model is driven by 42 muscles for the entire body. The arrangement of each muscle was represented as a series of line segments, the direction of which changes according to joint angle. Energy consumption, including heat production, in the muscle was calculated from the generating tension. The hierarchical neuronal system includes three levels. First, at the highest level, there is a neuronal system corresponding to the higher center level. The function of adjusting changes in walking pattern is assumed to exist at this system level. The model was expressed by a computational multi-layered neural network. Second, at the middle level , there is a neuronal system corresponding to the spinal cord level. This neuronal system, representing a rhythm-generation mechanism, was modeled as a network system consisting of neural oscillators. They generate the neuronal stimulus combined for each degree of freedom by receiving nonspecific stimulus from the higher center and feedback signals from the somatic senses. Each neural oscillator is mathematically expressed by two differential equations. Third, at the lowest level, there is a neuronal system corresponding to the peripheral level. The neuronal system divides the combined neuronal stimulus from the neural oscillator into the neuronal stimulus to each muscle. The model is mathematically represented as an optimization problem. The simulated walking pattern was continuous and stable. The walking pattern closely agrees with actual human walking in terms not only of joint movement but also of muscle activities and energy consumption. In order to investigate the effects of higher center system functioning in adjusting walking patterns, we compared a walking pattern generated by a model incorporating a higher center system with the patterns obtained from a model without the higher center system, in terms of robustness of mechanical perturbation. Although the model without the higher center system could not stabilize its walking pattern and finally fell down, the model with the higher center system could perform continuous walking without falling down.
著者
常本 照樹 佐々木 雅寿 山下 龍一 桑山 敬己 長谷 川晃 辻 康夫 会澤 恒 山崎 幸治 本多 俊和
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

「先住民族の権利に関する国連宣言」は、世界の先住民族にとって共通に必要な権利を謳うとともに、個々の先住民族及び関係する国家の実情に応じた権利実現を認めている。2008年に国会及び政府はアイヌ民族を先住民族と認めたが、日本及びアイヌ民族の実情に応じた権利実現のあり方としては、憲法13条の「個人の尊重」を基本とし、個人としてのアイヌがアイヌとしてのアイデンティティの保持を積極的に選択できる社会の実現を目標とすべきである。
著者
竹田 美文 山崎 伸二 濱端 崇 牧野 壮一
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

腸管出血性大腸菌は、ヒトだけではなく家畜からも多数分離されており、ウシやブタの腸管出血性大腸菌感染症は畜産業界では大きな問題となっている。本感染症の感染源は、主として食肉で感染した家畜の糞便中の腸管出血性大腸菌が何らかの経路でヒトへ感染すると考えられている。従って、家畜の腸管出血性大腸菌感染を予防できるワクチンの開発は畜産業界に有用であるばかりでなく、ヒトの腸管出血性大腸菌感染、それに引き続く出血性大腸炎や溶血性尿毒症症候群の予防にも有効である。本研究では、ブタの浮腫病の原因である腸管出血性大腸菌に対するワクチン株を構築し、その有効性を証明した。すなわち、浮腫病のブタから分離したベロ毒素(VT2eまたはVT2vp1)を産生する腸管出血性大腸菌について、抗原性は保有するが毒素活性の喪失した変異毒素を産生する変異株を作出した。まず、VT2vp1のAサブユニットN末端から167番目のグルタミン酸(E167)と170番目のアルギニン(R170)を、それぞれグルタミン(Q167)とロイシン(L170)に置換したVT2vp1変異毒素を産生するような遺伝子を作出した。この遺伝子と野生型の毒素遺伝子を相同組換えにより置き換え、変異株を作出した。この変異株は野生型の毒素と同様の抗原性は保持していたが、ベロ細胞を用いた試験により毒素活性が喪夫していた。また、この変異株の豚への毒力を野生株を対照にして調べた結果、病原性は喪失していた。この変異株をワクチン候補株として、感染防御能を調べたところ、変異株を投与した豚群(n=20)は浮腫病由来の野生株の投与に対して浮腫病の発症はみられなかったが、ワクチン株を投与しなかった豚群(n=20)では、12頭が浮腫病を発症し、死亡した。また、変異株投与豚において、血中IgG価および糞便中IgA価の上昇も確認された。
著者
西森 大地 山崎 裕司 中屋 久長 山本 双一 平賀 康嗣 片山 訓博 重島 晃史 高地 正音
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.59-61, 2011-03-31

下肢伸展運動を課題として,徒手による他動的誘導(以下,他動誘導)と徒手抵抗による誘導(以下,抵抗誘導)のいずれが運動再現性の点で優れているかを比較検討した.対象は,健常成人24名の右脚である.12名は靴ベラ式短下肢装具装着下(以下,装着群)で,残り12名は非装着下(以下,非装着群)で実験を行った.仰臥位,右膝関節最大屈曲位を開始肢位とし,他動誘導,抵抗誘導のいずれかのガイドによって開始肢位から再現させる屈曲角度(膝関節90°と60゜)まで誘導し,その運動を記憶するよう指示した.開始肢位に戻した後,自動運動によって運動を再現させ,誤差を求めた.膝関節60°の非装着群における誤差は,他動誘導,抵抗誘導の順に2.49cm,1.54cmであった。装着群では3.68cm,1.57cmであった.両群ともに抵抗誘導において誤差は小さかった(p<0.05 ).膝関節90°では非装着群において有意差を認めなかったが,装着群では抵抗誘導において誤差は小さかった(p<0.05 ).以上のことから,徒手抵抗を加えて運動を誘導する方法が正確に運動を指導することができるものと考えられた.
著者
森 恵莉 松脇 由典 満山 知恵子 山崎 ももこ 大櫛 哲史 森山 寛
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.114, no.12, pp.917-923, 2011 (Released:2012-01-28)
参考文献数
20
被引用文献数
5 12

現在日本で保険適応のある嗅覚検査には, 基準嗅力検査と静脈性嗅覚検査の二種あるが, 基準嗅力検査は実施率, 普及率ともに低く, 静脈性嗅覚検査は疼痛を伴う検査であり患者への侵襲が高い. 嗅覚同定能検査の一つとして開発されたOpen Essence (以下, OE) は, 現在医療保険の適応はないが, その臨床的有用性が期待されている. 今回われわれは嗅覚障害患者に対するOEと自覚症状, 基準嗅力検査, および静脈性嗅覚検査との比較検討を行った. 当院嗅覚外来患者のうち, 嗅覚の評価が可能であった122例を対象とした. OEスコアと基準嗅力検査, 静脈性嗅覚検査, また嗅覚障害に対する自覚症状としてのVisual Analog Scale (VAS) と日常のにおいアンケートとの間にはそれぞれ有意な相関を認めた. また静脈性嗅覚検査において嗅覚脱失を認めた群はOEの正答率が有意に低かった. OEは従来からの検査法である基準嗅力検査と静脈性嗅覚検査および自覚症状をよく反映するため, 一般臨床において広く利用可能な嗅力検査であると考える. なお, OEに含まれるメンソールは詐病を見破れるものとして必要と考えるが, 嗅力を判定する際にはこれを除いて検討する方が良いかもしれない.
著者
山崎 優子 石崎 千景
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、市民の死刑に対する態度(賛成、反対)を形成する心的メカニズムを明らかにすることである。本研究の主要な成果は下記のとおりである。質問紙およびディスカッションによるデータ収集を行い、死刑賛否の理由17項目を抽出した(研究1)。また、質問紙調査を行い、個人の特性に由来する内的要因(たとえば、権威主義傾向)と社会的要因(たとえば体感治安)を考慮した死刑賛否に至るモデルを構築した(研究2)。さらに、死刑制度に関する正しい知識を与えた前後で、死刑賛否に関するモデルが異なること(研究3)、死刑賛否に影響する要因と裁判員裁判の死刑判決に影響する要因が必ずしも一致しないこと(研究4)を示した。
著者
山崎 理美 岩田 宏紀 村田 恵理 片野 由美 石幡 明
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 医学 : 山形医学 (ISSN:0288030X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.45-56, 2011-08-15

【背景】赤ワインに含まれる多種類のポリフェノール化合物(RWPCs)は強い血管弛緩 作用を有する。RWPCs中の血管弛緩作用を有するポリフェノールはいくつか報告されて いるが、RWPCsにはそれら以外にも未知の成分が多数存在することが知られている。本 研究では、血管弛緩作用を有する新たな赤ワインポリフェノールを探索し、その特性を 検討することを目的に、RWPCsの比較的親水性の高い成分を分離・分画してから、(1)特 に強い血管弛緩作用を有する分画を特定し、(2)分子量の測定と構造の推定を行い、(3)血 管弛緩作用の濃度反応曲線を作成し、作用機序を調べた。【方法】(1)RWPCsのうち比較的親水性の高い成分を、高速液体クロマトグラフィーによ り分画した。(2)得られた各成分の血管弛緩作用は、ラット胸部大動脈を用いて検討した。 (3)強い血管弛緩作用を惹起した分画について、MALDI-TOF型質量分析計を用いて質量 分析を行い分子量決定と構造の推定を行った。(4)その分画の血管弛緩作用については濃 度反応曲線を得るとともに、血管内皮細胞の除去、NO・過分極因子・プロスタサイク リンの阻害による影響を検討した。【結果】RWPCsの主要な血管弛緩成分のひとつとして知られているレスベラトロールよ りも低濃度から弛緩作用を惹起する分画が得られた。その弛緩作用は内皮除去により消 失した。内皮細胞での作用機序を調べた結果、血管弛緩反応はNO合成酵素の阻害によ りほぼ完全に抑制された。質量分析では3469Daの分子量が検出され、解析の結果、糖鎖 を付加した配糖体であることが予測された。【結論】今回得られた分画の成分は、RWPCsが惹起する血管弛緩反応において主要な役 割を果たしている成分の一つである可能性が示唆された。分子量3469Daのポリフェノー ルが現在データベースにないことから、新規物質である可能性が示された。
著者
石田 貴昭 山崎 和彦
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第58回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.11, 2011 (Released:2011-06-15)

本研究はデザインプロセスにおいてよりスムーズなコミュニケーションのために視覚的効果の有効性を研究する。視覚化による新しいコミュニケーションの発見や従来のコミュニケーションを円滑に進める事が目的である。想定場面を最もコミュニケーションが重要視されるものづくりとする。さらにスピードという視点も考え、最もコミュニケーションに視覚化が有効に使われる方法を研究する。そして本研究を実際のデザインプロセスの中で活用する事を目的とする。
著者
坪内 暁子 奈良 武司 丸井 英二 内藤 俊夫 加藤 聖子 重松 美加 山崎 浩 FAN Chia-kwung CHANG Nen-chung Chang LEE Yunarn-jang CHANG Yu-sai TSAI Ming-dar JI Dar-der SUKATI Hosea Mlotshwa TU Anthony T.
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

台湾、日本、サントペ・プリンシペでの調査の結果、台湾と日本では医学生であっても感染経路や被害の状況を正確に把握していない、治療に関し最新の正しい情報がないため恐怖心がある、台湾の調査では「対策」の講義の機会のある公衆衛生学科の学生のほうが医学科の学生よりも正確に理解していること等がわかった。HIV/AIDSが日本国内に入って来て約20年が経過したが、新規感染者数は増加傾向にあり低年齢化してきている。日和見感染症や喫煙との関係が深いことは後述する調査で明らかとなった。HIV/AIDSの感染経路となるDrugや喫煙と併せて、正しい基礎知識と予防策を学校教育の中で教えていくことが重要である。
著者
山崎 晴雄 鈴木 毅彦
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

海成段丘上に位置する孤立した短い活断層の成因を検討するため、日本各地の当該断層について、断層地形の特徴、運動様式、地質構造、地震活動等を考察した。その結果、1.沖合に存在する大規模な逆断層のバックスラストと、2.海岸沿いの基盤地質構造が、遠方の大地震や過去の環境条件の変化による応力集中によって再活動したもの、の2タイプの断層があることが判った。何れも起震断層として活動する可能性は考えにくい。