著者
山田 広幸 伊藤 耕介 坪木 和久 篠田 太郎 大東 忠保 山口 宗彦 中澤 哲夫 長浜 則夫 清水 健作
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.1297-1327, 2021
被引用文献数
11

<p> 2017年台風第21号(ラン)対する上部対流圏の航空機観測を、新たに開発したドロップゾンデシステムを備えた民間ジェット機を用いて行った。これは、日本の研究グループがドロップゾンデを用いて非常に強い台風の内部コアを観測した初めての事例である。本論文では、目の暖気核構造と、それに関連するアイウォールの熱力学的および運動学的特徴について記述する。この台風は観測の2日間において、鉛直シアーが強まる環境で最大の強度を維持した。ドロップゾンデにより、この期間に対流圏中層と上層に温位偏差の極大をもつ二重暖気核構造が維持されたことが捉えられた。この2つの暖気核は相当温位が10 K以上異なり、起源が異なることが示唆された。飽和点分析により、上部暖気核の空気はアイウォールから流入したことが示唆された。鉛直シアーベクトルの左半円側におけるアイウォール上昇気流は、台風の中心側で相当温位が高く絶対角運動量が低い2層の構造を持っていた。飽和点とパーセル法の分析から、この中心側の上昇気流で相当温位が370Kを超える暖かい空気が目の境界層から流入し、最終的に上部暖気核に輸送されることが示唆された。これらの結果から、目の境界層を起源とする高い相当温位の空気の鉛直輸送が、鉛直シアーによる台風強度への負の影響に対抗して、上部対流圏の目の継続的な昇温に寄与するという仮説が導かれた。この研究は、相当温位の計算に必要な温度と湿度の測定が、ドロップゾンデのような消耗型の機器でしか行えない現状において、アイウォール貫通型の上部対流圏航空機観測が暖気核構造の監視に重要であることを示している。</p>
著者
山田 滋
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア = Nikkei healthcare : 医療・介護の経営情報 (ISSN:18815707)
巻号頁・発行日
no.379, pp.89-91, 2021-05

(株)安全な介護 代表 山田 滋Q1なぜ、こうした不祥事が発生するのか?Q2利用者の写真のSNS投稿にはどんな罰則があるか? 5月のある日、特別養護老人ホームA苑に併設する通所介護事業所では、認知症の利用者5人と職員数人が近くの公園に散歩に出かけまし…
著者
山田 哲久 名取 良弘 中塚 昭男
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.47-54, 2012-01-20 (Released:2020-09-07)
参考文献数
18

外傷性視神経症に対する治療法として, ステロイドを中心とした保存的療法と視神経管開放術を行う外科的療法がある. これまでもステロイド療法と視神経管開放術で, どちらが視力予後に優れているか検討されてきた. 今回当院で経験した外傷性視神経症10症例に関して検討し, 視力予後改善のための考察を行った. 視力予後改善のためには, 受診時の視力が保たれていること, 可能な限り早期に治療を開始することが重要である. したがって, ステロイド療法を早期に開始し, 症例に応じて視神経管開放術を併用することが視力予後改善につながると考えられる. そのためには, 病歴, 身体所見, 画像所見から外傷性視神経症を疑い, 瞳孔所見を確認し早期に診断することが重要である.
著者
山田 滋
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア = Nikkei healthcare : 医療・介護の経営情報 (ISSN:18815707)
巻号頁・発行日
no.383, pp.97-99, 2021-09

高齢ドライバーの健康起因事故が大きな経営課題になっているのは、バスやタクシーなどの運送事業者です。2018年6月に国土交通省は、バスドライバーで相次ぐ「健康起因事故」を防止するため、運送業界に対して「健康起因事故の防止に向けた健康管理の実施につい…
著者
高木 謙 山田 道男 大杉 政克 根来 健二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.2, pp.260-262, 1987-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Oxy-Cope rearrangement of 4-vinyl-1, .6-heptadien-4-ol [1] at 330°C gave 1, 8-nonadien-4one [4] along with 2, 8-nonadien-4-one [5]. The ketone [4] was converted to the title compound [2] as a mixture of (E)- and (Z)-isomers, by the treatment with LDA and, trimethylsilyl chloride. Alternatively the nonatriene [2] was prepared selectively by the anionic oxy-Cope rearrangement of [1] followed by quenching with trimethylsilyl chloride. Intramolecular Diels-Alder reaction of [2] afforded only cis-3 a-trimethylsiloxy-2, 3, 3 a, 6, 7, 7 a-hexahydro-1 H-indene [3], irrespective of the stereochemistry of [2].
著者
丸箸 圭子 村岡 正裕 中農 万里 横井 彩乃 山田 晋也 中村 奈美 脇坂 晃子 大野 一郎 村上 婦美
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.327, 2018

はじめに当院では2012年より多職種による緩和ケアチーム(以下、PCT)を立ち上げ活動している。その中で重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))の緩和ケアに取り組んだ5例について報告する。症例症例1:亜急性硬化性全脳炎 誤嚥により低酸素性虚血性脳症となる。体位変換、吸引などのケア時にあえぎ呼吸、SpO2低下、徐脈が頻回にみられ、PCTに相談した。あえぎ呼吸の原因が咽頭けいれんによるミオクローヌスであるとの見立てよりクロナゼパムの内服を開始したところ、呼吸状態は改善した。症例2:細菌性髄膜炎後遺症 CTにより偶然、食道がん、多発肺転移と診断。末期がんではあるが苦痛様症状をとらえることが難しく、PCTに相談した。バイタルサインに加えFaces Pain Scaleを用いた評価、疼痛、呼吸緩和の方針、栄養管理、家族へのケアを確認した。症例3:脳性麻痺 介護スタッフの交代を機に摂食量低下した。低栄養に伴う皮膚トラブルなどが増えてきたためPCTに相談。療育、遊びを通してスタッフとの信頼関係を築き、お気に入りの場所や嗜好に合わせた食事内容の検討をしたところ摂食量も増え、活気も戻ってきた。症例4:脳性麻痺 肝細胞がん 診断後定期的にPCT介入し、塩酸モルヒネを少量より開始していたが効果の評価は難しかった。症例5:脊髄小脳萎縮症 がん性胸膜炎 PCT介入にて主な苦痛の原因は上気道閉塞および胸水貯留による呼吸苦と判断し、呼吸リハビリチームに協力を要請し呼吸ケアに重点をおいて関わっている。 まとめ重症児(者)は、言語的コミュニケーションをとることが難しく、苦痛な状態を評価し、治療やケアの方法を選択するのに苦慮する場面が多い。病棟内外の多職種で関わることで倫理的、効果的な治療方針を立てていくことができる。今後もガイドラインに沿いながらも当院の患者に合った緩和ケアに取り組んでいきたい。
著者
山田 英介 林 明徳 稲垣 慎二 岡本 弘 古川 淳二
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.645-650, 1994

ミラブル形およびワンショット法ポリウレタンに対して官能基を有するカルボン酸アルミニウム塩(活性充てん剤)の配合試験を行った. ミラブル形ポリウレタンにおいては, 活性水素をもつ官能基を含有するものを配合すると, ポリウレタンの分解が起こり, 架橋物が得られなかったが, ビニル基を含有するものは, 架橋ポリウレタンの引張り物性を大幅に向上させることを認めた. この架橋物の応力-ひずみ曲線をMooney-Rivlin 式で解析した結果, 活性充てん剤は一次結合の増加に寄与し, 架橋助剤として作用していると考えられる.<br>ワンショット法ポリウレタンでは, ビニル基よりもアミノ基を有する充てん剤の方がイソシアナート基との反応により, 補強効果が大きいことを認めた.
著者
山田 恵敏 竹下 徹斎 田中 順太郎
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.268-284, 1982-04-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
137
被引用文献数
17 22

Phenols, quinones, chromans, and chromens which have polyprenyl units as the side chains in aromatic compounds, are widely distributed in the natural products and many of these compounds are known as biologically active compounds. This review deals with recent advances in the syntheses of Vitamin E (α-tocopherol and α-tocotrienol), Ubiquinones (Coenzyme Q) and Vitamin K (K1 and K2).
著者
山田 敬子
出版者
学習院大学
雑誌
学習院史学 (ISSN:02861658)
巻号頁・発行日
no.35, pp.90-105, 1997-03
著者
高木 麻衣 相良 篤信 石澤 歩実 伊藤 文香 宮崎 雅之 千﨑 康司 永井 拓 山田 清文
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.139, no.10, pp.1327-1332, 2019-10-01 (Released:2019-10-01)
参考文献数
14

The dosage of cisplatin is adjusted according to creatinine clearance (Ccr) estimated by the Cockcroft-Gault formula, which is commonly used as a marker for renal function. It is known that different serum creatinine (Scr) levels are reported depending on the analytical methods utilized such as the Scr level by the enzyme method being lower than that by the Jaffe method. Although the enzyme method is used in Japan, most drug dosages, including cisplatin, are adjusted according to the estimated Ccr using the Jaffe method-based Scr level. The purpose of this study was to investigate whether assessment of renal function with or without Scr adjustment affects cisplatin-based chemotherapy in cervical cancer patients. The patients were divided into two groups, normal (Ccr≥60 mL/min with adjusted Scr) and false normal (Ccr<60 mL/min with adjusted Scr, but Ccr≥60 mL/min with non-adjusted Scr). The false normal group had significantly higher rates of cisplatin dose reduction after the second course than the normal group (p<0.05). Leukocytopenia and Grade 2 or higher neutropenia were significantly more common in the false normal group than in the normal group (p<0.05). These results suggest that evaluation of renal function using the adjusted Scr is important for the accurate dosage of cisplatin and that it helps to improve the patient's quality of life. Further investigations may provide useful information for accurate and safe cisplatin-based chemotherapy for cancer patients.
著者
山田 政信
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.785-806, 2004-12-30 (Released:2017-07-14)

ブラジルではプロテスタンティズムが盛んだが、これはペンテコスタリズムの伸展に他ならない。この動向を探ることは伝統的にカトリックの国であったとされるブラジルの宗教変容を理解するうえで重要だといえる。ユニバーサル教会(Igreja Universal do Reino de Deus)は、一九七七年にリオデジャネイロで創始され、わずかの年限でブラジルのペンテコスタリズムで第三番目の大教団に急成長した。現在では、ラテンアメリカのみならず、多くの国で活動するようになっている。同教団の特徴は、繁栄の神学と悪魔祓いにあり、ネオペンテコスタリズムと呼ばれて従来のペンテコスタリズム教団と区別される。本稿では、同教団の発展要因にかんして、新自由主義経済とマチズム、宣教方法と教え、ブラジルの宗教文化という三つの側面について考察した。そして、宗教教団のグローバル化という現象についてグローカリゼーションの視点で論じるとともに、ネオペンテコスタリズムの可能性と限界を探った。
著者
山田 雅章
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電氣學會雜誌 (ISSN:00202878)
巻号頁・発行日
vol.112, no.11, pp.885-893, 1992-11-20
参考文献数
4
著者
高津 康正 眞部 徹 霞 正一 山田 哲也 青木 隆治 井上 栄一 森中 洋一 丸橋 亘 林 幹夫
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.87-94, 2002-06-01
参考文献数
17
被引用文献数
1

21種のグラジオラス野生種について特性調査および育種素材としての評価を行ったところ,草丈,葉数,葉・花の形態,小花数および開花期等には種によって大きな違いがみられた.また草丈が10cm程度で鉢物に利用可能なもの,現在の栽培種にはみられない青色の花被片を有するものなど,育種素材として有望な野生種が見出された.香りを有する種は全体の52.3%を占め,香りのタイプもチョウジ様,スミレ様などさまざまであることが示された.さらにこれらの野生種について到花日数,小花の開花期間,稔実日数および1さや当たりの種子数を調査し育種上重要な情報を得ることができた.フローサイトメトリーによる解析の結果,野生種においては細胞あたりのDNA含量が多様で,種によってイネの0.9〜3.5倍のゲノムサイズを有するものと推定された.本法による倍数性の判定は困難であるが,種の組合せによっては交雑後代の雑種性の検定に利用可能であることが示唆された.