著者
山田 祐彰 瀧谷 イザベルクリスチーナ 堤 剛太
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ブラジル北部で一世紀にわたり開拓に従事する日本人移民とその子孫は、ジュートとコショウの導入でアマゾンに初めて農業を確立した後、経営多角化を目指して1970年代から遷移型アグロフォレストリーを発展させた。周囲のブラジル人小農に模倣され普及していったが、熱帯雨林地域の環境に適合した持続的農法として国際的な評価を得ている。アマゾンの日系農場と、日系アグロフォレストリーを受け入れたブラジル人小農集落を調査し、この持続型農業体系の普及プロセスを明らかにした。
著者
大場 修 山田 智子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.63, no.509, pp.197-202, 1998
参考文献数
35
被引用文献数
1 1

On this study, by picking up town-houses in Osaka-city of modern ages, I drew the personal style and design of modern ages, investigated the characteristics of them. The summary of this study can be given below: ・The Omoteya-zukuri style which was one of characteristics of town-houses in Edo period was succeeded after Meiji period. ・After the middle of Meiji period, Zasiki room was formed in the second floor of town-house, and it tended tobe main room in town-houses. ・Influenced by extensions of streets, three stories town-houses came into existence after Taisyo period. Many of town-houses in modern ages took in western design. Especially facade and shop space of town-houses have remarkable western styles. But the building style of them succeeded the traditional style of old town-houses in Edo period such as the Omoteya-zukuri style.
著者
山田 偉雄
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.8-11, 1979-03-31 (Released:2012-10-29)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

ベニフキノメイガの発育と温度および日長との関係について調査を行なった.1. 幼虫は4令を経過し, 23℃恒温条件下においては約2週間で蠕化した.2. 卵, 幼虫および蜻期の発育零点は, それぞれ10.9, 12.7および12.9℃と推定された. 発育有効積算温量は, それぞれ51, 156および89日度となり, 産卵から成虫羽化に至るまでの発育零点はほぼ12℃で, 発育有効積算温量は約295日度と算出された. 成虫の産卵前期間における発育有効積算温量は約328日度と推定された.3. 幼虫は, 短日条件によって4令期に休眠した. 休眠誘起の臨界日長は13~14時間であった.4. 雌雄成虫の寿命は, 23℃条件下でともに10日前後, 産卵数は1雌当り約180卵で, 羽化の5日後に産卵のピークがみられた.5. 本種は, 東海地方では, 1年に3~4世代を経過していることが推定された.
著者
坂崎 尚生 側高幸治 長谷部 高行 山田 朝彦 大岩寛
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.2194-2203, 2012-09-15

2011年6月30日に政府・与党社会保障改革検討本部から社会保障・税番号大綱(案)[2]が示された.社会保障・税番号制度は,社会保障や税制を一体的にとらえ,社会保障給付等の効率性・透明性・公平性を高めようという観点から導入が検討されてきた社会基盤である.上記番号制度は社会保障・税分野で利用することを目的とした制度であり,民間への利活用は現段階では検討範囲外である.そこで,産業競争力懇談会(COCN)では,民間への利活用をテーマに,番号制度が国民に安心・安全な社会基盤として受け入れられるように,番号制度の民間利用に関する脅威分析を行い,セキュリティ対策を検討した.本論文は,医療,製品安全,金融の分野での想定したユースケースを基に,課題とその課題を解決するための技術的・制度的対応策をまとめたものである.We discuss the threat analysis in expansion of the use of the social security and tax number system. In this paper, we describe security countermeasures of the number system based on the medical treatment usage, the distribution industry usage and the financial usage.
著者
桝本 妙子 山田 陽介 山田 実 中谷 友樹 三宅 基子 渡邊 裕也 吉田 司 横山 慶一 山縣 恵美 伊達 平和 南里 妃名子 小松 光代 吉中 康子 藤原 佳典 岡山 寧子 木村 みさか
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.390-401, 2015 (Released:2015-10-27)
参考文献数
43
被引用文献数
6

目的 地域在住自立高齢者の転倒リスクとその関連要因および性差を検討した。方法 京都府亀岡市の65歳以上の全高齢者の中で要介護 3 以上を除く18,231人に対して2011年 7~8 月に行った自記式留め置き式質問紙調査への回答者13,159人のうち(回収率72.2%),要支援・要介護認定者を除く「自立高齢者」12,054人について分析した。調査票は個別に配布し郵送で回収した。調査内容には,基本属性,鳥羽らによる転倒リスク簡易評価指標 5 項目,日常生活圏域ニーズ調査基本チェックリスト25項目,老研式活動能力指標13項目を用い,高齢者の諸機能や生活機能の低下の有無を示す 9 つの指標(①運動機能,②低栄養,③口腔機能,④閉じこもり,⑤物忘れ,⑥うつ傾向,⑦ IADL,⑧知的能動性,⑨社会的役割)で調査した。分析は,性,年齢別の転倒リスクとその関連要因および性差をカイ二乗検定とロジスティック回帰分析により把握し,9 つの評価指標を独立変数,年齢と教育年数を共変量,転倒リスクを従属変数とするロジスティック回帰分析(ステップワイズ法)を行って各要因による転倒リスクへの独立した影響を性別ごとに分析した。結果 本調査回答者の過去 1 年間の転倒率は20.8%で,転倒リスク高群は26.6%であった。転倒リスクは,男女とも加齢とともに高くなり,女性はすべての年齢層において男性よりも高かった。また,男女とも,すべての評価指標と転倒リスクとの関連がみられ,それぞれの要因を調整した結果では,男性は運動機能,低栄養,口腔機能,物忘れ,うつ傾向,IADL に,女性は運動機能,口腔機能,物忘れ,うつ傾向,IADL に有意な関連がみられ,運動機能低下は男女とも最も強い要因であった。性差では,低栄養,口腔機能は男性の方に,IADL,知的能動性は女性の方に転倒リスクとの関連が強かった。結論 地域在住自立高齢者の 5 人に 1 人は過去 1 年間に転倒を経験し,4 人に 1 人は転倒リスクを有していた。転倒リスクと 9 つすべての評価指標との間に有意な関連がみられ,とくに男女とも運動機能低下が最も大きかった。また,転倒リスクに影響する要因に性差がみられ,性別を考慮した支援策が必要と示唆された。
著者
兼岩 尭希 中村 剛士 加納 政芳 山田 晃嗣
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.907-911, 2020-10-15 (Released:2020-10-15)
参考文献数
5
被引用文献数
1

擬音語・擬態語の総称であるオノマトペは,音象徴性を持つとされる.音象徴とは,特定の音が特定のイメージを喚起する事象であり,類似した特定の音は類似した特定のイメージを喚起できると考えられる.浦田らは,この音象徴性に基づいて,オノマトペの意味の類似関係をオートエンコーダの中間層によって可視化するオノマトペ・シソーラス・マップを提案した.このマップ上の局所的な位置関係は,オノマトペ間の意味的な類似関係を概略的に表すことができると報告されているが,音象徴の可視化に関して評価が十分なされたとは言い難い.本研究では,音象徴に関する言語学的知見を元に仮説を設定し,マップの可視化能力について検証を行った.検証実験の結果,マップは仮説をある程度支持するものの,一部については仮説と異なる結果が得られた.
著者
寺島 健彦 山田 貴史 奥山 聡 横越 英彦
出版者
静岡県茶業試験場
雑誌
静岡県茶業試験場研究報告 (ISSN:03889114)
巻号頁・発行日
no.25, pp.61-67, 2006-03

茶の成分の一つであるテアニンの生理作用、特に脳機能が関係する生体反応(自律神経活動)や脳機能へ与える作用について、ラットを用いて研究を行った。(1)テアニンの投与は自律神経活動のマーカーである副腎からのアドレナリン分泌に影響を及ぼし、その作用様式は投与濃度により異なることが明らかとなった。(2)テアニンを摂取していることで、両側頸静脈閉塞によって引き起こされる学習能力の低下が抑えられた。(3)テアニンの長期摂取は、脳卒中の発症を遅らせ、その際に起こる組織障害を抑制することが明らかとなった。
著者
宮内 昭 工藤 工 都島 由希子 宮 章博 小林 薫 伊藤 康弘 高村 勇貴 木原 実 東山 卓也 福島 光浩 藪田 智範 舛岡 裕雄 進藤 久和 山田 理 中山 彩子
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.13-17, 2013 (Released:2013-05-31)
参考文献数
10
被引用文献数
1

現在,甲状腺乳頭癌に対しては,腫瘍径,Ex,N,Mの評価に基づいて手術術式が選択され,術後は病理学的所見や術後の血清サイログロブリン(Tg)値に基づき,術後療法が選択されている。本論文では,Tg抗体(TgAb)陰性の乳頭癌においては甲状腺全摘後のTSH抑制下のTg値の変動から求めたTgダブリングタイム(TgDT)が多変量解析において最強の予後因子であることを紹介する。Tg値の変動が重要である。しかし,TgAb陽性患者においてはTg値の信頼性は低い。そこで,TgAb陽性の乳頭癌225症例の甲状腺全摘後のTgAb値の変動と予後との関係を調べると,術後2年以内に50%以上低下した症例は非低下症例より有意に良好であり,多変量解析において優れた予後因子であることが判明した。今後は,旧来のTNM,病理学的分化度による予後予測の時代から,血清Tg,TgAb値の経時的変動分析に基づく動的予後予測の時代へとパラダイムシフトが起こるものと予想される。
著者
山田 浩久
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2020, 2020

<p>_2019年における山形県の総宿泊者数は557万人泊であり,東北6県の中で第4位となっている。しかし,人口(2015年国勢調査)百万人あたりの総宿泊者数は496万人泊であり,第2位にまで順位を上げる。同数値は,北海道と関東7都県を加えた14都道県の中でも第4位となり,全国平均(469万人泊)も上回る。山形県は,ゲスト側から見れば東北6県の中でも中位以下の誘客力しか有していないが,収益の分配や受け入れの負荷といったホスト側からの視点で見ると,東日本でも有数の観光県であると言うことができる。ただし,人口100万人あたりの外国人宿泊者数(21万人泊)については,東北6県内で第4位であり,同全国平均(91万人泊)も大きく下回ることから,山形県の宿泊者数を支えているのは,国内旅行であることが分かる。また,山形県は総宿泊者数に占める県外居住者のシェア(68.0%)が,東北6県の中で最も低く,国内旅行の中でも特に県内旅行に依存する割合が高いことも同県の宿泊者数に指摘される大きな特徴になっている。</p><p> 山形県では2020年3月31日にCOVID 19感染者の1例目が報告され,4月に感染が拡大したが,5月4日に69例目の感染が報告されてからは2ヶ月間感染が確認されず,7月4日に70例目の感染が報告された。山形県の2020年における月別総宿泊者数の対前年同月比を見ると,3月までは60%台を保っていたが,4月には一気に20%を割り込み(18.9%),東北6県最大の下げ幅を記録した。これは4月中の感染拡大によるものである。同県では100万人あたりの累積感染者数(5月5日時点64人)が東北最多となり,特に国内在住者の旅行に負の影響を及ぼした。</p><p> 一般に,国の政策は都道府県を介してトップダウンで市町村に降ろされていく。こうした政策の伝達体制によって生まれる事業実施までのタイムラグは,現況に対する個別事業の遅れに繋がるが,一方で自治体の「考える時間」にもなっていた。日本の観光政策に関しても,2000年代初頭より国家戦略の一つに位置づけられるようになり,観光立国推進基本法による国の制度設計に基づいて都道府県レベルでの観光計画が策定され,それが市町村の観光事業によって具現化されてきたが,COVID19のパンデミックは,トップダウン型の政策伝達体制を機能不全に陥らせた。自治体は「考える時間」を与えられず,独自の判断によって観光に対する様々な問題に対処することになった。</p><p> 4月に発令された全国の緊急事態宣言を受けて山形県が行った主な観光支援施策は,観光立寄施設支援と宿泊支援に大別される。それらは,国の「Go Toトラベル事業」の内容と類似するが,同事業よりも2ヶ月も早く,対象を県内に限定して実施された。そこには,県内旅行に依存する割合が高いという山形県の事情が存在しているほか,同県が2015年に蔵王山の噴火警報発令に伴う風評被害対策のために旅行クーポンを販売した実績と教訓が活かされている。</p><p> COVID 19のパンデミックは収束の気配すらなく,観光も含めた関係人口の大幅減が継続する可能性もある。しかし,全国的な観光政策はインバウンド旅行を基調にしており,中長期的な国の戦略はインバウンドの解禁を想定している。行政による経済的な支援にも限界があり,山形県においても,ホスト側の安全と安心を重視する方針を広域からのゲストに安全と安心を担保する方針に切り替えていくことになることは必至である。観光のパラダイムシフトは,旅行時の「衛生」概念の革新に集約される。わが国において,その転換点は行政による国内観光の支援期間にしか無い。「Go Toトラベル事業」断行の意味もそこに見出される。</p><p> Post-COVID19に向けたスタッフ,施設,ルール作りにおいて,各都道府県が同じスタートライン上にあるという現在の状況は,観光後発県の位置に甘んじてきた山形県にとって,飛躍のチャンスとも言える。積極的な活動によって一歩先んずることができれば,それが他地域との差別化をもたらし,ブランド化にも繋がっていく。人の集まる場所に行く観光から人が集まらない場所に行く観光への変化は,オフシーズンの観光や低活性の観光地を変える大きなきっかけになるはずである。</p>
著者
篠島 直樹 前中 あおい 牧野 敬史 中村 英夫 黒田 順一郎 上田 郁美 松田 智子 岩崎田 鶴子 三島 裕子 猪原 淑子 山田 和慶 小林 修 斎藤 義樹 三原 洋祐 倉津 純一 矢野 茂敏 武笠 晃丈
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.235-242, 2019 (Released:2019-11-15)
参考文献数
14

【背景・目的】当院では難治性てんかんの患児に「ケトン食」を40年以上提供してきた.その経験に基づきIRB承認の下,悪性脳腫瘍患者を対象にケトン食の安全性,実行可能性,抗腫瘍効果について検討を行った. 【対象・方法】2012年11月から2018年10月までの悪性脳腫瘍患者14例(成人10例,小児4例).栄養組成はエネルギー30~40kcal/kg/日,たんぱく質1.0g/kg/日,ケトン比3:1のケトン食を後療法中ないし緩和ケア中に開始し,自宅のほか転院先でもケトン食が継続できるよう支援を行った. 【結果】ケトン食摂取期間の平均値は222.5日(5‐498日),空腹時血糖値および血中脂質値はケトン食摂取前後で著変なかった.有害事象は導入初期にgrade1の下痢が2例,脳脊髄放射線照射に起因するgrade 4の単球減少が1例でみられた他,特に重篤なものはなかった.後療法中に開始した10例中9例が中断(3例は病期進行,6例は食思不振など),緩和ケア中に開始した4例中3例は継続し,うち2例は経管投与でケトン食開始後1年以上生存した. 【考察】後療法中にケトン食を併用しても重篤な有害事象はなく安全と考えられた.長期間ケトン食を継続できれば生存期間の延長が期待できる可能性が示唆された.中断の主な理由として味の問題が大きく,抗腫瘍効果の評価には長期間継続可能な美味しいケトン食の開発が必要と考えられた.
著者
鈴木 宏昭 福田 玄明 鈴木 聡 田中 克明 山田 歩
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第27回全国大会(2013)
巻号頁・発行日
pp.1J3OS22a6, 2013 (Released:2018-07-30)

人間の行う様々な知的活動は感情,動機によって支えられている.近年,これらは意識できないレベルの周辺情報によって大きく影響を受けることが明らかになってきた.本報告では,これらについての認知科学,実験社会心理学の知見を紹介し,AI研究の方法論と組み合わせて,オフィスワーカのモチベーションを向上させるための方策を探究する.