著者
廣瀬 通孝 小木 哲朗 石綿 昌平 山田 俊郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.888-896, 1998-05-25
参考文献数
7
被引用文献数
130

本論文では, 5面のスクリーンを有する多面型全天周ディスプレイCABINの設計, 試作ならびにその特性評価について述べる.このシステムの特徴としては, 利用者の体重を支えることができるように下面スクリーンに強化ガラスを用いていること, CG映像と実写映像の両方を投影できること等を挙げることができる.5面スクリーンを使用することによって, 映像を見渡す際の視野角を大きくとることができ, 更に画面から飛び出して見える3次元物体をいろいろな方向から見回す際の視点の移動可能領域が格段に大きくなることが期待できる.試作システムについてその領域の大きさを定量的に解析した結果, 5面のスクリーンの必要とされる領域が非常に大きいこと, スクリーン枚数の増加による視野角の増大が顕著なことなどが明らかになった.また, 生成された仮想空間の精度についても評価を行ったところ, 中央付近から全体を見渡すような場合には, かなり実空間に近い視空間が生成できていることを実験的に検証することができた.
著者
山田 雅之 Rahmat Budiarto 伊藤 英則 世木 博久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.497-504, 1994-03-15
被引用文献数
8

アヤトリはひもを指に絡めて、その変形を繰り返すことによってさまざまな形を作り出すことができる。本論文では、アヤトリのひもの変形遇程の表現の方法と、この表現に基づくひも図形処理の方法について述べる。まず、指の動作によってひもが変形してゆく過程を表現する方法として、いくつかの基本動作を定義し、これ参に対応する図形をそれそれ重ね合わせる方法を提案する。次に、アヤトリの出来上がり形をこの重ね含わせ図形から生成するアルゴリズムについて述ぺる。最後に、この生成アルゴリズムの有効性をプログラムを作成して確認する。
著者
山田 太造 古瀬 蔵 安達 文夫
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.9, pp.1-8, 2012-10-05

人間文化研究機構は,人文科学研究資源を一元的かつ網羅的に活用できる環境を目的として nihuINT を構築した.本稿では,人文科学研究資源から利用者が求める検索結果を得るための探索支援の方法について述べる.In order to construct an environment where research resources of humanities can be leveraged centrally and comprehensived, National Institutes for the Humanities (NIHU) have developed an integrated retrieval system called nihuINT. In this paper we describe a method of an exploring support which enables a user to obtain from the resources.
著者
保谷 徹 松井 洋子 柴山 守 谷本 晃久 岡 美穂子 五百籏頭 薫 原 正一郎 原山 浩介 須田 牧子 小野 将 山田 太造 横山 伊徳 佐藤 雄介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

本研究では、東京大学史料編纂所の海外史料マイクロフィルム約150万コマ等をデジタルアーカイヴ化し、国内採訪史料とともに学術資源として閲覧公開をはかる。また、在外日本関係史料の調査・収集を進め、マルチリンガル、マルチアーカイヴァルなプロジェクト研究を推進する。①デジタルアーカイヴ構築の面ではマイクロフィルム全2739本からのデジタル画像データのサーバ登録を完了し、このうち約85%については簡易目録ベースでの公開を開始している。今年度は新規収集分を含めて約38万コマを公開データに追加し、累計185万コマとなった。②社会連携・地域連携の試みとして、英国外務省文書FO46(TNA原蔵)に続き、横浜開港資料館所蔵FO262(英国外務省駐日公館文書)マイクロフィルム(約20万コマ)をデジタル化した。史料編纂所と開港資料館でのFO262全体(28万コマ)の検索・閲覧を実現する。③ロシア国立歴史文書館長らを招聘した「日露関係史料をめぐる国際研究集会」をした(5月、東京本郷、日本学士院・東京大学史料編纂所で共催)をはじめ、計3回の国際研究集会を実施して研究成果を発表・発信した。④『ロシア国立海軍文書館所蔵日本関係史料解説目録2』を刊行し、ロシア国立歴史文書館所蔵東アジア三国関係史料解説目録の作成・提供を受けた。⑤各重点プロジェクトで日本関係史料調査と目録研究を実施し、とくに、ロシア両文書館での継続的な史料収集やロシア国立サンクトペテルブルク図書館での史料画像データ収集、ハワイ州立文書館での新規撮影約3500コマなど、さらに古写真史料集『高精細画像で甦る幕末・明治初期日本―ブルガー&モーザーのガラス原板写真コレクション―』(洋泉社)の刊行などの成果があった。⑥前項の海外史料調査・収集の成果に対する社会的反響は大きく、今年度も毎日新聞・読売新聞・朝日新聞・NHK報道などで大きく取り上げられた。
著者
山田 美幸 鶴田 来美 長谷川 珠代
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では独居高齢者に焦点あて、独居による生活の不具合や不安要因を明らかにし、個人の生活に即した介護予防プログラムを開発することを目的とした。平成18年度は、介護予防に関する注意事項や体操を含めた介護予防を目的としたプログラムを作成し、地域の施設等で、のべ179名に実施した。その結果、関節の拘縮や身体機能の低下が見られる参加者があり、これらを予防するために、継続してできるプログラムが必要であることが明らかになった。平成19年度は改良したプログラムをのべ20回実践し、評価を行った。対象者はデイサービスに通所する34名、平均年齢は84.7±4.2歳であった。「布団からの起き上がり」や「いすからの立ち上がり」に対する困難感を抱く傾向があったが、プログラム後はその困難感が減少していた。また、転倒のリスクは「家の中」が多かったが、プログラム後では有意に減少していた。歩行状態は一定距離の歩数が減少し、足の踏み出しが大きくなっていた。続けて、独居高齢者の生活行動パターンと運動量を明らかにするために、3名の自宅に人感センサーを設置した。これによって1日の生活パターンやトイレの回数、室内での部屋移動の状況が把握できた。さらに1ヶ月の情報を得た後、1日あたりの身体活動量を算出し、自宅でできる介護予防プログラムを提供した。また、これを家族が毎日観察し、活動状況によっては家族が高齢者に連絡をするといったコミュニケーションをとる機会にもなっていた。これらの結果より、高齢者は身体機能の低下によっておこる下肢の筋力を使う日常生活行動について不具合や不安を抱く可能性がある。しかし、高齢者の動きを生活活動量として捉え、個別性のあるその人に合った介護予防プログラムを提供することによって、不安や転倒のリスクの減少につながり、効果的であると考える。
著者
青木 多寿子 橋ヶ谷 佳正 宮崎 宏志 山田 剛史 新 茂之 川合 紀宗 井邑 智哉
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

よい行為の習慣形成を目指す品格教育(character education)は,小中連携の9年一貫で,学校・家庭・地域で連携して子どもの規範意識を育む生徒指導体制の確立を可能にする。本研究では,米国の品格教育優秀校の視察を通して,品格教育の実践に関わる具体的な手立てだけでなく,単なる徳の提示にとどまらない品格教育の本質について論考した。加えて,小中学校へのアンケート調査で,品格の構成要素を示した。さらに,品格教育は,1,2年くらいで成果が出るような教育でなく,5,6年目かかること,また特に中学生で大きな成果が見られることを示した。
著者
山田 直史 太田 晴子 岡本 紗季 小橋 華子 榊原 紗稀 秋山 史圭 植田 絵莉奈 郷田 真佑 正 千尋 妹尾 莉沙 中村 宜督
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成25年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.147, 2013 (Released:2013-08-23)

【目的】食品に含まれる抗酸化活性が注目される中、食品の相互作用による抗酸化活性の変化について研究を進めてきた。本研究では、キュウリによるトマトの抗酸化活性の低下作用を、抗酸化活性、ビタミンC含有量およびポリフェノール含有量の測定から解明を試みた。また、サラダの盛りつけを意識して接触状態での影響についても検討を行った。【方法】キュウリホモジネート、トマトホモジネートを1:1で懸濁し、抗酸化活性をDPPHラジカル捕捉活性法で、ビタミンC含有量をヒドラジン法で、ポリフェノール含有量をフォーリンチオカルト法で測定した。また、輪切りにしたキュウリをトマトの断面に接触させたのちに、トマトの抗酸化活性を測定した。【結果】キュウリホモジネート、トマトホモジネートを1:1で懸濁させることで、抗酸化活性およびポリフェノール含有量が、総和から期待される値よりも小さくなった。一方で、総ビタミンC含有量はキュウリとトマトの総和から期待される値とほぼ等しくなったが、酸化型ビタミンCの割合が大幅に増加していた。この結果から、キュウリに含まれるアスコルビン酸オキシダーゼがトマトの抗酸化活性の低下に大きく関与すると考えられた。また、トマトとキュウリを5分間の接触によって、トマトの抗酸化活性はわずかながら低下した。これらの結果から、キュウリにってトマトのアスコルビン酸の酸化が敏速に起こることが示唆された。
著者
山田 暢子
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.64, pp.164-177, 2004-01-31

The interest concerning "edutainment" has been increasing. The purpose of this paper is to analyze the circumstances and the factor of the appearance of the teaching materials using the manga of "Doraemon" as an example of edutainment for school children by comparing it to the original manga. There's conflict between manga and education, essentially. Therefore, various adjustments were required in order to appropriate manga to education as edutainment. There are two points. First, manga was evaluated as a positive form of information media; secondly, the original element of entertainment of the manga has been lost due to the educational aim.
著者
永野 光 岡本 正吾 山田 陽滋
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.343-353, 2011
被引用文献数
3

This article describes research directions in the structure of perceptual/tactile dimensions of material textures. We introduce methods of psychological experiments and mathematical approaches for structuring tactile dimensions and summarize such dimensions revealed in previous studies. Furthermore, we discuss the dimensions from the points of view of sensory receptors. Holistically, we suggest that the material textures are composed of at least 5 perceptual dimensions, that are macro and fine roughness, hardness/softness, coldness/warmness, and friction (moistness/dryness, stickiness/slipperiness).
著者
山田 冨美雄
出版者
大阪人間科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的はストレスマネジメントを用いた禁煙支援プログラムを開発し、大学内で適用・評価を試みることであった。禁煙啓発活動の結果、喫煙率低下は認められないが、ルール遵守化と喫煙マナー向上効果はあった。禁煙希望者に対する支援の結果、禁煙成功率は50%を超えた。ニコチン離脱症状を減弱させるストレスマネジメント技法の併用が有効であると結論づけられる。
著者
勝 野吏子 鈴村 崇文 山田 一憲 中道 正之
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
pp.30.002, (Released:2014-05-23)
参考文献数
21
被引用文献数
4

Here, we have reported two cases of diurnal stillbirths in free-ranging groups of Japanese macaques (Macaca fuscata), Arashiyama and Koshima groups. One infant was born prematurely and in breech position, while the other seemed to be a full-term infant born in front position. The two mothers had little interaction with other members of the group throughout parturition. The group members, except for juveniles, also showed little interest in the mothers. The mother of the infant born in the breech position licked the body of the infant, as in the case of live births. Moreover, both mothers carried the infants ventrally. However, the two mothers also showed behaviors that were different from those usually observed after a live birth. The mother of the infant born in breech position tore parts of the infant's skin and ate them. The other mother dragged the infant by grabbing the umbilical cord. Previous studies have reported that mothers carry infants that died after birth, but it was unclear whether interactions with live infants were required for such maternal behavior. Our observations suggest that some maternal behaviors can be observed even when the infants die before parturition. At the same time, the cases reported by us show the possibility that infants born dead may influence the expression of certain unusual behaviors.
著者
牛根 靖裕 白須 裕之 山田 崇仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.9, pp.49-56, 2007-01-27
被引用文献数
5

オブジェクト指向分析/設計の成果物の一つに概念モデルがある。概念モデルは対象となる問題領域を理解するために、その問題領域に存在する主要な概念とその関係を表現する。本稿が対象とする問題領域は中国の唐代行政地理に関するものである。唐代の地理に関係する文献を理解するために、府州郡縣等の行政区及び、その設置、廃止、分割、合併、改名、所属の変更などの現象を捉えるための概念モデルを提出する。行政区の静的な情報のためにはクラス図を、行政区のライフサイクルを理解するためには状態遷移図を用いる。また、『新唐書』地理志、『元和郡縣圖志』などの文献ごとの概念モデルの違いについても議論する。Tang adminitrative geography concerns itself with the hierarchy of areas relating to the national government in the Tang dynasty. This hierarchical structure and the boundaries of the layers in them are subject to histrical records and occasional changes. The paper presents a conceptual model of its administrative geography. We use class diagrams for modeling static information of administrative areas and state machine diagrams for modeling behavioral state of their area boundaries, and also discuss difference of conceptual models in historical sources of its geography.
著者
林 譲 横山 伊徳 加藤 友康 保谷 徹 久留島 典子 山家 浩樹 石川 徹也 井上 聡 榎原 雅治 遠藤 基郎 大内 英範 尾上 陽介 金子 拓 木村 直樹 小宮 木代良 近藤 成一 末柄 豊 藤原 重雄 松澤 克行 山田 太造 赤石 美奈 黒田 日出男 高橋 典幸 石川 寛夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008-05-12

東京大学史料編纂所が60年間にわたって収集・蓄積した採訪史料マイクロフィルムをデジタル化し、ボーンデジタルによる収集の仕様を確立し、一点目録情報などのメタデータを付与したデジタルデータを格納するアーカイヴハブ(デジタル画像史料収蔵庫)を構築し公開した。あわせて、デジタル画像史料群に基づく先端的プロジェクト・歴史オントロジー構築の研究を推進し、研究成果を公開した。
著者
伊藤 進一郎 窪野 高徳 佐橋 憲生 山田 利博
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.170-175, 1998-08-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
31
被引用文献数
8

1980年以降,日本海側の各地において,ナラ類(コナラとミズナラ)の集団的な枯死が発生して問題となっている。枯死木には,例外なくカシノナガキクイムシの穿入が認められるのが共通した現象である。このナガキクイムシは,一般的には衰弱木や枯死木に加害するとされており,枯死原因は現在まだ明らかでない。この被害に菌類が関与している可能性を検討するため,野外での菌害調査と被害木から病原微生物の分離試験を行った。被害発生地における調査では,枯死木の樹皮上にCryphonectoria sp.の子実体が多数形成されているのが観察された。しかしながら,日本海側の6県にわたる調査地に共通する他の病害,例えばならたけ病や葉枯•枝枯性病害の発生は観察されなかった。そこで,枯死木やカシノナガキクイムシが穿入している被害木から病原微生物の分離試験を行った。その結果,変色材部,壊死した内樹皮,孔道壁から褐色の未同定菌(ナラ菌と仮称)が高率で分離されることが明らかとなった。この菌は,各地の被害地から採集した枯死木からも優占的に分離されることがわかった。また本菌は,カシノナガキクイムシ幼虫,成虫体表や雌成虫の胞子貯蔵器官からも分離された。分離菌を用いたミズナラに対する接種試験の結果,ナラ菌の接種において枯死したのに対し,他の処理では枯死は認められなかった。これらの結果から,この未同定菌は,ナラ類集団枯損被害に深く関与しているものと判断した。本菌は,母細胞に形成された孔口から出芽的(Blastic)に形成されるポロ(Polo)型分生子を持つことがわかったが,現在その所属については検討中である。