著者
山田 嘉徳 森 朋子 毛利 美穂 岩﨑 千晶 田中 俊也
出版者
関西大学教育開発支援センター
雑誌
関西大学高等教育研究 (ISSN:21856389)
巻号頁・発行日
no.6, pp.21-30, 2015-03

本稿では学びに活用するルーブリックの評価に関する方法論を検討する。ルーブリックを用いた評価が注目されるようになった背景を確認し、ルーブリックのタイプとその特徴を整理する。ルーブリックを用いた評価主体・方法に着目しながら、クラスルーブリック、コモンルーブリック、VALUE ルーブリックのそれぞれの活用実態を示す。また、先行研究の知見を踏まえ、ルーブリックによる評価にまつわる課題を指摘した上で、学びに活用するルーブリックの評価の質を保証するための方法論について検討する。特に、質的研究における妥当性に関する議論を手がかりに、ルーブリックを学びに活用するための知見を提示する。具体的には、ルーブリックの評価基準の妥当性の担保において、トライアンギュレーション概念が有効であるのに対し、ルーブリックの学びへの活用という点においては、妥当化、決定に至る足跡といった概念が有効であることを示す。最後に、評価活動への参加という観点から、学びとしての評価における学習メカニズムの仔細な検討が学びに活用するルーブリックの可能性を議論する上で重要な課題となることを指摘する。
著者
喜多 千草 発田 弘 山田 昭彦
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.652-659, 2016-06-15

1960年京都大学ディジタル型万能電子計算機第1号(KDC-I)を設計開発.1971年光ファイバ計算機ネットワークを開発.論理回路理論,2分決定グラフなどを研究し,京都大学で後進の育成に携わった後,関西大学総合情報学部でも教鞭をとられた矢島氏に,主に初期のディジタルコンピュータの開発事情などを通じ,次世代に語り継ぐべきお話を伺った.
著者
山田 宗視
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学年報 (ISSN:00035130)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.21-25, 1966-10-30 (Released:2009-10-14)
参考文献数
9

ニホンザルの表情を 18 の類型に分けた。そしてそれは, 4つの系列にまとめられ, これらは感情の質的ちがいによってもたらされたものであった。同一の系列内のものには, 同一感情の量的ちがいによるものと, これに異質な感情要素の附加されたものがあった。そしてまた, 単一の感情要素によってあらわされている表情と, 多数の感情要素が同時にはたらいているものもあった。
著者
宇津木 光克 松崎 晋一 蜂巣 克昌 矢冨 正清 久田 剛志 山田 正信 土橋 邦生 丸田 栄
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.73-77, 2016-04-30 (Released:2016-04-25)
参考文献数
7

チオトロピウムとインダカテロールを併用している慢性閉塞性肺疾患症例を対象として,グルコピロニウム/インダカテロール合剤への変更による有用性を検討した.対象症例は16例,平均年齢は72.9歳,FEV1は1.31±0.43 L,%FEV1は49.2±12.9%であった.薬剤変更後4週,12週とも肺機能検査では変化を認めなかったが,薬剤変更後12週でのCATは有意に改善した.またデバイスの嗜好性においては,各手技,吸入手技の自信,吸入の継続性に対して,ハンディヘラー®と比較しブリーズヘラー®の嗜好性が高かった.以上のことからチオトロピウムとインダカテロール併用からグルコピロニウム/インダカテロール合剤への変更は,合剤のメリットであるアドヒアランスの向上だけでなく,QOLの改善効果,さらには吸入デバイスに対する嗜好性から吸入の快適さも向上させうることが示唆された.
著者
山田 雄司
出版者
学士会
雑誌
学士会会報
巻号頁・発行日
vol.2016, no.4, pp.61-64, 2016-07
著者
原田 裕明 山田 茂 小幡 明彦
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会全国大会研究発表論文集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.226-229, 2008

This paper describes an improvement scheme of in-house meetings based on ethnography. The scheme including fieldwork and participatory design, had been applied to ten or more cases of three major meeting-types. This paper shows a fieldwork-process of Kaizen-meetings in a software development division as one sample. After observation and analysis of this case, major four points for improvement had been obtained and some of those points had been adopted as hints for improvement of meeting process.
著者
山田 明義 増野 和彦 福田 正樹
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.9-15, 2012

通称「シメジ類」には,少なくともホンシメジ(Lyophyllum shimeji),シャカシメジ(L. fumosum),そしてハタケシメジ(L. decastes)の3種が含まれる.ホンシメジはこれらシメジ類の中でも特に重宝される.日本国内おけるこれら3種シメジ類の学名が定着したのは,1970年代中盤以降である.近年,ホンシメジについて,交配実験をもとにした生物学的種の検討や,分子系統学的解析をもとにした国内産と海外産の標本の比較がなされるようになってきた.本論では,日本産ホンシメジに関するこれまでの分類学的経緯および今後の分類研究の展開について論じるものである.
著者
植竹 勝治 山田 佐代子 金子 一幸 藤森 亘 佐藤 礼一郎 田中 智夫
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-5, 2014

都市部住宅地に生息するノラネコの健康状態および繁殖状況を確かめるため、我が国の代表的な大都市のひとつである横浜市の住宅地において疫学調査を実施した。調査では、繁殖データ(雌306匹)の収集と生化学および感染症に関する血液検査(雄雌計31匹)を行った。調査対象のネコは全て捕獲-不妊去勢-復帰プログラムの対象個体であった。不妊手術時に妊娠していた雌ネコの割合は4月に最高値(58.6%)を示し、3月から7月にかけて比較的高値を示した。平均一腹産子数(±標準偏差)は3.8±0.5匹であった。血液検査において対象個体の何頭かは基準値外の値を示したが、猫白血病および猫免疫不全の両ウイルス感染症は全頭陰性であった。これらの結果から、横浜市の住宅地におけるノラネコの血液性状および繁殖状況は、健康な家庭ネコに比較して、概ね良好であった。このことは、不妊去勢手術に基づくいわゆる「地域猫」活動を推進する上で参考になる。
著者
堀田 龍也 高橋 純 青木 栄太 森下 誠太 山田 智之 吉田 茂喜 江山 永
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.161-164, 2008
被引用文献数
4

教科書に準拠した算数科提示用デジタルコンテンツを開発した.教室におけるICT活用の現状と算数科の授業の実態から,教科書のレイアウトをそのまま拡大することを基本とした.開発された提示用デジタルコンテンツでは,見開きレイアウトの本文がリンク有効箇所となる場合が多く,リンク先のモジュールは本文と図表等の組合せが多かった.提示用デジタルコンテンツの開発を通して,教科書から提示用デジタルコンテンツへの変換ルールを同時に検討したところ,6カテゴリ,全26ルールのルール群が見出された.
著者
吉川 聡 渡辺 晃宏 綾村 宏 永村 眞 遠藤 基郎 山本 崇 馬場 基 光谷 拓実 島田 敏男 坂東 俊彦 浅野 啓介 石田 俊 宇佐美 倫太郎 海原 靖子 大田 壮一郎 葛本 隆将 黒岩 康博 桑田 訓也 古藤 真平 小原 嘉記 坂本 亮太 島津 良子 高田 祐一 高橋 大樹 竹貫 友佳子 谷本 啓 徳永 誓子 富田 正弘 中町 美香子 長村 祥知 根ヶ 山 泰史 林 晃弘 藤本 仁文 水谷 友紀 山田 淳平 山田 徹 山本 倫弘 横内 裕人 栗山 雅夫 佃 幹雄
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

東大寺図書館が所蔵する未整理文書のうち、中村純一寄贈文書と、新修東大寺文書聖教第46函~第77函を調査検討し、それぞれについて報告書を公刊した。中村文書は内容的には興福寺の承仕のもとに集積された資料群であり、その中には明治維新期の詳細な日記があったので、その一部を翻刻・公表した。また中村文書以外の新修東大寺文書からは、年預所など複数の寺内組織の近世資料群が、元来の整理形態を保って保存されている様相がうかがえた。また、新出の中世東大寺文書を把握することができた。

3 0 0 0 OA 裏切戦記の罠

著者
山田彦一 著
出版者
破邪顕正社
巻号頁・発行日
1944
著者
山田 富秋
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.465-485, 2015 (Released:2016-03-31)
参考文献数
35

本稿では社会問題や差別問題の映像資料を質的に研究する時の問題点として, A. クラインマンの指摘する「映像の流用」 (Kleinman et al. eds. 1997=2011) という問題を取り上げた. この問題は, 私たちがグローバルな消費社会に生活するかぎり, ほとんど避けて通ることができない問題である. つまり, 社会問題や差別に苦しむ映像は, ある一定のプロットを備えた「被害者の物語」を伴う悲惨な映像に流用されてしまう. その結果私たちは, 手元の常識にもとづいて類型化され, ステレオタイプ化された映像の読み方に閉じ込められてしまうのである. 本稿では, 薬害エイズの医師=悪者表象はまさにそうやってできあがったステレオタイプであることを示した. しかしハンセン病問題の啓発映像においては, 当事者が最初からローカルな文脈の中で語っているので, 定形化を免れていることを示した.具体的な映像資料を細かく解読する作業によって, 脱文脈化され実体化されたステレオタイプを一度解体し, その後で, 「流用された映像」を現場の民族誌的・歴史的文脈に適切に位置づけ直す作業が必要である. さらに言えば, クラインマンが言うように, 映像資料の制作や流通過程自体に当事者自身の同意とコントロールも取り付ける努力が必要になるだろう. この手続きが, 当事者の語りを研究者の記述と同等に価値あるものとして位置づけ, それによって映像資料が当事者の「道徳的証人」になる道が開かれる.
著者
曽我 千亜紀 井上 寛雄 山田 庸介 清水 高志 米山 優
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会全国大会研究発表論文集 日本社会情報学会 第24回全国大会
巻号頁・発行日
pp.176-179, 2009 (Released:2010-02-26)

It is possible to suppose two main positions when we consider the information network of the Internet. On the one hand, there is a position where we give importance to the information itself and examine the network, forgetting the informations' barer. On the other hand, there is a position where which does not recognize the force of information itself and attaches importance to its bearer. Indeed, both positions hold the same supposition in common. They distinguish the information and its bearer and they diminish one of these two terms. In other words, they deal with problems by taking a monist position after they had already recognized a dualism. The problem is that they can argue only one term's importance, action and force. It is necessary to cope with both terms or to unite both terms after their distinction. After all, we understand the information network as a dynamic entity in which action and passion of information and its bearer (i.e. subject) continually change places.