著者
山田 一郎 佐野 雅規 住吉 英樹 柴田 正啓 八木 伸行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.2328-2337, 2006-10-01
被引用文献数
2

番組内容を詳細に説明するセグメントメタデータは,視聴者による番組選択やダイジェスト視聴,更には放送局における番組管理に重要な役割を果たす.しかし,生放送のスポーツ番組などに対してこのようなセグメントメタデータを付与する作業には大変な労力を要する.そこで本論文では,アナウンサーや解説者がサッカー中継番組で発した言葉であるコメントを利用して,サッカー中継番組に対して,イベントなどの内容を時間ごとに説明するセグメントメタデータを自動付与する手法を提案する.アナウンサーや解説者が発したコメントには,ボールタッチしている選手を中心に試合の流れを実況する試合記述文と,試合の流れとは直接関係しない補足的な解説文が存在する.本手法では,各コメントがどちらの種類に属するかを統計的に判定することにより,サッカーの試合からイベントが発生した区間を抽出し,更に抽出された区間で起きたイベントやそのイベントの主関与者(以後,イベント動作主)を抽出する.実験により,コメントを高精度に分類できることを確認し,イベント抽出においてもキーワードマッチングを利用した従来手法に比べて有効であることを確認した.
著者
飯沼 光生 安井 清子 峯田 淑江 山田 幸子 田村 康夫 久保 金弥 桑野 稔子
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.150-155, 2004-11-20

痴呆と口腔状態や生活自立度との関係を調べることを目的として,老人保健施設の入所者を対象に実地調査を行った.調査対象は愛知県一宮市の老人保健施設入所者である.年齢66歳から97歳の男性17名と女性36名の計53名(平均82.9歳)であり,平成12年12月に調査を実施した.調査した老人の痴呆度はIが12名,IIが13名,IIIが21名,IVが6名,Vが1名と重度の者は少なく,痴呆初期の者がほとんどであった.生活自立度と痴呆度の関係は,食事,理解表出,社会交流と痴呆度との間に負の相関が認められた.残存歯数と痴呆度との間には有意な相関関係が認められなかったが,機能歯数との間には負の相関が認められた.痴呆度と口腔状態総点との間には負の相関は認められなかったが,痴呆度と生活自立度総点との間に負の相関が認められた.
著者
越仲 孝文 西脇 大輔 山田 敬嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.649, pp.45-52, 2000-02-22

筆記体英字列における文字同士の変形の依存関係や, ブロック体英字列および数字列における筆者間変動のような, 文字列中の文字の変形の相互依存関係を記述するため, 連続隠れマルコフモデル(HMM)の各状態に文字パタンの確率密度関数を配置した, 文字パターンのbigramモデルを提案する.提案するモデルでは, 文字パタン同士の連接の起こりやすさを状態遷移確率で表すことにより, 文字列中の他の文字パタンの形状も考慮した文字認識が可能となる.数字列データに対する認識実験では, 従来手法と比較していくらかの性能改善がみられた.また, 文字列中の文字を認識する際に, その直前の文字の形状を考慮する本手法の特性を生かした筆者適応効果が確認された.
著者
山田 直治 李龍 高倉 弘喜 上林 弥彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.67, pp.509-514, 2002-07-18

WEB上には多種多様な情報が大量に存在するため、利用者の要求に適した情報を収集することが困難になっている。ここでは携帯端末からWEB上に存在する地域情報を収集するために、WEB情報の地域性と記述形式に着目する。既存のキーワード検索では地名の位置情報を考慮していないため、任意の地域的範囲に関する情報を収集することが困難である。また要約情報なのか詳細情報なのかといったWEBページの記述形式を考慮していないため、利用者の要求する情報の詳しさに対応することができない。記憶領域が限られ通信が不安定な携帯端末では利用者の要求する情報のみを提供する必要があるため、これらは大きな問題である。ここでは地名の位置情報を利用してWEBページが着目する地域を特定する。またHTMLタグや品詞の出現度数の特徴からWEBページを目次型、要約型、詳述型の3つのタイプに分類する。最後に利用者の特定の地域に対する興味の深さに基づき、2つの尺度を用いた携帯端末へのキャッシュアルゴリズムについて述べる。Due to the rapid increase of the amount of web pages on the Internet, it is difficult to collect information that satisfies users' queries. This paper focuses on the geographic characteristics and description types of web resources. Keyword based search does not take account of the positional information of geographic names so that it cannot collect web resources on specific region. Furthermore, because a web page is treated without considering whether it contains detailed information or summarized one, the page may not satisfy users' requirements. In this paper, a method to determine the geographic scope and level of details of web pages is developed. Geographic scope is identified with the positional information of geographic names. Level of Details classified web pages into three types, "table-of-contents type", "summary type", and "detailed description type", with HTML tags and frequency of parts of speech. The cache algorithm with these two measures for mobile computing based on users' interests is also described.
著者
田村 悦代 山田 千積 飯田 政弘 大上 研二
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.123, no.9, pp.1175-1182, 2020-09-20 (Released:2020-10-01)
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

健診受診者で音声に対する明らかな症状を訴えていない健常な中高年齢者の音声機能を測定, 加齢による変化を検討し, 音声治療への対応について言及した. 対象は, 2016年9月~2018年9月までの抗加齢ドック受診者302名で, 3つの年代群に分けて検討した. 発声機能検査装置を用いて, 5種類の発声 (楽な声, 最も強い声・最も弱い声, 最も高い声・最も低い声) における基本周波数, 音圧, 呼気流率および最長発声持続時間を測定した. さらに, 基本周波数, 音圧, 呼気流率について, それぞれ2者の関連を検討し, 発声調節の変化についても考察した. 加齢と共に, 声域は狭くなり, 基本周波数では, 男性では, 楽な声や最も低い声で上昇し, 最も高い声では低下していたが, 女性では全体的に低下していた. また, 呼気流率では, 男性では加齢とともに4種類の声で増加していたが, 女性では年代ごとの有意差は見られなかった. 各パラメータ相互の関連から最も強い声は, 呼気流率との関連が男女共通して認められたが, 最も弱い声では, 性や年齢により基本周波数や呼気流率と音圧の関連が異なっていた. 以上の結果により, 加齢による音声機能の変化が男女で異なることが推測され, 音声治療施行に際して, 男性では, 過緊張発声状態を緩和するリラクゼーションを主体とした音声治療を, 女性では, 基本周波数の調節を主体とした包括的音声治療などが推奨される.
著者
山田 嚴子 小山 隆秀 渡辺 麻里子 小池 淳一 原 克昭 羽渕 一代
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は東北の巫者が近代以降の新たな制度に対応してゆく過程で、在来の「知識」をどのように再配置し、地域住民とともに新たな宗教的実践を再構築してきたのか、そのプロセスを問うものである。一関市大乗寺については、映像資料を作成し、祭文、経典については、録音、翻字を行う。また恐山円通寺については、もと小川原湖民俗博物館旧蔵資料で、現在は青森県立郷土館に寄贈されている文書類の翻刻と、文書の収集の背景の聞き取りを行う。量的調査は青森県、岩手県と比較のために東京都で質問紙調査を行う。研究成果は報告書を作成し、弘前大学地域未来創生センターや青森県立郷土館のwebページなどでも発信してゆく。
著者
浅木森 浩樹 山田 哲 矢谷 鷹将 末廣 紀史 武田 啓之 國枝 孝之 米谷 雄介 八重樫 理人
出版者
一般社団法人 大学ICT推進協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.112-118, 2023-11-27 (Released:2023-11-27)
参考文献数
13

香川大学は,ユーザ主導により業務システムをアジャイル内製開発する取り組みを開始した.香川大学が実施した業務システムのアジャイル内製開発では,ユーザ主導で開発するシステムの要件を抽出するとともに,スクラム開発で業務システムを開発する.本論文では,ユーザ主導による香川大学の業務システムのアジャイル内製開発について述べるとともに,ユーザ主導開発,学内アジャイル内製開発の視点からそれを考察する.
著者
山田 人恒 森田 修朗
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.73-81, 1969-11-30 (Released:2016-12-31)

In order to achieve accommodation of the eye which influences predominantly upon the kinetic visual acuity which chiefly relates to the accuracy in the timing action, the following studies were performed; that is, at the certain period of time, training to the velocity of accommodation was done repeatedly in every day, and the effect of training and the variations in the kinetic visual acuity accompanying with the training effect were determined. The results were obtained as described here, 1) By the training of accommodation of the eye, the accommodative contraction time shortened and the higher value of the kinetic visual acuity was obtained. 2) Relationship between the daily change in the accommodative contraction time and that in the kinetic visual acuity was due to chiefly to the degree of training for the optimal reaction to the moving object, where the subject himself performed in his daily life.
著者
山田 苑幹
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.144-160, 2019 (Released:2021-04-12)

本研究は,性別違和を抱く人々が自身の性自認をどのように生きているのかについて質的に検討し,ジェンダー・アイデンティティ研究に新たな知見をもたらすことを目的に,男女のいずれかというわけではない性自認をもつX ジェンダー当事者2 名(S さん,K さん)にインタビュー調査を行った。得られた語りは,ナラティヴ分析の一つであるテーマ分析の観点から,語りの内容に注目して(1)性別違和の体験,(2)X ジェンダー概念に対する考え,について整理した。本研究の結果から,X ジェンダー当事者が,自身の性自認とどのように向き合いながらジェンダー・アイデンティティを形成し,X ジェンダー概念をどのように捉えて使用しているのかが浮かび上がった。考察では,S さんとK さんの語りの特徴を先行研究に照らし合わせて整理することで,性別違和を生きる上で重要と思われる点や,X ジェンダー概念がもつ特徴を検討し,X ジェンダーという概念の可能性と限界を浮かび上がらせた。
著者
山田 浩喜 佐藤 忠彦
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.53-68, 2016 (Released:2016-09-09)
参考文献数
35
被引用文献数
2 1

The purpose of this research is to reveal how the marketing mix strategy in the department store influences the customer's shopping trip behavior to the department store. The model represents the mechanism of frequency of coming to the stores with framework of an hierarchical Bayes Poisson regression model. The model includes three explanatory variables: “Store loyalty”, “Direct mail”, and “Events”. These variables are also modeled by functional form with parameters. As a result, we could confirm that direct mail is one of the marketing mix variables that have the most effect on frequency of coming to the store.
著者
山田 俊弘
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 31 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.129-130, 2007-08-17 (Released:2018-05-16)
参考文献数
13

本稿は科学史研究の手法を参照しつつ,戦後の地学教育の歴史記述を再検討する.特に戦後教育改革期を題材とし,専門家の結集によるカリキュラム編成から教科書作りまでを追跡し,一つの専門分野の成立史として描出する.
著者
山田 貴之 松本 隆行
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.663-673, 2020-03-30 (Released:2020-04-15)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究では,初等教員養成課程学生を対象とした質問紙調査の結果に基づいて,「理科に対する興味」が「媒介要因」を経由し,「主体的・対話的で深い学び」に影響を及ぼすという因果モデルを仮定し,その妥当性について検討することを目的とした。その結果,「理科に対する興味」(「因子4:思考活性型」,「因子5:驚き発見型」)が,「媒介要因」(「因子7:批判的思考」,「因子8:学習行動」)を経由し,「主体的・対話的で深い学び」(「因子13:深い学び」,「因子14:対話的な学び」,「因子15:主体的な学び」)に直接的,間接的な影響を及ぼしていることが明らかとなった。これは,理科授業において,教師が驚きと発見のある事象や,思考を活性化させる事象の提示を工夫することで,学習者の興味が喚起されるとともに,「批判的思考」と「学習行動」が向上し,結果的に「主体的・対話的で深い学び」の実現につながることを示唆するものである。本研究により得られた知見は,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業の工夫や指導法などを充実させていく必要があるという学習指導要領の方向性と一致し,理科授業において,「主体的・対話的で深い学び」を成立させるためには,「理科に対する興味」を喚起するとともに,「批判的思考」と「学習行動」の向上を促す指導の可能性を裏付ける根拠と示唆を得ることができた。
著者
林 剛 舘 知也 野口 義紘 杉岡 まゆ子 青山 智 田中 和秀 安田 昌宏 後藤 千寿 山田 浩司 水井 貴詞 寺町 ひとみ
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.464-476, 2021-09-10 (Released:2022-09-10)
参考文献数
15

In this study, we evaluated the effect of risk minimization activities in a risk management plan (RMP) formulated for sodium-glucose cotransporter-2 (SGLT2) inhibitors using both the Japanese Adverse Drug Event Report database (JADER) and real-world clinical data. We extracted data from the JADER, which is maintained by the Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, from the first quarter of 2004 to the second quarter of 2020. We also used real-world clinical data of the patients who took SGLT2 inhibitors among those who visited or were admitted to Gifu Municipal Hospital from June 2014 to January 2018. We conducted a comparison before and after implementing the risk minimization activities. We compared the reported rate of clinical trials with the reported rate after marketing using the JADER. In addition, we compared the prevalence rate of the clinical trials of SGLT2 inhibitors with that in real clinical data. Furthermore, we compared the onset of side effects (in days) reported in clinical trials recorded in the JADER with that in real clinical data. The pre/post comparison showed a significant increase in the reported rates of increased ketone body, volume depletion, urinary tract infections, and genital infections. A significant decrease in the prevalence rates for hypoglycemia and increased ketone body was also observed. Moreover, the time to onset of side effects was significantly shortened in volume depletion. In conclusion, the risk minimization activities in RMP would contribute to the increased reported rate, decreased prevalence rate, and early detection of side effects.
著者
太田 玲子 範 瑀軒 網谷 英樹 飯塚 拓巳 山田 夏鈴 加藤 陽佳 石栗 広志 深瀬 真由美 村木 靖 西村 秀一
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.96, no.2, pp.34-38, 2022-03-20 (Released:2022-03-29)
参考文献数
14

手指消毒薬の開封後の使用期間は施設により異なるが,開封から半年と定める所が多い.しかし,アルコール製剤の開封後の殺菌効果については明確な指標はなく,情報も少ない.我々はその根拠となるデータを得るために当院の医療現場で実際に6カ月間使用され残ったゲル状アルコール製剤(ゲル状製剤)を回収し,そのまま室温で保存した後(開封直後から開封後34カ月,残量60から350 mL),その主成分であるエタノール濃度をガスクロマトグラフィー法で測定した.その結果,経過時間,残量に関わらずエタノール濃度はすべて開封直後と同等であった.この結果を検証するためにStaphylococcus aureusとPseudomonas aeruginosaを用いて各製剤の殺菌能を測定し,開封直後の製剤と比較検討した.殺菌能測定ではゲル状製剤の対照剤として液状製剤についても測定した.方法は製剤と菌液を30秒と5分間反応させた後に生菌数を求め,精製水を用いた対照実験に対する減少率とlog10 reduction(対数減少値)で評価した.その結果,殺菌能も経過時間,残量に関わらずすべて開封直後と同等で,エタノール濃度と同様な結果であった.今回の検討でゲル状製剤は開封後半年,あるいはそれ以上経過しても開封直後と同等のエタノール濃度とS. aureusとP. aeruginosaに対する殺菌能を保持している可能性が示唆された.