著者
横山 理英 林 聡 岩田 知之 高橋 智紀 高田 潤
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第18回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.128, 2007 (Released:2007-11-23)

ヒノキチップをCa溶液に浸漬したのち炭化、酸処理すると硝酸性窒素及びフッ素イオンを吸着する炭素材料を作ることができる。本研究では原料として各種植物系廃棄物を用い、同様な手法で炭化物を作成し硝酸性窒素吸着能を調べた。その結果いずれの原料でも吸着能は発現することがわかり、特にコーヒーかすを原料とした場合、木質原料よりもさらに高い吸着能があることがわかった。吸着は塩化物イオンとのイオン交換であり、リン酸イオン、硫酸イオンはほとんど吸着せず、硝酸性窒素とフッ素イオンに対して吸着選択性を有する。金魚水槽を用いた簡易な水質浄化試験では硝酸性窒素を吸着してアオコの発生を抑制することがわかった。そのため、水質浄化材料として利用できることが示唆された。
著者
ビルンド エリック 岩田 修二
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.112-121, 1981-04-25 (Released:2010-11-18)
被引用文献数
1

フィンランド・ノルウエー・スウェーデンの北部に35, 000人ほどいるラップ人のうち, 山地の森林限界以上に居住する山地ラップ人と, 低地の森林に居住する森林ラップ人とは, 暮らし方がかなりちがっている。森林ラップ人の生活は古い時代のラップ人の生活様式を色濃く残している。ごく最近まで, 森林ラップ人は狩猟や漁労 (これらはラップ人の古い生業形態である) を生業にしていた。トナカイの飼育を始めたのは最近で, 飼っている頭数も少なく, 移動範囲もせまい。山地ラップ人が牧畜を始めたのもそれほど古いことではなく, 16-17世紀である。そして, およそ100年前には完全に牧畜(移牧)だけに依存するようになった。夏には高山地域へ, 冬には森林地域へ移動し, 春と秋は亜高山帯で過す。移動距離は数100kmにも達している。山地ラツプ人の生活基盤は牧畜業にあると考えられがちであるが, 現在では牧畜だけで生活しているラップ人の数はたいへん少数になった。スウェーデンの場合, ラップ人口のうちの7%ないし25%にすぎない。17世紀後半には, ラップランドにはラップ人だけが居住していた。そこへ, 南からの移住農民が侵入するにつれて, いろいろの問題がおこり始めた。これに対する政府の立場は, スウェーデンの場合, 土地は広大であり, 移住農民と牧畜ラップ人とは生活の場が異なるから摩擦は起きないであろうというものであった。しかし, 現実には多くの問題が起き, ラップ人はいつも不利益をこうむってきた。政府が長年ラップ人を保護し, 生活水準・教育水準を高めてきたとはいうものの, 少数民族であることと, 牧畜という不安定な生業に依存していることとのために問題の根本解決はなされていない。ラップランドからの人口流出が20世紀半ばから始まったことによって, ラップ人がラップランドとその周辺でスウェーデン人に雇用される機会が減った。いっぽう, ラップ人に対する人種偏見は減り, ラップ人がスウェーデン社会にとけこみやすくなった。しかし, これがラップの固有文化の崩壊をはやめることになった。現在では都市で生活しているラップ人も多い。
著者
出射 隆文 堀家 正則 岩田 知孝
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.217-232, 1985-06-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
18
被引用文献数
1 2

We have investigated the characteristics of S coda waves on a sedimentary basin for examining if they may be applicable to estimate the stable amplification factor. The results are as follows: (1) R. M. S. amplitude ratios of coda waves observed on the basin to coda waves on the nearest rock site were inconsistednt with the ratios of S waves between the above two sites for frequecies lower than 3Hz. The ratios of coda waves scattered as much as those of S waves. (2) The phase velocities determined for coda waves on the basin were consistent with those of Rayleigh waves estimated by another study. (3) Comparing coda waves observed on the basin with those synthesized through convolving the SH wave response for the basin and the seismogram on the rock site, the former was much smaller than the latter. From the above three results, coda waves on the basin seem to consist of not only single-scattering S waves but also surface waves generated locally. It is therefore difficult to estimate reliable amplification factor from coda waves observed on the sedimentary basin.
著者
藤村 祐子 佐藤 仁 朝倉 雅史 岩田 昌太郎 川口 広美
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

日本では,教員の養成・採用・研修を連続体と捉えた上での「教員が学び続けることので きる環境整備」が提案され,専門職基準の策定とそれに基づく教員制度の全国的整備が進められている。米国ではすでに,教師教育のあらゆる場で専門職基準が活用され,専門職基準の制度化が進められてきた。専門職基準は,他律的活用と自律的活用の双方が想定されるが,米国では,その双方で機能している可能性がある一方,日本では,他律的活用が強調され,自律的な「能力参照枠」としての専門 職基準の活用は十分に検討されていない。本研究では,自律的・他律的な「能力参照枠」としての専門職基準の「内面化」の方略を提案することを目的とする。
著者
安岡 絢子 宮永 俊之 岩田
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第43回人間−生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.37-40, 2019 (Released:2021-04-23)
参考文献数
6

良質な睡眠を促すサーカディアンリズム等を考慮し、照度と色温度を変化させるオフィス照明が導入されつつ ある。しかし、それらの変化が疲労や視認性に及ぼす影響を検討した例は少ないことから、照度と色温度変化が 中高齢者の疲労や視認性に及ぼす影響を評価した。実験では、中年者群(11 名:Ave53.3 歳)と高齢者群(8 名:Ave67.5 歳)の被験者を、オフィスを模擬した実験室にて 3 条件(照度・色温度一定/照度一定・色温度変化/照 度・色温度変化)の環境に曝露した。実験中は朝・昼・夕の各々で PC 作業を課し、作業前後に各種疲労と視認性 を計測した。その結果、朝から夕方に掛けて視認性の低下が見られる条件は年齢群によって異なり、自覚疲労と の関連が窺えた。生理的機能やグレアの感じ方といった目の特性の年齢差が一要因として考えられ、年齢等に応 じて照度・色温度変化の条件を考慮することが、幅広い年齢層の視認性向上に寄与するための課題と考えられる。
著者
岩田 千亜紀
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.132-143, 2020-08-31 (Released:2020-10-03)
参考文献数
30

本稿の目的は,ソーシャルアクションの実践方法としてのプログラム評価の有用性および方法について考察することである.東京都渋谷区で行われた「渋谷スタディクーポン事業」へのプログラム評価の実践事例を取り上げ,ソーシャルアクションにおける展開方法としての,プログラム評価の有用性および方法について考察を行った.その結果,プログラム評価を通じた「プログラム理論の明示化」,「ニーズの明確化」,「プログラム効果の可視化」,「評価結果の提示・共有化」が,本事業の政策化というソーシャルアクションの実現に寄与したと考えられた.以上から,プログラム評価はソーシャルアクションの実践方法として,有用な実践方法である可能性が高いと考えられた.
著者
津久間 秀彦 名田 信之 森本 徳明 天野 秀昭 田中 武志 岩田 則和 野村 祐仁 片山 文善 石川 澄
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.127-135, 2002 (Released:2017-08-14)
参考文献数
2
被引用文献数
1

地域に開かれた病院を目指して,地域医療機関に役立つ支援と,患者に対する直接的な支援を両立させることは,医療情報システムが果たすべき今後の一つの方向性として重要である. この観点から,従来の手作業での院外処方せんのFAX送信サービスのあり方を見直し,患者の利便性向上のためのナビゲーションシステムと,保険薬局での調剤の安全性向上のための院外処方情報の自動FAX送信システムを開発した.本論文では,まずシステムの開発目的と機能の概要を説明する.更に2001年10月より広島大学医学部附属病院で開始した運用の実績に基づいて,本システムの有用性を示す.
著者
吉田 皓太郎 若松 栄史 岩田 剛治 久保 貴裕
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
設計工学・システム部門講演会講演論文集 2020.30 (ISSN:24243078)
巻号頁・発行日
pp.3202, 2020 (Released:2021-06-29)

A method to design the function of the brassiere cup shape as developable surfaces and its developed shape using Gaussian Process Regression is proposed. A developable surface, which is generated by sweeping a straight line along a three-dimensional curve, can be seen many products such as ships, buildings, clothes, and so on. The shape has not only its aim which can be formulated but also that which cannot be formulated such as creativity. In this paper, we focus on a brassiere cup. A brassiere cup is composed of several patterns and the cup shape is designed by repeatedly making paper cup model and then checking its three-dimensional shape. For improvement of design efficiency of brassieres, such trial and error must be reduced. The difficulty of the design process is caused by the function of a brassiere cup. Its function, such as to enhance woman’s breast size, et.al., is difficult to formulate and not correlate its three-dimensional cup shape. In this paper, we aim to predict the function of brassiere cup from its cup shape for efficiency of design process of a brassiere cup. First, we formulate the cup shape as developable surface using differential geometry. Then, we proposed a method to parameterize a set of function which characterize the surface using Gaussian Process Regression. Finally, we experimented our proposed method when the evaluated value using its volume and size of the cup is given.
著者
岩田 英紘 恒川 佳未結 新田 憲司 水嶋 祥栄 長田 裕之 村瀬 陽太 瀬古 周子
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.724-732, 2021-10-25 (Released:2021-10-25)
参考文献数
10

〈目的〉「ゲノム診療用病理組織検体取扱い規程」において推奨されているホルマリン固定時間を超過した検体は,核酸品質の低下が懸念されている。今回,臨床現場で固定時間が超過する検体を想定し,良好な核酸品質保持のための固定条件を検討した。また,病理組織診断に与える影響についても検討した。〈方法〉未固定の肺,甲状腺,卵巣を用い,「1,3,7日間室温固定」「3,7日間冷蔵固定」「1日間室温固定後にALへ置換し2,6日間保存」「1日間室温固定後にALへ完全置換し2,6日間保存」「1日間室温固定後に2,6日間冷蔵保存」の11の条件で固定を行った。ΔCT値による核酸断片化の評価およびHE染色,IHCの染色性を評価した。〈結果〉「3,7日間室温固定」検体では,推奨QC値を下回る検体が認められたが,それ以外の条件においては,「1日間室温固定」と同等のQC値であった。最もQC値が高い固定条件は,「3日間冷蔵固定」であった。HE染色およびIHCともに,すべての固定条件において,染色結果に問題はなかった。〈考察〉金曜日や長期休暇前に提出された生検検体は,冷蔵固定もしくは一晩室温固定後のAL置換により,良好な核酸品質が保持できることが示された。臨床現場での業務効率を考慮すると,検体提出直後から冷蔵固定することが,最善の固定条件であると考えられる。
著者
大谷 修一 仲田 直樹 石本 歩 秋枝 周子 風早 範彦 西森 靖高 中村 剛 依岡 幸広 立神 達朗 岩田 奉文 瀬古 弘 横田 祥
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.141-160, 2019 (Released:2019-03-31)
参考文献数
33

大雨の解析にアンサンブル予報解析システムを用いると,アンサンブルによる複数の再現結果から大雨と環境との相関や感度など,決定論的予測では得られない多くの知見が得られると期待できる.本論文では,広島県南部で観測史上1位を記録した2014年8月19~20日の大雨についてアンサンブル予報解析システムを用いて大雨の再現を行った.得られた20メンバーの中から再現性の良いメンバーと悪いメンバーとを選び比較することで,下層インフローなどの環境と降水量の環境を調べた.その結果,①湿った南風域が伊予灘から広島県南部に到達して大雨になった,②南風が強い場合に明瞭な線状降水帯が形成され降水量も大きくなった,③ストームに相対的なヘリシティーが大きい時に広島湾の下層水蒸気輸送量と広島の雨水混合比との間に正の相関がみられ,移流時間を考慮するとさらに相関が強くなる,④この事例では不安定指数(CAPEなど)と降水量の相関は弱く位置や時刻で大きく変動するため,不安定指数のみを用いた大雨の議論は注意が必要であることが分かった.
著者
岩田 真一 Shinichi Iwata
出版者
日本女子体育大学
雑誌
日本女子体育大学紀要 (ISSN:02850095)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.13-19, 2008-03

This study targeted a basketball game and focused on the games in which a team blew the lead and lost the game though it had widened the gap and had taken a big lead at some point during the game. The purpose of the study was to analyze the following matters and to review how a team blew the lead and lost the game. The matters were as follows: ① How many points could be turned around? ② How often did such a game occur? ③ If a team took a big lead, how was the subsequent intermediate step of the game? The surveyed games were 336 in total in the Kanto Female Students Basketball Tournament (First division) during 6 years from 2001 to 2006. According to the survey results, there were multiple games in which a team blew the lead and lost the game though it had a maximum lead of 20 points at the close of the second period and a maximum lead of 15 points at the close of the third period. In 30 games, a team took a lead by 16 to 20 points at the close of the second period. Of these games, a team won subsequently in 27 games and a team blew the lead and lost the game in 3 games. The analysis of an average point scored and lost of the team having a lead showed that the team had gained fewer points and had given more points away in the third period rather than in the second period on a statistically-significant level. According to these analyses, it became clear that the team taking a big lead at the close of the former part of the game (the second period) had not been able to gain more points and overpower the opposing team as energetically as ever in the third period just after widening the gap, aside from the result whether it had finally won or lost the game. And this was considered to be one of the causes for a team to blow the big lead and lose the game.
著者
岩田 英樹
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.191-203, 2022-03-15 (Released:2022-03-23)
参考文献数
51

目的 本研究は,日本の高校生を対象に,飲酒と喫煙の誘いに対する断り方の特徴,および現在飲酒,現在喫煙との関連について明らかにすることを目的とした。方法 A県の高校5校(男子1,713人,女子785人),2,498人に無記名自記式調査を行った(有効回答率96.1%)。調査項目は,まず,飲酒と喫煙の誘いに対する反応を9種類の断り方から選択させた。また,本人の現在飲酒および現在喫煙(この一か月間)と,飲酒および喫煙の誘いを断る自己効力,友達の飲酒行動および喫煙行動,同世代の飲酒率および喫煙率の見積(記述的規範),とした。解析では,断り方のタイプを明らかにするために因子分析(最尤法,プロマックス回転)を用いた。また,現在飲酒および現在喫煙を従属変数とし,独立変数には男女別,学年,学科,断り方のタイプを強制投入した多重ロジスティック回帰分析を用いた。その際,モデル1では調整変数を投入せず,モデル2では誘いを断る自己効力,モデル3では友達の飲酒行動および喫煙行動と,同世代の飲酒率および喫煙率の見積を調整変数とした。結果 9種類の断り方のうち,最も多かったのが「単純に『いらない』,『いや』などと言う」で,次に「断るための何らかの理由を説明する」が多かった。これは,飲酒と喫煙とで類似した傾向であった。因子分析の結果,3つの最適解(無反応・強硬な断り方,曖昧・切り返し的な断り方,弁明・簡潔な断り方,の3タイプ)が得られた。現在飲酒との関連では,いずれのモデルにおいても「曖昧・切り返し的」な断り方でのみ正の関連が示された(オッズ比(95%CI)=1.77(1.36-2.30),1.66(1.27-2.17),1.59(1.19-2.13))。現在喫煙との関連では,いずれのモデルにおいても「弁明・簡潔な断り方」のみ負の関連が示された(オッズ比(95%CI):0.38(0.22-0.66),0.47(0.25-0.87),0.44(0.23-0.82))。結論 高校生の飲酒と喫煙の誘いに対する断り方は,概ね類似した傾向であった。しかし,現在飲酒や現在喫煙と断り方との関連を分析した結果,断り方と負の相関を示したのは現在喫煙のみで,現在飲酒では認められなかった。
著者
服部 晃 服部 麗波 田邉 直仁 岩田 文英
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.650-660, 2015

東日本大震災の1年後に行なった本アンケート調査 (7,811回答, 男女比: 1.9, 14~91歳) で, 被災の影響がターミナル (ケア) 意識に現われているかどうかを, 検討した。 被災の有無を問うと全体で約11%が直接的被害を受けていた。高被災 (約55%) 地 (福島, 茨城県) と周辺3県 (秋田, 新潟, 長野県) (被災14.5~3.2%) における, 被災者と非被災者の4群について, 回答者特性およびターミナル意識に関する12質問の結果を比較した。また被災の精神保健面の解析や現状を対比した。 高被災地では被災者群の非被災者群に対する陽性要因は女性, 若年で, 女性に限ると看護 (看) 学生, 医療・福祉 (医福) (職) であり, 男性に限ると医福のみであった。男女比較では, 女性は一般 (職), 看学生が多かった。 質問に対する被災者の所見に男女の違いがあった。男性では被災により, “日常宗教あり”, “ターミナルケアよく知る”, “本人告知が望ましい”, そして“麻薬十分に使用する”, “ターミナルで宗教家に会う”, という希望が増えた。女性では, %ldquo;最後の場所は自宅で”が増加したのみであった。 最後の所見について, 全体集計を再検討すると, もともと, 男性に比べ, 女性, 特に壮年期の一般職の女性は, 自宅希望率が抑制されていた。今回の所見は被災がその抑制を解いたことを示した。精神面における被災の誘導要因には性 (女性), 場所, その他があり, 今回の結果との共通点も推定される。 結論: 被災体験は今回調査したターミナル (ケア) に関した意識の一部に影響を与えた。性差の理由や機序, 今後の経過, 対策があるか, などには課題が残る。