- 著者
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島田 信宏
- 出版者
- 医学書院
- 巻号頁・発行日
- pp.631, 1976-10-25
前回までは3回にわたり,CPDの診断までの過程を解説してきました。その妊産婦が完全にCPDであると診断されたような場合,帝王切開術が唯一の分娩様式となります。しかし実際には,このような症例よりもCPDかどうか判定に苦しむ症例,たとえば,児頭計測値は9.5cm,TCの値は10.4cmで,その差0.9cmといったような場合は,ほんとうにCPDといって,帝切のみがこの症例の唯一の分娩様式といい切れるのかどうか,誰でも疑問に思えてくることでしょう。 そこでこのような場合CPDと明確に判定できないという理由で,borderline caseとして,一応経腟分娩を試みてみる。そしてそれが駄目なら帝切にするという方式をとります。このような分娩形式を試験分娩test of laborといいます。もしそれが不可能ならいつでも帝切にきりかえられるように,その準備も同時にしておかなくてはなりませんので,経腟分娩,帝切と2つの異なった分娩様式のセットを同時に作らなくてはならなくなります。この両者同時の準備をdouble set-upと呼び,試験分娩を行なう時は,いつでもこの体制でのぞまなくてはならないとされています。