著者
杉本 諭 三品 礼子 佐久間 博子 町田 明子 前田 晃宏 伊勢﨑 嘉則 丸谷 康平 工藤 紗希 室岡 修 大隈 統 小林 正宏 加藤 美香 小島 慎一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.E3P1189, 2009

【目的】後出しジャンケンはレクリエーション活動において、しばしば行なわれる課題の1つである.先行研究において我々は、後出しジャンケンの成績がMini Mental State Examination(MMSE)や転倒経験の有無と関連していることを報告した.本研究の目的は、週2回の後出しジャンケンの介入効果について検討することである.【対象および方法】当院の通所リハサービス利用者および介護老人保健施設の通所・入所者のうち、本研究に同意の得られた高齢者42名を対象とした.性別は女性29名、男性13名、平均年齢は81.3歳であった.後出しジャンケンは、検者が刺激としてランダムに提示した「グー」・「チョキ」・「パー」に対し、指示に従って「あいこ」・「勝ち」・「負け」の何れかに該当するものを素早く出すという課題である.測定では30秒間の遂行回数を求め、「あいこ」→「勝ち」→「負け」→「負け」→「勝ち」→「あいこ」の順に2セットずつ施行し、2セットのうちの最大値をそれぞれの測定値とした.初回測定を行った後、ランダムに16名を選択して介入を行った.介入群に対しては、指示に従って該当するものを素早く出す練習を、5分間を1セットとして休憩をはさんで2セット行い、週2回1ヶ月間施行した.また、後出しジャンケンの遂行回数に加え、MMSE、Kohs立方体組み合わせテストを測定した.介入終了直後に対象全員に対して再測定を行い、介入前後の変化を介入群16名および対照群26名のそれぞれについて、対応のあるt検定を用いて分析した.【結果】介入群における介入前後の後出しジャンケン遂行回数は、「あいこ」は29.5回→30.6回、「勝ち」は18.3回→21.7回、「負け」は10.1回→13.0回と、「勝ち」および「負け」において介入後に有意に遂行回数が増加した.一方対照群では、「あいこ」は30.8回→31.2回、「勝ち」は20.0回→19.7回、「負け」は12.8回→12.4回と、何れにおいても有意な変化は見られなかった.MMSEおよびKohs立方体組み合わせテストについては、介入群ではMMSEが23.6点→23.8点、Kohsが57.6点→61.1点、対照群ではMMSEが25.5点→25.2点、Kohsが62.9点→64.9点と、何れの群においても有意な変化は見られなかった.【考察】以上の結果より、後出しジャンケン練習は、「勝ち」および「負け」すなわち提示された刺激を単に真似るのではなく、ジャンケンに対する既知概念に基づいて、刺激に対して適切に反応するような課題において介入効果が見られた.今回は短期間の介入であったためジャンケンの遂行回数にのみ変化が見られたが、今後更なる持続的介入を行い、他の異なる検査やADLなどへの影響について検討したい.
著者
工藤 慈士 佐藤 大典 草薙 健太 杉山 佳生
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_51-1_62, 2022 (Released:2022-01-20)
参考文献数
27

Coronavirus (COVID-19) disease has become a global pandemic, causing various activities to be restricted in Japan. Thus, we investigated university swimmers’ perceptions of the COVID-19 restrictions and how they thought these impacted their sport, along with an exploratory identification of their psychological states. We asked 108 university swimmers (men 74 and women 34; mean age 19.82, [SD 1.17] years) to describe their psychological states during the pandemic. Data analysis involved collection of descriptions and quantitative context analysis or text mining using the KJ method with KH coder software. Following analysis, six categories emerged: “infection prevention and control,” “gratitude,” “preparing for the restart,” “uncertainly about the future,” “physical decline,” and “psychological decline.” In addition, results of the qualitative analysis confirmed the relationship between the words “swimming” and “feeling,” “feeling” and “can swim.” These results suggest that university swimmers consider their sport and themselves during periods of inactivity and that it will be useful for the sporting community to research the psychological states of university swimmers during the global pandemic.
著者
鈴木 幸彦 鈴木 香 安達 功武 工藤 孝志 目時 友美 中澤 満
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.101-107, 2018-01-15

要約 目的:眼球破裂症例の手術予後を報告する。 対象:過去10年間の眼球破裂28例29眼を,創の位置から角膜群(7眼),強角膜群(15眼),強膜群(7眼)に分類した。 方法:初回手術は創縫合のうえ,術者の判断で前房洗浄や硝子体手術を行う場合も,初回から眼球内容除去術を行う場合もあった。 結果:術後矯正視力が0.1以上/0.01〜0.09/指数弁以下はそれぞれ角膜群で14%/43%/43%,強角膜群で33%/20%/47%,強膜群で0%/0%/100%であり,いずれも不良であった。 結論:現在も眼球破裂症例の視力予後は不良であり,特に創が強膜後方に及ぶ場合は視力維持が困難で,今後の課題と考えられた。
著者
三上 泰正 高舘 正男 横山 裕正 川村 陽一 小林 渡 舘山 元春 前田 一春 工藤 龍一 中堀 登示光 小山田 善三 工藤 哲夫
出版者
青森県農林総合研究センター
雑誌
青森県農林総合研究センター研究報告 (ISSN:03887650)
巻号頁・発行日
no.41, pp.45-62, 2007-03

水稲新品種'恋ほのか'は、青森県農業試験場(現青森県農林総合研究センター)において、全量炊飯型香り米の育成を目標に、'関東154号'(後の'サリークイーン')と'ハツコガネ'のF3個体を母とし、'ふ系143号'(後の'ヤマウタ')を父として人工交配を行い、その後代から育成された香り米の粳種である。2000年から'青系香144号'の系統名で「あおもり米優良品種の選定試験(水稲奨励品種決定、基本調査)」に供試され、栽培特性と利用方法の両面から検討を行った結果、従来の米と異なる新たな需要が期待されることから、2004年2月に青森県の第1種認定品種に指定された。'恋ほのか'の出穂期及び成熟期は'むつほまれ'より遅く、熟期は'つがるロマン'並の「中生の中」に属する。草型は「偏穂数型」で、稈長は「短稈」であるが、倒伏抵抗性は「中」である。障害型耐冷性及びいもち病抵抗性は「強」である。玄米の形はやや細長く、'むつほまれ'より玄米品質はまさり、玄米千粒重は軽く、収量性は低い。炊飯米はポップコーンのような香りがあり、白飯のほかに、ピラフ、パエリア、リゾット等の各種調理飯に利用できる。
著者
山下 直美 葛岡 英明 平田 圭二 工藤 喬
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.1706-1715, 2014-07-15

本論文の目的はうつ病患者の家族看護者が直面する困難を明らかにし,家族看護者が生活の質を維持するために必要なICT支援について提案を行うことである.そのため我々は,家族のうつ病患者を看護した経験がある成人15名に対面インタビューを行い,分析を行った.その結果,家族看護者が抱える矛盾や葛藤,家族看護者が自身のストレス軽減のために取っている方策,そして情報技術が彼らの日常生活に果たしている機能が明らかになった.この調査結果に基づき,うつ病患者の家族看護者に対するICT支援方法を検討した.
著者
華房 順子 工藤 寛 千葉 陽一
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.751-757, 1999-09-30
被引用文献数
1

症例1は58歳男性.7年前に糖尿病と診断されるも放置.初診時高血糖 (血糖705mg/d<I>l</I>, Hb A1c 14.8%) と高血圧あり, 糖尿病性網膜症, 腎症, 神経障害を認めた. 入院後血糖, 血圧改善するも, 突然, 左上下肢にchorea発現. CTで右被殻に高吸収域を, MRI T1強調画像で右被殻-尾状核に高信号を認めた. 3ヵ月後より症状改善し始め, 画像所見も減弱した. 症例2は46歳男性. 6年前に高血糖指摘受けるも放置. 突然右上下肢にchorea発現. 糖尿病 (Hb A1c 12.1%) と高血圧指摘され2週間入院加療受けるも, 改善不十分なため, 当院受診. 高血圧動脈硬化性眼底変化とともに尿蛋白陽性, 神経障害を認め, 左被殻にCTで高吸収域, MRI T 1強調画像で高信号を認めた. ハロペリドールを使用し発症より2ヵ月後に症状消失し, 5ヵ月後のMRI所見は消失していた. 2例とも糖尿病, 高血圧による臓器障害を有しており, 病因として虚血, 神経伝達物質の乱れなどの関与が考えられた.
著者
工藤 陽子
出版者
同志社大学
雑誌
同志社大学留学生別科紀要 (ISSN:13469789)
巻号頁・発行日
pp.47-61, 2001-12

これまでに同志社大学留学生別科でメインテキストとして使用されたことのある日本語教科書を,初級,中級,上級とレベルごとに2種類ずつ選び,その中に見られる外来語について若干の考察を試みた。その結果,初級のテキストと中級のテキストとでは,そこに見られる外来語中の基本外来語の占める割合にはあまり差はなく,上級のテキストになると,基本外来語の占める割合がかなり低くなり,動詞慣用句や,動詞との共起の点て注意すべきものも多く見られることがわかった。その一方で,上級のテキストにおいても,実際の日常会話などでよく耳にする外来語系ナ形容詞についてはほとんど見られず,こうした語をどのような形で授業の中で取り上げていくかを考えることも,今後の課題の一つである。
著者
永山 進 林 俊哉 高野 明雄 牧之内 科子 工藤 正博
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.12, no.10, pp.628-634, 1991
被引用文献数
1

It is well-known that quantitative analysis of major elements by SIMS is generally difficult because of the matrix effect. In the present paper we examined some basic problems of the major element analysis of Cd<SUB>x</SUB>Hg<SUB>1-x</SUB>Te (CMT) which is known to be easily damaged by various kinds of beams. It was shown that the matrix effect in quantification can be reduced by detecting postionized monoatomic ions for O<SUB>2</SUB><SUP>+</SUP> and Ar<SUP>+</SUP> primary beams. In the case of Cs<SUP>+</SUP> bombardment, detection of the cationized molecular ions, which are formed via one kind of post-ionization process, also proved to be effective. In all the cases, good linear relationships between the secondary ion intensity and the primary ion current density were obtained in the log-log plot. The intensity decrease of Hg<SUP>+</SUP>, however, was observed along with depth profiling of the bulk sample. This phenomenon was correlated with the morphological changes caused by ion irradiation.
著者
工藤 康弘
出版者
関西大学独逸文学会
雑誌
独逸文学 (ISSN:0286682X)
巻号頁・発行日
no.59, pp.9-11, 2015

八亀徳也教授 武市修教授 古稀・退職記念号
著者
田村 龍太郎 工藤 忍 山口 雅弘 水戸川 彩 大橋 亜弥 汐谷 祥子 瀬戸 優美子 松島 由美 正木 文子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Db0560-Db0560, 2012

【はじめに、目的】 呼気、発声機能の評価判定に使用される最大発声持続時間(Maximum Phonation Time:MPT)の測定結果を判断する基準値は、正常値の分布の棄却限界の下限から、男性15秒以上、女性10秒以上を正常値と定められている。この基準値は50歳未満でなおかつ正常若年者をメインの対象とされた調査結果であり、その正常値を採択したものである。現在の臨床においても同基準値が採択されており、急性期の脳血管疾患患者の平均値を算出したものは見当たらない。そこで本調査では、初回評価時の男女別MPTの平均値を算出し、脳血管疾患患者におけるMPT基準値を算出することに着目した。【方法】 対象は2009年5月から2010年12月の間に当院に救急搬送され、理学療法を実施した脳血管疾患患者79例(脳梗塞:56例、脳出血:23例 男性:42名 女性:37名 男性:62.6±14.8歳、女性:69.1±14.9歳 初回測定:発症より6.3日)である。重度の意識障害を呈し検査困難である場合、その他の理由により研究協力依頼の趣旨を理解し、承諾の意思が確認できない場合、検査指示の理解が困難なものは除外した。測定項目最大発声持続時間 Maximum Phonation Time:MPT 正常値:男性15秒以上 女性10秒以上 平均値:男性約30秒 女性約20秒発声時平均呼気流率 Phonation Quotient:PQ PQ値 = 努力性肺活量(Forced Vital Capacity ; FVC)/MPT220ml/sec以上:声門閉鎖不全等の発声機能障害を判断80ml/sec以下:声門の過緊張による過緊張性発声障害や呼気能力低下を判断肺活量測定(チェスト社製 CHESTGRAPHJr.HI-101の電子スパイロメーターを使用)脳卒中機能障害評価法 Stroke Impairment Assessment Set:SIAS統計学的処理男女別でのMPTの値は、Shapiro-Wilk testを用いての正規性の検定を実施し、正規分布に従わないものであった (p=0.04)。よって、平均値と標準偏差に対数変換を行い、その値を逆変換することで値を算出した。標準偏差は逆対数変換(eのべき乗)を行い、その棄却限界の下限を採択し、下限値未満を異常値とした。【倫理的配慮、説明と同意】 被検者全員に研究趣旨を説明し理解していただいた。プライバシーが侵害されることがないことを説明した。リスク管理のうえ検査を実施し、救急の対応も可能であることを説明した。以上の説明により、同意と理解を得られた後に測定を行った。【結果】 MPTの平均値と棄却限界の下限 男性MPTの平均値は17.2秒であり、下限値は7.34秒であった。よって、9.86秒が男性の脳血管疾患患者の棄却限界の下限となる。女性MPTの平均値は18.3秒であり、下限値は6.86秒であった。よって、11.4秒が女性の脳血管疾患患者の棄却限界の下限となる。PQ値の測定結果 220ml/sec以上の値を示す男性は21.4%、女性は8.1%であった。80ml/sec以下の値を示す男性は該当者なし、女性は35.1%であった。 SIASの測定結果 男性は初期評価時にSIAS2の腹筋力低下を69%(29/42名)に認めた。女性では56.7%(21/37名)に認めた。【考察】 1 過去において、脳血管疾患患者のMPTの平均値と棄却限界の下限値を算出し、基準化した値は見当たらない。2 MPT が短縮する要因として、肺活量の減少、発声を持続するための呼吸・喉頭調整運動の中枢神経レベルにおける異常、声門閉鎖不全が挙げられる。脳血管疾患を有する患者は疾患器質上、低下の要因の多くを有することが確認された。3 PQ値を算出することで声門閉鎖不全の有無、声門過緊張による過緊張性発声障害の有無の確認できた。4 男性における脳血管疾患患者の呼吸・発声機能では、現行の基準値では高値であることが示唆された。女性においては、現行基準値と大差は認めなかったが、過緊張性発声障害を疑う努力性の呼気を呈することが示唆された。5 高齢者の音響的特徴を踏まえたうえで、脳血管疾患患者の呼吸特性を見ると、男性では経年変化による声門閉鎖不全と運動麻痺による言語発声能の障害が影響したことがMPT低下の要因であることが推察された。女性では経年変化の影響は少なく、体幹保持能が保たれていたため、発声機能に影響を与えにくかったことが、MPTの現行下限値と大差を示さなかった要因と推察される。一方で過緊張性発声障害を認める結果から、努力性に発声していることを認めた。【理学療法学研究としての意義】 脳血管疾患患者の呼吸機能と空気力学的検査法についての研究は散見される程度であり、今後機能回復面との関連を検討していく分野である。MPTは測定環境を選ばず、また特別な測定機器を使用しない簡便で安価な評価方法である。さらにPQ値を算出することでき、喉頭調整運動能を評価することも可能であり、脳血管疾患患者の呼吸・発声動態を知るうえで重要である。
著者
志村 智隆 小宅 功一郎 粟倉 秀幸 池谷 洋一 野垣 岳稔 小林 斉 小林 一女 大氣 采女 大谷 友里恵 工藤 健人 郡司 寛之 甘利 泰伸 泉本 彩 井上 由樹子 今泉 直美
出版者
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.77-81, 2021

<p>今回,溶連菌感染後反応性関節炎(post-streptococcal reactive arthritis:PSReA)の1症例を経験したのでここに報告する。症例は39歳女性。X月Y–17日,発熱・咽頭痛を主訴に当院救急外来を受診した。口蓋扁桃への膿栓付着を認め細菌性扁桃炎の診断でアモキシシリン内服処方にて帰宅指示となっていた。X月Y日,1週間前からの発熱・咽頭痛の持続と全身的な関節痛を主訴に当科を受診した。口蓋扁桃への膿栓付着は消退し,一般採血所見はWBCの軽度上昇のみでCRP値・ASO値の上昇は認めず溶連菌迅速検査も陰性であった。咽頭痛や関節痛の症状が強く,急性リウマチ熱(acute rheumatic fever:ARF)を視野に補体価を含めた採血を提出し鎮痛薬の処方としていたが,X月Y+5日,耐え難い咽頭痛・頸部痛の出現あり当科を再診した。採血ではWBCの軽度上昇のみで赤沈値は陰性であったがASO値の上昇を認め,溶連菌感染後約10日後の関節症状出現という経過からPSReAの診断となった。PSReAはARFに類似した検査所見や症状を示すとされるが,血液検査における炎症反応の上昇や赤沈値の亢進は目立たない場合が多いとされる。ARFとは異なった疾患として分類され心合併症は起こらないものとされるが,溶連菌性扁桃炎・咽頭炎を日常診療で頻回に扱う我々耳鼻咽喉科医としては留意しておくべき病態と考えられる。</p>