著者
市村 卓彦
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.27-41, 2006-09

拙論は、フランス国アルザスのルネサンス時代において、その当時最も優れた文学作品のひとつである風刺詩集『阿呆船』と、その著者セバスティアン・ブラント(1458-1510)を取り上げる。『阿呆船』は現代フランスの思想史家ミシェル・フーコーがその『狂気の歴史』において、狂気についてのすぐれた文学的例証であると指摘した作品である。ブラントの『阿呆船』は、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』に先駆するヨーロッパ世界で最初のベストセラー作品となり、もっとも読まれる作品となった。ブラントはバーゼル大学法学部に学び、のちに母校の法学部長を長く勤めた後、生まれ故郷のストラスブールに戻って市参事会書記に転進し、ストラスブールの名声を高めるとともにアルザスの人文主義(ユマニスム)を発展させている。拙論はブラントの生涯と当時のストラスブールの文化状況(活版印刷術の発明など)についても考察する。
著者
有森 茂 吉田 美代子 市村 香
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.80-86, 1990-02-28 (Released:2009-01-22)
参考文献数
13
被引用文献数
6 8

Ge-132, 1, 500mg per day, was administered to 47 y-o house wife who suffered from rheumatoid arthritis associated with Sjögren's syndrome and microcytic hypochromic anemia since 1983. Her clinical stage of rheumatoid arthritis was Stage II and class was 1. Polyarth-ralgia and joint swelling were getting worse even though she was administered both non-steroidal antiinflammatory drug and small dose of prednisolone. Treatment with Ge-132 brought her in a remission state of rheumatoid arthritis and MCV and MCH as well as Hb were improved within 5 months. Two-color flow cytometry of peripheral lymphocytes demonstrated an increase of lymphocyte, CD3-, CD21+ (B cell), CD3+, CD21- (T cell), CD4-, CD8+ (suppressor T cell), CD4+, CD8- (helper T cell), CD16+, DR- (NK cell) and all of double negative cells such as CD3-, CD21- cell, CD4-, C8- cell, and CD16-, DR-cell, parallel to clinical status.These data surely indicated that Ge-132 is effective to this patient.
著者
市村 瓚次郎
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-25, 1918-01
著者
市村 賢士郎 河村 悠太 枡田 恵 伊川 美保 髙橋 雄介 楠見 孝
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.93.20333, (Released:2022-02-10)
参考文献数
25
被引用文献数
2

In recent years, there has been a growing social movement in Japan to develop better work styles. With this background, the present study aimed to examine the relationship between achievement goals and meaningful work in Japan to replicate studies conducted in the West. In addition, we also examined whether an occupational classification moderates the relationship between achievement goals and meaningful work. To this end, we conducted a web survey comprising of blue- and white-collar workers (N = 792) aged 19 to 69. Multiple regression analysis showed that mastery-approach and performance-approach goals were relatively strongly related to meaningful work. Additionally, among white-collar workers, it was observed that performance-approach goals had a positive relationship with meaningful work while performance-avoidance goals had a negative relationship. These results suggested that, in Japan, both mastery-approach and mastery-avoidance goals are related to meaningful work, and that the relationship between performance goals and meaningful work differs based on the goals in the occupation.
著者
山本 圭吾 松島 健 吉川 慎 井上 寛之 手操 佳子 園田 忠臣 波岸 彩子 堀田 耕平 市村 美沙 森田 花織 小池 碧 古賀 勇輝 渡邉 早姫 大倉 敬宏
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

平成26年度より開始された「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」における課題「桜島火山におけるマグマ活動発展過程の研究」の一環として,昨年度に引き続き,2017年11月に桜島火山において一等水準測量の繰返し観測を実施した.本講演では,この測量の結果について報告し,2016年11月に実施した前回測量以降の桜島火山の地盤上下変動について議論する. 水準測量を実施した路線は,桜島西部山腹のハルタ山登山路線,北部山腹の北岳路線の2路線である.路線総延長は約24 kmであった.これらの路線を,2017年11月1日~13日の期間において測量に当たった.測量方法は,各水準点間の往復測量で,その往復差は一等水準測量の許容誤差を満たすようにした.近年の水準儀は測量精度も向上しており,これらの器材を用いて注意深く測量を行った結果,測量における誤差は,1 km当りの平均自乗誤差が,ハルタ山登山路線および北岳路線においてともに±0.22 mm/km,水準環閉合差はハルタ山登山路線において時計回りに0.9 mm(許容誤差7.6 mm)となり,高精度の一等水準測量を行うことができた. 桜島西岸の水準点BM.S.17を不動点(基準)とし,各水準点における比高値を,前回の2016年11月に行われた測量結果(山本・他,2017)と比較することで,2016年11月から2017年11月の期間の約1年間における地盤上下変動量を計算した. 計算された地盤上下変動量から,桜島北部付近の水準点において,地盤隆起(最大で4.5 mm)が生じていることが確認された.前々回から前回測量までの2015年8月・9月から2016年11月の期間においては,1年2~3ヶ月間と多少1年間よりも期間が長いものの,北岳路線のこの付近の水準点において15 mm程度の地盤隆起が測定されていた.このことを考えると,2017年11月までの1年間の桜島北部付近の隆起速度は,それ以前の1年間に比べて減少していると考えられる.一方で,桜島中央部付近においては,若干の地盤沈降(最大で-2.6 mm)が認められる. 茂木モデルに基づき,得られた上下変動量データから圧力源の位置を求めた.測量を実施した水準点の空間分布が限られているため試行的な結果であるが,桜島北方の姶良カルデラの地下約10 kmの深さに増圧源が,また南岳地下の浅部に減圧源が推定された.2016年11月~2017年11月の期間,姶良カルデラ地下のマグマ溜まりにおいて引き続きマグマの貯留が進行していることを示していると考えられる.一方で,南岳直下のマグマ溜りにおいては減圧傾向が示唆される.
著者
坂本 快郎 市村 隆也 水流添 周 中尾 光善
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.137-143, 2005-03-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
46
被引用文献数
1 1

老化はヒトを含む全ての生物に共通した生命現象であるとともに, 多くの疾患や病態の発生と関わっている. 近年, DNAメチル化とクロマチンをはじめとするエピジェネティクスの研究が進展して,細胞の老化現象とも密接に関わることが明らかになってきた. 加齢とともにDNAメチル化パターンが徐々に変化する事実からも, 癌や自己免疫疾患, 代謝病, 神経疾患等の発症機序との相関性が注目されている. DNAメチル化検査は技術的に確立されており, 癌の早期診断, 治療薬剤の選択や予後因子に適用されている. さらに, エピジェネティクスを標的とする薬剤開発 (エピジェネティック治療) が提唱されており, 疾患の予防や治療に貢献できる可能性が高まりつつある.
著者
勝山 美海 花田 恵介 河野 正志 市村 幸盛 竹林 崇
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.733-741, 2020-12-15 (Released:2020-12-15)
参考文献数
19

要旨:右上肢麻痺を呈した亜急性期脳梗塞患者1例に対して,リストバンド型活動量計を用いた行動心理学的介入(Transfer Package)を行った.作業療法介入は,第17病日から1回2時間,週3回,計10回行った.また上肢活動量計測は1週ごとに実施し,対象者に示した.その結果,麻痺側上肢機能と日常生活における麻痺手の使用頻度は改善し,外来終了2ヵ月後にも維持された.上肢活動量の客観的計測は,対象者と作業療法士の双方が麻痺手の使用状況を客観的に振り返ることができ,Transfer Packageをより効率化できると思われた.今後はケースシリーズ研究や比較研究を行い,その有効性を確認する必要がある.
著者
市村 櫻子
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.24-32, 2013

<p>東京大学柏図書館は,開館当初からの一般市民への大学図書館開放に加えて,平成20年10月に「東京大学柏図書館友の会」を発足させた。以来,図書の貸出だけでなく,大学の教員・学生・図書館職員が協力して,ブックトーク,上映会,音楽会等,幅広い事業を展開している。また,柏市立図書館や柏市内の大学図書館と連携し,同一テーマによる資料の企画展示,ビブリオバトル柏市決勝大会,市民の図書館見学ツアー等,大学図書館の特色を活かした事業を連携して展開している。</p>

2 0 0 0 OA 行政法原理

著者
市村光恵 著
出版者
宝文館
巻号頁・発行日
1906
著者
米田 英嗣 市村 賢士郎 西山 慧 西口 美穂 渡邊 智也
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

物語を読むことは、物語に記述された世界、登場人物が経験する出来事を疑似的に体験することであり、読者の脳の中で行われる現実世界のシミュレーションとも言える (米田, 2010; Mar & Oatley, 2008)。本研究では、小説を読むことによって社会的能力の向上がみられるかどうかを、教育介入前のプレテスト、介入直後のポストテスト、介入一ヵ月後のフォローアップテストを用いて検討した。小説読解トレーニングにおいて、ストレンジストーリー課題で心情理解の成績が向上したのに対し、アニメーション課題では、介入の効果が出なかったことから、近転移のみが見られることが明らかになった。社会的能力は、小説読解をトレーニングをしたときのみ向上することがわかった。本研究から、プレ・ポストデザインを用いた小説読解トレーニングによる社会的能力向上の長期的効果を明らかにした。
著者
小泉 寿男 井上 雅裕 大江 信宏 秋山 康智 市村 洋 清尾 克彦
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1_46-1_53, 2018 (Released:2018-02-04)
参考文献数
16

Application fields of IoT systems are expanding and becoming infrastructure of information society. Therefore, development of human resources to build the IoT system and to develop the application system, and also to take advantage of the application system is expected. For human resource development, it is important to build a prototype system to deepen the understanding of IoT. In this paper, we propose a prototype construction method that can be constructed by students of engineering, agricultural, and literary departments in addition to the department of information system. Furthermore, we propose to realize the IoT education curriculum in each department by using this construction method.
著者
市村 光之
出版者
京都大学高等教育教授システム開発センター
雑誌
京都大学高等教育研究 (ISSN:13414836)
巻号頁・発行日
no.25, pp.63-66, 2019-12

横浜国立大学では、学生の主体的な学びを醸成するツールとしてe ポートフォリオシステムを再構築することで、学修成果を可視化し、かつ学生に横浜国立大学では、学生の主体的な学びを醸成するツールとしてe ポートフォリオシステムを再構築することで、学修成果を可視化し、かつ学生に関するIR 情報を集積する仕組みを実現した。これにより、教職員が教育課題について議論する材料を共有できるようになった。学生に主体的な学びを促すには、専攻する学業と進路との関連を意識させること等がカギであることが確認できた。一連の可視化やIR を実質化するには、ポートフォリオの活用法等の理解を促進し学生を動機付けすることで、入力情報の信頼性向上を図ることが今後の課題であることがわかった。関するIR 情報を集積する仕組みを実現した。これにより、教職員が教育課題について議論する材料を共有できるようになった。学生に主体的な学びを促すには、専攻する学業と進路との関連を意識させること等がカギであることが確認できた。一連の可視化やIR を実質化するには、ポートフォリオの活用法等の理解を促進し学生を動機付けすることで、入力情報の信頼性向上を図ることが今後の課題であることがわかった。
著者
市村 賢士郎 楠見 孝
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1, pp.1-10, 2019 (Released:2019-04-25)
参考文献数
39

The purpose of this study was to investigate the causes of and remedies for a earner’s low task persistence. In Experiment 1, 48 participants were assigned to two groups (24 each) and the number of times participants gave up was manipulated by presenting unsolvable anagrams (experimental and control groups). The results revealed that task persistence and task-specific self-efficacy decreased in the experimental group for which the frequency of giving up was increased. In Experiment 2, 72 participants were assigned to three groups and the timing of an intervention with instructions for solution strategies was manipulated (pre-task intervention, mid-intervention, and control groups). The results revealed that in the mid-intervention group, the intervention prevented participants from decreasing their task persistence and task-specific self-efficacy indicated in Experiment 1. These results suggest that voluntary giving up of learners is a cause of their low task persistence, and the timing of intervention to improve learners’ self-efficacy is important.
著者
後藤 崇志 川口 秀樹 野々宮 英二 市村 賢士郎 楠見 孝 子安 増生
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.197-202, 2017 (Released:2017-06-25)
参考文献数
26
被引用文献数
7 5

We investigated the reciprocal influences between autonomous motivation and the use of motivational regulation strategies. We analyzed the data of longitudinal surveys of junior high school and high school students (N = 745) at three time points. First, we conducted a principal component analysis to identify the quantitative (frequency of use) and qualitative components (extrinsic component) of the motivational regulation strategies. Next, we employed a cross-lagged model to analyze the causal relationships between the autonomous motivation and the two components of the motivational regulation strategies. The results revealed that autonomous motivation negatively predicted the subsequent extrinsic component of the motivational regulation strategies. In addition, the extrinsic component of the motivational regulation strategies negatively predicted subsequent autonomous motivation. These findings suggest that there will be some procyclical dynamics between academic motivation and the use of motivational regulation strategies.
著者
目良 和也 市村 匠 相沢 輝昭 山下 利之
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.186-195, 2002 (Released:2002-04-04)
参考文献数
31
被引用文献数
6 21

There have been some studies about spoken natural language dialog,and most of them have successfully been developed within the speci ed task domains. However,current human-computer interfaces only get the data to process their programs.If the dialog processing has emotion comprehensive faculties, it should lead us to more human-like performance.In this paper,we present a method for constructing an emotion-handling dialog system in order to facilitate more confortable interaction with the users. We describe how to calculate emotions from the utterances,focusing on the similarities between the grammar structures and the semantic structures within the case frame.We made emotion generating calculations(EGC)to generate pleasure/displeasure emotion from an event.We also calculate the degree of the pleasure/displeasure from an opposite angle's length of the rectangular parallelepiped consisting of the all the terms in the EGC.EGC uses 8 type calculations for 12 event classi ed type by Okada. Word impressions about like/dislike are used for their calculations.Furthermore,we apply these calculations to the negatives and the noun phrases.To verify the e ectiveness of the proposed method,we tested some conversations using WWW-based health service system for elderly. We applied our method to 80 event in the conversations and calculated emotions almost corresponded to human-generating emotions.