著者
東宮 昭彦 後藤 芳彦 檀原 徹 デ・シルヴァ シャナカ
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

[背景・手法] 大規模火砕流を伴うカルデラ形成噴火は,大災害を引き起こすため,的確な事前予測が求められる.それには噴火の準備過程やトリガーの理解が必要であり,適切な対象における詳細な岩石学的分析とマグマ過程推定はその有力手段である.洞爺カルデラ噴火は,新鮮な試料が得られるなど対象として適切であり,さらに火砕流影響範囲内に都市や重要インフラ等が存在することから,その理解は社会的意義も大きい.また,後カルデラ火山として中島と有珠を持ち,後者は日本有数の活火山でもある. 洞爺カルデラには多数の研究例があり(e.g., 鈴木・他, 1970; 池田・勝井, 1986; Machida et al., 1987; Feebrey, 1995; Lee, 1996; 町田・山縣, 1996),大規模火砕流と広域火山灰を150km3以上放出する破局的噴火を約11万年前に起こしたこと,マグマは高シリカ流紋岩マグマであること,などが判明している.しかし,噴出物のユニット区分や対比は研究者ごとに見解が分かれるほか,岩石学的解釈には不適切な点があった.そこで,新たな地質調査に基づき,ユニット区分や対比の見直し,ユニットごとの分布範囲と噴出量推定などを行なった.さらに,全岩化学組成(XRF),火山ガラスおよび鉱物化学組成(EPMA, LA-ICP-MS)の分析,および種々の解析を行ない,噴火推移やマグマ過程を見直した.[結果] 洞爺カルデラ噴出物は下位からunit 1〜6に分けられ,噴出量合計は広域火山灰や海没部分を除き36.8km3以上であった [詳細はGoto et al. (2018)を参照].unit 1は細粒の火山ガラス片からなる降下火山灰層,unit 2, 4, 5, 6は火砕サージ・火砕流堆積物,unit 3はベースサージと降下火砕物の互層である.このうちunit 4やunit 5下部, 6下部は岩塊に富む.本質軽石の大半は白色で,unit 6を除き全岩組成は均質である(SiO2≒77%・K2O≒2.8-3.2%; Feebrey(1995)のopx-HSRに相当).unit 6の本質軽石の一部は灰色や縞状で,全岩組成に2種のバリエーションがある.1つは中島の安山岩組成へと向かうもの(同hb-LSR),もう1つは有珠の流紋岩組成まで伸びるもの(同cum-HSR)である. ガラスおよび鉱物組成も,unit 6でバリエーションが大きい.たとえば斜長石は,An組成の違いからtype-A, -B,-Cに大別できる.このうちtype-A (An≒12)が圧倒的に多い.type-Bは基本的にAn≧90であるが,An≒80のサブグループ(type-B')もみられる.type-Cは,type-C1(An≒20),-C2(≒35),-C3(≒55)に細分され,C2, C3には部分溶融組織がある.直方輝石や磁鉄鉱もほぼ同様のバリエーションを持つ.石英はtype-A,単斜輝石はB',ホルンブレンドとイルメナイトはC2とC3のみにみられた.マグマA(type-A斑晶を持つマグマ;以下同様)は主マグマ溜まりの珪長質端成分マグマ,マグマBは高温苦鉄質マグマ,それ以外は両者の中間的マグマと考えられる.輝石温度計(Putirka, 2008),鉄チタン酸化物温度計(Andersen & Lindsley, 1985),などから見積もった各マグマ温度は,Aが≦800℃,C1, C2, C3, B'が800〜890℃,Bが≧900℃,となった.斑晶の微量元素濃度や累帯構造から,C2, C3, B'は近縁で噴火直前までA, C1と物質的やりとりがない,B'はBを元々の起源とする,C1のみ噴火前にAと相互作用した,といったことが推定できた. type-A斑晶には逆累帯が発達せず,元素拡散の速い磁鉄鉱でも拡散時間は数日以下と短い.一方,type-Bの斜長石や輝石の多くはMgなどが顕著に拡散し,高温マグマ注入から噴火まで数百年程度あった.[推定されるマグマ過程] 洞爺カルデラ噴火は,水蒸気プリニー式噴火(unit 1)で始まり,大量の火砕サージ(unit 2)の放出が続いたが,その後噴出レートが一旦低下して小規模マグマ水蒸気噴火(unit 3)に移行した.しかしほどなくカルデラ陥没が始まり(unit 4),大規模火砕流放出(unit 5, 6)に至った.unit 2放出によるマグマ溜まり圧力低下が,噴出レートの一旦低下とその後のカルデラ陥没を引き起こしたと考えられる. 噴火直前には,主マグマ溜まりにマグマA(高シリカ流紋岩)が大量に蓄積していたほか,C1, C2, C3, B', Bのマグマが存在した.マグマAはマッシュ状マグマ溜まりから珪長質メルトが分離・蓄積したものであろう(e.g., Wolff et al., 2015).高温マグマ(B)は数百年以上前に貫入し,上記マッシュとの相互作用によってマグマC2, C3, B'を生じさせた.マグマAには,噴火直前まで高温マグマの影響が全くなく,マグマ混合は噴火直前〜最中に受動的に生じたと考えられる.噴火のトリガーは高温マグマ注入ではなく,断層運動など外的トリガー(e.g., Gregg et al., 2015)の可能性が高い.噴火末期にみられるマグマ組成のバリエーションは,中島や有珠との関連を想起させ,更なる再検討が必要である.
著者
小池 伸介 葛西 真輔 後藤 優介 山崎 晃司 古林 賢恒
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.279-285, 2006-08-01 (Released:2008-01-11)
参考文献数
41
被引用文献数
7 7

ツキノワグマの糞に飛来する食糞性コガネムシ (以下糞虫) を山梨県芦川村および東京都奥多摩町で調査した。18種が確認された。いずれも広域に分布し, 他の動物の糞でも確認されている種であった。種により季節消長は異なり, 5種は春から秋にかけて成虫が出現したが, 13種は特定の季節のみ成虫の出現が確認された。日周消長は, トラップで採集された10種のうち5種は昼間中心に, 4種は夜間中心に飛来する種, 1種は季節的に活動時間帯が変化する種であった。糞虫の活動場所は, 8種はdwellerで, 糞の表面および糞の内部でのみ確認された。10種はtunnellerで, 糞下部の土壌内からも糞とともに確認された。Tunnellerは, 産卵期以外も, 糞とともに土壌内から確認された。ツキノワグマの糞に数多く飛来した, コブマルエンマコガネ, クロマルエンマコガネ, マエカドコエンマコガネはいずれも, 昼間中心に飛来し, tunnellerタイプの糞虫であった。
著者
末松 文博 湯川 栄二 峯本 正夫 湯川 美穂 大戸 茂弘 樋口 駿 後藤 良宣
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.426-431, 2001-10-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

The steady-state concentrations of digoxin at trough levels were studied to establish the role of infant characteristics in estimating the doses for digoxin based on routine therapeutic drug monitoring data. The data (n = 340) which showed a steady-state after repetitive oral administration in 147 hospitalized infants were analyzed using NONMEM, a computer program designed to analyze the pharmacokinetics in study populations by allowing for the pooling of data. An analysis of the pharmacokinetics of digoxin was accomplished using a simple steady-state pharmacokinetic model. The effects of a variety of developmental and demographic factors on the clearance of digoxin were investigated. Estimates generated using NONMEM indicated that the clearance of digoxin (L/hr/kg) was influenced by the demographic variables of age, the daily dose, serum creatinine, the presence or absence of congestive heart failure, and the coadministration of spironolactone in infants. The interindividual variability in the clearance of digoxin was modeled using proportional errors with an estimated coefficient of variation of 30.2%, while the residual variability was 28.2%.
著者
鈴木 康介 後藤 悠太 欠畑 岳 彼末 一之
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.18007, (Released:2019-04-18)
参考文献数
46

This study was performed to devise an instructional program for children who were not good at sprinting and to verify the program’s effectiveness for improvement of sprinting ability and motion. The participants were 19 upper grade elementary school children who were not good at sprinting. The program included 2 drills with some teaching devices and running on flat markers. The children attended the program for 8 days (2 days per week) and each lesson lasted an hour. In order to validate the program outcome, sprint time (50 m), interval speed (every 10 m), average speed, maximal speed, rate of speed decline, interval and average step frequency and step length were analyzed, and sprint motions were evaluated. The results were as follows: 1) Most of the children’s 50 m times were below the national average. This suggested that their negative feelings toward sprinting resulted from the realization that they were unable to run as fast as other children. 2) The children’s sprint times were improved after the program, and a significant correlation between pre-time and post-pre time was revealed. It was also found that the greater the increase in the children’s step frequency, the faster their sprint times became. These results suggest that sprinting instruction allows low-performing children to increase their step frequency and improve their sprint times. 3) The main aim of the program was to improve children’s sprint motions in the mid sprint phase, and the participants practiced start motions only twice during the program. As a result, speeds from the start to 10 m, 20-50 m, and maximum speed were increased significantly by this practice, suggesting that significant changes of speed led to improvement of the sprint times. 4) Participants became able to swing back their leg under their body and to make contact with the ground with the middle or front of the foot. Therefore it was considered that the drills and running on flat markers with teaching devices were valuable for improving the children’s sprint motions. 5) Although the scissors-like leg motion was not improved by practice with a color board and bells, the kneefolding motion of the swing leg did appear to be improved. Therefore, the children seemed to acquire basic skill in more rapid scissors-like leg motion. These results suggest that our instructional program was effective in enabling children to improve their sprinting ability and motion. However, additional research focusing on aspects such as the relationship between sprinting ability and sprint motion, or individual feelings and motor competency in the context of sprinting, will be needed.
著者
淺間 一 佐藤 雅俊 後藤 伸之 嘉悦 早人 松元 明弘 遠藤 勲
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.15, no.7, pp.1043-1049, 1997-10-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
16
被引用文献数
5 6

A new type of cooperation called mutual handling is introduced in this paper, which enables a multi-robot system to achieve an advanced functionality that cannot be realized by a single robot, and as an application of mutual handling, a method of cooperative transportation for two autonomous mobile robots to climb over a large step by operating each forklifts cooperatively is proposed, which cannot be overcome by a single robot. Then, a forklift mechanism for mutual handling is designed, and two autonomous mobile robots equipped with the forklifts are developed. Finally, a cooperative transportation method in which two autonomous mobile robots are controlled based on communication is presented, and the step-climbing motion by cooperative transportation is proved feasible by showing the experimental results using the developed omni-directional mobile robots.
著者
渡辺 満久 中田 高 後藤 秀昭 鈴木 康弘 西澤 あずさ 堀内 大嗣 木戸 ゆかり
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

海底活断層の位置・形状は、巨大地震の発生域や地震規模を推定する上で欠くことのできない基礎的資料である。本報告では、地震と津波が繰り返し発生している日本海東縁部において、海底地形の解析を行った。海底DEMデータと陸上地形(いずれも250 mグリッド)とを重ね合わせ、立体視可能なアナグリフ画像を作成し、陸上における地形解析と同世の作業を行った。 日本海東縁は新生のプレート境界として注目され、これまでにも海底地形や地質構造の特徴をもとに活断層が多数認定されてきた。また、歴史地震の震源モデルなどについても、いくつかの詳しい検討が報告されている。本研究によって、これまでの活断層トレースと比較して、その位置・形状や連続性に対する精度・信頼性が高い結果が得られたと考えられる。 松前海台の南西部(松前半島の西約100 km)~男鹿半島北部付近を境に、活断層の密度が異なる。北部では、活断層の数はやや少なく、南北あるいは北北西-南南東走向の活断層が多い。奥尻島の東西にある活断層をはじめとして、長大な活断層が目立つ。1993年北海道南西沖地震(M7.8)の震源断層モデルとして、奥尻島の西方で西傾斜の逆断層が想定されているが、海底にはこれに対応する活断層は認定できない。この地震の震源断層に関しては、詳細な海底活断層の分布との関係で再検討が必要であろう。後志トラフの西縁は、奥尻島東縁から連続する活断層に限られている。その東方には北北西-南南東走向の複数の活断層があり、積丹半島の西方沖には半島を隆起させる活断層が確認できる。 松前海台の南端から南方へ、約120 km連続する活断層トレースが認められる。これは、余震分布などと調和的であることから、1983年日本海中部地震(M7.7)の震源断層に相当すると考えられる。久六島西方では活断層のトレースが一旦途切れるようにも見えるが、これは、データの精度の問題かもしれない。これより南部では、北北東-南南西走向の活断層が密に分布している。粟島の北方の深海平坦面を、南から北へ延びる最上海底谷は、深海平坦面を変位させる(北北西側が隆起)の活断層を横切って、先行性の流路を形成している。このような変動地形は、極めて活動的な活断層が存在することを示している。なお、1964年新潟地震の起震断層に関しては、浅部の解像度が悪いため、十分には検討できない。 アナグリフ画像を用いて海底地形の立体視解析を行うことにより、日本海東縁部の海底活断層の位置・形状を精度よく示すことができた。その結果、歴史地震の震源域との比較が可能となった。また、海底活断層の位置・形状に加えて、周辺の変動地形の特徴を明らかにすることによって、地震発生域や津波の発生源の特定や減災になどに関して、より具体的な検証や提案が可能になると考えられる。今後は、歴史地震と海底活断層との関係をさらに詳細に検討してゆく予定である。
著者
後藤 嘉宏
出版者
Editorial Board of "Library, Information and Media Studies"
雑誌
図書館情報メディア研究 = Library, Information and Media Studies (ISSN:13487884)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.63-81, 2019-03-31

中井正一は三木清から影響を受けているが、三木の個性、独創性信仰に対しては批判的な眼差しももっていた。本稿は中井の三木への評価の肯定的眼差しと否定的眼差しの双方を、中井の全著述を通じた三木への言及から、見ていく。中井はメディウムよりミッテルを、ということをほぼ終生にわたって唱えた。著述家三木に対しては狭い意味での個性志向を示しメディウムを脱しえなかったと評する一方で、実践家三木に対してはミッテルの実践をしたと、高く評価する。両者の眼差しの矛盾を考察することで、ソクラテス流の文字に自分の言葉を残すよりも対話をというミッテルの媒介の典型の姿を、中井は三木の実践に見据えていることが分かった。
著者
村尾 沢夫 大山 邦夫 村井 英継 後藤 章 松井 良博 福原 健一 宮田 茂一 住田 光夫 荒井 基夫
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.157-164, 1979-05-31 (Released:2010-06-28)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Three kinds of amylase inhibitor (S-AI, S-GI and Haim) were obtained from the culture filtrate of Streptomyces sp. S-AI was produced by St, diastaticus subsp, amylostaticus and inhibited glucoamylase and various a-amylases . S-PI consisted., of 6 moles of glucose and 1 mole of unknown substances. The structure of S-AI was discussed. S-GI was a specific inhibitor for exotype glucanase and was produced by St, lavendulae . S-GI inhibited animal invertase, but did not inhibit microbial invertase. Haim was a proteineous inhibitor and produced by, St, griseosporus. Haim inhibited specifically animal a-amylases.

1 0 0 0 IR 園長先生と猫

著者
後藤 江村
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.49-54, 1956-03-01
著者
廣瀬 耀也 後藤 春彦 吉江 俊
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.84, no.758, pp.913-923, 2019 (Released:2019-04-30)
参考文献数
27
被引用文献数
1

In many developed countries including Japan, it has been pointed out that the conventional intermediate group that stabilized society has been dismantled, and isolated individuals are exposed. On the other hand, in recent years, the group of young people who tend to build a strong human relationship locally and to complete the living area there has been drawing attention as one of the typologies of behavior that characterize the youth near the city center. They have been discussed mainly in the field of marketing in terms of their consumption behavior. Moreover, it has been pointed out that this group of youth tends to participate in regional events actively, such as local festivals and to have an orientation for local settlement. It is thought that their orientation for local settlement is based on local-oriented mind, which is formed with friends of elementary and junior high school days. The purpose of this paper is to clarify the process that the group of young people, as an intermediate group based on the experiences of elementary and junior high school days, forming local-oriented mind from group discussion and life story survey. There were three investigations and following was obtained:  1) The target youth’s sense of belonging to local area The local memories shared by the group were collected by group discussion under daily circumstances and classified into seven topics. Also, by analyzing the transition of conversation, it became clear that the topic related to the comparison with the city center is the important one linked with many topics. Based on the result, this paper analyzed how the target young people form a sense of belonging to the localities from the viewpoint of the distinction of behaviors in between city center and their local area. As a result, the target young people formed a sense of belonging to the localities by we-feeling; They do not pay attention to interpersonal attitudes, conversation contents, and clothes except for superior people in their local area. They try to be associate with someone carefully in the local are because they think the rumors spread very quickly. And unlike in the city, they can enjoy entertainment activities without considering trends.  2) The target youth’s formation process of Local-oriented mind Through interview of life story, it became obvious that the range of activities in junior high school days influences the formation of intermediate group by analyzing the local scope affecting the formation of intermediate group from the psychological local scope and places spoken as activity places by developmental stages of youth. Also, by analyzing the temporal and spatial changes of young activities that form local-oriented and its factors from contents of narratives, it became found that from the late infancy to the late adolescence, while receiving the influence of a friend relationship during junior high school, activities forming local-oriented mind is changing.  3) Consciousness for the living in the future and its background factors From the results of the survey on the consciousness for the living in the future, it became clear that the intermediate group itself is mediating the local-oriented mind and influences the intention of settlement and the positive participation of local events.
著者
宇野 彰 春原 則子 金子 真人 粟屋 徳子 片野 晶子 狐塚 順子 後藤 多可志 蔦森 英史 三盃 亜美
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.245-251, 2010 (Released:2010-08-31)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

本研究の目的は, 発達性ディスレクシア (DD) と後天性の大脳損傷によって生じる失読失書例との共通点と相違点について要素的認知機能の発達や局在化に関して検討することである. DD群は10名の右手利き例である. 失読失書例は右利きの男児2名である. 失読失書症例KYは8歳にてモヤモヤ病術後, 脳梗塞にて軽度失語症を発症し, その後軽微な失語症とともに失読, 失書症状が認められた発症半年後から追跡している症例である. 症例MSは, 8歳時の脳梗塞により健忘失語が観察された10年以上追跡してきている現在21歳の症例である. いずれも, 失語症状は軽微で失読失書症状が中心となる症状であった. SLTAではDD群, 失読失書例ともに読み書きに関連する項目以外は定型発達児群と差がなく音声言語にかかわる項目は正常域であった. DD群における局所血流低下部位は左下頭頂小葉を含む, 側頭頭頂葉結合領域であった. また, 機能的MRIを用いた実験により, 左下頭頂小葉にある縁上回の賦活量に関して典型発達群と比較して異なる部位であった. 一方, 失読失書2例における共通の大脳の損傷部位は左下頭頂小葉であった. DD群ではROCFT (Rey-Osterrieth Complex Figure Test) において遅延再生得点が平均の-1SDよりも得点が少なかったが, 失読失書2例においてはともに得点低下はなかった. 一方, 発達性ディスレクシアと後天性失読の大脳機能低下部位は類似していたが, 非言語的図形の処理能力は, 発達性ディスレクシア群で低く, 後天性失読例では保たれていた. 後天性言語的図形である文字と非言語的図形の処理は, 少なくとも8歳までの発達途上で機能が分離されてきているように思われた.
著者
中島 一夫 樋口 陽 後藤 暁子 後藤 昌三
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.111-116, 2015 (Released:2015-03-26)
参考文献数
17
被引用文献数
1

要旨:心原性脳塞栓症発症急性期の経食道心エコー検査にて左房内血栓を認め,dabigatran etexilate(DE)投与後に血栓消失を確認した非弁膜症性心房細動5 例を呈示する.発症時年齢は平均83 歳,女性が3 例,左房内血栓の最大径は平均13 mm であった.未分画ヘパリン投与後のDE への切り換え例が3 例,発症前よりのワルファリン投与からDE への切り換え例が1 例,発症前よりワルファリンが投与され発症後に未分画ヘパリンへの変更を経てのDE への切り換え例が1 例であった.発症各3 日,5 日,5 日,7 日,18 日後からの平均18 日(6~39 日)間のDE(4 例で110 mg×2/日,1 例で150 mg×2/日)投与により全例で症候性再発を認めることなく左房内血栓消失が確認された.心原性脳塞栓症急性期に心内血栓が検出された非弁膜症性心房細動患者におけるDE 投与が,再発予防を目的とした急性期抗凝固療法の一方法になりうることが期待される.
著者
中場 勝 結城 和博 佐藤 久実 佐野 智義 櫻田 博 本間 猛俊 渡部 幸一郎 水戸部 昌樹 宮野 斉 後藤 元#森谷 真紀子#中場 理恵子#齋藤 信弥#齋藤 久美#小関 敏彦#工藤 晋平
出版者
山形県農業総合研究センター
雑誌
山形県農業研究報告 (ISSN:18834655)
巻号頁・発行日
no.3, pp.27-51, 2011-03

「山形100号」は,山形県立農業試験場庄内支場(現山形県農業総合研究センター水田農業試験場)において,良質の「山形75号」を母に,東北農業研究センターで育成したいもち病に強い「奥羽366号」(後の「ひゅらひかり」)を父に人工交配し選抜育成した水稲品種である.奨励品種決定調査において有望と認められ,2010年に山形県の奨励品種(認定品種)に採用された.熟期は育成地では"中生の晩"に属し,稈長は"中稈",草型は"中間"で,耐倒伏性は「ひとめぼれ」より強い"中"である.いもち病真性抵抗性遺伝子型は"Pia,Pii"と推定された.葉いもち圃場抵抗性は"強",穂いもち圃場抵抗性は"極強"である。障害型耐冷型は"強",穂発芽性は"やや易"である.「はえぬき」に比べ,玄米千粒重は3g程度重く,収量性は高い.玄米品質は乳白粒などの白未熟粒が多く発生しやや劣る.胴割程度は,「ひとめぼれ」並に低く,「雪化粧」より明らかに低い.試験醸造の評価は,雑味がなくすっきりと淡麗な酒質となり,甘口,辛口など様々なタイプの酒に対応でき,掛米用として醸造適性に優れる.山形県における栽培適応地帯は,平坦地域から中山間地域で,普及見込み面積は500haである.
著者
大浦圭一郎 間瀬 絢美 山田 知彦 徳田 恵一 後藤 真孝
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2010-MUS-86, no.1, pp.1-8, 2010-07-21

近年,コンピュータによる歌声合成が注目を集めている.中でも隠れマルコフモデル(hidden Markov model; HMM)に基づく歌声合成では,歌い手の特徴を歌声データと対応する楽譜から自動的に学習することができる.2009年12月,無料のオンラインサービス「HMM歌声合成システム: Sinsy」を開始した.ユーザーは楽譜をウェブサイトにアップロードすることで,任意の楽譜に対応した歌声を合成することができる.但し,Sinsyの歌声モデルには70曲で学習した特定話者モデルを用いており,新しい歌い手の歌声モデル追加の際の収録コストが高くなる問題があった.本稿ではSinsyのシステム構成について述べるとともに,話者適応手法により少量のデータから所望の歌い手の特徴を再現した歌声を合成することを検討する.