著者
日高 伊佐夫 後藤 真孝 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.19, pp.29-36, 1996-02-24
被引用文献数
12

本稿では、ジャズセッションシステムにおけるベーシストとドラマーの実現方法について述べる。従来の研究では、人間のソロ演奏への追従が中心であり、計算機が演奏上どう主張するかについては十分考慮されていなかった。本研究では、すべてのプレーヤーが対等となる合奏を実現するために、計算機上のプレーヤーが演奏での主張の仕方を自ら決定することを提案する。また、曲のおおまかな流れを事前に決め、その部分ごとに主張の仕方を変えることを提案する。そのために、セッションの中でどの程度主導権を握りたいかを算出して、自分が主張する程度を決定する。本システムを実装し、ジャズピアニストとセッションを行なった結果、起伏に富んだセッションが実現できた。This paper presents implementation of a bassist and a drummer in our jazz session system where each player is independent and interplays with others. In most previous systems, computer players only followed a human solist and did not play with a certain intention. In our system, each computer player can dynamically determine his musical intention by considering the whole musical relationships among players. Moreover, we introduce a song form called scenario, which enables the player to change his way of playing according to where he plays in it. Experimental results showed that interaction among a human pianist and the computer players made the performance expressive and interesting.
著者
後藤 真孝 日高 伊佐夫 松本 英明 黒田 洋介 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.19, pp.21-28, 1996-02-24
被引用文献数
15

本稿では,すべてのプレーヤーが対等な立場でインタラクションし,即興演奏するジャズセッションシステムについて述べる.従来の多くのシステムでは,人間のソロ演奏に対して計算機が他のプレーヤー全員の演奏を伴奏としてまとめて生成していたため,ソロに追従する域を出なかった.我々は,計算機内のプレーヤー同士も人間同様にお互いの演奏を聞き合い反応することができ,さらにジェスチャーも視覚的に交換することができるシステムを提案する.対象はジャズのピアノトリオとし,人間がピアニスト,計算機がベーシストとドラマーを担当する.両計算機プレーヤーは独立したプロセスとして複数の計算機上に実装され,実際にプレーヤーが対等な立場で演奏できた.This paper presents a jazz session system where each player is independent and can interplay with other players. Most previous systems reacted to only human player's performance with the fixed master-and-servant relationship. Our system enables computer players to listen to other computer player's performance as well as human performance, and to interact each other. Moreover, all players can communicate not only by listening other's performance, but by looking at other's bodies and gestures. In our current implementation, the system deals with jazz piano trio consisting of a human pianist, a computer bassist and a computer drummer. These computer players have been implemented as independent processes on several distributed workstations.
著者
山川 聡 二宮 誠 石川 智朗 後藤 美和 上村 治 本田 雅敬
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.19-26, 2012-04-15 (Released:2012-12-22)
参考文献数
43
被引用文献数
1

運動が身体的運動能力の向上やQOL (quality of life: 生活の質) の改善をもたらすのは明らかである。しかし,慢性腎臓病 (chronic kidney disease: CKD) を持つ患者においては,運動により蛋白尿や腎機能が悪化するのではないかという懸念から,従来から安静を基本とするスタイルがとられてきた。最近になってCKDに運動制限をむやみに行うべきではないという風潮に変わってきているが,CKDにおいて運動が腎疾患を悪化させるのか,それとも逆に腎保護作用があるのかはいままで科学的根拠をもって明らかにはされていない。本稿ではCKDにおける運動制限についての文献的レビューを行いエビデンスを検討した。運動がCKDの長期予後を悪化させるとする報告はな,くむしろ運動は蛋白尿や腎機能を悪化させることなく運動耐用能を改善し,患者のQOLを上げることが比較的高いエビデンスをもって示された。安静・運動制限は特に小児において肉体や精神の健全な発育を阻害しうるので,不必要な運動制限は行われるべきではない。
著者
赤間 亮 川村 清志 後藤 真 野村 英登 師 茂樹
雑誌
じんもんこん2004論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.259-267, 2004-12-09

このパネルディスカッションは、デジタルアーカイブに「人文系からの視点が欠けている」という本シンポジウムの問題意識を受け、その人文科学における意義を改めて問い直し、「真の活用」の道筋をさぐるための議論を行うことを目的とする。本稿は最初の師による問題提起に続けて、各パネリストのポジションペーパーを五十音順でならべている。
著者
後藤 嘉也
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

平成17年度に、ハイデガー哲学の内在的・歴史的研究をとおして、非対称的共同性という問題を浮かび上がらせ、ハイデガーに学びハイデガーを批判したドイツ系哲学者と対話して非対称的な共同性の構造を解明し、平成18年度に、ハイデガーに学びハイデガーを批判したフランス系哲学者と対話して非対称的な共同性の構造を解明した。平成19年度にはこれらの研究を総括し、そこからハイデガー哲学を逆照射するとともに、非対称的共同性の構造の解明に関して暫定的ながら結論を出した。それはおよそ次のとおりである。非対称的共同性は死すべきものたちの単独性と複数性から解明できる。できるかぎり自らを不死にしようとする努力はおそらく幻想を核にしており、死すべきものは、不死の神々にならうのではなく死すべきもののことを考えなくてはならない。そうすることによって、私たちは、19世紀半ば以来の誰でもない人の支配する公共性・公開性から自らの運命に、そしてまた同じく死すべきものである他者の運命に引き戻される。自他の死はそれぞれの単独性を浮き彫りにし、私をこえた他者の命令の前に私を立たせる。これに応えて私は種々の仕方で生と死を他者と自分に返し与える。そのとき、愛や友情においてであれ、民主的な討議においてであれ、他者(たち)と私はけっして一つにはならない。それぞれの単独性を受け入れることは自他の複数性を承認することである。ところが、自己愛ゆえだけでなく、そのためにも、複数のものたちに無条件に従うことは不可能であり、単独性をおびた他者たちを比較考量せざるをえない。単独のものを計算しその他者性を否定しながらも、死すべきものたちの統一なき統一という可能性を、調和を拒まれ逸脱にみちた一種の公的空間を、いまここで遠くに望めるかもしれない。
著者
相良 康子 後藤 信代 井上 由紀子 守田 麻衣子 倉光 球 大隈 和 浜口 功 入田 和男 清川 博之
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.18-24, 2014-02-28 (Released:2014-03-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

本邦におけるHTLV-1感染者は108万人と推計されており,HTLV-1は成人T細胞性白血病(ATL)やHTLV-1関連脊髄症(HAM/TSP)といった重篤な疾患の原因として知られている.日本赤十字社血液センターでの抗HTLV-1抗体の確認検査としては,2012年9月よりウエスタンブロット(WB)法が採用され,検査結果の通知を希望される献血者への通知に際しての判定基準となっている.しかしながら,WB法では判定保留例が多く確定に至らない事例が蓄積されている.今回,我々はWB法における判定保留事例を対象として,複数の方法による抗体検出ならびにHTLV-1プロウイルス(PV)検出を試み,性状解析を行った.その結果,WB法判定保留事例239例中89例(37.2%)でHTLV-1 PVが検出されたが,そのうち4例は化学発光酵素免疫測定(CLEIA)法で,また2例は化学発光免疫測定(CLIA)法で陰性を示した.また,PV陰性150例中19例(12.7%)では複数の抗体検出系で特異抗体が認められたことから,末梢血中のPVが検出限界以下を示すキャリアの存在が示唆され,精確なキャリア確定判定のための抗原同定と検査系確立を要すると考える.
著者
林 嘉彦 高倉 賢二 山出 一郎 石川 弘伸 石 紅 後藤 栄 和久田 晃司 野田 洋一
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.516-527, 1997

子宮内膜内微小環境を修飾することにより胚着床率が改善するか否かを明らかにするために,胚と各種生理活性物質との子宮内膜内共移植を試みた.移植には胚盤胞(ICR)を用い,受卵雌には8~10週齢の同系偽妊娠マウスを用いた.生理活性物質はヒスタミン,プロスタグランジンE2,プロゲステロン,hCGについて検討したが,ヒスタミン(100μM)との共移植でDay2受卵雌の着床率が改善(31.5%)した.マウス子宮内膜間質細胞の培養系にヒスタミンを添加(100μM)したところ脱落膜化の過程にはなんら影響が認められず,また卵孚化胞胚培養系にヒスタミン添加(100μM)を行ってもトロフォブラストの発育にはなんら影響が認められなかった.一方,胚・ヒスタミン共移植後の子宮内膜には著明な間質の浮腫が認められた.以上より着床率改善の機序はヒスタミンによる脱落膜化修飾作用あるいは胚発生促進効果を介したものではなく,血管透過性充進の機序を介した微小環境の変化によるものと考えられた.本研究により胚・生理活性物質の内膜内共移植によって着床率が改善されうる実験的根拠が得られた.〔産婦の進歩49(5);516~527,1997(平成9年9月)〕
著者
後藤 嘉宏
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.519-525, 2007-11-01
被引用文献数
1

本稿では国立国会図書館の納本制度を考え,その際,初代副館長の中井正一(1900-1952)の思想を手がかりにした。中井は納本制度と表裏一体の関係にある支部図書館制度の産みの親の一人ともされる。中井の「機能概念の美学への寄与」(1930)での「機能概念」,「委員会の論理」(1936)での「印刷される論理」,『美学入門』(1951)での映画のカットの議論(「コプラの不在」)を紹介し,それらと彼の図書館思想との関係を考察した。その上で彼の描く支部図書館制度は,それを通じての納入の仕組みとは異なるということを,彼の商品としての本(書籍)に対する二律背反的な態度を踏まえつつ考察した。さらに納入物として望ましいものと情報アクセスの射程として望ましいものとの区別を考えていく必要性があると指摘した。
著者
梶原 豊 後藤 和文 徳丸 元幸 木庭 正光 中西 喜彦 小川 清彦
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
家畜繁殖学雑誌 (ISSN:03859932)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.191-198, 1988 (Released:2008-05-15)
参考文献数
27
被引用文献数
8 8 3

牛卵胞卵子を体外成熟,体外受精後,体外培養することにより得た胚(胚盤胞~脱出胚盤胞)について割球数を算定し,染色体を詳細に分析して,染色体数の異常を調べるとともに性染色体分析による性判別も試みた。体外受精後8~12日目に得た胚盤胞~脱出胚盤胞を供試胚とし,0.04μg/mlのコルセミドと5%仔牛血清を含むTCM 199(25 mM HEPES緩衝)中で90~180分培養した。ついで0.5%クエン酸ナトリウム溶液で低調処理後,メタノール:酢酸:水=3••2••1で一次固定,スライドガラス上で酢酸を滴下することにより二次固定を行い,ギムザ染色後,割球数と染色体解析を行った。主なる結果は次の通りであった。1.胚盤胞,拡張胚盤胞および脱出胚盤胞にみられる平均割球数は,それぞれ68.2±34.7,100.1±51.5,128.1±56.8個と変異は大きいが,ステージが進むにつれ,平均割球数は有意に増加した。2.中期核板出現率は81%前後でステージによる変化はなく,中期核板数は胚盤胞期で平均4.3個,拡張胚盤胞期で5.7個,脱出途中~胚盤胞脱出胚盤胞期で5.1個であった。3.雌雄判別率は胚盤胞,拡張胚盤胞,脱出胚盤胞とステージが進むにつれ53.7,65.1,82.4%と有意に増加した。判別可能であった全胚のうち雌は35個,雄は29個であった。4.染色体数の異常胚率は発生ステージが進むにつれて,やや増加する傾向を示した。また雌胚の方が雄胚にくらべて染色体異常が多い傾向がみられた。
著者
後藤田 正晴
出版者
文芸春秋
雑誌
文芸春秋
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.332-334, 2002-02

1 0 0 0 OA 壱岐郷土史

著者
後藤正足 著
出版者
壱岐民報社
巻号頁・発行日
1918
著者
河合 勝彦 後藤 良次 杉浦 豪軌 青井 一郎 長屋 隆之
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2014年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.225-228, 2014 (Released:2015-01-30)

右肩上がりの日本経済が終焉を迎え、より性能の高いものをより安くつくることによって製品の売上げを伸ばすという、日本企業成長のシナリオに限界が見えてきた。その一方、製品やサービスにまつわるコストパフォーマンス以外の価値創造が顧客満足度を高め、企業の成長を支えるという事例が増えている。この後者の視点に基づいて、我々は企業と(非技術系)大学生が共同して新しい価値(新しいモビリティ文化)を創造するという実践活動(共創活動)を行っている。本稿は、この共創活動の概要をまとめ、こうした活動に参加することによって得られる企業と学生のメリットについて検討する。さらに、この実践活動で得られたノウハウや遭遇した困難について考察を加える。
著者
吉江 俊 後藤 春彦 山村 崇
出版者
Architectural Institute of Japan
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.80, no.716, pp.2231-2241, 2015
被引用文献数
8

The purpose of this research is to identify the spatiotemporal characteristics of values of living environment, based on the analysis of housing advertisements within the Tokyo metropolitan area from 1980 to 2010. (1)Firstly the values were sampled as 102 groups based on their meanings, and their tendency of increase and decrease was revealed. (2) Secondly the housings were classified into 7 types and their geographical characteristics were identified. (3)And finally the qualitative changes of the values which reflect the transformation of the center of tokyo metropolitan area were revealed, which were represented as "being high-rised" of housings, "being imageable" of the nature, "being security - biased" of safeties, and "being individual - biased" of families. At the same time in the whole metropolitan area, "being indoor" of the comfortableness and diversification of families were also identified.