著者
今井 透 遠藤 朝彦 吉村 剛 宇井 直也 大久保 公裕 藤倉 輝道 新井 寧子 余田 敬子 北嶋 整 相田 瑞恵 小津 千佳 酒主 敦子 森山 寛
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.427-438, 2005

東京都において, 観測史上最多のスギ花粉飛散を記録した20o5年に, 多施設共同でスギ花粉症に対するラマトロバンおよび抗ヒスタミン薬との併用療法を, 鼻症状およびQOLについて花粉症日記と日本アレルギー性鼻炎標準調査票 (JRQLQ No.1およびNo.2鼻眼以外の症状用) を用いて検討した。比較に際しては, 初期治療群と飛散後治療群に群別した。初期治療群では飛散後治療群に比較して, 鼻症状およびQOLともにスギ飛散ピーク時のスコアの抑制がみられ, 副作用は認められなかつた。作用機序の異なるラマトロバンと抗ヒスタミン薬との併用は, シーズン10,000個/cm2を超えるような大量飛散年においても, 飛散ピーク時の鼻症状ならびに患者QOLを改善することから有用な治療法であることが示唆された。
著者
新井 隆太 加藤 竜男 西池 修
出版者
北海道整形外科外傷研究会
雑誌
北海道整形外科外傷研究会会誌 = The Journal of Hokkaido Orthopaedic Traumatology Association (ISSN:09146083)
巻号頁・発行日
no.24, pp.76-80, 2008-03-31
被引用文献数
1

大腿骨頚部骨折に対しHannson pin を用いた骨接合術術後に,大腿骨転子下骨折を生じた2例を経験した.症例1は74歳女性.Hannson pin により大腿骨頚部内側骨折骨接合術を行い術後7日目に転倒し,遠位ピン刺入部で骨折を認め,Hannson pin を抜去しEnder 釘による骨接合術を施行した.症例2は42歳男性.Hannson pin による骨接合術を行い,術後6週にトイレでかがんだ際に大腿部痛を自覚し,遠位ピン刺入部で骨折を認めた.Hannson pin を抜去しEnder 釘による骨接合術を再度施行した.症例1では骨脆弱性が基盤にあり,転倒によりHannson pin 刺入部の大腿骨外側骨皮質欠損部に外力が集中し,転子下骨折が生じたと考えられた.症例2では股関節屈曲時に,腸腰筋収縮による応力がHannson pin 刺入部およびガイドピン打ち直しにより生じた大腿骨外側骨皮質の骨脆弱部に集中し,骨折したと考えられた.Hannson pin による骨接合術では,刺入部の大腿骨外側骨皮質の強度を低下させる原因となるガイドピンの打ち直しを避ける必要があると考えられた.また,骨粗鬆症の程度が強い症例では荷重を遅らせるなどの術後リハビリテーションの工夫が必要であると思われた.
著者
新井 恒紀 小林 孝之
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.175-191, 2013-05-29
参考文献数
18

<B>背景</B> : リンパ浮腫は、先天性を含めた原因不明のものと主にがんの手術や放射線療法によるリンパ管の輸送障害に起因する続発性リンパ浮腫に分類され、我が国には10万人以上存在するといわれている。リンパ浮腫の治療については、国際リンパ学会により複合的理学療法が標準治療に定められている。この療法は、「スキンケア」「用手的リンパドレナージ」「圧迫療法」「運動療法」を複合的に実施することにより、はじめて最大限の効果を得ることが出来るものである。現在、我が国では「リンパ浮腫指導管理料」と圧迫療法として「弾性着衣等に係わる療養費の支給」の2項目のみが保険適用になっており、用手的リンパドレナージが保険適用になっていない。そのためこの療法の単独効果を実証し保険適用の一助とするため本研究を行った。<BR><B>方法</B> : 四肢のみに浮腫のみられた患者72名(平均年齢は60.46&plusmn;13.00歳)に対して用手的リンパドレナージを上肢患者45分、下肢患者60分行った。患者の治療前後の患肢容積変化を測定しその効果を検討した。データの統計処理は正規分布検定を行ったのちWilcoxonの符号付順位検定を行った。<BR><B>結果</B> : 全患者n=72名では69.20ml&plusmn;93.00ml減少し(p<0.000)、部位別では上肢群n=16名では26.20ml&plusmn;45.99ml減少し(p=0.039)、下肢n=56名では81.40ml&plusmn;99.50ml減少し(p<0.000)、集中治療期(Phase1) n=12名では112.50ml&plusmn;118.78ml減少し(p=0.005)、維持治療期(Phase2) n=60名では60.50ml&plusmn;85.56ml減少し(p<0.000)だった。またPhase2をStage分類し治療前後の患肢容積変化を算出したところStageI (n=9名)では75.00ml&plusmn;98.14ml減少し(p=0.038)、StageII (n=46人)では56.90ml&plusmn;88.17ml減少した(p<0.000)。※患者数が5人未満である0期、III期は統計処理から除外した。<BR><B>結論</B> : 今回の研究により、用手的リンパドレナージによる治療前後の患肢容積が統計的に有意に減少したことが明らかになった。この結果を踏まえ、用手的リンパドレナージを含んだ複合的理学療法の保険適用が切望される。
著者
新井 映子 高塚 千広 川上 栄子 市川 陽子 伊藤 聖子 神谷 紀代美 清水 洋子 竹下 温子 中川 裕子 村上 陽子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2021年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.161, 2021 (Released:2021-09-07)

【目的】 静岡県に伝承されてきた家庭料理の中から、行事食として食されてきた料理を東部、中部、西部に分け、各地域別に明らかにすることを目的とした。【方法】「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の調査ガイドラインに基づき、静岡県東部(富士宮市、伊東市)、中部(静岡市、焼津市、藤枝市)および西部(浜松市、湖西市)の各地域において居住歴が30〜81年の男女61人を対象に聞き書き調査を実施した。【結果】歴史的、地理的にもそれぞれの特徴を持つ東部、中部、西部の3地域について、各地域に特有の食材を生かした行事食やそれらの調理法について示す。東部の富士宮では、富士山の火山灰土壌で落花生栽培が盛んなため、おせちのなますには粗くすりつぶした落花生を入れる「落花生なます」が作られる。伊豆半島の主要な漁港である伊東では、祭りなどの行事食として鯖のそぼろをのせた「鯖の箱ずし」が作られる。中部は正月に黒豆、田作り、数の子を用意し、里芋やごぼう、椎茸の「煮しめ」、大根と人参の「なます」にいかやしめ鯖を加える。かつおだしに大根と里芋、角餅の「雑煮」やまぐろの「にぎりずし」を作る。おせちに練り製品を入れる。クチナシで色づける「菱餅」や「染飯」がある。西部の湖西市は「新居の関所」がある町で、東海道を往来する旅人によって「すわま」という波形をあしらった餅菓子が伝承され、上巳の節句に作られている。浜松市山間部の水窪周辺では、雑穀を中心とした食文化があり、4月8日(花祭り)に大豆、そば粉、小麦粉で「とじくり」いう団子をつくって仏壇にお供えしている。以上のことから、静岡県では東部、中部、西部の各地域に特有の食材が、行事食にも生かされていることが明らかとなった。
著者
北山 大祐 松尾 恵五 新井 健広 岡田 滋 藤解 邦生 鵜瀞 条 川西 輝貴 森 康治 望月 暁 池上 玲一
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.197-204, 2016 (Released:2016-03-25)
参考文献数
11

高位筋間膿瘍は臨床症状に乏しく診断に苦慮することもある.また,保存的加療や切開排膿などの加療のみで痔瘻化せずに根治する症例がある一定の割合で存在する.根治術の有無に影響を及ぼす因子として,病悩期間,糖尿病の有無,発熱の有無,白血球,切開排膿の術式などについて検討した.術式は内外括約筋間からの切開を基本とし,ドレナージシートンの留置が必要な場合は外括約筋外から切開した.高位筋間膿瘍に対する切開排膿後,痔瘻化し根治術を行った症例は約15%にすぎず,保存的加療にて軽快後に根治術を行った症例はなかった.外括約筋外から切開した症例は内外括約筋間から切開した症例に比べ,有意に痔瘻化し(P<0.05),根治術を行っていたが,他の因子については有意差を認めなかった.高位筋間膿瘍の加療後に,痔瘻化し根治術が必要となる症例は比較的少ないが,排膿時の術式選択が痔瘻化の有無に影響を及ぼしている可能性が示唆された.
著者
新井 有子 蛭川 みつ子 花井 俊彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.7, pp.969-975, 1986-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
14
被引用文献数
2

オクタデシル基を結合したシリカゲルを用いる逆相液体クロマトグラフィーでの保持時間は, 分子固有の性質(Van der Waals 体積, π-エネルギー, 水素結合エネルギー効果, および解離定数)から予測することが可能となった。さらにより疎水性な化合物の強い保持は, エンタルピーの測定により, 直接に疎水性充填剤表面への吸着によることがわかった。ただし, シリカゲルを支持体とする充填剤の化学的安定性が悪いため, ビニルアルコールコポリマーゲルにオクタデシル基を結合させた充墳剤を使ってオクタデシル基結合シリカゲルを使った場合と同様の実験を行なった。これら2種の充填剤上での保持機構は必ずしも同じではなく, ビニルアルコールコポリマーゲル上では分配的で, シリカゲル上では吸着的挙動が見られた。さらに, 酸のイオン交換体上での保持の予測を可能にするために, イオン交換基を結合させたビニルアルコールコポリマーゲルを用い, pHを変えた溶離液中での酸の保持時間を測定した。この結果, 異なる充填剤上で測定した解離定数は100%水溶液中で測定した値にくらべて規則正しくシフトしていた。
著者
新井 史人
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
1993

identifier:http://hdl.handle.net/2237/6597
著者
新井 和孝
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.374-384, 1981-05-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
70
被引用文献数
5 6

In recent years, α-chlorosulfides have been utilized as very useful synthetic intermedites. Firstly, in this article, the preparation methods of α-chlorosulfides are reviewed, and the critical points of the preparative reactions are summerized as follows : (1) selectivity of degree of the chlorination, (2) α, β-elimination of hydrogen chloride, (3) cleavage of C-S bond of sulfides, and (4) regioselectivity of the chlorination. Secondly, many types of the reaction of α-chlorosulfides are introduced together with each typical application in organic synthesis, classified in three groups, (1) the reactions with nucleophiles, (2) the reactions as electrophiles, and (3) miscellaneous reactions.The scope and limitation of the synthetic utility of the reaction of α-chlorosulfides will be clarified in this review.
著者
新井 和広
出版者
慶應義塾大学日吉紀要刊行委員会
雑誌
人文科学 (ISSN:09117210)
巻号頁・発行日
no.36, pp.77-105, 2021

はじめにハドラマウトに関する史料 (書籍) と所蔵状況, 入手方法ハドラミー関連の伝記集の形式ハドラミー関連の伝記集おわりに
著者
新井 誠
出版者
慶應義塾大学
巻号頁・発行日
2005

博士論文
著者
新井 悠
出版者
日経BP社
雑誌
日経バイト (ISSN:02896508)
巻号頁・発行日
no.258, pp.86-92, 2004-11

2004年9月1日,「Windows XP Service Pack 2 セキュリティ強化機能搭載」(以下,XP SP2)が正式リリースされた。従来のようにWindowsUpdateサイトとダウンロード・センターでのダウンロード配布に加え,パソコン・ショップと全国約2万5000カ所の郵便局でCD-ROMの配布が行われる。
著者
日原 由香子 成川 礼 蓮沼 誠久 増川 一 朝山 宗彦 蘆田 弘樹 天尾 豊 新井 宗仁 粟井 光一郎 得平 茂樹 小山内 崇 鞆 達也
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.88-97, 2017

<p>化石燃料に代わるエネルギー源の確保が課題とされる昨今,光合成効率が高いシアノバクテリアや藻類を用いた燃料生産は,食糧生産と競合せず,カーボンニュートラルである点で注目を集めている.特にシアノバクテリアは,ゲノムや細胞の構造が単純で遺伝子操作が容易,増殖が速い,光合成能が高いなど,燃料生産ホストとして有利な性質を備えている.本稿では,多様性に富むシアノバクテリアのさまざまな性質を活かして,燃料生産技術の開発に取り組んだ最新の成果について解説する.</p>
著者
辻本 裕一 藤田 昌弘 波多野 浩士 新井 康之 高田 剛 高田 晋吾 本多 正人 松宮 清美 藤岡 秀樹 布施 貴司 山吉 滋 安藤 正憲 西田 義記
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.407-410, 2008-06

12歳男。自転車走行中にバイクと接触し, 左側腹部痛を来たした。検査所見で白血球増加, 貧血, LDH・CK上昇を, CTで左腎上極の断裂と周囲の血腫形成を認めた。血管造影を施行し, 左腎上極へ分枝した動脈からの出血を認め, コイルによる選択的動脈塞栓術(TAE)を行った。しかし受傷後2日目に左側腹部痛増強と肉眼的血尿が出現し, 血管造影で同じ動脈からの出血を認め, 再度TAEを行った。受傷4日目も炎症所見と発熱が続き, 貧血が進行したためCTを施行した。血腫は縮小傾向であったが, 左上断裂腎からの尿漏を認め, 感染症の併発を考えて断裂腎に対するTAEを試みた。左腎上極へ分枝した動脈をスポンジセルを用いて塞栓したところ, 徐々に解熱, 炎症反応改善が得られ, 23日目のCTでは血腫縮小傾向を認めた。受傷5ヵ月目のCTでは断裂腎は萎縮し残存していたが造影効果は認めず, 血腫は完全に吸収され, 残存腎の機能は十分に温存されていた。尿漏や水腎症などもなく経過順調である。
著者
小柳津 卓哉 坂井 顕一郎 新井 嘉容 大川 淳
出版者
東日本整形災害外科学会
雑誌
東日本整形災害外科学会雑誌 (ISSN:13427784)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.49-53, 2020 (Released:2020-04-29)
参考文献数
5

【目的】健常人24名の頚部伸展筋活動を表面筋電図で測定した.【方法】頭板状筋・僧帽筋を対象とし,頚椎後屈位,中間位,前屈位,頭部前方突出位(前方注視)における平均筋活動量と筋疲労を解析した.【結果】頭板状筋において平均筋活動量が前突位で有意に増加していた.僧帽筋の平均筋活動量と頭板状筋・僧帽筋の筋疲労は姿位による有意な変化を認めなかった.【結語】首下がり姿位からの水平視は頭板状筋の筋活動を要した.
著者
新井 哲夫
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.15-33, 2019

本研究の目的は,欧米視察旅行(以下,欧米旅行)が久保貞次郎の批評家としてのキャリア形成に与えた影響と欧米旅行実現に至った背景を明らかにすることである。研究は,貞次郎が戦前・戦中に執筆した雑誌記事,同時期における貞次郎の実生活上の経験に関わる文献,戦後の回想記等を対象に文献研究法によって行った。その結果,欧米旅行が貞次郎の美術及び児童美術の批評家としてのキャリア形成に決定的影響を与えたこと,欧米旅行に至る背景については,エスペラント運動の経験と婚家の経済的支援が必須の前提条件となり,社会教育研究生の経験が自らの将来像を見直す機会を与え,それが大学院進学に繋がり,大学院時代に参加した日米学生会議における北米体験が欧米旅行実現の直接的な動因となったことを実証的に明らかにした。
著者
新井 凪 鈴木 彦文 小形 真平 岡野 浩三
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2021-IOT-55, no.1, pp.1-8, 2021-08-30

ネットワークの構築や構成変更において,その作業手順書を作成する開発者の負担が高いという問題がある.そのため従来から,ネットワーク機器設定コマンド(機器設定コマンド)からなるネットワーク機器設定手順(機器設定手順)を含んだ作業手順書を作成支援する方法が提案されてきた.しかし,多種多様なネットワーク構成に対応しやすい拡張性の高い方法は未だ確立されていない.その方法の確立に向けて本研究では,ネットワーク構成の設計を表す拡張性の高い厳密な仕様記法を確立し,この記法に準拠した設計仕様に基づいて作業手順書を自動生成する手法の確立を目的とする.本稿では,変更前後のネットワーク構成における設計仕様間の差分(変更差分)に基づき変更分の機器設定手順を自動生成する方法に焦点を当て,手法を検討した結果を報告する.また,小規模なネットワークの構成変更を事例として提案手法を適用した結果,期待された構成に変更できる機器設定手順が得られたことを確認した.