著者
村山 忠一
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.119-125,a1, 1986-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
1

改良山成工の土量計算方法の一つ, メッシュ法は, 測定メッシュを大きくするに従って計算土量が小さくなる傾向がある。今日これは誤差の問題とされているが, 実はメッシュの四隅のデータの平均計算で, プラスデータとマイナスデータが相殺しあうことに原因する量の見落しがある。現場でいう (メッシュ内土量) がこれであって, この解明をしながら, メッシュ法におけるデータ処理の基本問題を考察する。
著者
細谷 紀江 荒井 康晴 原 節子 村山 ヤスヨ 三木 治 村上 正人 桂 戴作
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.583-586, 1991

We reported a case of 35-year-old male motorman who was suffering from work-related IBS. His symptoms were eased by a psychosomatic approach we provided while he was away from work for a half-year. The specific therapies were as follows : 1. Antidepressant medication, anti-anxiety drugs, drugs for the bowel. 2. Counseling and autogenic training conducted not only fro self-evaluation and relaxation but also for understanding the correlation between body and mind. 3. SD in order to ease anxiety while operating a train. Regarding the process of SD, the patient told us about a fatal accident which he had witnessed previously. SD, intended to remove the anxiety caused by observing the fatal accident, rapidly eased the patient's physical symptoms, and he became able to return to his job.
著者
山田 哲夫 村山 鉄郎
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.111-114, 2003-02

症例1は55歳女で,充満時膀胱部痛,頻尿を主訴とし,抗生剤を内服したが軽快しないため受診した.膀胱組織に著しい浮腫と充血,軽度なリンパ球と好酸球浸潤が見られた.硬膜外麻酔と水圧療法,Serotonin selective reuptake inhibitor(SSRI)の投与を行った.治療後,膀胱症状や腰痛,頸部痛を主とした全身の筋肉痛が軽快した.症例2は63歳女で,充満時膀胱部痛を主訴とし,膀胱組織にかなり強い浮腫や充血,軽度な炎症細胞浸潤が認められた.硬膜外麻酔と水圧療法,SSRIの投与を行い,疲労時稀に排尿痛,膀胱痛を軽度に感じるのみとなった.筋線維症候群の症状と膀胱症状はほぼ平行した
著者
村山 淳 村山 悦子 竹中 弘行 佐々木 泰仁 寺見 彰洋
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.C0102, 2008

【はじめに】人工股関節全置換術(以下THA)を施行された患者では胡座坐位での靴下着脱動作練習後に、歩容の改善をしばしば経験する。今回は、足部の知覚と動作の関係に着目し,THA患者の靴下着脱動作練習前後の片脚立位能力および歩行能力を比較し若干の知見を得たので報告する。<BR><BR>【対象】片側THA患者17名。男性2名、女性15名、平均年齢66.9±9.8歳、平均体重56.6±9.8kg、平均身長153.2±7.5cm。全荷重可能となり杖歩行自立した者で胡座坐位での靴下着脱練習が可能な者とした。<BR><BR>【方法】靴下着脱練習前後における片脚立位保持時間とTimed up and go test(以下TUG)を測定し比較した。靴下着脱練習はセラピストと一緒に胡座坐位をとり、両側足部の可動性を確認した後、靴下の中に足部が入り込んでいく感覚を感じながらの着脱を両側共おこなった。片脚立位保持時間は2m前方の壁のマークを注視しながら片脚立位を保持し30秒可能で終了とした。TUGは5__m__前方に棒を立てセラピストの合図で立ち上がり、棒を回って戻り、イスに座るまでの時間を測定した。靴下着脱練習前後の差の検定はt検定にて行った。<BR><BR>【結果】術側片脚立位平均時間は靴下着脱前平均12.7±1.0秒、着脱後平均17.3±11.7秒と練習着脱後の方が長くなり有意差を認めた(P<0.01)。非術側片脚立位平均時間は靴下着脱前平均20.1±11.9秒、着脱後22.8±10.6秒と着脱後の方が長くなったが有意差を認めなかった。TUG平均時間は靴下着脱前平均19.8±4.9秒、着脱後平均18.2±4.1秒と着脱後の方が速くなり有意差を認めた(P<0.05)。被験者の主観は練習後靴下着脱がしやすくなり、歩きやすいと答えた者が多かった。<BR><BR>【考察】今回の結果ではTHA患者に対し靴下着脱練習をセラピストと一緒におこなった後の術側片脚立位時間が有意に延長し、TUGが短縮した。胡座坐位は脱臼肢位の股関節屈曲、内転、内旋を取らないということを理解しやすいことと,支持面上で安定しており、足部に手、頭部が向かっていける姿勢のため触運動覚及び視覚での足部の知覚と足関節自体の運動が引き出しやすい姿勢と考えられる。靴下着脱は靴下から受ける触、圧感覚に対し足部が無自覚に反応して行われる。THA患者は術後疼痛が軽減し筋力、可動域が改善しても術前同様の非術側主体の姿勢、動作となり易く術側足部の反応が乏しい。靴下着脱を練習する事により術側足部の活動性を促した結果、足部で支持面を探索し知覚することができバランス反応を引き出す事が出来たと考えられる。このことにより、術側の片脚立位時間が延長し、立ち上がり、歩行し、座るという一連動作であるTUGも短縮したと考えられる。THA後の後療法としてROM改善、筋力強化、歩行練習が主体であるが、術側下肢をADLの中で自分の脚として使えるようになるという視点が大切であることが再認識された。
著者
村山 祐司 尾野 久二
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.19, 2002

<BR><B>I はじめに</B><BR> 最近,GISの世界では,計量地理学の成果と可視化技術を統合・発展させたGeoComputationが注目を集めている。この分野の研究は多岐にわたるが,重要な研究課題の1つに空間分析用のプラットホームの構築がある。その先導的役割を果たしのはSpaceStat を開発したLuc Anselinであるが,最近では,Leeds大学CCGやペンシルベニア州立大学GeoVistaなどでも精力的に研究が進められている。また,空間分析ツールの情報を集め,インターネット上で公開しているCSISS(Center for Spatially Integrated Social Science, http://www.csiss.org)の研究プロジェクトも関心を集め,世界的に高い評価を得ている。このように,人文地理学にとって有用な空間分析諸手法が次第にGISに取り込まれつつあるが,本研究は欧米の動向を踏まえ,オープンソースを利用した統合型空間分析システムを開発し,日本におけるGIS教育や地域分析に貢献することをめざしている。<BR><BR><B>II 利用ソフトウェア</B><BR> 本システムはWindowsNT/2000/XP上で動作する。 本システムを構築するにあたり活用したソフトはフリーウェアで,すべてオープンソースである。<BR>1.GIS関連<BR>GeoTools for Java(CCG開発のJava用GISエンジン), JTS(Java Topology Suite) (オーバーレイ解析モジュール)<BR>2.空間分析関連<BR>R言語・・・統計分析用言語。商用統計分析ソフトSplusのクローン。多くの拡張パッケージが存在する。<BR><BR><B>III 統合型空間分析システム</B><BR>(1)概要<BR> プログラム本体(Java言語で作成)とR言語を統合するために,本システムは以下のツールを利用している。<BR>1.JCOM・・・システム本体とRSTATサーバー間の通信ソフト(オープンソース)。<BR>2.RSTATサーバー・・・JCOMとR言語間の通信(独自開発)<BR> これらを用いることにより,GIS機能と空間分析機能とのTight なカップリングを実現した。<BR>(2) 空間分析機能<BR> 現時点で,以下の解析機能をサポートしているが,近い将来,空間的相互作用分析や空間的拡散モデルなど人文地理学の分析でニーズが高い技法やモデルを順次追加していく予定である。<BR> ・ 空間解析(バッファー),TIN,ボロノイ,凸包<BR> ・ 記述統計,多変量解析,ESDA(探索的空間分析)<BR> ・ ポイント・パターン分析,空間的自己相関分析,ニューラルネット分析<BR>(3) 実行例(空間的自己相関分析の事例)<BR> 第4図はローカルG統計量を求める画面を表示したものであり,第5図はローカルG統計量を導出した結果の地図表示の例(茨城県,市町村単位)である。<BR><BR><B>IV 展望</B> <BR> 現在,村山のサイト(http://land.geo.tsukuba.ac.jp/teacher/murayama/index.html)において,本システムを試験的に公開している。空間分析機能をより充実させるとともに,WebGIS化を果たすことが今後の課題として残されている。<BR><BR>参考文献<BR>村山祐司・尾野久二編 『地域分析のための地理情報システム─Arc/INFOを利用して─』,文部省重点領域研究「近代化と環境変化」技術資料,1993,206頁。
著者
村山 博 Hiroshi Murayama 桃山学院大学経営学部
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
桃山学院大学経済経営論集 = ST. ANDREW'S UNIVERSITY ECONOMIC AND BUSINESS REVIEW (ISSN:02869721)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1-37, 2007-11-20

The old innovation was eliminating the products of the other companies from the market, spreading only the products of one's company widely, and raising the market share as much as possible. It was no longer a business goal to win the competition with the other companies after the information technology innovation. Then some companies are beginning to look for a new innovation or a business goal. That is the innovation that companies do not compete with the other companies but cooperates with the competitors in the market. The innovation consists of the competitor's bunches which harmonize both competition and accordance and can make new products and new technologies which we have never seen before. This innovation from the viewpoint of customers or markets differs from the old innovations greatly. The innovation will be indispensable in the internet community. This paper studies the innovation which cooperates with the other companies and considered the hybrid car of Toyota, the digital broadcasting of Disney, the development of the Linux software, etc. The following conclusions were reached. Vertical accordance" of this innovation carries out the synchronization of the three innovations, such as development, manufacturing, and distribution. And Horizontal accordance" of this innovation has the synergy by cooperative development and licensing with the other companies. We can call it the innovation of innovations. The local brands, merchandising rights, open source methods, cooperative research and cooperative development, licensing among other companies, the de facfo standards are the brand new innovations which cooperates with the other companies. Some companies of the specific community manufacture and sell using the same local brand. The accordance between companies by this local brand can acquire the large cost performance and the synergy which the only one company cannot acquire. It can be called the accordance innovation. The source code of the Linux software was opened to the entire world. Then, the developers connected with the Internet in the world have performed the development of the Linux software. As a result, the Linux software became such wonderful software that Microsoft is threatened. This open source method is the new accordance innovation in the internet community. This paper also studies the problems of the new innovations, such as the matter on which researchers escape from the development, the matter on which the competition stagnates, and the matter on which the standards monopolize the market.
著者
西牟田 輝満 錦戸 亮二 村山 伸樹 伊藤 眞一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.93, no.449, pp.17-24, 1994-01-28

神経の興奮を調べる一般的な方法として微小電極法が用いられているが、この方法では脳神経回網全体のダイナミックな挙動を解析するのは困難である。近年、興奮のダイナミックな流れをつかむ方法の一つとして光学的測定法が注目されている。そこで本研究では、25チャンネルフォトダイオードアレーを用いた多点光学測定システムを試作した。またシステムの有効性を検証するために、ラット大脳波質体性感覚野にこのシステムを適用し、体部位再現を行った。
著者
森本 悟 髙尾 昌樹 櫻井 圭太 砂川 昌子 小宮 正 新井 冨生 金丸 和富 村山 繁雄
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.573-579, 2015 (Released:2015-08-21)
参考文献数
17
被引用文献数
1

症例は62歳の女性である.頭痛で発症し,3ヵ月にわたって進行する認知機能障害,発熱および炎症反応の持続を呈した.頭部MRI画像で皮質および白質に多発性病変をみとめ,造影後T1強調画像にて脳溝や脳室上衣に沿った造影効果をみとめた.認知機能障害およびMRI所見が急速に進行したため脳生検を施行.クモ膜下腔に多数の好中球浸潤および多核巨細胞よりなるリウマチ性髄膜炎類似の病理像をみとめるも,関節リウマチの症状はなかった.各種培養はすべて陰性で,抗菌薬,抗結核薬および抗真菌薬治療に反応なく,経口ステロイド療法が奏功した.2年後の現在も寛解を維持している.
著者
村山 綾 三浦 麻子
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.90-99, 2015 (Released:2017-06-02)

本研究の目的は、裁判員裁判を模した専門家-非専門家の評議過程において、(1)非専門家が有罪・無罪判断に用いる材料が事前の意見分布や評議前後の意見変容のパターンによって異なるかどうかを検討することと、(2)裁判員の主観的成果の指標として満足度に注目し、評議の満足度を高める要因を多面的に検討することである。実験協力者の裁判官役1名(常に有罪を主張)、実験参加者の裁判員役3名の計4名からなる30集団が有罪・無罪判断を決定する評議を行った。大学生90名のデータを対象とした分析の結果、非専門家は、専門家や多数派の意見を参考に自らの判断を行うこと、評議に関する満足度には専門家に対する信頼の程度や、専門家や自分と同じ立場である非専門家との意見の相違などが影響することが示された。事件内容の理解も満足度を高めていたが、評議中の発言量とは関連が見られなかった。裁判員の評議への実質的参加を高める評議デザインについて議論した。
著者
村山 綾 今里 詩 三浦 麻子
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.35-44, 2012 (Released:2017-06-02)

本研究の目的は、専門家と非専門家による評議コミュニケーション場面で専門家の意見が評決に及ぼす影響について実験的に検討することである。実際の裁判員裁判に類似したシナリオを用いて、裁判員役の大学生3名と裁判官役の実験協力者1名の4名からなる評議体(合計93名、31評議体)が被告人の有罪・無罪について話し合った。事前意見分布(有罪多数、対立、無罪多数)と評議スタイル(評決主導もしくは証拠主導)を操作した。分析の結果、裁判官役と反対意見に判断を変化させる参加者よりも、同一判断に意見を変容させる参加者が多かった。また評議後に裁判官と同一判断だった参加者は、評議前の判断の確信度よりも評議後の確信度の方が高くなっていた。本研究で得られた知見に基づいて、裁判員制度および評議過程に関する提言を行った。
著者
村山 繁雄 齊藤 祐子 金丸 和富 徳丸 阿耶 石井 賢二 沢辺 元司
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.483-489, 2005
被引用文献数
1

老化・痴呆の克服を目指し, 在宅高齢者支援病院と併設研究所が共同で, ブレインバンクシステムを構築した. 法的基盤としては, 死体解剖保存法18条と, 病院剖検承諾書をもとに行う, 共同研究を前提とした. 共同研究申し込みの内容に対しては, 論文審査と同様の守秘義務のもと, 外部委員による事前審査を行うこととした. 共同研究者の適格性については審査の上, 研究所協力研究員に委嘱するかたちをとった. 倫理面では, 病院・研究所及び, 共同研究先の倫理委員会の承認を前提とした. その上で, バンク管理者, 神経病理診断責任者, 臨床情報提供者が, 共同研究者となることを条件に, 共同研究を開始した. 標本採取には, 神経病理担当医が, 開頭剖検例全例に対し, 臨床・画像を判断の上, 採取法を決定した. 凍結側の脳については, 割面を含む肉眼所見を正確に写真に残し, 代表部位6箇所を採取, 神経病理学的診断を行った. 凍結については, ドライアイスパウダー法を採用した. 反対脳については, 既報通り (Saito Y, et al: 2004) 検討した. 現在までの蓄積は, 脳パラフィンブロック6,500例以上, 凍結脳 (部分) 1,500例以上, 凍結半脳450例以上で, 30件以上の共同研究を実行中である. 欧米のブレインバンクとはシステムは異なるが, その哲学である,「篤志によるものは公共のドメインに属し, 公共の福祉に貢献しなければならない」を共有する点で, ブレインバンクの名称を用いることとした. 依然として, 大多数の日本の研究者が, 欧米のブレインバンクに依存している事態の打開のためには, このシステムが市民権を得るよう, 努力していく必要がある. そのためには, 同様の哲学を有するもので, ネットワーク構築を行うことにより, 公的研究費を得る環境作りが必要である. ブレインバンクの重要性が人口に膾炙された上で, 患者団体との提携をめざすことが, 現実的と思われる.
著者
室井 貴史 長屋 征悟 木竜 徹 村山 敏夫
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.608-615, 2014 (Released:2014-08-15)
参考文献数
23

In recent years, the applications of an idea on muscle synergies have been increasing in terms of a coordinated muscle activities for motions. However, a few studies have discussed the relationship between muscle synergies and dynamic motions. We examined the relationship for squatting, pedaling, and ski turning that have the different reproducibility. Furthermore, we discussed the influence of muscle fatigue on muscle synergies. As a result, the robustness of muscle synergies are different depending on the degree of reproducibility of motions and the synergy profiles and weights are effective to identify the small number of muscles that should be measured. Nevertheless, muscle synergies should be further studied regarding the assessment of muscle fatigue with the ling-term trend and fatigue-related changes in muscle coordination.
著者
入山 八江 串田 修 村山 伸子 斎藤 トシ子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.139-155, 2018-12-01 (Released:2019-01-21)
参考文献数
34
被引用文献数
2

【目的】社員食堂を通して減塩に関する食環境と栄養教育を併用した介入を1年間実施し,勤労者の食塩摂取量の変化と,行動変容の要因に及ぼす効果を明らかにする。【方法】研究デザインは,施設単位の無作為化比較試験である。8施設を施設単位で環境教育群,環境群,対照群の3群に振分けた。社員食堂にトランスセオレティカルモデルに基づく健康情報を載せた卓上メモと滴下型醤油差しを設置し,また,調理従事者にみそ汁と麺つゆの食塩濃度を,初回の濃度を基準に1年かけて徐々に減らすよう指示した群を環境群とした。環境群の介入に加えて,栄養教育を年4~6回実施した群を環境教育群とした。解析対象者は男性216人,女性161人であった。食塩摂取量は簡易型自記式食事歴法質問票から推定した。行動変容ステージ及びその他の要因を自記式質問票で調べた。【結果】食塩摂取量は,女性の環境教育群においては1年間で平均 0.4 g/1,000 kcal有意に減少し対照群との間に群間差が認められた。食塩摂取量が減少した要因として,女性は醤油,調味食塩の減少に加えて,食態度(減塩の意識),情報・食物へのアクセスが有意に向上し,男性では,食塩摂取量の変化はみられなかったが,前後比較において環境群の行動変容ステージが有意に前進した。【結論】減塩には,食環境介入に栄養教育を加えることが女性勤労者で有効であると示唆された。
著者
山崎 貴子 伊藤 直子 岩森 大 堀田 康雄 村山 篤子 古田 和浩 金子 慶子 田中 照也
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.105, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 硬さのために食用としての利用度が低い牛肉の部位について低温スチーミング調理により軟らかく食べやすくなることを報告した。一方、食肉の軟化としてキウイ、パパイヤやショウガなどのプロテアーゼの利用による報告もある。低温スチーミング調理は任意の温度管理が容易のため、種々の内在性および外から添加した酵素を最大限利用することができることが特徴である。そこで、低温スチーミング調理とキノコのプロテアーゼを併用した食肉軟化について検討した。 【方法】 キノコにはカゼイン分解活性の高かったマイタケを用いた。マイタケに2倍量の水を加えてろ過したものを抽出液として牛肉とともに加熱した。比較として、マイタケ抽出液のかわりに水、ショウガ抽出液を用いたものについても同様に行い、加熱後溶出したペプチド・アミノ酸量、遊離グルタミン酸量、肉の物性測定および官能検査により評価した。さらに低温スチーミング調理による効果をみるため、70℃2hスチーミングしたものと茹で10分加熱したものを比較した。 【結果】 肉をマイタケ抽出液とともに加熱すると、水やショウガ抽出液とともに加熱した場合より、溶出したペプチド・アミノ酸量、グルタミン酸量が多かった。また物性測定、官能評価の結果でも肉が軟らかくなっていた。スチーミングしたものと茹でたものではスチーミングしたものの方が全体的に評価が高く、特にマイタケ抽出液とともに低温スチーミングをした肉について高い評価が得られた。
著者
葛原 茂樹 小久保 康昌 佐々木 良元 桑野 良三 伊藤 伸朗 冨山 弘幸 服部 信孝 辻 省次 原 賢寿 村山 繁雄 齊藤 裕子 長谷川 成人 岩坪 威 森本 悟 赤塚 尚美
出版者
国立精神・神経センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

紀伊半島の一部集落に多発する神経風土病の筋萎縮性側索硬化症・パーキンソン認知症複合(ALS/PDC)類似疾患で知られているほぼ全ての原因遺伝子を調べ、異常変異は認められなかった。病態と発症に関して、脳のアルツハイマー神経原線維変化の分布様式はALSとPDCでほぼ同じであった。脳と脊髄にはTDP-43の蓄積が認められ、生化学的にはタウ/TDP-43異常蓄積症と考えられた。尿中の酸化ストレスマーカーが有意に上昇しており、神経変性に参加ストレスの関与が推定された。タウとTDP-43の蓄積を起こして神経変性が進行する仕組みと、遺伝子の関与の解明が今後の課題である。
著者
野中 薫雄 大神 太郎 村山 史男 増本 義
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.675-677, 1986

Chromosome eighteen trisomy syndromeは多くの奇形と染色体異常を伴つた新生児の疾患である。患者は生後4日女児で, 家族内に同症なく, 血族結婚もない。生下時体重1,920g(在胎42週)で, チアノーゼ, 低体重, 心雑音, 外表奇形のため新生児センターに入院した。皮膚全体に潮紅が著しく, 全身ことに四肢伸側, 背部, 臀部, 大腿にかけて多毛を認めた。その他, 耳介の下方位置, 耳介奇形, 胸骨短縮, 手指の交叉現象, VSD, ASDを伴つていた。染色体数は47で, 18 trisomyを認めた。皮膚病理組織学的所見では毛包数の増加は認められたが, 形態学的異常は認められなかつた。生後23日目, 呼吸機能不全のため死亡した。本症候群の皮膚科的記載は比較的少なく, 頸部のcutis laxa, 多毛, 大理石様斑, 指紋の異常, 四肢爪の形成不全などがみられるが, 本患者では多毛のみであつた。