著者
平野 実 宮原 卓也 宮城 平 国武 博道 永嶋 俊郎 松下 英明 前山 忠嗣 讃井 憲威 川崎 洋 野副 功 広瀬 肇 桐谷 滋 藤村 靖
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.1189-1201, 1971-07-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

研究目的: 歌唱に際して声区, ピッチ, 声の強さなどがどの様にして調節されているかを, 一流の声楽家について明らかにし, 発声法の訓練, 指導に資するとともに, 音声調節のメカニズムの解明にも寄与することを目的とした.研究方法: 本邦第一級のテノールとして活躍中の一声楽家を対象として, 種々の発声中の喉頭筋々電図記録, 呼気流率測定, 声帯振動の高速度映画撮影を行っ.研究成績および結論: 1. 声区は声帯筋によつて第一義的に調節される. 声帯筋はheavy registerでは強く収縮するが, light registerではほとんど収縮しない. 従つて, heavy registerでは声帯が厚く, 粘膜波動は著明で, 開放時間率が小さく, 開閉速度率は大きい. 呼気流率は一般にlight registerで大きい.2. ピッチの調節機構は声区によつて異なり, 前筋, 側筋, 声帯筋の関与はheavy registerで顕著である. 呼気流率の関与は何れの声区においても認められなかった.3. heavy registerでは声帯筋と呼気流率が声の強さの調節に関与する. light registerでは声帯筋は関与せず, 呼気流率と声の強さの関係が極めて緊密である.4. 声の調節機構はstaticなものではなく, 前後の発声情況によつて変化するdynamicなものである.
著者
松下 由美 高田 康徳 松田 藍 川村 良一 大沼 裕 大澤 春彦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.475-481, 2016-07-30 (Released:2016-07-30)
参考文献数
15

低血糖により自律神経系の活動と関連した不整脈や心血管イベントが増加することが報告されている.今回,インスリン依存状態の1型糖尿病症例において,continuous glucose monitoring(CGM)とホルター心電図を同時に施行し,夜間低血糖時における心電図と自律神経活動の変化を解析し得たので報告する.症例は77歳男性,病歴30年の緩徐進行1型糖尿病患者.入院中のCGMで,睡眠中に約4時間持続する低血糖を認めた.ホルター心電図の心拍変動解析では,同日の睡眠中の非低血糖時に比し,低血糖時に交感神経活性指標(LF/HF)の亢進,副交感神経活性指標(HF)の減少,同時に心室性期外収縮,QTc延長を認めた.CGMとホルター心電図の併用は,夜間低血糖の把握のみならず,低血糖時の自律神経系の変化およびそれと関連した不整脈を検出するのに有用と考えられる.
著者
松下 岳史 木附 晃実 馬奈木 俊介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_347-I_352, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
27

近年日本では,地方からの人口流出・東京一極集中が著しく,地方では生活利便性や経済面において様々な負の影響が生じている.政府は「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」の中で,高齢者の地方移住を支援するとし,高齢者が健康な生活を送れるまちづくりを目指す「日本版CCRC」に取り組む自治体がある.そこで本研究では,過去10年間に引越経験を有する回答者のアンケートデータの結果を用いて,65歳以上と他の年代で居住地選択の理由に違いがあるかを分析した.その結果,65歳以上では他の年代と比較して,自然環境を重視していることを明らかにした.また年代に関わらず,利便性や住宅事情に関する項目が重視されていることも明らかにした.地方自治体は豊かな自然環境の整備とアピールによって,高齢者の移住を促すことができると考えられる.
著者
中田 俊武 松下 保彦 古賀 和幸 上田 康博 上谷 高弘 藤川 好晴 山口 隆夫 新名 達彦
出版者
一般社団法人 日本真空学会
雑誌
真空 (ISSN:05598516)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.797-800, 1989

4H形SiC基板結晶上に液相成長法を用いて, 脚接合を形成し, 青紫色LEDを試作した。発光ピーク波長及び半値輻はそれぞれ420nm, 40nmであり, 発光色は澄んだ青紫色であつた.この青紫色LEDは, 標準光源などの発光デバイスとしての利用とともに, 小型・軽量で使い易い高エネルギー光源としての応用も可能であろう.今後の課題は, 光度を上げること, あるいは結晶多形の制御を確実にして他の多形の混在を防ぐ技術の開発であろう.また, 4H形単結晶では不純物の制御によっては, より短波長 (400nm以下) 発光のLEDの得られる可能性があり, これらの研究を進めていくことも重要であろう。
著者
岡本 紀夫 森本 壮 松下 賢治
出版者
金原出版
雑誌
眼科 (ISSN:00164488)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.975-981, 2019-09-05

要 約目 的:長期経過観察できた外傷性視神経症の2例の光干渉断層計所見について報告する。対象および方法:急性期の外傷性視神経症1例と陳旧期の外傷性視神経症1例に対して,光干渉断層計で平均全網膜厚および黄斑部ganglion cell complex厚について経時的に計測を行った。結果および結論:既報と同じく黄斑部ganglion cell complex厚は受傷後早期から減少し,数か月後には減少傾向がプラトーに達した。一方の平均全網膜厚は1年以上経っても軽度であるが菲薄化が進行していた。陳旧期の外傷性視神経症の光干渉断層計所見は鑑別診断の一助になると考えられた。

1 0 0 0 OA ウイロイド

著者
松下 陽介
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.170-175, 2016-02-20 (Released:2017-02-20)
参考文献数
20

ウイロイドは最小の植物病原体であり,動物細胞からは検出例がないマイナーな存在である.また,環状のnon-coding RNA(ncRNA)という独特の構造である点においても特異な存在であった.しかしながら,近年,ncRNA, さらには200塩基以上のlong non-coding RNA(lncRNA)に関する研究が進展し,それらの生体内における役割や動態についても明らかとなっている.また,環状lncRNA(circRNA)が動物細胞から大量に見つかり,それらの役割についても明らかになりつつある.今後はウイロイドがマイナーな存在ではなく,自律複製能をもったcircRNAとして着目されることを期待したい.
著者
坂本 圭 福元 哲也 平井 奉博 橋本 伸朗 前田 智 中馬 東彦 松下 任彦 酒本 高志
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.161-164, 2018-03-25 (Released:2018-05-21)
参考文献数
10

壊死性筋膜炎は進行すると死亡に至る重篤な感染症であり,死亡率は32.2%と高く,早期の治療が必要である4).壊死性筋膜炎の診断で緊急に切断術を施行した3症例を経験したので報告する.
著者
松下 浩幸
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.1-12, 2000

戦後日本の児童向け出版物の主流を占めたジャンルに偉人伝(伝記文学)がある。近代文学の作者たちがそのような<場>で偉人化されるのは無論、戦後のことだが、ここで文学者たちはどのようなイデオロギーを背負わされることになったのだろうか。偉人伝の物語内容と物語行為、さらにそれを取り巻く社会状況を視野に入れつつ、文学のカノン化が同時に読者への刷り込み作用と同義であることを、夏目漱石を主な例としながら考察した。
著者
朴 柄宣 居林 香奈枝 松下 光範
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では,キャラクタの性格に基づいたコミック検索支援システムの実現の端緒として,エゴグラムを用いたキャラクタ性格分類を試みる.現状のコミック検索システムでは,コミックの内容情報に基づいた検索が困難である.そこで,Web 上のリソースから抽出したデータを用いて,エゴグラムに基づくキャラクタの性格分析手法をについて提案する.提案手法では,性格を表す語にエゴグラムの自我状態を基底とするベクトルを付与し,そのベクトルの値によって,キャラクタの性格を分類する.実験により,本手法のキャラクタ分類精度は 55.0% を示した.
著者
石垣 文 松下 健祐 角倉 英明 平野 吉信
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.25, no.61, pp.1221-1225, 2019-10-20 (Released:2019-10-20)
参考文献数
5

The aim of this report is to clarify the actual condition and problems of the university community space; “Omoshiro Lab.” in Hiroshima University, where the renovation plan and management system are mainly proposed by students. In the report, the actual condition of the proposal of renovation and its background are clarified. Then, the status and problems of management and operation of the space after renovation are clarified.
著者
松下 志朗
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
1985

博士論文
著者
貴島 耕平 砂口 文兵 藤井 暢人 藤木 春佳 松下 将章 金井 壽宏
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.47-58, 2014-08-04 (Released:2017-08-07)

Organizational development (OD) recently has focused on the invention of methods based on practical perspectives rather than academic ones. This movement has resulted in increased "development of OD." While this attention is mostly positive, it has led to a loss of clear identity for OD. Thus we call this phenomenon gritting refined gold. We argue the identity of OD by considering developmental practices, both empirically and theoretically. This study shows that OD has been consistent in its principle of development and has hold its traditional logic which had humanistic values at the center of interventions.
著者
江崎 行芳 沢辺 元司 新井 冨生 松下 哲 田久保 海誉
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.116-121, 1999-02-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
17
被引用文献数
8 10

「老衰死」の有無を考察するため, 老年者の最高グループである百歳老人 (百寿者) 42剖検症例の死因を検討した. 対象は, 最近までのおよそ20年間に東京都老人医療センターで剖検された男性9例, 女性33例で, この性別比は全国百寿者のもの (1対4) にほぼ一致する.臨床経過や諸検査値を充分に考慮して剖検結果を検討すると, これら42症例の全てに妥当な死因があった. 死因となったのは, 敗血症16例, 肺炎14例, 窒息4例, 心不全4例などである. 敗血症の半数近くは腎盂腎炎を原因としており, 肺炎の多くが誤嚥に起因していた. 悪性腫瘍は16例に認められたが, その全てに前記死因のいずれかがあり, 悪性腫瘍自体が主要死因となったものは1例も存在しなかった.超高齢者では, (1) 免疫機能の低下, (2) 嚥下・喀出機能の低下, が致死的な病態と結びつきやすい. しかし, このことと「老齢であるが故の自然死」とは関わりがない.「老衰死」なる言葉に科学的根拠があると考え難い.
著者
大杉 隆文 仲西 渉 多井中 美咲 井上 卓也 伊藤 悠 岩井 瞭太 香川 健太 松下 光範 堀 雅洋 荻野 正樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.1765-1775, 2017-11-15

本研究の目的は,動物園の来訪者を対象に,園内を回遊しつつ自発的に動物に対する知識を深めることを促すことである.動物園などの社会教育施設では,来訪者に対して学習機会を提供することが可能である.しかし,動物園においては,学習の機会を提供する役割が薄れ,娯楽施設のような認識がされており,来園者の能動的な学習の姿勢を促すような情報の提示方法についての工夫は不十分である.本稿では,展示物に対する説明提示の方法を改善するために,利用者が自発的に動物を観察し,動物に対する知識を得ながら園内を回遊できるアプリケーションを実装した.回遊アプリには,(1)クイズ機能,(2)キャッチフレーズ提示機能,(3) Map機能,(4)動物図鑑機能を取り入れた.ユーザ観察の結果,アプリケーションがより詳しく観察することに貢献していること,動物園の全体に行動が及んでいることが示唆された.The purpose of this research is to encourage a visitor of zoo to deepen their knowledge of animals by facilitating autonomic obserbation while walking around the zoo. In general, the primary role of social educational facilities such as zoo is to offer learning opportunities to visitors. However, particularly at zoo, the role is diminished and it tends to be recognized as entertainment facilities. We assume that ingenuity on presenting information of animals to encourage visitors' active learning is insufficient. In order to improve the problem, this paper proposes a mobile application that users can spontaneously observe animals and get knowledge of the animals while going around in the zoo. The application has fourfunctions: (1) providing a quiz, (2) providing catch phrases, (3) navigating in the zoo, and (4) surveying animals' biology. Experimental results suggested that the application facilitates more detailed observation, and that the participant's behavior is spreading throughout the zoo.
著者
村上 惇 松下 裕臣 吉識 忠継 新保 正樹
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.34, no.384, pp.1099-1104, 1985-09-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

The morphology of phase-separation and the mechanical properties of amine cured rubber-modified epoxy resins were investigated.The results of the dynamic mechanical properties and the microscopic observations indicated that the epoxy-rich matrix phase was plasticized by the dissolved rubber and the rubber-rich domains were dispersed homogeneously in the epoxy-rich matrix.The rubber-modification of epoxy resins enhanced the fracture toughness against crack initiation and caused the crack arrest. The size of the plastic-deformed region at the crack tip was correlated well with the fracture toughness against crack initiation according to Dugdal's equation.From the fatigue crack propagation (FCP) tests at a low frequency it has been shown that the presence of rubber domains introduces the interfacial debonding between the domain and the matrix as the result of stress response, which promotes the FCP at the low stress intensity factor range.
著者
松下 優美 八木 実 水落 建輝 西浦 博史 牛島 高介 高木 章子 浅桐 公男 田中 芳明 鹿毛 政義 猪口 隆洋
出版者
日本門脈圧亢進症学会
雑誌
日本門脈圧亢進症学会雑誌 (ISSN:13448447)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.41-47, 2010-06-30 (Released:2012-12-28)
参考文献数
37
被引用文献数
1

小児の肝前性門脈圧亢進症(以下,本症)は主に肝外門脈閉塞症(EHO:extra-hepatic portal obstruction)や,肝内presinusoidal blockをきたす先天性肝線維症(CHF:congenital hepatic fibrosis)に大別される.これらは小児領域での突然の消化管出血の原因疾患として重要である.本論文では,自験例2例を紹介し,本症の原因,診断および治療,小児領域における問題点を述べる.CHFの1例は13歳男児,吐血で発症し,その後EVL, EISを繰り返したが,胃静脈瘤の発達と白血球,血小板の低下のため5年後にHassab手術を施行した.EHOの1例は8歳女児.心房中隔欠損症(ASD)を合併しており,吐血で発症.高度食道静脈瘤でありEVL, EISの適応を検討したが,ASDへの影響を考え,Hassab手術を先行して行った.その後EISにて残存する食道静脈瘤の追加治療を施行した.