著者
松下 記代美 山崎 文恵 前田 晃 荒金 兆典 川田 暁 手塚 正
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.201-205, 2003

有棘細胞癌は一旦化学療法や放射線療法に抵抗性を獲得すると治療に難渋する場合が多く,効果的な治療法の開発が求められている。この観点から言うと,少なくとも対癌免疫能の再活性化は治療抵抗性の癌に罹患している患者に残された最後の可能性の一つである。そこで我々は浸潤性有棘細胞癌に対しインターロイキン2(IL-2)の腫瘍内投与を行い良好な結果を得たのでここに報告する。患者75歳,女性。右下肢の再発性の多発性有棘細胞癌に対し10日間IL-2の局所投与を行った。IL-2の投与により腫瘍のサイズは著明に縮小し,免疫染色を行ったところ腫瘍周囲にCD1a陽性細胞の浸潤,CD8陽性T細胞優位の細胞浸潤を認め,<I>in situ</I> TUNEL染色上腫瘍細胞のアポトーシスを認めた。以上の結果より治療抵抗性の皮膚SCCに対しIL-2腫瘍内局注は有効であることが示唆された。
著者
金丸 芳 遠藤 千鶴 高橋 啓子 松下 純子 後藤 月江 武田 珠美 長尾 久美子 有内 尚子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】前大会で、徳島県における行事食・儀礼食の認知と経験、料理の喫食の状況を年齢区分別で比較した。そこで今回、県を地形の特徴で4区分した地域の現状を比較した。 <br>【方法】調査は留め置き法で行い、10年以上徳島県在住者240名を、徳島市105名・北部(平野部)49名・西部(山間部)47名・南部(沿岸部)39名に4区分し、行事の認知と経験、料理の喫食についてクロス集計(有意差:&chi;<sup>2</sup>検定)をした。 <br>【結果】<u>徳島市は</u>人日の経験度、お節の黒豆・昆布巻・きんとん・魚料理、人日の七草粥、上巳の潮汁の喫食度が高く、百日祝の経験度は低いが、行事全体でみると高い傾向にあり、豊かさが伺えた。<u>北部は</u>土用の丑、百日祝、結納の経験度、お節の田作り・煮しめ・蒲鉾、上巳の潮汁、結納の各種料理の喫食度が高いが、お節の魚料理の喫食度は低かった。他地域より結納、土用の丑の行事を重んじている傾向があった。<u>南部は</u>クリスマスの経験度が高かった。一方、経験度の低い行事は、秋祭り、冬至、土用の丑、結納であり、喫食度の低い料理はお節の黒豆・田作り・昆布巻・きんとん・煮しめ、節分の鰯料理、上巳の潮汁、冬至の南瓜煮物、お七夜の尾頭付魚、初誕生の餅、葬儀の精進料理、結納の各種料理であった。漁業が盛んな沿岸部にも関わらず、魚料理の喫食が低かった。<u>西部は</u>秋祭り、冬至の経験度、節分の鰯料理、冬至の南瓜煮物、お七夜の尾頭付魚、初誕生の餅、葬儀の精進料理の喫食度が高く、人日、クリスマスの経験度、お節の蒲鉾・肉料理、人日の七草粥の喫食度は低かった。他地域では経験度・喫食度の低い行事が西部では高い傾向にあった。以上、地域間に有意差があり、重視する行事に特徴が認められた。&nbsp;
著者
松下 典正 鈴木 隆文 鈴木 仁呂衣 古川 達也 重松 恭祐
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.1079-1083, 2010 (Released:2010-10-25)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

直腸癌に対する腹腔鏡補助下直腸低位前方切除術の術中体位が原因と考えられる左腕神経叢障害を経験した.症例は46歳女性.排便時出血を主訴に来院.下部消化管内視鏡検査にて肛門縁より約10cmの直腸に径2cm大のI型直腸癌を認め腹腔鏡補助下直腸低位前方切除術を施行した.術中体位は頭低位約20度,右低位約20度とし両側上腕は70-80度外転として両側肩支持器を肩鎖関節上に置いた.手術時間は6時間25分,術中4回ほど体動を認め麻酔深度の調節が必要であった.麻酔覚醒時より患者から左上腕の位置覚,運動覚,触覚異常の訴えあり.診察の結果術中体位異常によって惹起された腕神経叢障害と診断して運動療法,低周波刺激療法,ビタミンB12製剤投与を行った.腹腔鏡手術では開腹手術と異なった術中体位をとることがあり,近年腹腔鏡下手術術中体位が原因と考えられる神経障害の報告が散見される.それら神経障害に対し対策を講じる目的で文献的考察を加え報告する.
著者
泉本 貴広 陳 建和 重野 寛 横山 光男 松下 温
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.227-228, 1992-09-28
被引用文献数
2

近年注目を浴びている無線LANは、その実現により有線LANで不都合であった様々な点を改善することができるばかりでなく、ポータピリティを活用した新しい形のいLANの可能性も見いだすことができる。しかしCSMA方式を採用した無線LANではそれに特有の「隠れ端末問題」が存在し、そのためシステムの性能が劣化する。そこで我々は、隠れ端末問題を顧慮した新MAC方式として。CTMA方式及び。CRMA方式の2方式を提案し、計算機シミュレーションによる性能評価を行った。その結果は、我々の提案した新しい2つのMAC方式が隠れ端末問題の解決案となり得ることを示すものであった。
著者
神田 真 松下 裕 酒井 祐輔
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 (ISSN:18820212)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.793-796, 2015

本研究では、ツエーゲン金沢のボランティア募集サイトの問題点を抽出し、募集に有効なサイトのデザイン特性を考察する。まず、現行サイトには1日のスケジュール図、体験談、およびボランティア属性の情報が無いため、これらの情報を取り入れることで問題を解決する。次に、情報提供に優れたサイトのデザイン特性を抽出するために、スクロール数を少なくしたサイトと階層数を少なくした2種類のサイトを用意し、これらの優劣を閲覧者の視線データとログデータから評価する。その結果、スクロール数が少ないサイトでは、ボランティアに興味を有している閲覧者は情報の仕分けを容易に行うことができ、重要な内容を熟読することが示される。
著者
松下 裕
出版者
日経BP社
雑誌
日経ものづくり (ISSN:13492772)
巻号頁・発行日
no.733, pp.4-8, 2015-10

今回、「NEC Industrial IoT」という名称にしましたが、他にも名称の候補がいろいろありました。例えば、「つながる工場」を強くイメージさせる名称も考えましたが、我々が手掛けたいのは工場向けのソリューションだけではありません。米General Electric(GE)社が「…
著者
松下 智子
出版者
九州大学
雑誌
九州大学心理学研究 (ISSN:13453904)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.101-110, 2008

It is said that even if people have negative experience, they can overcome it and also find a positive meaning in it. But, this changing process and details of positive meaning have not been proved. This study had interview with 23 undergraduates, who interpreted their negative experience positively. Results were led from qualitative analysis about coping with negative experience, chance of overcoming, present state, details of positive meaning. In practical, people coped with their situation by themselves or with help of other people, and considering negative experience to mental food is typical. In overcoming process, later positive experiences were important, and positive meaning became bigger relatively little by little. The coping process led to details of positive meaning including their own growth and new human relations.
著者
近藤 美弥子 中澤 誠多朗 岡田 和隆 松下 貴惠 山崎 裕
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.17-21, 2018-09

近年高齢者の味覚障害患者は急増しているが,原因が特発性で亜鉛の補充療法で奏功しない場合は,対応に苦慮する症例を少なからず経験する.今回,種々の薬物療法では効果が得られなかった味覚障害に対し,患者自ら自発的に行動療法を実践した結果,味覚の改善が得られた症例を経験したのでその概要を報告する. 症例は 75 歳女性.当科受診4か月前に,突然味覚異常を自覚し,その後舌痛も感じるようになった.そのため耳鼻咽喉科に3か月間通院したが,改善なく当科紹介受診した.当初,カンジダ性の味覚障害が疑われ抗真菌薬が投与されたが,舌痛の軽快のみで味覚の改善は認めなかった.次に,ロフラゼプ酸エチル,亜鉛の補充療法,2種類の漢方薬が長期投与されたが味覚に変化は認めなかった.その頃,テレビで視覚障害患者のドキュメンタリー番組を見て大いに感動し,味覚異常に執着しないで前向きに生活していくことを患者自らが実践するようになった. この行動療法により初診から2年目頃には,食事が美味しいと思えるほどに味覚の回復が得られ,その状態を維持している.
著者
阪口 紗季 白水 菜々重 島田 さやか 松下 光範
雑誌
研究報告デジタルコンテンツクリエーション(DCC) (ISSN:21888868)
巻号頁・発行日
vol.2016-DCC-13, no.7, pp.1-8, 2016-05-23

パーソナル・ファブリケーションの発展に伴い,人々の DIY によるものづくりに対する関心が高まっている.一方で,ものづくりをするためにはまず知識や技術を習得する必要があり,初学者にとっては未だ敷居が高いものとなっている.こうした背景のもと,本研究では,初学者でも既に持っている知識や経験に基づいて電子工作を体験することができるキット “Haconiwa” をデザインしてきた.このキットでは,電子部品の外観が人形や模型といった,初学者にとっても馴染みのあるものに置き換えられており,各部品の接続部にはスナップボタンが採用されている.これにより,初学者にとって初見では難しいと感じる電子部品の見た目や操作を排除し,電子工作に対する抵抗をなくすことをねらいとしている.Haconiwa のハンズオン展示におけるユーザ観察と使用感に関する評価実験からは,電子工作初学者のユーザでも電子回路を完成させることが可能であることや,既存の手法に比べて導入のしやすさにおいて優れていることが示唆された.
著者
一色 俊佑 渋谷 恒司 松野 行秀 丸山 信哉 山田 忠義 松下 俊 河内 弘茂
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp._1A2-A23_1-_1A2-A23_3, 2010

This study aims at the construction of a robotic system that can precisely grind metal molds instead of skilled persons. For example, in case of plastic products like cellular phones, the surface-roughness must be from about 0.1 to 0.03 micrometers. Usually, it takes seven to eight hours for rough grinding and two to three hours for finishing grinding even if a skilled person grinds, which costs a lot of money. Development of an automatic grinding system will reduce the costs. Therefore, the goal of this study is to develop such a system. We use an industrial robot with six joints, and soft and ceramic whetstone to grind molds. We conducted some basic experiment and found that the robot can grind the mold as smooth as human to some extent.
著者
稲毛 治夫 加藤 裕久 石船 重之 古泉 秀夫 下川 正見 松下 竹次 江木 晋三
出版者
一般社団法人 日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.353-357, 1993-08-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
8

The hydrophilic membrane of a final filter was dissolved by etoposide injection (Lastet) when administered to a child with acute lymphoblastic leukemia by the continuous dosing method applied through a final filter. The objective of this investigation was to evaluate the effecacy (appearance, bubble point pressure and durability) of five final filters using etoposide injection and adjuvants. The results suggest that polyethylene glycol and ethanol in etoposide injection dissolved the cellulose membrane of the final filter, whereas the teflon membrane of the syringe-operated filter unit was valuable.
著者
松下見林
巻号頁・発行日
vol.[3], 1665
著者
飯田 修一 出田 収 松下 景 春原 嘉弘 根本 博 前田 英郎 石井 卓朗 田村 泰章
出版者
農業技術研究機構近畿中国四国農業研究センター
雑誌
近畿中国四国農業研究センター研究報告 (ISSN:13471244)
巻号頁・発行日
no.10, pp.69-86[含 英語文要旨], 2011-02

「姫ごのみ」は,温暖地西部向きの良質な低アミロース米品種を育成することを目的として,低アミロース米の「ミルキークイーン」を母,良質,良食味の「中国169号」父とする交配後代より育成した品種である.1999年,中国農業試験場(現近畿中国四国農業研究センター)において交配を行い,以降,集団育種方に準じて育成を進め,2005年以降は系統番号「中系2855」を付して,生産力検定試験,系統適応性検定試験に供試してきた.2006年以降は系統名「中国192号」を付して地域適応性を検討してきた.2010年に「姫ごのみ」として,品種登録出願(出願番号第24753号)を行った.1. 出穂期は「柔小町」より7日早く,「ヒノヒカリ」と同等である.成熟期は「柔小町」より8日早く,「ヒノヒカリ」と同等である.瀬戸内平坦部では"中生の晩"にあたる.稈長は86cmで,「柔小町」より5cm短く,「ヒノヒカリ」と同等である.穂長は「柔小町」と同等で,「ヒノヒカリ」より1.8cm程度長い.穂数は「柔小町」と同等で「ヒノヒカリ」よりやや少ない.草型は"中間型"である.耐倒伏性は「ヒノヒカリ」並かやや劣る"やや強"である.2. 「姫ごのみ」の玄米千粒重は約21gであり,「ヒノヒカリ」と同等である.玄米の外観品質は,「ヒノヒカリ」,「柔小町」より明らかに優る.なお,低アミロース性があるため外観はわずかに白濁する.育成地における普通期移植栽培での玄米収量は「ヒノヒカリ」よりやや多収である.3. 「姫ごのみ」のアミロース含有率は,8.4%で,「ヒノヒカリ」と比べると明らかに低く,「ミルキークイーン」と同等である.アミロース含有率が低いため,炊飯米は「ヒノヒカリ」より柔らかく,粘りが強く食味の総合評価は「ヒノヒカリ」並の"上の中"である.4. いもち病真性抵抗性遺伝子はPiaを有すると推定され,葉いもち圃場抵抗性は"中",穂いもち圃場抵抗性は"中"である.白葉枯病抵抗性は"中",縞葉枯病抵抗性は"抵抗性",穂発芽性は"やや難"である.5. 出穂期から判断して,「姫ごのみ」は関東以西の地域に適するとみられる.
著者
齋藤 政彦 山田 泰彦 太田 泰広 望月 拓郎 吉岡 康太 野海 正俊 野呂 正行 小池 達也 稲場 道明 森 重文 向井 茂 岩崎 克則 金子 昌信 原岡 喜重 並河 良典 石井 亮 藤野 修 細野 忍 松下 大介 阿部 健 入谷 寛 戸田 幸伸 中島 啓 中村 郁 谷口 隆 小野 薫 ラスマン ウェイン 三井 健太郎 佐野 太郎
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

不分岐な不確定特異点を持つ接続のモジュライ空間の構成,リーマン・ヒルベルト対応の研究により,対応するモノドロミー保存変形の幾何学を確立した.また,混合ツイスターD加群の理論の整備,可積分系の幾何学的研究において種々の成果を得た.高次元代数幾何学においては,端末的3次元射影多様体のある種の端収縮射の分類や, コンパクトケーラー多様体の標準環の有限生成性などの基本的結果のほか,モジュライ理論,シンプレクテック多様体に関する種々の成果を得た.量子コホモロジーの数学的定式化や,ミラー対称性の数学的理解についても大きな成果を得た.また,代数多様体の層の導来圏に関する研究においても種々の成果を得た.
著者
山西 良典 松下 光範 上野 未貴
雑誌
人工知能
巻号頁・発行日
vol.33, 2018-11-01
著者
生野 正芳 綾部 雅章 政時 大吉 山下 奈美 刈茅 岳雄 松下 泰輔
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】平成12年に介護保険法が施行され介護保険を利用しての訪問リハビリテーション(以下 訪問リハ)の実施が開始されて十数年が経過している。厚生労働省の介護給付費実態調査月報では平成13年5月では1.4万人であった訪問リハの利用者数が,平成26年7月では8.6万人にまで増加している。しかし同じ月の訪問介護約140万人,訪問看護36万人に比べると非常に少ない数字である。この要因として訪問リハのサービス提供事業所数やマンパワーの不足,ケアマネージャー(以下CM)の認識不足などの指摘を受けることが多い。本研究ではCMが訪問リハについてどのような認識を持っているのか,どの程度訪問リハについて周知されているのかを調査することで今後の訪問リハのサービス充足に役立てることを目的とした。【方法】対象は福岡県うきは市およびうきは市周辺の居宅介護支援事業所26件(以下 事業所)にてCMとして業務に従事している者62名とした。調査方法は無記名の多肢選択式および自由記述式のアンケート調査を実施した。質問内容は基礎職種,実務経験年数,訪問リハの利用歴,給付実績数,現在訪問リハをサービスに組み込んでいる件数,訪問リハの利用に至らなかった理由,ケアプラン作成上よく使用するサービス(複数回答可),訪問リハへの要望とした。【結果】事業所数26件,CM数62名,回収数46名,無効回答数2名,有効回答数44名,有効回答率71.0%であった。基礎職種は介護福祉士43.2%,看護師16.0%,相談援助業務従事者16.0%,ホームヘルパー2級9.1%であった。ちなみにリハビリ関係職は0.0%であった。実務経験年数は平均6.7年±4.1年,最高15年,最低1年であった。訪問リハビリの利用歴は利用したことがあるCMが77.3%,一度も利用したことがないCMが22.7%であった。給付実績数は平均3.7±4.2件,最高20件,最低0件であった。現在訪問リハをサービスに組み込んでいる件数は平均1.0±1.3人,最高5件,最低0件であった。訪問リハの利用に至らなかった理由は「本人・家族が希望しない」が44.4%,「訪問リハの対象となる利用者がいない」が33.3%であった。ケアプラン作成上よく使用するサービス(複数回答可)は通所介護が90.9%,福祉用具貸与が86.4%,通所リハが79.5%,訪問介護が77.3%,ショートステイが43.2%,訪問看護が29.5%,訪問リハが11.4%であった。訪問リハへの要望は「訪問リハの内容・利用方法を教えてほしい」が52.9%と特に多かった。【考察】CMはケアプラン作成時まず通所系のサービスや訪問介護の導入を考えることが多く,訪問リハに関しては対象となる利用者がおらず,いたとしても本人や家族が希望しないため利用に至らない場合が多いという認識の傾向があった。しかし一方で,訪問リハの内容・利用方法を教えてほしいという要望も多い。またCMによって訪問リハの利用状況にばらつきが大きい状態である。これらのことから,CMに訪問リハの内容や方法,利用効果について十分に周知されていない可能性が考えられる。これはCMとして業務に従事している者の基礎職種にリハビリ関係職がほとんどいないことが要因の一つとして考えられる。理学療法士・作業療法士法施行以降,先人たちの努力により「リハビリテーション」という言葉とそのおおまかな内容は多くの国民に周知されてきている。しかし今回の結果から,訪問リハに代表される在宅でのリハビリテーションに対しては十分に周知されていないのではないかと考えられる。今後の訪問リハにおける課題はサービス提供事業所数やマンパワーの充足だけではなく,訪問リハに関する啓蒙活動による周知の徹底が重要であると考えられる。そうすることで訪問リハが必要だが現在は訪問リハを利用していない利用者に対して,必要なサービスを提供できる可能性が大きくなり,地域における訪問リハのサービス充足につながるのではないかと考えられる。【理学療法学研究としての意義】訪問リハに関する研究は症例報告や介入効果についてなどが多く,CMを対象とした調査は少なく,福岡県うきは市のような中山間地域を含んだ地方の自治体での調査は更に少ない状態である。今回介護保険サービスに関わる職種の中でも特に中核を担っているCMが訪問リハに対してどのような認識を持っているか知ることで,今後の訪問リハのサービス充足につながるための一助となると考える。さらに今後都市部の状況と比較することで地域格差の実態把握とその解消の一助となると考える。