著者
林 浩伸 川口 昌彦
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.262-268, 2017-03-15 (Released:2017-04-21)
参考文献数
11

術中視覚機能モニターとして,視覚伝導路からの電位を測定する視覚誘発電位(VEP)がある.VEPとは網膜に視覚刺激を与えたときに大脳視覚領に生ずる反応である.全身麻酔下での視覚刺激は,フラッシュ刺激によって網膜を照射する.近年,全身麻酔下でのVEPが普及するようになった背景として,LEDを用いることで網膜を強くフラッシュ刺激することが可能になり,VEPの抑制効果が少ないプロポフォールを用いることで安定した記録が行えるようになったことがあげられる.さらに,フラッシュ刺激が網膜に確実に到達していることを確認するためにVEP記録と同時に網膜電図の記録を併用することで,全身麻酔下VEPの信頼性が高まった.
著者
小林 めぐみ
出版者
映画英語教育学会
雑誌
映画英語教育研究 : 紀要 (ISSN:13429914)
巻号頁・発行日
vol.21, 2016

Although movies have been suggested as a useful resource for teaching World Englishes, there have been no studies exploring the issues arising from using movies for this purpose. One cause of concern in using movies to teach World Englishes is the issue of validity. Since movies are works of fiction with actors performing their roles, the language and issues depicted in the movie may not be realistic portrayals of actual situations. This paper, therefore, attempts to assess the validity by analyzing an example case. Questionnaires were administered to the local viewers about the 2003 Korean movie <i>Please Teach Me English</i> which depicts Korean English. Forty-six Korean university students watched the movie and completed the surveys about English education and sociocultural issues presented in the movie. The results demonstrate how eliciting opinions from a relevant audience can help fill the gap between fiction and reality, offering a more balanced view. Thus, this survey method can serve as one way to reinforce the use of movies. Furthermore, it is hoped that sharing this type of survey results and developing a movie database will contribute to the teaching of World Englishes.
著者
林 侑江 伊香賀 俊治 安藤 真太朗 星 旦二
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.83, no.745, pp.225-233, 2018 (Released:2018-03-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1 3

The Japanese population is ageing, and currently has the world's highest proportion of elderly people. As one consequence, the number of residents in nursing homes is increasing. The Ministry of Health, Labour and Welfare of Japan has identified preventing a need for care as an important aim. The ministry defines “care prevention” in two parts: preventing a care-requiring condition from arising and, when a care-requiring condition already exists, aiming to improve while preventing deterioration. However, mean care level in nursing homes is still increasing, and existing care-prevention strategies are not enough to prevent future increase. A field survey was conducted to clarify the effect of indoor thermal environment on the care-requiring condition of residents in nursing homes. Twenty private residential-nursing homes, located in the Osaka, Kyoto, Nara and Hyogo prefectures of Japan, were included in this study. Room temperature and relative humidity were measured over approximately 4 weeks in private rooms, the dining room and other rooms of each facility at 20-min intervals in winter 2015. Additionally, questionnaire surveys were conducted twice, in winter 2015 and winter 2016. In the questionnaire, care level and date of certification of care needs was investigated for all care certifications in effect after occupancy until the time of the survey. Most facilities had a relatively warm but dry indoor environment. Fifteen facilities were classified into two groups (warm and cold) based on measured room temperature and two groups (moist and dry) based on measured relative humidity. The Kaplan-Meier method was used to analyse the speed of deterioration (i.e., intensification) of required care level. Residents in the dry facility deteriorated with respect to care level more quickly than residents in the moist facility. In contrast, there was no significant difference according to room temperature. Many factors influence care requirements, including not only the indoor thermal environment but also individual attributes, injury and diseases. To assess these influences, multivariate analysis was carried out. Cox proportional hazards regression analysis was used for multivariate analysis to assess the effect of indoor thermal environment on the care-requiring condition of residents in nursing homes. Two questions were evaluated: “Did the care level deteriorate?” and “If so, how long did it take for care level to deteriorate?” The analysis result showed the cold group and the dry group having a higher risk of deterioration of care level. Furthermore, residents in facilities that were both warm and moist had the lowest risk. This result suggests that both temperature and humidity are important for care prevention. The study results are expected to contribute to improvement in indoor thermal environments and to care-prevention among residents of nursing homes.
著者
林 亮太 櫨原 弘貴 添田 政司 深見 桜
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.332-348, 2020 (Released:2020-11-20)
参考文献数
45

九州地区における実構造物の実態調査を基に,劣化の顕在化に与える影響要因を明らかにした.次に,室内試験および実構造物から採取したコアを用いて透気係数と各種劣化因子に対する物質移動抵抗性との関係性を明らかにし,透気係数を軸として劣化が顕在化し易いか否かについて評価を行った.その結果,「水掛かりあり」の箇所は鉄筋腐食の進行が早く,腐食ひび割れの発生や錆汁,剥離等の外観変状が早期に顕在化し易いことが分かった.また,同構造物において劣化部と健全部で透気係数を測定したところ,各種拡散係数が同等であっても劣化部の透気係数は,健全部に比べて大きくなっていた.採取コアを用いた透気係数の測定によって,将来的に劣化が顕在化し易いか否かを評価する指標として適用できると考えられた.
著者
高木 健 木下 健 寺尾 裕 井上 憲一 田中 進 小林 顕太郎 山田 通政 高橋 雅博 植弘 崇嗣 内山 政弘 江嵜 宏至 佐藤 増穂 岡村 秀夫
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.132-132, 2006

この論文では、環境負荷の小さい基幹エネルギー源として、帆走型洋上発電施設を提案している。この施設は、台風を避けながらかつ好適風力を求めて日本のEEZ内を航行するのが特徴である。また、このコンセプトの目標として、水素社会が実現される頃に、環境負荷が最も少ない基幹エネルギーとして成立することを目指している。試設計によれば、この施設は台風を上手に避ける運動性能と、充分な強度を有することが判った。また、フィージビリティ・スタディによれば、この施設3900個で石炭から得られるエネルギーに相当する日本全体の発電量の18%のエネルギーを代替することができ、2002年のCO2レベルの10%を削減できることがわかった。
著者
小林 龍生
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.404-408, 2020-05-18 (Released:2020-06-13)
参考文献数
5

運動器疾患の診療にもロボットが導入されつつある.人工関節手術ロボットは術者の技量によらず術前計画通りの手術を可能にする.リハビリテーションにおいても療法士の技量にかかわらずよいリハビリテーションを可能にするロボットが期待される.Honda歩行アシストは歩行練習に際し,療法士の技量にかかわらず,微妙な股関節の可動域の変化を数値として表示し,微妙なアシストを加え,動きの悪い患側の股関節の動きを健側とほぼ同じ動きに誘導する歩行練習が可能で有用性が期待できる.また,慢性期歩行障害患者の歩行速度,歩幅の改善にも有効であり,ロコモティブシンドロームやサルコペニアのリハビリテーションへの応用も期待される.
著者
小林 由佳 渡辺 和広 大塚 泰正 江口 尚 川上 憲人
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.43-58, 2019-03-20 (Released:2019-03-25)
参考文献数
40
被引用文献数
2

目的:従業員参加型職場環境改善(以下,参加型職場環境改善)はメンタルヘルス不調の一次予防として有効性が示された手法であり,ストレスチェック制度の施行に伴い関心が高まっている.しかし,従業員の関与,上司の姿勢,職場の風土などにより活動の効果が一貫しないことが指摘されており,運用上の課題解決が求められる.本研究では,職場環境改善の実施手法の検討に際して職場の準備状態を見立てる観点,および組織を発達させるという組織開発の観点が有効と考え,参加型職場環境改善が有効に機能するまでに発達した職場の定義およびその獲得に必要な要因の検討と,機能する状態に向けた準備状態を段階別に把握するためのチェックリストを開発することを目的とした.対象と方法:専門家間の議論,および実務者からの意見にもとづき,参加型職場環境改善の機能する職場の状態(理想的な状態)の定義を行った.そしてその状態の獲得に必要な要因に関するアイテムプールを作成し,日本人労働者300名(男女比1:1)を対象にインターネット調査を行い,探索的因子分析にて因子構造を確認した.さらに,職場の状態のチェックリストを作成するため,理想的な状態を外生変数,その獲得に必要な要因に関する項目を内生変数としたロバスト最尤法推定によるカテゴリカルパス解析を実施し,項目ごとに閾値(threshold, θ),およびパス係数(γ)を推定した.項目ごとの閾値にもとづいて項目のレベル(その項目を達成することの難易度)を設定し,そのレベルごとに最もパス係数が高く,かつパス係数が0.60以上の項目をチェックリストに採用した.最後に各レベルと理想的な状態,および関連項目(職場の心理社会的要因,ワーク・エンゲイジメント,心理的ストレス反応)との関連を分散分析にて確認した.結果:収集された77項目のアイテムプールにおける探索的因子分析の結果,71項目3因子構造が妥当であった(第1因子「職場の受容度」,第2因子「上司のリーダーシップ」,第3因子「職場での議論の熟達」).チェックリスト作成のためのカテゴリカルパス解析の結果,第1因子から3項目,第2因子から2項目が抽出された.第3因子では理想的な状態との関連が十分でなかったため該当項目はなしと判断した.最終的に,肯定的回答率をもとに設定された4段階のレベルを5項目から判断するBODYチェックリストが作成され,各レベルと理想的な状態,および関連項目とで分散分析を行った結果,すべての指標において有意な差が認められた.考察と結論:参加型職場環境改善が有効に機能する状態の獲得に必要な要因は,職場の受容度,上司のリーダーシップ,職場での議論の熟達に整理され,これらを日常的に高めることでより有意義な改善活動につながることが示唆された.また,BODYチェックリストを用いて職場の準備状態を測定することにより,職場環境改善活動を企画する際に各職場にあった目標を設定することが可能になった.今後は,BODYチェックリストの職場単位の分布の確認および参加型職場環境改善の実施効果との関連を確認していく必要がある.
著者
村上貴彦 清貴幸 中村太戯留 田丸恵理子 上林憲行
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.619-620, 2012-03-06

現在,講義の録画・公開する大学は多いが,受講した学生の復習にはほとんど活用されていないのが現状である.理由としては,ビデオのインデックスが無いため,その講義動画を使いづらいことが挙げられる.そこで本研究では,デジタルペンを用いることで,ノートに"書く"という行為を行った"時刻"を記録し,ノートの記述と講義動画を同期させることで,記述時刻を用いた動画の頭出しができるツールを構築した.評価として,学生に使用してもらい,復習行為の実験を行った.結果,手作業に比べて動画の頭出しに要する時間が削減できた.このことから,提案のツールによって講義動画を復習に活用できる可能性が示唆された.
著者
高岡 昌輝 武田 信生 小田 烈弘 藤山 弘道 藤吉 秀昭 森本 林
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.9, no.6, pp.256-263, 1998-09-30

平成6年度から平成8年度にわたり行った全国87のごみ焼却施設を対象にした保全整備の実態調査と平成7年度に行った廃炉の実態調査からごみ焼却施設の寿命の推定を試みた。まず, ごみ焼却施設の寿命を表す分布形を決定するため, 廃炉のデータに対して正規分布, 対数正規分布, ワイブル分布の適用を試みた。ワイブル分布の適合度がよく, ごみ焼却施設の寿命は15.7年と推定された。保全整備実態調査の補修のデータについてワイブル分布を適用したところごみ焼却施設全体の寿命は19.2年と, 設備のつながりを考慮した最小寿命系の場合は16.4年と推定された。保全整備費のデータより焼却炉形式, ガス冷却形式の違いによる寿命の比較では, 全連・ストーカ・ボイラーの施設が18.2~37.4年の範囲であることが推定され, 最も長寿命であった。また, ワイブル分布の形状母数からごみ焼却施設はゆるやかな磨耗故障を示す分布で表されることがわかった。