著者
菅原 淳 森 健一 雨宮 功 小林 等 村上 照夫
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 25.5 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.127-132, 2001-01-30 (Released:2017-06-23)

反射(非発光)型ディスプレイは、低消費電力で目にやさしく、近年その研究開発が活発化している。理想の反射型ディスプレイの画質は、カラー印刷された上質紙レベルと言われている。しかし、従来から存在するディスプレイ方式でそれを実現するのは技術的に難しいと考える。本発表では、新規な方式・構造により、紙の白さとカラー表示を実現する可動フィルムディスプレイ(AFD:Actuated Film Display)について説明する。これは白色フィルムの上で、微小な黒色フィルムまたは、シアン・マゼンタ・イエローの色フィルムを静電力によって機械的に出し入れする方式であり、原理的に印刷物に迫る画質が期待できる。
著者
川下 芳雄 小林 弘典 大賀 健市 大盛 航 板垣 圭 藤田 洋輔 竹林 実
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.837-845, 2016-10-15

抄録 視覚障害者に鮮明な幻視を呈する病態はシャルル・ボネ症候群(Charles Bonnet Syndrome;CBS)というが,近年,難聴の高齢者の一部に音楽性幻聴が出現するCBSの聴覚型が聴覚性CBS(auditory CBS;aCBS)と呼ばれている。高齢女性の難聴者に音楽性および要素性幻聴が生じ,aCBSが疑われ,非定型抗精神病薬は無効で,carbamazepineを含む抗てんかん薬が有効であった2例を経験した。1例目は,軽度認知機能障害をベースにaCBSが生じ,精神運動興奮,被害念慮を伴い,脳波異常はなかった。2例目は,被害妄想を伴い,脳波異常を有していた。2例とも脳萎縮,右側頭葉の血流増加の所見を共通して有しており,解放性幻覚仮説と呼ばれる脳の脆弱性や機能変化がaCBSの病態に関連する可能性が考えられた。
著者
牧迫 飛雄馬 阿部 勉 島田 裕之 阿部 恵一郎 小林 聖美 小口 理恵 大沼 剛 木村 英生 中村 好男
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.81-88, 2008-06-20 (Released:2018-08-25)
参考文献数
25
被引用文献数
7

本研究では,重度要介護者を対象としたベッド上,ベッド周囲,居室内での動作および移動能力を定量的に評価する指標を開発し,その信頼性と妥当性を検証した。内容妥当性を満たした10項目からなるBedside Mobility Scale(BMS)を作成し,在宅にて理学療法士または作業療法士の訪問によるリハビリテーションを実施している163名(男性83名,女性80名,平均年齢76.4歳)を対象として,BMSによる動作・移動能力評価を行った。分析の結果,BMSには高い検者内および検者間信頼性が得られた。また,BMSは日常生活活動能力や日常生活自立度と有意な関連を持ち,特に重度要介護者および日常生活自立度の重度低下者の動作能力評価に適しており,臨床的意義が高いと考えられた。
著者
武田淳子 松本 暁子 谷 洋江 小林 彩子 兼松 百合子 内田 雅代 鈴木 登紀子 丸 光惠 古谷 佳由理
出版者
千葉大学看護学部
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
no.19, pp.53-60, 1997-03
被引用文献数
8

本研究は,小児科外来受診中の2歳から6歳の小児を対象として,採血時に小児がとる対処行動の特徴を明らかにする事を目的とした。28名のべ33の採血場面を観察し,以下の結果が得られた。1.処置前・中・後と経過がすすむにつれて小児のとる対処行動は減少した。2.処置の全経過を通して自己防衛行動が最も多く,中でも目で見て確認する行動が最も多かった。3.2〜3歳の年少幼児に比して4〜6歳の年長幼児は,処置時にとる対処行動数が多く,多様であった。4.処置に主体的に参加する行動を示した小児は,泣かずに処置を受けていた。
著者
伊藤 泰典 高橋 公也 宮本 真孝 高見 利也 小林 泰三 西田 晃 青柳 睦
雑誌
研究報告 音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011-MUS-89, no.17, pp.1-6, 2011-02-04

圧縮流体の解析ツールである Large Eddy Simulation(LES) を用いて、2 次元、および 3 次元エッジトーンのシミュレーションを行った。Lighthill の音源分布を計算し、渦度分布と音源の関係を考察した。
著者
神林 ミユキ
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.71-85, 2017-05-31 (Released:2017-09-22)
参考文献数
3
被引用文献数
1

スーパービジョンはソーシャルワーカーに身近になったが,スーパーバイザーからはスーパービジョンに対する不安の声が聞かれる.不安軽減のためには,具体的なスーパービジョンのイメージや,終了後の自己評価指標が有用だと考えた.そこで,1セッションごとの展開と,スーパービジョンで用いられるスキルを明確にすることを,研究目的とした.実務経験10年以上のスーパーバイザーによる,12のスーパービジョンセッションを調査したところ,634のスキルが抽出された.それらは,提出事例を対象としたスキルとスーパーバイジーを対象としたスキル,スーパーバイジーの語りや内省を促すスキルに分類された.1セッションの展開は,開始段階からスーパーバイジー自身の成長課題への気づきを促すことを志向した介入が行われ,特に展開段階では成長課題に気づかないスーパーバイジーに対し,段階的にスキルが活用され,根気強く気づきを促していた.
著者
日比 喜子 小林 喜美枝 北村 進一 久下 喬
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.743-749, 1986

うるち米飯 (米飯) およびもち米飯 (強飯) を5℃に放置したときの性状変化について, 澱粉の老化の面から検討を行い, 次の結果を得た.<BR>1) 水可溶性画分は, 強飯のほうが米飯より多かった.画分中の全糖量は, 米飯では, 冷蔵3時間後に最高値を示した後, 減少した.強飯では, 冷蔵3時間までほぼ一定で, その後, 減少した.<BR>これらの糖についてGPC分析を行い, 分子サイズ分布を調べ, その経時変化を追跡した.<BR>2) 冷蔵中における糊化度は, 強飯のほうが, 一般に, 米飯より高かった.米飯では, 冷蔵3時間後に糊化度が最高値を示した後, 低下した.強飯では, 冷蔵1時間後までほぼ一定で, その後, 徐々に低下した.<BR>3) 米飯, 強飯とも, 加熱前のA図形の結晶構造は, 加熱により消失し, 米飯では, 微量のらせん状複合体の形成を示すV図形, 強飯では, 非晶形のV図形を示した.冷蔵24時間後から結晶性の回復がみられ, 144時間後には, B図形へと変化した.
著者
林 慶一 藤田 早紀 小荒井 千人 松川 正樹
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.9, pp.747-764, 2017-09-15 (Released:2017-12-25)
参考文献数
53
被引用文献数
3 6

兵庫県に分布する篠山層群について,国際層序基準にしたがって下部を大山下層,上部を沢田層として定義した.篠山盆地に分布する篠山層群の地層は,7つの岩相に基づいて4つの岩相群にまとめられ,砂礫堆堆積物/放棄河道堆積物,流路州堆積物,氾濫原泥質堆積物,堤防決壊堆積物/自然堤防堆積物と解釈される.これらの岩相群の分布から,篠山層群の堆積環境は山間盆地で,周辺部から中央部にかけて河川流路から氾濫原へと移り変わる環境であったこと,堆積の初期には礫質河川の流路が卓越する環境で,その後氾濫原や自然堤防と堤防決壊堆積物の卓越する蛇行河川の環境へと変化したと解釈される.篠山層群を特徴づける赤色岩の粘土鉱物分析の結果,大山下層上部の氾濫原堆積物からカオリン鉱物が検出され,湿潤環境下での土壌化と解釈される.同じ堆積物中には乾燥気候の存在を示すカリーチも挟まれていることから,半湿潤~半乾燥の環境が示される.
著者
寺岡 久之 小林 純
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.574-587, 1977
被引用文献数
7

著者らは人の頭髪や内臓,農産物,土壌,河川中の浮遊物などを分析の対象として,エミッション・スペクトログラフ法による20余種類の金属元素の同時定量法の研究を続けて来た。<br>日本各地の理髪店と美容院から0.5&sim;5.0kgの頭髪(数百&sim;数千人分)を採集し,電気洗濯機に入れシャンプーと水で洗滌し,完全に均一な混合試料をつくった。その一部を450&deg;Cの電気炉で灰化し,その灰の僅か3mg(個人の一回の散髪量の半分程度に過ぎない)と内標準元素を含む炭素粉末17mgを混合して炭素電極に充填し,アルゴン・酸素雰囲気中の直流アーク(300V, 12A)で試料が完全に蒸発するまで燃焼させ,中間結像法によってアーク(4mm)の中央部分(1mm)のみを分光器スリットに入射させ,各金属のスペクトル線をフィルム上に撮影した。現像後,ミクロホトメーターを使用して25種の金属と内標準元素のスペクトル線の光強度を測定し,合成した標準試料から得られた検量線から各金属元素の濃度を定量した。<br>この方法によって日本各地の頭髪中に含まれる25種の金属元素量を把握しただけでなく,女性には男性に比べて灰量,Ca,Zn,Mg,Cu,Pb,Sr,Ba,Sn,Ni,Cd,V,Coが多く含まれ,逆にSiとAlは男性に多いことがわかった。また環境汚染との関係をも検討した結果,製鉄所付近の住民にはSi,Fe,Alが,亜鉛製錬所付近住民にはCdとPbが多く逆にPが少ないことがわかったが,Crによる汚染地区住民には高濃度のCrは検出されなかった。
著者
土田 寧恵 林 直輝 利川 千絵 山下 祐司 鈴木 高祐 山内 英子
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.480-485, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
16

目的:転移再発乳癌の根治はほぼ不可能と言われてきたが,HER2陽性転移再発乳癌に対しては化学療法とペルツズマブ,トラスツズマブ併用療法(PER+HER併用療法)により完全消失例が認められるようになった.当院での経験を報告する.方法:2014年3月から2017年8月に当院でPER+HER併用療法により臨床的完全消失(cCR)を認めたHER2陽性転移再発乳癌症例について,治療効果と効果,臨床病理学的因子を検討した.結果:PER+HER併用療法を施行した93例中10例(10.8%)でcCRを認めた.10例中,乳房手術を施行した3例はいずれも病理学的完全消失を認めた.手術未施行7例中5例は中間観察期間12カ月でcCRを維持していたが,2例では脳転移が出現した.結語:HER2陽性転移再発乳癌においてPER+HER併用療法により完全消失,および長期CRを得る可能性が示された.
著者
大井 裕子 鶴淵 和子 小林 トミ 穂坂 直弘 寺元 芳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.81-86, 1985

砂糖液の加熱時における火力と最終温度がカラメルソースの色や味とどのような関係にあるかを明らかにするため実験を行い, 次のような知見を得た.<BR>1) カラメルソースの濃度は, その仕上がり重量がもとの砂糖重量の1.10~1.15倍がよい.<BR>2) 官能検査の結果, 強火では 210~230℃ 加熱のものが色・味ともに評価が高かった.これに該当するのは, 中火では220℃, 弱火では210℃加熱のものであった.<BR>3) カラメルの色は弱火で210℃, 中火で220℃, 強火で230℃になると急変しやすく, ばらつきが大きくて再現性に欠ける.<BR>4) カラメルソースの色価は 600 前後が適当である.<BR>5) カラメルソースの pH は, 加熱温度の上昇とともに低下する.<BR>6) 火力は強火よりも弱火のほうが温度が緩慢に上昇し, 低温で着色する.<BR>7) カラメルの調製法としては160℃まで強火にし, その後弱火で加熱するのが, 所要時間や調理操作上よいと考えられる.
著者
林 基弘 堀場 綾子 田村 徳子 川俣 貴一
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.431-440, 2018 (Released:2018-06-25)
参考文献数
36
被引用文献数
1

聴神経腫瘍に対する定位的放射線治療, その中でも歴史的に古くかつ最高精度のガンマナイフによる臨床成績に関して多くの報告がすでになされている. 10年を超える比較的長期のフォローにおいて, 腫瘍成長制御は91~97%, 聴力温存は49~55%, そして顔面神経温存は93~100%と報告され現状でのコンセンサスとほぼなっており, 外科手術のそれと比較しても決して劣らない数字となっている. しかし, 現存線量設定に至ってまだ25年程度の歴史であるため, 40歳代以下の若い患者に対する治療コンセンサスは十分に得られておらず, まだ治療医ごとの個別の裁量に任されているのが現状である. 最近ではMRI画像の革新的進歩と, そのうえでの微小解剖学に根差した治療計画も実践されるようになり, 顔面神経は当然, 蝸牛神経の走行までを考慮して過照射せぬよう意識して照射治療が行えるようになった. このような技術革新を背景に, 現状における聴神経腫瘍に対する治療指針を定位照射治療医の側面から以下のように提案している. 大型腫瘍 (Koos stage 4) においては基本外科的摘出. 一方で, 小中型腫瘍 (Koos stage 1~3) においては, たとえ内耳道内腫瘍であっても経過観察は基本否定的であり, 有効聴力かつ若い患者 (40歳代以下) であれば外科的摘出を, 手術拒否もしくはそれ以上の年代の有効聴力患者 (50歳以上) に対しては定位的放射線治療を勧めるべきである. さらに神経線維腫症2型において, 聴力温存必至であるため定位的放射線治療による早期介入を積極的に行うべきと考えている.
著者
林 雄二 植村 元一
出版者
大阪市立大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

生物間相互作用物貭の研究は最近数多く行われており,植物・動物間の相互作用のうち,植物成分と昆虫の間では極めて興味深い作用物貭が種々報告されて来た。しかし,更に高等な草食哺乳動物と植物成分との相互作用に関与する物貭が見出された報告は殆んど見当らない。私達は奈良公園で鹿が食べない植物の代表として知られるナギとイワヒメワラビの成分をこれまでに検索し,興味ある新しい化合物を見出して来たが,これらが鹿の摂食忌避と結びつく知見を見出せずにいた。そこで,小形の草食動物としてモルモットを用い,定性的な摂食忌避試験を指標としてナギの葉の成分をしらべた。酢酸エチル可溶部に忌避活性がある事が判ったので分画を繰返し,最終的にはアセチル化後,三種の化合物をアセタ-トとして單離,構造決定し,これらがナギラクトンC,ナギラクトンA,1ーデオキシー2,3ーエポキシナギラクトンAの各々のアセタ-トである事を知った。これらの化合物のもとのアルコ-ル体は,これ迄にナギから得た既知化合物であるので,標品を用いて作用を調べたところ,忌避活性を示すことが明らかになった。ナギ葉の抽出物に対するモルモットの摂食忌避は致命的なものであり,粗抽出物を添加した人工飼料だけで飼育すると,摂食量ゼロのまゝ体重は減少し続け,約三週間後に餓死する。これはナギラクトン類の忌避が,單純な動物の嗜好等に基づくものではなく強い毒性によるものと推定される。今までに知られているナギラクトン類の生物活性,たとえば,昆虫の幼虫や白アリに対する毒性,がん細胞に対する細胞毒性などが高等動物に対しても作用をもつ事を示している。現在,他の鹿に対して摂食忌避性をもつ植物の活性成分の探索と,より定量的な信頼のおける結果を与える生物試験法の開発を検討中である。
著者
林 俊信 奥村 理子
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
日本デジタル教科書学会発表予稿集
巻号頁・発行日
vol.9, pp.39-40, 2020

<p>本稿では、2020年3月から行われた全国の学校休校措置で生じた学習機会の損失について、デジタル教材を用いることで、一定量の学習保証を行うことができたことを報告する。デジタル教材は、個別最適化の機能を持ち、個々の学習記録を詳細に確認できるものである。調査対象者は、無学年式デジタル教材「すらら」を学校・学年単位で導入した組織である。休校措置期間と通常期間における利用時間に関して、休校の時期でも一定の学習機会を維持することができた。個別最適化機能を持った教材は、教員との密な時間確保がままならない休校期間中の有効な打開策の一つとなった。今後、Society5.0に向けた日本社会では、修得主義[1]やAI活用を求められているため、社会展開の一端として、児童・生徒へ還元される方法も模索していく。</p>