著者
森山 達矢
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.12061, (Released:2013-05-13)
参考文献数
25
被引用文献数
1

This paper examines the relationship between ethics and the Japanese martial arts (budo). The issue of this relationship has been studied mainly from the standpoint of history, and has not been much researched from the standpoint of practitioners. Therefore, in this paper, I describe how practitioners acquire the ethics of budo by approach the topic through the concept of “becoming,” as maintained by Sakuta, Yano and Kameyama, with the intention of clarifying the inner processes adopted by practitioners. For this purpose, I observed participants at an aikido dojo. Generally, participant observation means describing the experiences of field work objectively. In this paper, however, I describe the aikido practitioners' inner experiences, and from that I try to clarify the practical aspect of the relationship between ethics and budo. The findings of my study were as follows. In the practice of aikido, the practitioners are instructed to harmonize with each other and are taught that this feeling of harmonization is the “Aikido spirit”. Not only by developing this feeling, but also an awareness that the mind and body don't match each other, and control of mind and body cannot be achieved together, aikido practitioners gain a new view of the world, and reflect on everyday life and communication with others through the feeling gained in the dojo. Aikido practitioners acquire ethics through constant reflection on mind and body. Such reflection is indispensable in order for practitioners to embody morality. I think it is possible to consider fundamentally the roles of modern Japanese martial arts by clarifying these processes.
著者
貝塚 爽平 森山 昭雄
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.85-105, 1969-02-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
32
被引用文献数
4 7 19

相模川の沖積低地の地形と沖積層を記載し,その形成過程をのべた.研究の方法は,普通の地形・地質調査法と調査ボーリングならびに深井資料の解析によった.この沖積低地には2つの興味ある問題がある.その1つは相模川の河成段丘地形と沖積層と海底地形との関係で,陽原段丘の1時期に海面が現在より100m以上低下し,沖積層基底の不整合面が作られたと結論された.古富士泥流の時期はこれよりおくれる.もう1つの問題は相模川は河口まで礫を運ぶ河川であり,河川も平野も扇状地的勾配をもつのに,平野は自然堤防型で,厚い後背湿地堆積物をもち,日本の海岸に近い普通の河成平野と異なることである.この理由は,海岸に砂州が発達し,とじられた水域に泥の多い沖積層が堆積したことや,下流部の地盤の上昇による河床低下などに主な原因があると推定した.
著者
原田 晋 森山 達哉 上塚 弘
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.1257-1262, 2019-07-01

25歳,女性。過去に数回,ウズラの卵摂取後に発熱・咽喉異和感・全身のしびれ感・呼吸困難などのアナフィラキシー症状を発症した。プリックテストで,ウズラの卵の卵白・卵黄ともに(4+)陽性であったため,自験例をウズラの卵によるアレルギーと診断した。ただし,鶏卵の摂取は日常的に可能であり,また鶏卵の卵白・卵黄の特異的IgEおよびプリックテストはともに陰性かつImmuno Solid-phase Allergen Chipで鶏卵の主要アレルゲンコンポーネントもすべて陰性であったことより,鶏卵に対する感作は有していないと考えた。鶏卵との交叉反応性を示さないウズラの卵による即時型アレルギーの報告は過去に数例しか認めておらず,極めてまれである。
著者
森山 至貴
出版者
The Kantoh Sociological Society
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.23, pp.188-199, 2010-08-30 (Released:2015-06-12)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

Gay identity and gay community are both central topics in gay studies and queer studies. However, the relationship between them remains unquestioned. This paper reveals how the relationship between gay identity and gay community has been shifted from the 90's to the present based on an analysis of discourses on coming-out.Coming-out in the 90's included three important elements: aspiration for making a good relationship, high self-reflexivity and entry into the gay community. However, the latter two elements have disappeared and the meaning of coming-out has shifted. This shift demonstrates that the relationship between gay identity and gay community has become more and more irrelevant and independent.
著者
田原 美和 森山 克子 東盛 キヨ子 金城 須美子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.49-56, 2015 (Released:2015-03-06)
参考文献数
47

沖縄の代表的な祖先祭祀の一つである清明祭の伝来の経緯や行事食の変遷を概観し,併せて,日本調理科学会特別研究「行事食・儀礼食」調査の結果を世代別(若年層30代以下,中高年層40~80代)で比較しながら,清明祭の行事食が若い世代に受け継がれているのか考察を行った。沖縄の清明祭は,18世紀には中国の渡来人の集落(久米村)で執り行われており,その後,首里王府,士族,そして庶民へと伝わっていった。主な供物として,国王墓や久米村では,中国の三牲に倣ったウサンミ(御三味=豚・鶏・家鴨・魚など)を供えていたが,近年は,伝統を守っている所もあるが,大方その素材を用いた重箱料理に簡略化している。アンケート調査の結果,清明祭の認知度,経験の状況はいずれの世代も高い。行事の供物である重箱料理は,以前は手作りをしていたが,現在は一部既製品を利用する,購入するなどの割合が多くなり外部化傾向がみられる。こうした状況から,若い世代は清明祭の概要について認識はしているが,食材や調理の知識や体験が少なく,次世代への伝承が危惧される。今後は,調理技術や家庭の味を守り,受け継ぐために,清明祭の意義を理解させ,家庭や地域,教育機関等で行事食の習得を促進するなど,積極的に関わる必要があると考える。
著者
有賀 修 岡本 直樹 井上 貴由 久保 元 森山 洋憲
出版者
一般社団法人 日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.142-146, 2012-05-20 (Released:2017-12-24)
参考文献数
21
被引用文献数
1

紅藻類が生産する多糖類の中でアガロースとアガロペクチンを主成分とする寒天はゲル化剤などとして食品に利用されるだけでなく,DNAや生体関連物質の分離に使われる分子生物学には欠くことのできない材料である。アガロースはガラクトースとアンヒドロガラクトースがβ-1,4およびα-1,3結合で交互に結合してできる多糖類である。したがって,アガロースを分解できる寒天分解細菌はβ-アガラーゼとα-アガラーゼを生産しアガロースを唯一の炭素源として増殖できるが,その多くは海洋環境から単離されてきた。さらに,寒天分解酵素の精製や遺伝子のクローニングが行われ,遺伝子の解析も進んできた。筆者らは非海洋性の寒天分解菌を単離し,2つのβ-アガラーゼ遺伝子のクローニングに成功し,ネオアガロオリゴ糖の生産が可能となった。菌体破壊液からのα-アガラーゼの精製を行い,諸特性を調べている。寒天オリゴ糖の研究は少ないが,抗酸化作用,ビフィズス菌の増殖促進効果なども報告されてきた。この総説では寒天分解酵素や寒天オリゴ糖の最近の研究の紹介を行う。
著者
内薗 明裕 森山 一郎 山本 誠
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.238-243, 2014-11-20 (Released:2015-11-01)
参考文献数
6
被引用文献数
1

デキサメタゾンシペシル酸エステルは、デキサメタゾンに脂溶性官能基を導入することにより、ステロイド骨格が有する抗炎症作用を保持しつつ脂溶性を高めた薬剤であり、 2009 年に本剤を有効成分とした本邦唯一の 1 日 1 回投与が可能な鼻噴霧用粉末ステロイド製剤(エリザス®カプセル外用 400 μg)が発売された。発売時のカプセル製剤では、患者が投与ごとに専用噴霧器へのカプセルのセット、穴開け、カプセルの取り出しといったやや煩雑な操作を行う必要があり、カプセルと専用噴霧器をともに管理する手間も考えられた。これらの点を改善すべく 2012 年には定量噴霧式製剤が発売された。そこで今回は新たな定量噴霧式製剤とそれ以前のカプセル製剤との操作性を中心とした使用印象に関する比較アンケート調査を行った。また、処方する医師の立場においても噴霧器の操作性ならびに患者への噴霧指導のしやすさという点について比較アンケート調査を実施した。 噴霧器の使用感については、患者、医師ともに 73.7%が操作が簡単になったと回答した。 さらに、患者においては、効果が強く、刺激感が少ないという印象が多数を占め、63.1%の患者が継続使用を希望した。噴霧指導については、85.7%の医師がしやすいと回答した。以上の結果から、定量噴霧式製剤はカプセル製剤と同様の特性(効果の強さ、刺激感の少なさ)を保ちつつ、噴霧器としての操作性が向上しており、良好な服薬コンプライアンスの達成・維持に有用な剤型であると考えられた。
著者
西村 友紀子 森山 直樹 石部 裕一
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.137-140, 2003-04-25 (Released:2009-12-21)
参考文献数
8
被引用文献数
2

目的: 星状神経節近傍への直線偏光近赤外線照射が手と頭部の体温および血流に及ぼす影響を調べた. 方法: 健康成人20人で二重盲検比較試験を行った. 直線偏光近赤外線治療器 (SUPERLIZER HA-550®, 東京医研) の通常装置と出力0%のダミー器を用い, 日を変えて左側星状神経節近傍に7分間の照射を施行した. 測定項目は, 室温, 両側手掌深部温, 両側第3手指尖表面温, 両側拇指球血流速度, 両側鼓膜温, 左側中大脳動脈血流速度および両側前額部頭蓋内酸素飽和度で, 照射15分前から照射後30分までの各パラメータを連続測定し, 照射開始前, 照射7分終了時, 照射終了から30分後の3時点の値を記録した. 結果: 照射により, 同側の第3手指尖表面温と中大脳動脈血流速度は有意に上昇したが, 対側ならびにダミー群との間にはすべてのデータにおいて有意差が認められなかった. 結論: 左側星状神経節近傍への直線偏光近赤外線照射は, 健康成人の手と頭部の体温および血流に影響を及ぼさない.
著者
根本 哲生 森山 美樹 坂田 泰子 山本 嘉子 江石 義信 菅野 純
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.343-346, 2000-09-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

背景:家族性大腸腺腫症 (Familial adenomatous polyposis以下FAP) はAPC遺伝子のgermlinemutaionに起因する遺伝性疾患であり, 若年女性の甲状腺に乳頭腺癌をしばしぼ合併することが知られている.近年, 甲状腺乳頭癌に細胞の節状配列や充実性増殖などの組織学的特徴を有するcribriform-morular variant (CMV) が提唱され, FAPに伴う甲状腺乳頭癌は, 多くがその範疇に入るものと考えられる.今回, われわれは家族性大腸腺腫症に合併した甲状腺癌の2例を経験し, 穿刺吸引細胞像を検討した.症例:症例はいずれも20歳女性.甲状腺腫瘤に対し穿刺吸引細胞診が行われた. 通常の乳頭癌にもみられるコロイド, 核の切れ込みなどの他に, 1) 細長い核を有する高円柱状細胞の柵状配列, 2) 多角形細胞の充実性胞巣, 3) 立方状細胞の節状配列が特徴的な細胞所見であり, 穿刺吸引細胞像からCMV甲状腺癌の推定が可能と考えられた.結論:CMVは非FAP患者では比較的まれであることから, 甲状腺穿刺吸引細胞診でこれらの特徴的な細胞像を認めた場合には, 甲状腺腫瘤が初発症状として気付かれたFAPである可能性を考慮する必要があると考えられる.
著者
森山 剛 小沢 慎治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.12, pp.33-38, 2008-02-08
被引用文献数
1

自分の声で好みの歌唱様式を有した歌声を作るには,歌唱を訓練し,歌唱様式を学び,さらに歌声を発する恥ずかしさを克服しなければならず,非常に困難である.そこで,歌詞を朗読するだけで,その音声と楽譜を入力とし,ユーザの声の話者性を損なわずに,自由な歌唱様式を有した歌唱を合成する手法を提案する.本手法により,楽譜さえあれば,どんな曲でも,いつでもどこでも何度でも,自分の声で歌わせることができ,さらにリズムや旋律を工夫してジャズや演歌といったジャンルを演出したり,他人の歌い方を真似したり,音痴を修正したりできる.楽譜を編集する過程で,歌唱様式をどう実現すれば良いか学習でき,また自分が歌う前に,自分が歌った場合のイメージを掴むこともできる.聴取実験により,朗読音声の話者性や歌詞の音韻性を損なわず,歌唱様式の基本となる演奏記号を合成できることが示された.We propose a method of transforming reading speech of lyrics to singing voice. It is capable of realizing favorite style in the transformation, i.e., a specific genre and an expression. Generating singing voice by one's own voice requires the person to train singing, to learn how to realize singing styles, and to overcome hesitation in singing out. The proposed method only requires the user to read the lyrics. It then allows the user to generate singing voice of any music, anytime, anywhere, and any number of times. The user can edit the music for generating a specific singing style, mimicing other's style of singing, and correcting the problematic portion of his or her singing. The user can also learn how to realize a specific style in singing and hear how it sounds when he or she sings on his or her own. Experimental results demonstrated that the proposed method was able to synthesize a comprehensive set of basic indications such as crescendo in the synthesized singing holding the voice quality of the speaker.
著者
福井 昌則 黒田 昌克 野村 新平 山下 義史 森山 潤
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-11, 2022 (Released:2023-09-24)

本研究の目的は,若者(高校生,大学生)のデジタルゲームに対するイメージ尺度を開発し,その信頼性と妥当性 を検討することである.予備調査として,デジタルゲーム開発を専門とする大学生 112 名に予備調査を行い,デジタルゲ ームに対するイメージを測定する項目として 115 項目を抽出した.その 115 項目を用いて,関西圏の高校生,大学生 360名を対象に調査を実施した.その結果,デジタルゲームに対するイメージとして,「個人的・社会的悪印象」,「特別体験・肯定的印象」,「スキル向上」,「広範的コミュニケーション」,「健康被害・依存誘発」,「思想的悪影響」,「運動不足」の 7因子(74 項目)が抽出された.