著者
重森 雅嘉
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

ヒューマンエラーを事故が起こる前に発見するためダブルチェックを複数回行うことがある。しかし、複数人が作業に関与すると、単独で行うよりも個々のパフォーマンスが落ちること(社会的手抜き)が知られている。したがって、ダブルチェックにおける社会的手抜きの可能性を検討した。大学生を対象に、2つの誤字を含む文章校正課題を単独で行う条件(単独条件13名)と複数人で行う条件(複数条件、1回目:31名、2回目:29名、3回目:28名)で実施し、各回の平均誤字検出数を比較した。その結果、単独条件の検出数が複数条件の各回よりも多かった。また複数条件の各回の検出数には違いがなかった。これらの結果から、既にチェック済みのものを再度チェックする場合とこれからチェックするものがその後他者にチェックされる場合の社会的手抜きについて検討した。
著者
村松 敦 今井 康好 森安 史彦
出版者
岡山大学教師教育開発センター
雑誌
岡山大学教師教育開発センター紀要 (ISSN:21861323)
巻号頁・発行日
no.9, pp.199-213, 2019-03-20

本稿は、平成29年3月までに修了生を送り出した国立教職大学院を対象に、教育のアウトカムについて、その現状と評価のあり方を明らかにすることを目的とする。そのため、アウトカムの根拠として一般的な定員充足率と教員就職率による評価を再考するとともに、この数値の妥当性を検討した結果、これらは十分な根拠とはならないことが明らかになった。そこで、教育委員会が学生の学修成果を評価した2年次生の教員採用試験の合格率(「追加合格率」)や、教育委員会や学校関係者が学生の学修成果を評価する場である報告会等への「外部参加率」による評価指標を導入することで、学生や学校・教育委員会といった社会との好循環につなげることを提案する。また、このような評価が機能する前提として、社会のニーズを考慮した上で、教職大学院間で育成しようとする資質能力を「チューニング」することを提案する。
著者
杉原 久義 二改 俊章 森浦 正憲 神谷 和人 田中 哲之助
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.47-57, 1972-01-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

25年ないし31年間デシケータ内で常温に保存された雨傘蛇(Bungarus multicinctus),青ハブ(Trimeresurus gramineus),台湾ハブ(Trimeresurus mucrosquamatus)ハブ(奄美)(Trimeresurus flavoviridis),百歩蛇(Agkistrodon acutus)の各毒の致死活性,出血活性および各種酵素活性を測定し,新鮮毒のそれと比較して長期保存における活性の変化を調べた。これらのうち百歩蛇毒の各種活性は一般的に安定であることが注目された。またハブ毒が最も不安定で,各種活性共減少傾向が著しかつた。雨傘蛇の31年保存毒を除き,各毒共通して5'-nucleotidase活性は極めて安定で,ほとんど活性の減少は見られなかつた。ついでNADase,ATPase活性が安定であつた。L-amino acid oxidase活性は不安定で活性の減少が著しかつた。ついでglycerophosphatase,出血活性も減少傾向が著明であつた。また致死活性も割合不安定で,保存中に徐々に活性が減少した。同一の酵素活性でも蛇毒の種類が異なると活性の減少率が異なつていた。この点より酵素タンパク質の安定性は毒の種類によつて違つていることがわかる。また致死活性と相関して減少するような活性は明瞭には認められなかった。
著者
森山 祐輔 有森 和彦 中野 眞汎
出版者
一般社団法人 日本医療薬学会
雑誌
病院薬学 (ISSN:03899098)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.245-251, 1992-06-20 (Released:2011-08-11)
参考文献数
11

The statistics indicates that the constitution of children, which includes height and body weight, has developed during the last 40 years.Therefore, we investigated that body surface area of children at present for every age which was calculated with Fujimoto's formula was greater than that in 1948.So we reexamined pediatric dose obtained from Augsberger's I, Augsberger's II, Young's, and Fujimoto's formula.The pediatric dose ratio based on body surface area in 1948 much more corresponded with the dose ratio obtained from the Augsberger's II formula.On the other hand, the pediatric dose ratio based on body surface area for every age in 1987 was shifted to higher dose ratio compared with that obtained from the Augsberger's II formula. The pediatric dose ratios obtained from three formulas except Fujimoto's formula indicated lower dose ratio than that obtained from Fujimoto's formula.Furthermore, under the age of five, pediatric dose ratio calculated from Fujimoto's formula was higher than that calculated from Du Bois's formula.The difference between the two dose ratios was larger as the age of children was lower.Consequently, considering big change in the constitution of children during the last 40 years, there may be a possibility to estimate lower pediatric dose than the dose which was required in the present children, if the pediatric dose was eviluated with Augsberger's II formula.
著者
石森国臣
雑誌
東京医学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.23, pp.429-457, 1909
被引用文献数
2
著者
森 清文 久保寺 秀夫 西 裕之 古江 広治
出版者
日本土壌肥料學會
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.299-302, 2015

種子島は本土最南端佐多岬から大隅海峡を隔てた南東40kmの沖合に位置し,南北58km,東西5~12kmと細長い島である。標高は最も高いところでも282mしかなく,総面積は445km2で農業が可能な平地が多く分布している。北側から西之表市,中種子町,南種子町の1市2町からなり人口は約32,000人,農業ではサトウキビ,でん粉原料用サツマイモ,早期水稲が主で,近年では種子島で選抜育成された青果用サツマイモの「安納紅,安納こがね」など付加価値の高い土地利用型畑作物の生産が盛んである。種子島の農耕地面積は6,980haで,そのほとんど(6,347ha)が黒ボク土である(鹿児島県,1978)。黒ボク土は強酸性でアルミニウムの過剰障害など農業生産上問題の多い非アロフェン質黒ボク土と比較的酸性度の弱いアロフェン質黒ボク土に分類される。松山ら(1994)は,九州南部地域について,阿蘇山と流紋岩~安山岩質の霧島山,桜島,池田湖,喜界カルデラのテフラが厚く堆積し,年降水量は1,200~2,800mm,P-E指数は120~200であるとしている。
著者
栗 彩子 森 美紗希 宮内 莉華 谷口(山田) 亜樹子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】カレーはインドで生まれ、明治時代に日本に入ってきたと言われている。今日では日本の国民食とまで言われるようになり、各地域の名産品やその土地で取れる食材を使ったいろいろなカレーが食べられている。さらに近年、健康志向の高まりにより、カレーの栄養価値が見直され、その第3次機能に強い関心が寄せられている。しかしながら、カレーの利用方法といえば「カレーライス」というように、そのバリエーションには限りがあり、カレーに含まれるスパイスの種類や栄養価値もあまり知られていないのが現状である。<br />そこで演者らは、カレーの基礎特性を明らかにし、健康効果・効能につて考え、さらに地場産の食材を用いた、簡単においしくできる新たなカレーレシピの考案を試みることとした。<br /><br />【方法】文献調査から、カレーの基礎特性を明らかにし、どのような健康効果・効能をもたらすのかを検討した。 <br />新規料理については、市販カレー粉、神奈川県産のキャベツ、しらす、大豆、雑穀を用いて新たなカレー料理を考案し、調理した。また、栄養計算を行った。<br /><br />【結果】<br />(1)カレーの基礎特性<br />文献調査より、カレーには30種類以上の様々なパイスが存在することがわかった。中でも代表的なものとして、コリアンダー、クミン、フェヌグリーク、ターメリック、オレガノ、ペッパー、フェネル、ジンジャー、オニオン、カルダモンなど10種類のスパイスがカレーに用いられている。また、これらのスパイスについてさらに調査した結果、漢方薬として使われていたものが多く、肝臓・胃腸の働きを良くする、せき止め、疲労回復、殺菌作用、下痢止め、風邪・肥満・二日酔い・冷え性・肩凝り予防など様々な健康効果があることがわかった。<br />(2)新規カレーレシピの紹介<br />神奈川県産の食材を用いてカレー春雨、 カレー鍋、カレー雑穀リゾット、大豆カレーの4つのレシピを考案し調理した。
著者
森山 央朗
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.413-440, 2009-03

The many Arabic local histories compiled between the latter part of the 10th and the first half of the 13th century AD throughout the Islamic World mainly consist of “who’s whos” among ‘ulamā’ (specially ḥadīth scholars) associated with the regions concerned. This article calls these histories “biographical local histories.” The research to date has discussed the biographical local histories in the context of the evolution of Muslim biographical writing and historiography or has utilized them to study the social history of the regions in question. However, little attention has been given to the reasons for compiling the histories and the bibliographical character the genre.Given such a gap in the research, the goal of this article is to clarify the characteristic features of the biographical accounts contained in the histories, which should be the starting point for describing the actual condition of the academic activities of ‘ulamā’s who took on the task of popularizing their compilation.As a result of his analysis of the content, the author discovers that the biographical accounts in the biographical local histories do not describe the local activities of the characters depicted, only the usual activities of any ‘ulamāʼ or ḥadīth scholar relating to the learning and transmission of the ḥadīths and other Islamic knowledge.Therefore, the purpose of compiling the biographical local histories was to provide information to ḥadīth scholars of other regions about the academic careers and evaluation of the ḥadīth scholars associated with the region in question. In other words, these histories were compiled for the benefit of, and embedded in ‘ulamā’ academic activity all over the Islamic World. The author concludes that the popularization of compiling these biographical local histories was a phenomenon that occurred as part of the general interregional intellectual activities of ḥadīth scholars of the time.
著者
若森 みどり
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.29-45, 2015-03-30

20世紀の危機の時代を生きた経済学者,ポランニー,ケインズ,ペヴァリッジ,ラーナー,ミーゼス,ノイラート,ハイエク,ロビンズらにとって,大恐慌やファシズムや世界戦争といった自由主義の危機と資本主義システムの持つ悪弊(通貨の不安定化,緊縮財政,増大する格差,大量失業,不安定な就労形態)の諸問題に正面から向き合う課題は,共通していた。これらの点を踏まえて本稿では,20世紀が経験した平和と自由と民主主義の危機の解釈をめぐって争点となる,ポランニーの「社会的保護」の考え方を明らかにする。そして,市場社会における制約された社会的保護とその可能性に照明を当てることによって,二重運動の思想的次元を問う。最後に1920年代の社会民主党市政下のウィーンに思想的起源があるポランニーの「社会的自由」の概念に立ち返りつつ,『大転換』最終章「複雑な社会における自由」の諸論点を検討し,「福祉国家と自由」の問題圏を考察する。
著者
森田 貴己
出版者
日本高圧力学会
雑誌
高圧力の科学と技術 (ISSN:0917639X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.339-346, 2010 (Released:2010-12-11)
参考文献数
29

Deep-sea fish distributes to abyssal depths of several thousand meters, the pressures of which shallower-living fish cannot tolerate. Tolerance to abyssal pressures by deep-sea fish is likely to depend at least in part on adaptive modifications of proteins. However, structural modifications that allow proteins to function at high pressures have not been well understood. To elucidate the mechanisms of protein adaptation to high pressures, we cloned α-actin and myosin heavy chain cDNAs from skeletal muscles of two deep-sea fishes, Coryphaenoides yaquinae and C. armatus, and two non deep-sea fishes, C. acrolepis and C. cinereus. The comparison of the α-actins from deep-sea fishes with those of non deep-sea fishes identified three amino acid substitutions, which would make the deep-sea fish actin function even at 60 MPa. The myosin heavy chains from deep-sea fishes have a Pro residue in the loop-1 region and have a shorter loop-2 region than non deep-sea fishes. Additionally, the myosin heavy chains from deep-sea fishes have the biased amino acid substitutions at core positions in the coiled-coil structure of the rod region. The roles of these characteristic sequences in myosin heavy chain from deep-sea fish, however, have remained unclear.
著者
遠藤 薫 吹角 隆之 足立 準 小嶋 益子 青木 敏之 吉田 政弘 森田 和矢 成 隆光 辻野 守典
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.1013-1024, 1997
被引用文献数
3

1. 3〜12歳のアトピー性皮膚炎患者30名を無作為に2群に分け, 1年間にわたって患者の部屋及び寝具を掃除することによって, ダニ数が減少し, 患者の症状と検査値の改善に寄与するかを, 二重盲検試験で検討した。2. 前後のダニ数は, モニター群とコントロール群の両群とも, 患者の部屋の床で有意に低下していた。終了時, モニター群の寝具でより大きいダニ数の低下の傾向が認められ, 特に掛け布団において有意なダニ数の差異が認められた。3. 終了時, 症状スコアはモニター群で有意に改善していたが, コントロール群ではそうではなかった。両群間で症状スコアの変動率を分析すると, モニター群においてより軽快傾向が見られたものの有意差は認められなかった。4. 血清IgE値は掃除前後で両群とも有意差はなかった。Dermatophagoides farinae (Df), D. pteronyssinus (Dp) に対するRAST値は, 有意差はなかったが, モニター群でより大きい低下がみられた。5. ダニ数の低下は, 臨床症状の改善とダニRAST値の低下に寄与する可能性が示唆された。
著者
今井 鉄平 森口 次郎 安部 仁美 前田 妃 助川 真由美 柴田 英治 錦戸 典子
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
pp.2021-004-E, (Released:2021-06-24)
被引用文献数
3

目的:新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により,多くの企業において従業員の安全・健康のみならず,事業への大きな影響を受けていることが考えられる.特に大企業と比べて経営資源が不足しがちな中小企業においては,新型コロナウイルス対策の遅れが懸念されるだけでなく,事業継続へのより大きな影響を受けている可能性が否めない.そこで,中小企業における新型コロナウイルス対策への取り組みの工夫,対策の困難点,および今後求められる支援の内容を明らかにすることを目的に研究を行った.対象と方法:企業として従業員数300名未満,または企業全体では300名を超えるものの50名を超える事業場のない27社の経営者または人事労務担当者を対象に,2020年8~10月に,新型コロナウイルス対策の実態や困難点,今後望まれる支援等に関するインタビュー調査を行った.聞き取り記録を作成し,産業医経験のある2名と産業保健師経験のある2名で,内容分析の方法に準じコードの共通性に着目して小カテゴリーを抽出し,徐々に抽象度を上げ,大カテゴリーを抽出した.結果:新型コロナウイルス感染症対策への取り組みについては,「企業として迅速に意思決定ができる体制を整える」,「正確な情報を入手し全従業員と共有する」,「社内の具体的対策を強化する」,「事業継続のために懸命に対策を練る」の4つの大カテゴリーに集約された.また,対策における困難点については,「情報収集・共有に関する困難」,「未知の感染症対策への困難」,「備品調達・検査受診の困難」,「合意形成・社内体制整備の困難」,「事業継続と感染症対策のバランスの難しさ」の5つ,今後望まれる支援については,「正確な情報を一元化・簡潔にしてほしい」,「Polymerase Chain Reaction(PCR)検査環境を整備・拡充してほしい」,「事業継続支援がほしい」の3つの大カテゴリーに集約された.考察と結論:中小企業の特性を活かしながら,細やかに大カテゴリーとして抽出された4つの取り組みを行っているケースも多くみられたが,これらが成立する前提として経営者が正しくリスクを認識できていることが必要と考えられる.しかしながら,専門資源に乏しい中小企業においては,意思決定に必要な正しい情報が得られない懸念もある.このため,産業保健専門職には,意思決定者が溢れる情報の中から正しい情報を取捨選択できるような支援が望まれる.
著者
桑木 共之 高橋 重成 森 泰生 大塚 曜一郎 柏谷 英樹 戌亥 啓一 陳 昌平 黒木 千晴 米満 亨 上村 裕一
出版者
鹿児島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

Transient Receptor Potential (TRP)イオンチャネルの1つであるTRPA1チャネルが環境ガス中に含まれる低酸素および有害物質のセンサーとして働き、これらを体内に取り込んでしまう前に忌避行動、覚醒や呼吸変化を引き起こす早期警告系として役立っているのではないかという仮説を検証した。仮説は実証され、しかも鼻腔内の三叉神経に存在するTRPA1が重要であることが明らかになった。
著者
岩本 美江子 百々 栄徳 米田 純子 石居 房子 後藤 博 上田 洋一 森江 堯子
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.1116-1123, 1989-02-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
25
被引用文献数
7 17 2

これまで著者らは生体に対する騒音ストレス作因の生理的影響に関する研究を行うなかで,生理的のみならず心理的な影響をも把握することの必要性を感じた。物理的ストレスが心理的,情動的ストレスとなって不安を生ずる事は,Aiken1)の不安とストレスは[異体同形]であるとの提言からも考えられることである。従来不安の問題は,Kierkegaard2)に代表されるように,主として哲学ことに宗教と倫理学の課題であった。それを心理学の領域で,はじめて病態心理との関連において概念づけたのは精神分析学を樹立したFreud3)であり,彼は神経症的状態の治療においても不安を中心的な問題として重視した。一般に用いられるようになった最初の不安検査は,Taylor4)によって開発され公表された顕在性不安尺度(Manifest Anxiety Scale: MAS)である。その後一連の不安研究の後,Cattell and Scheier5)やLazarusら6)は不安をその特質から一過性にみられる気分としての不安状態と不安への陥りやすさとして捕えられる性格傾向としての不安特性の二つに分けることを提案した。この二つの不安についてSpielberger7)が明確に定義づけをした。すなわち不安には,ある状況下で大きく変動するような状態としての不安(state-anxiety以下A-Stateと略記)と,ある個人において比較的一定していると言われる性格特性としての不安(trait-anxiety以下A-Traitと略記)の二つがある。さらにSpielberger, Gorsuch and Lushene8)は諸種の不安尺度を検討して,既存のどの尺度も状態としての不安と性格としての不安を区別せずに測定しており,不安に関するこれまでの全ての質問票テストはA-Traitを測定していると指摘し,最終的にこのA-StateとA-Traitを測定する尺度として1970年に状態-特性不安尺度State-Trait Anxiety Inventory(略してSTAIと呼ばれる)を発表した。本研究の目的は,若年者および高齢者,また各種状態におけるSTAIの検査結果から,この尺度の妥当性,信頼性を検討することである。さらに衛生学分野において,環境の変化特に騒音が人に対して精神的ストレス因子となって負荷したときのSTAIの応用の良否を検討することをも目的とするものである。
著者
柴田 愛子 森 徹 曽山 典子 岡村 誠
出版者
公共選択学会
雑誌
公共選択の研究 (ISSN:02869624)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.34, pp.43-59, 2000-06-25 (Released:2010-10-14)
参考文献数
18

Bullying in school is a serious problem in Japan as well as in most other countries. Bystanders rarely report instances of bullying to teachers, parents and other authorities. In this paper, we model bystander behavior by utilizing the theory of non-cooperative games, which assumes that bullying acts are stopped by a classroom teacher only when more than a certain number of students report the instances. Every bystander stands to gain from the resolution of bullying activity. But when a bystander reports this activity, she will have to deal with psychological and/or physical costs if the total number of reports falls below the required minimum. Under this structure of payoffs in our “bullying game” it can be shown that if all bystanders maximize their expected payoffs, there are two stable symmetric Nash equilibria. At one equilibrium, all bystanders report the instances of bullying to their teacher, and at the other equilibrium, no one reports. We conducted a series of experiments in which subjects played our “bullying game” under various values of parameters. The results of our experiments support the expected payoff-maximizing behavior of bystanders. Based on this verification of expected-payoff maximizing behavior through experiments, we develop guidelines for policies which could serve to increase reporting activity of bystanders and dissolve bullying activity. These include reducing the threshold number for reporting from students, increasing the disutility of students' observing bullying behavior, mitigating the psychological and/or physical costs for the reporting of bullying, and scale down of class size. The effectiveness of each policy is then analyzed theoretically and compared with the other alternatives.
著者
森田 正信
出版者
京都大学学際融合教育研究推進センター地域連携教育研究推進ユニット
雑誌
地域連携教育研究 = Journal of education and research for regional alliances (ISSN:24332356)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.15-24, 2018-02

In Japan, the school system is supposed to be centralized and uniformed nationwide, based on the national laws and rules such as the Courses of Study. However, the actual school culture in which students and teachers are experiencing in daily lives is considerably different from region to region. It can be said to have rich diversity in terms of locality and historicity. This paper shows various examples of such local school culture in the aspects of subject teaching, extra-curricular activities, educational environment and student guidance. They include the variety of the class styles, teaching of local historic heroes, physical education, school lunch, athletic festivals, school trips, school ceremonies such as graduation ceremonies, school songs, schoolrooms, schoolyards, school uniforms, and belongings at school, etc. Through this introduction, we can discover that some of them are from Dutch words, probably because of the influence of the national isolation policy (Sakoku) of the Edo Period. We also recognize that some of the school cultures are originated in the style of the army, which were introduced under the policy of Meiji government to enrich the country and strengthen the military power. In addition, we know that regional dialects play a part in forming unique school culture. These regional school cultures are now being homogenized in the information age. Some of the school cultures which were created under the environment of the pre-war era are now inevitably being changed and modernized. Even so, many of them will still continue to take root into each region and it is meaningful to study the history and backgrounds of such school cultures in order to understand the characteristics of Japanese school education.