著者
伊原 奈帆 瀧野 陽子 大岸 美和子 竹内 麻理 阿部 晃子 金子 健 櫻井 洋臣 藤田 幸子 長田 大雅 橋口 さおり 森﨑 浩
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.301-306, 2021 (Released:2021-11-24)
参考文献数
20

【緒言】呼吸困難に対するフェンタニルの有効性はモルヒネに比してエビデンスが乏しく確立されていない.COVID-19肺炎の呼吸困難に対し,高用量静注フェンタニルから低用量静注モルヒネ投与へのスイッチングが有効であった症例を報告する.【症例】85歳男性.COVID-19肺炎のため気管挿管,人工呼吸管理となり,疼痛緩和のためフェンタニル持続投与が開始された.呼吸困難の訴えが顕著となりフェンタニルを増量したが,効果不十分なため緩和ケアチームが介入し,フェンタニル2400 µg/日からモルヒネ76.8 mg/日に変更したところ呼吸困難は消失した.一方,呼吸抑制が顕著となりモルヒネを10 mg/日まで漸減し,呼吸抑制は改善し呼吸困難も認めなかった.【考察】フェンタニルよりも低用量のモルヒネで呼吸困難を緩和できたのは,フェンタニルの耐性形成や呼吸困難緩和に対するモルヒネの優位性が一因と考えられる.
著者
森 幸雄
出版者
創価大学社会学会
雑誌
Sociologica (ISSN:03859754)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.25-45, 2003-03

護国神社は,1939(昭和14)年に内務省によって制定された,東京都を除く一府県一社を原則にする指定護国神社の制度にもとづいている。ただし,伝統的に県内に複数の陸軍聯隊区がある県のなかには,県内1カ所にするのが難しかったところもある。岐阜県が岐阜・大垣・高山の3ヶ所,兵庫県が神戸・姫路,広島県が広島・福山,島根県が松江・浜田のそれぞれ2ヶ所が指定護国神社となった。また,北海道は函館・札幌・旭川の3カ所が指定護国神社となった。ひとたび,一府県一社の指定護国神社ができると,以前からあった県内の招魂社や招魂碑・
著者
森崎 智仁 大仁田 賢 竹島 史直 赤澤 祐子 山口 直之 宮明 寿光 田浦 直太 市川 辰樹 磯本 一 鳥山 寛 中尾 一彦
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.108, no.2, pp.245-252, 2011 (Released:2011-02-07)
参考文献数
22
被引用文献数
1

79歳,女性.上腹部不快感あり,近医にて上部消化管内視鏡検査を施行.進行胃癌を認め,当院紹介.全身精査にて,全身リンパ節転移を認め,S-1単剤化学療法を開始.2カ月後に黄疸と肝機能障害が出現し,S-1を中止した.内視鏡的逆行性膵胆管造影検査にて,肝門部肝管を中心に多発性の胆管狭窄を認めた.肝門部に腫瘍を認めず,S-1による続発性硬化性胆管炎を疑った.加療を行ったが軽快せず,永眠された.
著者
竹森 幸一 三上 聖治 仁平 將
出版者
社団法人 日本循環器管理研究協議会
雑誌
日本循環器病予防学会誌 (ISSN:13466267)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.157-162, 2001-10-25 (Released:2009-10-16)
参考文献数
17

2000年に、全都道府県から抽出した195市区町村の主として老人保健事業で測定された40歳から69歳の女性9696名の血圧値を資料として、水銀血圧計については偶数の、自動血圧計については0から9の末尾の平等性を検討し、次の結果を得た。1) 水銀血圧計で測定された6560名の最高および最低血圧値は、奇数を除いた偶数の平等性はともに否定され (それぞれχ2=772、p<0.001、χ2=1855、p<0.001) 、末尾に0が多いことが示された。2) 自動血圧計で測定された2919名の最高および最低血圧値は、末尾0から9の平等性は否定された (それぞれχ2=53.4、p<0.001、χ2=72.9、p<0.001) 。最高、最低血圧値ともに末尾は奇数より偶数が多いことが示された (それぞれχ2=36.6、p<0.001、χ2=384、p<0.001) 。3) 1985年調査と2000年調査の測定値について、最高、最低血圧値の末尾0と0以外の偶数の割合を比較した結果、末尾0の割合が最高血圧が41.1%から33.7%、最低血圧が45.5%から41.4%と2000年調査の方が減少していた。血圧分類は140-159mmHg、90-99mmHgのように末尾0が境界になっていることから、測定値の末尾0の割合の違いが高血圧の有病率に影響を与えるものと考えた。
著者
森田 武志
出版者
北海道大学観光学高等研究センター = Center for Advanced Tourism Studies, Hokkaido University
雑誌
CATS 叢書 (ISSN:21853150)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.249-270, 2012-03-31

観光資源としてのコンテンツを考える : 情報社会における旅行行動の諸相から = Current Issues in Contents Tourism : Aspects of Tourism in an Information-Based Society
著者
山田 美智子 笠置 文善 三森 康世 宮地 隆史 大下 智彦 佐々木 英夫
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第51回大会
巻号頁・発行日
pp.267, 2008 (Released:2008-10-15)

背景と目的:胎児期に被爆した被爆者では小頭症や知的障害等の神経系への影響が認められる。今回、広島成人健康調査集団の被爆時年齢13歳以上の原爆被爆者とその対照において、原爆被爆が認知機能や認知症の発症に影響したか否かについて調査した。 方法:対象者は1992年の調査開始時に年齢60歳以上で認知症を認めない2286人である。認知機能は認知機能スクリーニング検査(CASI)を用いて評価した。認知症の診断は認知機能スクリーニング検査と神経内科医による神経学的検査の2段階法を用い、人年法により線量階級別の粗発症率を求めた。原爆被曝の認知症発症への影響の評価には他のリスク要因を考慮してポワソン回帰分析を用いた。放射線治療による被曝情報は病院調査と問診調査から得られた。 結果:認知機能は加齢と共に低下し、低学歴で低かったが、被爆時年齢13歳以上の原爆被爆者では認知機能に被爆の影響は認められなかった。約6年の追跡期間中に206人が新規に認知症を発症した。60歳以上の1000人年あたりの粗認知症発症率は15.3(男性12.0、女性16.6)であった。被爆線量別の1000人年あたりの発症率は被爆線量5mGy以下、5-499mGy,500mGy以上で各々16.3、17.0、15.2であった。いずれの被爆線量群でもアルツハイマー病が優位な認知症のタイプであった。ポワソン回帰分析の結果、全認知症ならびにタイプ別認知症において、他のリスク要因を調整後に被爆の影響は認められなかった。対象者の内、68人がこの調査以前に放射線治療を受けていたが、認知症を発症したのは2人にすぎなかった。 結論:原爆被爆者の縦断的調査において認知機能ならびに認知症発症と放射線被曝の関連は認められなかった。
著者
池田 博昭 高本 彩音 池田 純子 河野 清尊 中妻 章 徳村 忠一 森 久美子 飯原 なおみ 芳地 一 二宮 昌樹
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.140, no.12, pp.1455-1462, 2020-12-01 (Released:2020-12-01)
参考文献数
23
被引用文献数
2

We investigated the success rates of eyedrop instillation and the distance between the cornea and the dropper tip in 100 volunteers using high-speed digital video recording. Past eyedrop adherence studies assumed that instillation occurred without failure. The ideal distance between the cornea and dropper tip remained unclear, although the general estimate was approximately 2.54 cm (1 inch). This study was approved by the Institutional Review Boards of all participating medical institutions, and all volunteers provided written, informed consent. Successful instillation was defined as when 1 drop fell accurately into the eye on the first attempt. The instillation of ≥2 drops or drops delivered outside the eye was considered a failure. The distance between the eye and dropper tip was measured using still images from a paused digital video camera and a digital ruler. Forty percent of the volunteers instilled eyedrops without instructions from ophthalmologists, pharmacists, or other healthcare workers. When the images were analyzed, the success rate of the first instillation was 70.1%. When the eye was arbitrarily divided into 9 sections, most of the drop sites were the iris or the center of the eye. The distance between the dropper tip and cornea was 2.62±1.75 (median 2.20) cm. These results indicate that the generally recommended distance is usually followed. The successful instillation rate based on the distance from the dropper tip to the cornea was 77% at 1.6±0.88 cm and 54.9% at 4.8±1.25 cm.
著者
吉田 敦彦 永田 佳之 今井 重孝 西村 拓生 西平 直 森岡 次郎 藤根 雅之
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

日本のオルタナティブ学校に関する事例研究と原理的考察を通して、公教育とオルタナティブ教育とが連携する意義と可能性を明らかにした。1)多義的な「オルタナティブ」概念および「多様性と公共性」をめぐる議論を分析したうえで、学校教育法と並立するオルタナティブな教育機会確保法の意義を明らかにした。2)オルタナティブ教育実践の質を保証する先行事例として、相互認証、教員研修、公民連携等の役割を担う中間支援組織の試み、および台湾の「実験教育三法」の動向を検証した。3)公教育学校とオルタナティブ学校が連携したサステイナブルスクール・プロジェクトに参画し、ホールスクールアプローチによる実践・評価モデルを開発した。
著者
清田 有希 大森 茂樹 河原 常郎 土居 健次朗 倉林 準 門馬 博 八並 光信
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101860, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】臨床では、Electrical Muscle Stimulation(以下EMS)を使用する機会は多い。EMSは、電気刺激によって筋収縮を起こし、筋ポンプ作用を働かせ、疲労物質の貯留が解消されることで、疲労が回復することが予想される。筋血管内の疲労物質は、この筋ポンプ作用により貯留が解消される。筋疲労は、最適な周波数と最適な刺激間間隔を定めることにより、筋ポンプ作用が促進され、筋疲労を回復させると考えられる。しかしEMSは、異なる周波数や刺激間間隔の違いにより筋疲労の回復に差が生じるかは不明な点が多い。本研究では、筋疲労を回復する最適周波数と最適刺激間間隔を比較し、筋疲労回復の電気治療の有効性について検討した。【方法】対象は、整形外科的、神経学的に問題のない健常成人24名、年齢27.2歳±4.0、BMI21.9±2.2であった。対象筋は、大腿直筋とした(電極:大腿四頭筋の筋腱移行部と大腿直筋のモーターポイント)。各療法の刺激間間隔は、1:1(5sec on:5sec off)、1:5(10sec on:50sec off)の2パターンとした。周波数は、1Hz、5Hz、10Hzの3パターンを行った。筋力測定は、対象の肢位をLeg Extension-Curl(HUR社製)の装置に股関節屈曲50°、膝関節屈曲60°、足関節背屈0°で固定した。最大筋力は、計測器PERFORMANCE RECORDER 9100(HUR社製)をLeg Extension-Curlに取り付け、大腿四頭筋の等尺性収縮での最大筋力を計測した。運動課題は、最大筋力測定時の膝伸展角度を制限として、最大筋力の40%の負荷量で膝関節の屈伸運動を行わせた。運動課題中は、メトロノーム(110bpm、4拍子)を使用し、4拍子目を最大伸展位となるように運動を行わせた。運動課題の終了は最大伸展位まで運動が行えない場合が2回続いた場合、運動課題中メトロノームのリズムから逸脱した場合とした。運動終了後、直ちに計測器で筋力の計測を行った。その後、マルチ電気治療器インテレクト アドバンス・コンポ2762CC(CHATTANOOGA GROUP社製)でEMSを各パラメータで20分間行った。電気刺激強度は、運動閾値の2倍の強度で行った。電気治療後、計測器により筋力の計測を行った。コントロール群は、EMSを施行せず、パッドを貼ったのみの施行を6人に行った。最大筋力を回復筋力で除したものを疲労回復率とし、統計処理は、コントロール群と各周波数の刺激間間隔群を比較した。有意水準は、5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】所属施設における倫理委員会の許可を得た。対象には、ヘルシンキ宣言をもとに、保護・権利の優先、参加・中止の自由、研究内容、身体への影響などを口頭および文書にて説明した。同意が得られた者のみを対象に計測を行った。【結果】刺激周波数別に疲労回復率を比較すると、疲労回復率は、1Hzの1:1は120.0%、1Hzの1:5は134.0%、5Hzの1:1は103.0%、5Hzの1:5は116.7%、10Hzの1:1は115.4%、10Hzの1:5は117.4%となった。コントロール群の回復率は102.0%となった。コントロール群と各周波数別の比較では、コントロール群と1Hzの1:5の群のみに有意な差(P<0.02)を認めた。【考察】疲労回復の度合いをみると、EMSを施行した場合とコントロール群では、EMSを施行した場合の方が疲労回復率は高かった。EMSを行うことで、筋肉の収縮が起こり、筋肉内の疲労物質である乳酸の流動が生じ、疲労回復が促進されたと考えられる。Lindstromらは、活動筋における血液循環が低下することによって、筋中に産生された乳酸が除去されにくくなったことにより筋疲労が起こるとある。市橋らは、主運動後に軽い運動を行なうと血液循環が改善され体内の化学反応が促進されて回復が高まることや運動後の血中乳酸の除去率をクーリングダウンと安静で比較すると軽い運動をした方が、除去率が高いことが報告されている。このことから、EMSにより筋収縮が起こることで疲労の除去が行えると考える。コントロール群と比較し、EMSの各パラメータでは、周波数1Hz、刺激間間隔1:5のものが疲労回復に大きく貢献していた。Bentonらは、電気刺激による筋収縮は生理的収縮より疲労しやすく、長めの休息を設定する必要があるといっている。刺激間間隔は、1:1よりも1:5のパラメータでEMSを施行した方が、有意に差が生じたと考える。【理学療法学研究としての意義】現在、電気療法のパラメータの違いによる筋に与える影響についての研究や疲労回復に関して電気療法を行った研究はまだまだ少ない状態である。本研究により、電気療法のパラメータの適切な選択や電気療法が筋疲労の回復にも影響があることを証明し、理学療法やスポーツ場面の治療法の一助となると考える。
著者
森川 俊生
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.30, 2020-03-15

地上波のテレビ番組において,30 年程前までは「映像の補足説明」に過ぎなかった文字テロップが,今や「映像」と「音声」に並び立つ主要な表現手段の一つとなっている。現在地上波で放送されているテロップを目的と機能に沿って細かく分析すると大きく10 のカテゴリーに分類されるが,その中でも1990 年代以降,急激に増加したのがサイドテロップである。テレビのリモコン普及とともに,ザッピング対策を主な目的として始まったサイドテロップの現状を分析すると,番組のジャンルごとに大きな特徴が見られた。 サイドテロップの目的には大きく「視聴者の理解を助けること」と「視聴者の興味を引き付けること」の二つがあるが,報道情報番組においては前者が,バラエティ番組においては後者が主な目的となっており,さらに報道情報番組ではその色調によって番組のイメージカラーを印象づけて類似番組との差別化を図る手段となり,バラエティ番組ではカラフルな色づかいにより画面を華やかにする役割を担うなど,多様な目的を持つようになっていることがわかった。過去30 年を通して,テロップが地上波の番組に質的変化をもたらしたのである。