著者
栃原 きみえ 斉藤 一枝 水口 綾子 池田 恵子
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1-12, 1979-03-15

被服の着装効果と人の個性との関係を明らかにするために,個性の要素の1つである顔の形態的因子を研究対象とし,本学学生222名を被験者として,1/2大の写真を用いて各部位の計測をした.1.眉,目,鼻,口の長径,幅径,角度 眉,目,鼻,口の各部位の長径,幅径および角度を計測し,最大,最小,平均,標準偏差を求めた.2.眉,目の長径,幅径,角度の左右差と出現率 顔の因子の左右アンバランスは個性の研究に必要と考え,眉長,眉幅,眼裂長,眼開大径および眉頭を基点とする眉尻の角度,眼頭を基点とする眼裂の角度の左右差について検討したが,左右同径,および同角度は極めて少なく,各項目ともに約80〜90%の者に左右差が認められ,高い出現率であった.3.眉,目,鼻,口の相関係数 眉,目,鼻,口の長径,幅径,角度の120項目について相関係数を求めたところ,41項目が有意であった.その中で眉長,眉幅,眉角度,眼裂長,眼開大径のおのおの右と左間の相関係数が特に高い傾向を示した.そこで類型化のための資料には,左右のいずれか一方でよいと判断し,本研究では右を用いることにした.4.眉,目の類型化 4-1 眉,目の長径,幅径による類型化と出現率 本研究を進めるにあたって,先ず顔の因子の類型化が必要と考え,今回は眉と目を取り上げ,長径,幅径の標準偏差±3σを用いて5段階に分け,両者の組み合わせによって類型化を試み出現率を求めた. 4-2 眉,目の角度による類型化と出現率 眉長と眉角度および眼裂長と眼角度の各標準偏差を用いて類型化を試みたが,上り眉は52.7%と過半数を占め,下り眉は31.1%また0度つまり眉頭と眉尻が水平線上にある眉は16.2%であった. 目の場合,上り目の出現率は97.7%と圧倒的に高く,下り目は0.5%,0度は1.8%と低い傾向であった. 4-3 眉の特殊型 眉の形には俗にいう三日月型,への字型などがあるが,これらの形態と個性との関係を追求するために類型化を試みたが,全体の中での出現率は三日月型が22.5%,への字型が14.0%であった. 4-4 一重まぶた,二重まぶたの例 目の形態には俗にいう一重まぶた,二重まぶたがあるが,出現率は一重まぶたが55.4%二重まぶたが33.0%,また左右のいずれか一方が一重まぶた,または二重まぶたのいわゆる左右アンバランスの目は10.8%であった.以上のように一重まぶたの者が圧倒的に多かったのは,東洋人種である日本人の特徴を裏付けているものといえよう. 7-5 眉,目の位置に関する類型化 左右の眉頭間および眼頭間の各標準偏差を用いて5段階の類型化を,また眉の下縁と目の上縁間の標準偏差を用いて眉,目間の類型化を試み,眉と目の位置に関する形態を把握した.以上,眉,目,鼻,口の長径,幅径,角度を数値として確認し,また眉,目について類型化を試みたが,続けて鼻,口の類型化を試みたいと考えている.今後これらの資料をもとにして個性との関係を追求し,更に被服との関係についても明らかにしてゆきたいと考えている.終りに本研究の資料収集に御協力くださった高梨亨子講師,また被験者として御協力くださった服飾専攻の学生諸姉に,深甚の謝意を表します.
著者
菅野 憲明 佐々木 雄大 高山 毅 池田 哲夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.72, pp.545-552, 2004-07-14

コンビニエンス・ストア(通称「コンビニ」)における新商品の売れ行き予測に関する学術的な検討が遅れている. 著者らはこれまでに 市販のPOSデータを用いて「おにぎり」と「カップラーメン」の新商品の売れ行き予測に関する予備的な検討として 特定店舗で成立する相関ルールの抽出を行なった. 本稿では 店舗を問わず成立する一般的知見の導出を目指す. 具体的には コンビニ会社A社へのヒアリングを通じて 新商品投入後二週目の売れ行き予測に対するニーズがあることを述べる. そして これを目的変数とした場合の説明変数として有効な変数を A社の協力の下 データマイニングにより導出する. これらの説明変数と目的変数を用いて 店舗ごとにルール抽出を行なうと有効なルールが得られることが確認された.Academic analysis of sales forecast for new items on sale in convenience store is insufficient. As a preliminary analysis, the authors have derived some association rules for every shop concerning demand of new ``onigiri" and ``cup ramen" by utilizing POS data on sale. In this paper, we try to find some general knowledge independent of a shop. Concretely, based on a hearing from a convenience store company A, we describe there exists a need for sales forecast in the second week for a new item. We adopt it as a target variable, and derive its effective explanatory variables by the use of data mining technique, based on the cooperation of the company A. We have confirmed that we can obtain some effective association rules, if we adopt these target variable and explanatory variables and perform distinct data mining for each shop.
著者
稲増 一憲 池田 謙一
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.103-112, 2009

In this research, the effects of interpersonal relationships, psychological intimacy, and frequency of conversation on the motive to share new information or refer to shared information were examined by means of a survey using topic selections of conversation. There are contradictory findings in previous research on whether intimacy promotes referring to shared information or unshared information, as the studies confuse psychological intimacy and frequency of interaction. The results of our sampling survey showed that psychological intimacy increased topic selection based on the motive to share new information while frequency of conversations increased topic selection based on the motive to refer to shared information. In addition, psychological intimacy and frequency of conversations had an interaction effect on topic selection based on the motive to share new information. The results indicate that psychological intimacy and frequency of interaction should be distinguished, as this will assist in eliminating the confusion in previous studies.
著者
松本 忠博 原田 大樹 原 大介 池田 尚志
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.177-200, 2006-07-10 (Released:2011-03-01)
参考文献数
37
被引用文献数
1 3

日本手話をテキストとして表現するための表記法を提案する.本表記法の検討に至った直接の動機は, 日本語一日本手話機械翻訳を, 音声言語間の機械翻訳と同様, 日本語テキストから手話テキストへの翻訳 (言語的な変換) と, 翻訳結果の動作への変換 (音声言語におけるテキスト音声合成と同様に手話動画の合成) とに分割し, 翻訳の問題から動作合成の問題を切り離すことにある.この翻訳過程のモジュール化により, 問題が過度に複雑化するのを防ぐことをねらいとする.同時に, 手話を書き取り, 保存・伝達する手段としての利用も念頭に置いている.本表記法で記述される手話文は, 手話単語, および, 複合語等の単語の合成, 句読点, 非手指要素による文法標識で構成される.手話単語は, 単語名とそれに付加する語形変化パラメータ (方向や位置, その他の手話動作によって付加される語彙的, 文法的情報を表す) で表す.我々の表記法は, 基本的に手話の動作そのものを詳細に記述するのではなく, 動作によって表される意味内容を記述することをめざした.ただし, 機械翻訳を念頭に置いているため, 動作への変換のための便宜にも若干の考慮を払った.本表記法の記述力を検証するため, 手話を第一言語とする手話話者による手話映像720文を解析し, この表記法での記述を試みた.全体で671文を記述することができた.十分表記できないと判断した49文 (51表現) を分析し, 問題点について考察した.
著者
岩崎 貴也 阪口 翔太 横山 良太 高見 泰興 大澤 剛士 池田 紘士 陶山 佳久
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.183-199, 2014-11-30

生物地理学は、歴史的側面や生態的側面などの観点から、生物の分布パターンや分布形成プロセスの解明を目指す学問であり、進化生態学や群集生態学、保全生物学などの分野とも強い関連をもつ学際的領域である。1990年代以降、遺伝解析技術の恩恵を受けた系統地理学の隆盛によって、生物地理学は大きな発展を遂げてきた。さらに近年では「地理情報システム(GIS)」や、それを利用した「気候シミュレーション」、「生態ニッチモデリング」といった新たな解析ツールが、生物地理学分野に新しい流れを生み出しつつある。その基礎的な活用例として、現在の生物種の分布情報と気候要因から生態ニッチモデルを構築し、気候シミュレーションから得られた異なる時代の気候レイヤに投影するというアプローチが挙げられる。これにより、過去や現在、未来における生物の分布を予測することが可能となり、時間的な分布変化を推定することができる。さらに、GISを活用して、モデル化された生態ニッチや系統地理学的データを複合的に解析することで、近縁種間でのニッチ分化や、分布変遷史を考慮に入れた種分化要因の検証、群集レベルでの分布変遷史の検証なども可能となる。本総説では、最初に基礎的な解析ツールについて解説した後、実際にこれらのツールを活用した生物地理学とその関連分野における研究例を紹介する。最後に、次世代シークエンシングによって得られる膨大な遺伝情報や古DNAデータの有用性について紹介した後、それらの情報を用いた生物地理学や関連分野における今後の展望について議論し、GIS技術がその中で重要な役割を果たしうることを示す。
著者
小林 正法 池田 賢司 服部 陽介
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第12回大会
巻号頁・発行日
pp.81, 2014 (Released:2014-10-05)

本研究では,解釈レベルの違いが検索誘導性忘却に影響するかどうかを検討した。検索誘導性忘却とは,ある記憶の検索が他の関連する記憶の抑制を導く現象である。解釈レベル理論から,高次解釈(e.g., Why思考)では関連付け符号化,低次解釈(e.g., How思考)では項目特定的な符号化を導くとされている。学習項目を関連付けることが検索誘導性忘却を減少するという知見から,本研究では高次解釈を行った場合,検索誘導性忘却が生じないと予測した。実験1,2を行い,得られた検索誘導性忘却効果を統合したメタ分析を行った。分析の結果,低次解釈群では検索誘導性忘却が生じたが,高次解釈群では生じなかった。このように,本研究は学習に直接影響しない操作である高次解釈(Why思考)が,検索誘導性忘却を減少させることを初めて明らかにした。
著者
池田 資尚 板村 英典 池信 敬子 森下 伸也
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.19, pp.75-85, 2012-07-21

私たち人間は日常生活を送る中で「笑い」という行為を意識的あるいは無意識的に表出している。このような人間の「笑い」という現象を科学的に考察するためには、それらを客観的に把握する手法を構築することが求められる。本稿では、笑いが発生する際に反応の見られる「顔」、「喉」、「腹」の3つの身体部位に着目し、それらの動きを計測する「3点計測システム」を用いて、笑い発生時の各身体部位の反応の有無を検出することから笑いの客観的な分類を試みるとともに、それらの組み合わせから笑いを論理的に8つのパターンに分けて捉える「笑いの分類モデル」を導出した。「3点計測システム」の視座から人間の笑いを客観的に把握・分類することは、「笑い」の多様性に対して新たな視点を提起することにつながり、日々の生活の中で忘却されがちな私たち人間の笑いのあり方を自覚的に捉えるための契機になると考えられる。
著者
池田 崇 長澤 弘 山下 哲也 堀内 裕一郎 内田 貴久 野村 千尋 久合田 浩幸 磯和 祐喜子 石田 邦子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.47-52, 2015 (Released:2015-03-18)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

〔目的〕介護老人保健施設(老健)の入所者の消費エネルギー量と摂取エネルギー量の出納を算出し,自宅復帰か施設入所かの転帰に及ぼす影響について明らかにすること.〔方法〕対象は老健入所者121例.転帰をもとに自宅復帰群58例と施設・入院群63例の2群に分類し比較した.入所から1ヵ月の時点で,消費エネルギー量を24時間行動表とMETsから算出し,食事誘導性熱産生を加えて総消費量を求めた.また,摂取エネルギー量との差からエネルギー出納を算出した.さらに利用者背景,入所時FIMの評価を実施した.〔結果〕エネルギー出納は自宅復帰群で有意に高値であった.年齢,要介護度区分および入所時FIMには差は認められなかった.〔結語〕総消費エネルギー量を算出し,エネルギー出納をプラスバランスに維持する事で自宅復帰に寄与することが示唆された.
著者
牧野 孝俊 栗田 佳江 池田 優子 杉原 喜代美
出版者
高崎健康福祉大学
雑誌
高崎健康福祉大学紀要 (ISSN:13472259)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.67-80, 2007-03

看護学生による高校生に対するピアエデュケーションの実践を振り返り、その効果を明らかにすることを目的とし、藤岡地域を中心とした2つの高等学校計3クラスの生徒92名を対象に、授業に対する態度と性に対するイメージ2項目についての無記名自己式質問紙調査をした。項目の内容は、授業に対する態度として「積極的な発言」、「人の意見を聞く」、「興味を持って参加する」、「相手の気持ちを考える」、「楽しく学ぶ」の5項目を、性に対するイメージとして「大切なもの」、「不潔なもの」、「すばらしいもの」、「めんどくさいもの」、「はずかしいもの」、「なくてはならいもの」、「いやらしいもの」、「自然なもの」の8項目である。その結果、授業に対する態度において2クラスのエデュケーション後に「人の意見を聞く」や「興味も持って参加する」、「楽しく学ぶ」の3項目で、有意な差が生じた。また性に対するイメージにおいて、3クラスともエデュケーション後に「大切なもの」「すばらしいもの」「なくてはならいもの」「自然なもの」の4項目で肯定的イメージを選択する学生に有意な差が生じた。
著者
池田 慎太郎
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學法政論集 (ISSN:04395905)
巻号頁・発行日
vol.260, pp.75-98, 2015-02-25

本論文は、平成23-26年度科学研究費補助金基盤研究(A)(課題番号23243026)「日米特殊関係による東アジア地域再編の政治経済史研究」の助成を受けた研究成果の一部である。
著者
池田 マイケル
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.11-18, 2008-01-31
被引用文献数
3

本研究は本文用欧文書体を通して、SD法を用いた印象評価実験を行うことにより、通念的な印象と、実際の印象の整合性を検証した。また、それをすることによって、書体のもつ造形的特徴が、どういった印象を誘発しているのか関連性を探った。今回の実験では、用途別、国別、様式別という選定基準から選出した、Gill Sans、Futura、Frutiger、Caslon、Didot、Palatinoの書体に対して、SD法データに基づいた因子分析とクラスタ分析を行った。その結果、書体の印象を説明しうる共通因子として「穏和性と曲線美」、「完全性と均衡美」、「重厚性と品格美」、が抽出された。それらをもとに分析を進め、最終的に「書体の通念的印象と実際の印象は、ある程度は一致するが、そうでない部分も多い」、という結論に至った。また、装飾性の低さと、ストロークが均一であることが「読みやすい印象」を誘発する最も強い造形的特徴であることも分かった。