著者
福井 貴大 松川 宗一郎 福岡 泰宏
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.85, no.870, pp.18-00360, 2019 (Released:2019-02-25)
参考文献数
57

This study aims to suggest a method for achieving an autonomous gait transition according to speed for a four-legged robot pacing at medium speeds. Our quadruped robot is simply designed and applies a central pattern generator (CPG) for each leg. Each leg is controlled by a PD controller based on a rhythmic output from the CPG. The four CPGs are coupled, and a hard-wired CPG network is constructed to generate a default pace pattern. In addition, we apply feedback of the body tilt to the CPG as vestibular sensory feedback. As a result, our robot safely locomotes at various speeds by autonomously changing the gait from walking to pacing to rotary galloping according to speed, despite the fact that the walk and rotary gallop are not predefined. A factor that causes the gaits' emergence is considered the body oscillation that changes according to the speed. The body oscillation exhibits a double peak per leg frequency at low speeds, no peak at medium speeds, and a single peak at high speeds. The phase differences between the four legs are adjusted according to the body oscillation by feeding the body tilt back to the CPG. The gait transition is triggered only by the body tilt angle, we expect that the suggested method can be generally used for quadruped robots.
著者
福井 晴那 青木 佐奈枝
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.87-99, 2022-09-22 (Released:2022-09-22)
参考文献数
36

複数の感覚モダリティにおける心的イメージの鮮明性を測定する多感覚イメージ尺度として,従来QMI (Questionnaire upon Mental Imagery; Betts, 1909; Sheehan, 1967)が多く用いられてきたが,QMIには問題点が多く指摘されている。そうした問題点を解消するために,近年新たにPsi-Q (the Plymouth Sensory Imagery Questionnaire; Andrade, May, Deeprose, Baugh, & Ganis, 2014)が開発された。本研究では,日本語版Psi-Qを作成し,その因子的妥当性,構成概念妥当性,内的整合性,再検査信頼性を検討した。分析の結果,日本語版Psi-Qは原尺度と同様,視覚,聴覚,嗅覚,味覚,触覚,身体感覚,感情の7因子構造であることが示された。また,十分な構成概念妥当性,内的整合性,再検査信頼性も確認された。本研究で作成された日本語版Psi-Qは,従来慣習的に使用されてきたQMIに代わる多感覚イメージ尺度であると考えられる。
著者
福井 花央 片山 修一 後藤 隆文 中原 康雄 大倉 隆宏 人見 浩介 青山 興司
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.1096-1100, 2018-08-20 (Released:2018-08-20)
参考文献数
13

卵巣広汎性浮腫massive ovarian edema(以下MOE)は正常の卵胞構造を有したまま,間質の浮腫により卵巣腫大を呈するまれな病態である.我々は女児に発症したMOEの2例を経験したので報告する.症例1は9歳,女児.主訴は食思不振,嘔吐,腹部腫瘤.下腹部正中から右側に,10 cm大の腫瘤を認めた.MRIで骨盤内腫瘤の被膜下にMOEに特徴的な所見であるネックレスサインと呼ばれる多数の小囊胞構造を認めた.術中所見では右卵巣が捻転しており,腫瘍や壊死の可能性を考え付属器切除術を施行した.症例2は4歳,女児.主訴は腹痛,嘔吐.MRIでネックレスサインを認めた.画像,臨床経験から術前にMOEと診断し,腹腔鏡下右卵巣捻転解除術および固定術を施行した.女児の急性腹症ではMOEの可能性を念頭におくべきである.
著者
福井 木綿
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.218-232, 2006 (Released:2022-07-15)
参考文献数
23

ベトナム戦争についての研究は数多く存在するが,未だ解明されていない問題は多い。それらを解明するために,南ベトナム解放民族戦線についての再評価が必要であるとの問題意識に基づき,本稿では,解放戦線の財政資料に基づいて,解放勢力の兵員数の推計を行い,その規模と推移について考察を加えた。推計結果は,戦況の推移,主力部隊の規模と矛盾しないものであったが,既存の主要な参考データである米国の推定よりはるかに大きい値となった。推計結果によって,(1) 解放戦線の規模は現在まで過小評価されており,解放戦線の役割についての再評価が必要であるということ,(2) 解放戦線とハノイ政府の関係性の転換において,テト攻勢とベトナム化政策による打撃が大きな影響力をもったということ,(3) 米国の圧倒的軍事力を背景とするサイゴン政府側が軍事的優勢にたつことができなかった理由は規模の問題にあったということが明らかとなった。
著者
荒木 希和子 福井 眞 杉原 洋行
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.169-180, 2017 (Released:2017-08-03)
参考文献数
54
被引用文献数
2

質を示すのは良性腫瘍である。また、悪性腫瘍(ガン)は、自らゲノムを改変したサブクローンを作り、そのニッチ幅もしくは環境収容力を広げることによって、周辺組織や他臓器に適応し、浸潤・転移する。これは細菌以外の生物個体レベルでは知られていない特異的な進化メカニズムである。マクロな生物の成育環境と同様、ガン細胞も変動環境下に存在し、治療や免疫は生体内での細胞に対する攪乱と捉えられる。そして、腫瘍細胞に突然変異等の遺伝的変化が蓄積するに伴い、ゲノム構成もサブクローン間で異なってくる。この遺伝的変化の時間的進行は、クローン性進化の分岐構造として、系統樹のような分岐図として示すことができる。組織内でのガン細胞の空間的遺伝構造は、組織内や成育地内で環境の不均一性とサブクローンの限られた分散距離を反映し、サブクローンがパッチ状に分布した構造になっている。このように、細胞レベルのクローン性の特性を生物のクローン性と比較することで、両分野に新たな研究の進展をもたらすことが期待される。
著者
福井 寛次 山極 芳樹
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.7-14, 2005 (Released:2005-03-26)
参考文献数
11

An orbit transfer system that transports a payload from LEO to GEO using spinning-momentum-tether is introduced in this paper. This system is analyzed in consideration of the change of the angular velocity before and after the catch or the release of the payload for the various parameters of the tether system. The time and the propellant mass required for reboosting the stage are also calculated in detail. As the new thruster for reboosting, the electrodynamic tether (ED tether) system is considered in this study and this system is compared with the conventional ion-thruster system. In addition, the total system mass is optimized for the mission interval that the next transportation of a payload is possible. The results also show that ED tether system can reduce the total system mass compared with ion-thruster system for the same orbit transfer mission.
著者
矢原 弘樹 高橋 瑛逸 福井 幸男 西原 清一 持丸 正明 河内 まき子
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.44-52, 2007 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20

近年,3次元計測技術の発展に伴って,3次元身体モデルを利用した身体に適合する製品設計が注目されてきている.しかし,3次元スキャナ等で計測された身体の表面形状データは座標系が定められていない.そこで,従来は座標系を定めるために必要な身体の部位に,3次元スキャナで計測可能なマーカーを専門家があらかじめ貼る事で解決していた.しかし,マーカーを貼ることは手間や顧客への心理的負担がかかるという問題があった.本稿では,足部モデルの座標系を定義するのに必要な身体の部位MT(脛側中足点)とMF(腓側中足点)の位置を,すでにそれらの位置が定められているサンプルモデルセットをあらかじめ用意しておき,それらの統計的な情報を基にマーカーの位置情報無しの表面形状データのみの足部モデルのマーカーの位置を推定することで,座標系を設定する手法を提案する.そして,FFD法を用いた身体モデル生成法を用いることで,推定されたMT,MFの位置推定の精度向上を試みる.
著者
水野 一徳 山田 雅一 福井 幸男 西原 清一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.23-32, 2006-06-20 (Released:2008-04-11)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1

近年の計算機性能の向上に伴い, 道路交通における様々な現象を再現しようとする試みが盛んに行なわれている. 本論文では, マルチエージェントを用いて道路交通問題をモデル化し, 交通流を微視的にシミュレートする方法について述べる. 本モデルは, 道路交通を構成する要素 (車両, 交差点, 道路, 信号) をエージェントとして表現しこれらの相互作用によって交通流を再現するものである. 本論文では特に, 実際の交通流を動的かつ直接的に形成する車両エージェントについて詳しく述べる. 車両エージェントは, 行動決定, 個性という2つの知識ベースを持ち, これらに基づいて各単位時間の行動を決定する. また, 決定された行動の候補は, 3つの単位運転操作 (アクセル, ブレーキ, ハンドル) の繰り返し組み合わせることにより達成される. 交通流を3次元的に可視化してシミュレートすることにより, 車両エージェントの相互作用によって渋滞等の現象が発生していることを示す.
著者
矢原 弘樹 水野 一徳 福井 幸男 西原 清一 持丸 正明 河内 まき子
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.168-175, 2005 (Released:2008-07-30)
参考文献数
19
被引用文献数
4 4

本稿では3次元スキャナ等で計測された身体形状データから,製品設計に用いるための解剖学的特徴点情報を持った身体モデルを自動生成する手法について述べる.解剖学的特徴点は3Dスキャナによって得られた身体の表面形状から自動抽出することは非常に困難である.我々は以前の報告で,FFD法を用いて解剖学的特徴点のテンプレートを推定対象の形状に変形させることで,解剖学的特徴点位置を自動推定する手法を提案した.しかし,この手法で推定された解剖学的特徴点は,まだ実用的な精度で推定できていなかった.そこで,この手法における誤差の要因を分析し,その対策をすることで誤差を減少させることを試みた.足部モデルの中でも特に表面形状に解剖学的特徴が現れにくく,自動推定が難しいくるぶしの解剖学的特徴点の推定に注目する.
著者
中谷 智美 福井 義一 大浦 真一 今井田 貴裕 Tomomi NAKATANI Yoshikazu FUKUI Shinichi Oura Takahiro IMAIDA
出版者
甲南大学文学部
雑誌
甲南大學紀要.文学編 = The Journal of Konan University. Faculty of Letters (ISSN:04542878)
巻号頁・発行日
vol.172, pp.151-171, 2022-03-30

催眠療法の心身の疾患に対する有効性が認められているにも関わらず,催眠に対する否定的なイメージが流布しているせいで,わが国における催眠療法の活用は不十分であると言える。催眠の適切な普及と発展を促すには,催眠に対する態度(催眠態度)を改善する方法を開発する必要がある。催眠態度は催眠状態期待(主体性喪失期待,潜在能力解放期待)の影響を受けることから,本研究では催眠状態期待を適切に修正することを意図した3 種類の心理教育による意識的・非意識的催眠態度の変化の違いを検討した。54 名の一般大学生を3 つの条件(主体性喪失期待修正条件,潜在能力解放期待修正条件,統制条件)に割り付け,心理教育の実施前後で質問票調査を実施した。分析の結果,意識的催眠態度は,主体性喪失期待修正条件において事前の意識的催眠態度が否定的であった群と,事前の意識的催眠態度が否定的であった男性において肯定的に変化した。一方で,条件にかかわらず,事前の非意識的催眠態度が肯定的な場合は,心理教育により中庸化したのに対して,否定的な場合は変化しなかったことから,心理教育の効果は不十分であることが分かった。このことから,「操作的」とか「支配的」といった催眠に対する否定的なイメージを修正することが,催眠に対する忌避的態度を改善し,催眠療法の利用を促進する有効な手段であることが示唆された。心理教育の効果の性差には,わが国における伝統的ジェンダー観が影響していると考察された。
著者
福井 七子
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.35-45, 1996-03-31

ベネディクトは、文化は個人や社会変化に対する可能性と開放を含むものであり、ひとたび人間が文化の力を意識し始めると、社会の要求に合うように修正され得るもので、文化は望まれる将来の世界への鍵のようなものと考えていた。