著者
福井 久史
出版者
関西大学政策創造学部
雑誌
政策創造研究 (ISSN:18827330)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.91-125, 2021-03-25

本稿では、まず、米国では役員報酬について、どのような議論と改革が行われてきたのかを、K.J.Murphy の先行研究をもとに整理する。これにより明らかとなった、①ストックオプションの会計上の取り扱いに関わる半世紀を超える論争、また、②SEC の情報開示の拡充への取り組みについて、章を改めて概説する。そして、本稿の最後では、米国との比較から、わが国の役員報酬開示の現状に対する若干の示唆として、課題は、開示の「量」ではなく、開示の「質」にあることを示す。
著者
福井 祐子 田中 良和 久住 高章 岩下 孝 益田 勝吉 野本 享資
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.42, pp.55-60, 2000
被引用文献数
1

Rose breeders have failed to make blue roses. This has been attributed to the lack of blue pigment in the petals. We revealed that mauve rose such as "M'me.Violet" and "Lavande" contain a small amount of blue pigment other than a red anthocyanin, cyanidin 3,5-diglucoside. The major blue pigment of the rose named Rosacyanin A and the minor red one was named Rosacyanin B. The structures of these pigments were elucidated. A high-resolution mass spectrometry showed that Rosacyanin B had the molecular weight of 419.0409 and molecular formula of C_<22>H_<11>O_9. The NMR data showed that Rosacyanin B had an extremely unique structure whose C-1 position of gallic acid is bound to the C-4 position of cyanidin by C-C bond formation. (Fig.2) Rosacyanin A has λ max 590nm (MeOH) of the ultraviolet and visible absorption spectrum, and a molecular formula of C_<56>H_<37>O_<31> which is calculated from the molecular weight of 1205.1319 obtained from high-resolution mass spectrometry. As a result of the observation of the isotope shift by the DH exchange of the solvent using a coaxial sample tube in ^<13>C NMR, it was found that the 3-position of flavylium of Rosacyanin B is bonded to the hexahydroxydiphenoyl part of Tellimagrandin II which is a kind of ellagitannin with ether linkage. (Fig.4) To our knowledge, this is the first report of the compound whose gallic acid binds to C-4 position of polyhydroxyflavylium. The only similar compound which binds gallic acid to catechin was obtained from Burkea africana and Peltophorum africanum. The dream of blue roses will come true if we can accumulate Rosacyanin A in rose petals.
著者
高橋 純一 福井 順治 椿 宜高
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.73-79, 2009-05-30 (Released:2018-02-01)
参考文献数
41

絶滅危惧種であるベッコウトンボの羽化殻を用いたRAPD解析によって、ベッコウトンボの集団に直接影響を与えることなく、遺伝的多様性を明らかにした。静岡県磐田市桶ヶ谷沼地域の3つの発生地で採集した60個体に対して80種類のプライマーを使用しRAPD解析を行った。17種のプライマーから20個の遺伝子座で多型が検出され、12種のDNA型が見つかった。そのうち集団特異的なDNA型が合計4つ検出された。遺伝子多様度は平均0.317、遺伝子分化係数は平均0.07となり、集団間の多様性は小さかった。AMOVA分析によっても集団間の分化は検出できなかった。また3集団から見出された変異は98.7%が集団内の個体間変異に、集団間では1.3%となった。クラスター分析からも集団間は非常に類縁関係が高いことが明らかになった。
著者
福井 一喜 金 延景 上野 李佳子 兼子 純
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.59-70, 2016 (Released:2019-05-31)
参考文献数
14
被引用文献数
3

本研究は,長野県佐久市の岩村田本町商店街を事例として,地方都市における中心商店街の取組みを調査することにより,新規店舗の開設と新規事業の創出による商店街活性化の方策を明らかにした.中山道の宿場町として発展した事例商店街では高速交通網の整備にともなって,隣接する郊外地域に大型店中心の商業集積が形成されたものの,それに先んじて商店街組織の世代交代を進め,空き店舗を活用した新規店舗の開設と新規事業創出を進め,地域住民の生活を支援する商業的・社会的機能を再構築した.こうした取組みを成立させることができた方策として,①地域貢献を使命とするビジョンの確立とそれを具現化するリーダーシップ,②その基盤となる世代を中心とした地域的連帯の活用,③新店舗や新事業の創出に向けた外部人材と小規模店舗の積極利用が挙げられる.
著者
米村 法子 福井 里美 勝野 とわ子
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.167-175, 2017 (Released:2019-10-14)
参考文献数
25

目的:本研究は,熟練した精神科看護師による統合失調症者の術後疼痛の判断を明らかにすることを目的とした. 方法:精神科経験3 年目以上で外科系病棟での勤務経験もある看護師9 名を対象に半構造的面接を行い,質的帰納的に分析した.結果:熟練した精神科看護師による統合失調症者の術後疼痛の判断として【手術侵襲の影響と回復状態からの判断】,【幻覚・妄想からの判断】,【疼痛時・不穏時・不眠時指示薬からの選択の判断】,【言語的表現と客観的情報の整合性からの判断】,【複数の立場からの判断】の5 カテゴリーが明らかとなった.考察:【幻覚・妄想からの判断】,【疼痛時・不穏時・不眠時指示薬からの選択の判断】は術後疼痛のある統合失調症患者への特有の判断と考えられた.これらの判断には難しさを伴い,看護師が 仮説的に判断してケアを行うことや,熟練した精神科看護師が中心となって振り返る機会がより求められる.
著者
粟島 亨 田中 博 福井 省三 佐藤政生 大附 辰夫
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.43(1992-SLDM-062), pp.229-243, 1992-05-27

径路トポロジーの標準形であるラバーバンド表現に基づいた単層2点間ネットに対する逐次配線手法を提案する.本手法はトポロジー的に存在する径路は必ず発見することができる.また,最終段階に行われる幾何学的変換処理によって,径路の押し退け,すなわち,shove asidingが自然に実現できる.本手法を可視グラフを基本探索構造として計算機上に実装し,いくつかの例題に適用することにより,その有効性を実証した.
著者
田辺 肇 德山 美知代 福井 義一
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
Journal of Health Psychology Research (ISSN:21898790)
巻号頁・発行日
vol.32, no.Special_issue, pp.99-105, 2020-03-20 (Released:2020-03-20)
参考文献数
35
被引用文献数
1 1

Affect dysregulation is a highly significant construct among transdiagnostic pathological factors. This review first makes a brief introduction to the historical background of research and practice related to child abuse trauma and dissociation. In preceding studies, complex PTSD resulting from chronic and relational trauma was a focal construct and researchers have already adopted transdiagnostic perspectives. Subsequently, the current state of research on affect dysregulation related to child abuse trauma and dissociation are outlined. Moreover, critical commentary, especially regarding the conceptual and terminological variety and inconsistencies in research on affect dysregulation, is provided. Finally, current issues related to this topic are identified for further exploration.
著者
藤原 由紀子 町田 治彦 田中 功 福井 利佳 平林 望 白石 くみ子 岸田 弘美 森 恵美子 増川 愛 上野 惠子
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.9, pp.1166-1172, 2010 (Released:2012-04-21)
参考文献数
10

背景および目的: 64列multidetector-row CT(MDCT) 心臓検査は, 非侵襲的に冠動脈の詳細な形態評価が可能であるが, 放射線被曝による発癌リスクの増加が問題視されている. これに対し, 被曝低減技術の活用と画質劣化の回避のため, しばしば, β遮断薬経口投与による心拍数の低減が図られる. 今回, われわれは, 本検査の安全性の評価と合理的なワークフロー確立のため, β遮断薬投与後の心拍数の経時的変化と検査前後の血圧変動について検討した.方法: 対象は, β遮断薬経口投与下に64列MDCT心臓検査前を施行した連続551例. 投与前, 投与後15~90分, 撮影直前の心拍数と投与前と撮影直後の血圧を測定し, 投与前心拍数に応じた最低心拍数到達時間, 心拍数, および血圧低減率, ならびに心拍数40bpm以下の高度徐脈, 急激な血圧低下に伴うショックなどの重篤合併症の出現頻度を検討した.結果: β遮断薬投与後, 心拍数は経時的に低下し, 最低心拍数到達時間は, 投与前心拍数80bpm未満で60分, 80~89bpmで75分, 90bpm以上で90分であり, 心拍数低減率(最低心拍数)は, 投与前心拍数70bpm未満で16.4%(54.9bpm) , 70~79bpmで20.3%(58.2bpm), 80~89bpmで24.4%(62.9bpm), 90bpm以上で27.7%(69.5bpm)であった. 血圧低減率は, 収縮期血圧において, 80bpm未満で4.3%, 80~89bpmで5.0%, 90bpm以上で4.8%, 拡張期血圧においては70bpm未満で0.7%, 70~79bpmで1.5%, 80~89bpmで1.0%, 90bpm以上で2.8%であった. また, 本剤投与による重篤な合併症はなかった.結論: β遮断薬経口投与下MDCT心臓検査は安全に遂行可能であった. また, 投与前心拍数に応じた心拍数の経時的低減効果が判明し, 検査の流れの予測が可能となった. 今後, これらを踏まえ患者の不安の軽減や待機時間の短縮などに生かしていきたい.
著者
福井 未来 清水 和秋
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.147-150, 2015-11-20 (Released:2015-12-05)
参考文献数
11
被引用文献数
3 2

This study developed a Vitality Scale (VS), and examined its reliability and validity with 518 participants including undergraduates and adults. Factor analysis revealed that the VS consisted of six factors: vigor, flexibility, social withdrawal (reversed scoring), activeness, mental toughness, and positiveness. Six subscales were developed according the factor analytic results, which had sufficient internal consistency (α=.74–.82). Correlational validity was demonstrated in terms of the relationships of the VS with sleep and eating. These results indicate that each subscale was useful to measure an individual's vitality. Males obtained higher mean scores than females did on flexibility, social withdrawal (reversed) and activeness. The mean of adults' scores was higher than undergraduates' scores on the most of vitality subscales.
著者
福井 弘教
出版者
法政大学大学院
雑誌
大学院紀要 = Bulletin of graduate studies (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.127-142, 2018-03-31

2015年、国連で「持続可能な開発目標,SDGs (Sustainable Development Goals) 」が採択された。これは、格差や気候変動、エネルギーなど、17の課題に対して、「誰一人取り残さない―No one will be left behind」を理念にグローバルな視点で取り組むための新たな尺度である。国によって、法制度、宗教、気候、文化など多様な差異があることから、SDGsの尺度は重要であるが、本稿で注目したのは、Goal 5 の「ジェンダー平等」である。これまで、国内においても、女性地位向上を目指した法制度や施策が展開され、近年では「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年9月4日、法律第64号)、いわゆる「女性活躍推進法」が施行されたものの、議員(国・地方)、高等教育機関における教員、企業における役員など、いずれも女性の数値・占有率は低く推移しており、女性活躍の道は未だに険しいと指摘せざるをえない。本稿では、「活躍」を生産活動として捉え、女性が「活躍」するためには、いかなる労働環境の整備や施策が必要であるのか、プロスポーツの競艇女子選手を事例としながら、ジェンダー平等に向けて、現在の不平等に至る理論の再把握、確定とパラダイムシフトを伴う施策構築を目的として展開した。考察の結果、①各組織における一定数の女性の確保、②ジェンダーに配慮した適切・適度な優遇、③フレキシブルな職場復帰環境整備を確定し、ジェンダー平等 (SDGs Goal 5) に資するソーシャルインパクト (施策) として提示する。
著者
福井大学附属図書館
出版者
福井大学附属図書館
雑誌
福井大学附属図書館報 図書館forum
巻号頁・発行日
no.19, pp.1-19, 2022-03

●図書館長インタビュー…横井正信…1●ここが変わった! 附属図書館ホームページ…3●附属図書館の貴重資料…5●福井大学附属図書館所蔵「小島家文書」を読む(9) 福井大学所蔵の貴重資料、「小島家文書」を知っていますか?…長谷川 裕子…7●ようこそ、本の世界へ(5) 伊崎文庫の紹介 ―太宰治研究の新たな拠点として―-…膽吹 覚… 9●BOOK HUNTING…11●図書館withコロナ2021…13●TOPICS with 学生・教職員・部局・学外…15●寄贈に関する報告…18●読者プレゼント 他…19
著者
渥美 茂明 笠原 恵 市石 博 伊藤 政夫 片山 豪 木村 進 繁戸 克彦 庄島 圭介 白石 直樹 武村 政春 西野 秀昭 福井 智紀 真山 茂樹 向 平和 渡辺 守
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.8-22, 2018 (Released:2019-04-11)
参考文献数
9

平成21年3月に改訂された高等学校学習指導要領で設けられた科目「生物基礎」と「生物」では,科目の大枠を単元構成で,取り上げるべき内容は最低限の例示で示された(文部科学省 2009).その結果,教科書間にページ数や内容の差が生じ,教育現場に混乱をもたらした.日本生物教育学会が設置した生物教育用語検討委員会を引き継ぎ,2015年4月に日本学術振興会の科学研究費による「新学習指導要領に対応した生物教育用語の選定と標準化に関する研究」が組織され,本研究を行った.各社の教科書から,太字で表示された語句,索引語,見出し語,および明らかに生物の用語と見なせる語を用語として抽出した.教科書の単元ごとに用語が出現する代表的な1文,ないし1文節とともに出現ページと出現場所(本文か囲み記事か脚注かなど)の別をデータベースに記録した.用語の使用状況をデータベースにもとづいて分析するとともに,単元ごとの「用語」一覧にもとづいて「用語」の重要度を評価した.生物基礎では1226語(延べ1360語)を収集した.「生物」では1957語(延べ2643語)の「用語」を収集した.「生物基礎」でも「生物」でも1つの単元にしか出現しない「用語」が大半を占めていた.1つの単元で1社の教科書にのみ出現する「用語」も存在し,特に第一学習社の「生物基礎」(初版)では827語中144語が同じ単元で他社の教科書に出現しない「用語」であった.「用語」の重要度は,評価者の属性による差違が際立った.「生物基礎」と「生物」のいずれにおいても,大学教員が多くの「用語」に高校教員よりも高い評価を与える傾向が見られた.特に,「生物」の5つの単元(窒素代謝,バイオテクノロジー,減数分裂と受精,遺伝子と染色体,動物の発生)では大学教員が高校教員よりも高い評価を与える用語が存在した一方,その逆となった「用語」が存在しなかった.これは生物教育用語を選定しようとするとき,選定者の属性によって結果が異なることを示している.さらに,「用語」の表記に多くのゆらぎが見つかった.それらは漢字制限に起因するゆらぎ,略語や同義語,あるいは,視点の違いを反映した表記のゆらぎであった.表記のゆらぎを解消するための「用語」の一覧を作成し提案した.
著者
井上 乾介 福井 佑理 角田 匠吾 鈴川 大路
出版者
商事法務
雑誌
NBL (ISSN:02879670)
巻号頁・発行日
no.1207, pp.96-107, 2021-12-01
著者
福井 晴偉 大瀬戸 清茂 塩谷 正弘 有村 聡美 多久島 匡登 大野 健次 唐沢 秀武 長沼 芳和
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.29-33, 1996-01-25 (Released:2009-12-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1

目的: 椎間関節を支配する各々の脊髄神経後枝内側枝がどの部位に関連痛として腰痛に関与しているか調べる目的で調査を行った. 対象と方法: 腰椎椎間関節症が疑われた患者で, 高周波凝固法による facet rhizotomy の電気刺激時に痛みの部位に放散痛が得られ, かつ疼痛再現性が得られた患者30人とした. 結果: 放散痛の部位を body diagram に記載し, L1~S1までの後枝内側枝の関連痛の部位チャートを作った. 結論: 各々の後枝内側枝の放散痛の部位について, L1はL1/2椎間関節直上を中心とする傍脊柱部, L2は主にL2/3椎間関節直上を中心とする傍脊柱部, 一部がその上下の傍脊柱部, 啓部, L3はL3/4椎間関節直上を中心とする傍脊柱部, 一部がその上下の傍脊柱部, 大腿外側部, L4はL3/4からL4/5椎間関節直上を中心とする傍脊柱部, 一部がその上下の傍脊柱部, 大腿外側部からそけい部, L5はL4/5からL5/S1椎間関節直上を中心とする傍脊柱部, 一部がその上下の傍脊柱部, 臀部, 大腿外側部, S1はL5/S1椎間関節直上を中心とする傍脊柱部, 一部がその上下の傍脊柱部, 臀部, 大腿外側部であった.