著者
土居 通哉 坂田 悍教 細川 武 岡本 順子 五味 敏昭 柳川 洋 北川 定謙
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.111-116, 2001

2001年8月9日、O町のふれあい作業所にて当日の利用者12名(精神分裂病)について精神衛生相談を行い、保健所における利用者患者票を閲覧した。他方、都内のA精神病院にて患者3名(精神分裂病)の診察を行い、カルテを閲覧した。これらを比較することにより、精神医療場面の相違による患者自身の構え、病理と環境の相互作用、疾病モデルと生活モデル等を検討した。それによって、症例を通じて医療場面の違いが治療構造に及ぼす影響を考察した。その結果、作業所と病院での治療構造の違いは、環境と患者の役割構造によるところが大きいことが分かった。よって、精神障害者に対する地域保健医療福祉活動として理想的な環境は、利用者自身の健康的な側面に焦点を当て、地域住民を交えた家庭的な雰囲気の中で行われることが重要であると考えられる。
著者
佐藤 久雄 千島 美智男 細川 成之
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 = Transactions of the Japan Society of Mechanical Engineers. B (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.72, no.718, pp.1456-1464, 2006-06-25
参考文献数
5
被引用文献数
1

In order to increase the safety and reliability of ropeway systems, it is extremely important to improve windproof performance of carriers since the excessive swing of the carrier by wind may lead to a serious accident such as a collision with the columns. As the first step of studying improvement of windproof performance of ropeway carriers, this paper presents analysis results of accidents due to wind and results of wind tunnel experiments of real carriers. Analysis results of accidents clarified features of ropeway accidents due to wind. Results of wind tunnel experiments showed aerodynamic characteristics of two typical monocable carriers.
著者
川口 淳一郎 稲谷 芳文 米本 浩一 細川 繁
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.3-199, 1987-03

宇宙研における有翼飛翔体の研究は, 1982年に WG が発足して以来今日に至るまで, 2機のリモートコントロールによる機体動特性の同定試験, 計5機の低速滑空試験と飛翔試験を行なってきた。そして, 1988年度には初のブーストフェーズを導入した再突入実験機をロックーンにより打ち上げることになった。この実験機は, 小型ながらもリアクションコントロール, サーフェスコントロール, 対気および慣性姿勢検出という将来型の機体にも共通な機能をもち, 求められる制御能力もまた従来宇宙研では行なったことのない新規のものである。本報告は, この新たな飛行制御系の設計の経緯と基本的な考え方についてまとめたものである。特に, かなり高い応答性が要求されたモーションテーブル試験については, 実験結果と設計の見直しというプロセスを詳しく記述している。本文は, 今後の設計, 試験に反映させやすいように, 設計データ集の形で構成されている。
著者
細川 周平
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究はペリーの来訪から終戦までの日本の音楽文化の近代化を大衆音楽を中心に捉えた。近代化には合理的な音構造、楽譜の支配、公共的な音楽教育、公開演奏会、自律美学、ナショナリズムという側面があり、徐々に日本の基底音楽文化を変えていった。外圧として始まったが、日本人はしだいに内面化した。本論はこれまで政治経済の分野で語られてきた近代化を感情、感覚を通して追求し、軍楽隊に始まり、軍歌・軍国歌謡に終わる一世紀の音楽史を新しい方向から描いた。時代区分としては、幕末から日露戦争までの時期、そこから震災までの時期、震災から帝都復興までの時期、十五年戦争期という区分を提唱した。従来の芸術音楽の進歩(西洋化)を前提とした議論に対して、同時代の他の文化的な布置を考慮した。また大衆音楽については、世相史、ジャンルごとの歴史がほとんどだったが、本研究は歌詞だけでなく、言説、ジェンダー、セクシュアリティ、テクノロジー、ジャーナリズム、イデオロギーなどにも深く立ち入った。歌と器楽の関係にも留意し、マンドリン、ヴァイオリン、ハーモニカ、アコーディオンなどの大衆楽器が、国産化ともに、普及したことを示した。声がマイクロフォンによって、どのような影響を受けたのかについて、男性歌手と女性歌手の違いを考慮して分析した。ジャズが、モダンのメタファーとして広まり、特殊な意味作用を持っていた実例を体系づけた。タンゴ、ルンバ、ブルースのようなダンスはジャズ文化にとって決定的に重要で、新しい身体性とスペクタクルが密接に結びついていることを証明した。プロパガンダが、新聞社や翼賛会などの公的機関によって募集され制作されたものと、レコード会社が企画した叙情的なものにわけられること、兵隊ぶしと総称される替え歌が数多く流通し、厭戦気分の秘密のはけ口になっていたことについて考察した。
著者
長谷川 恒雄 LEVY Christi MARIOT Helen 細川 英雄 砂川 裕一 佐々木 倫子 RADKE Kurt W. COOK Haruko M. YUE Kwan Cheuk BEKES Andrej CHEUK Yue K LEVY Christ MARIOTT Hel STEINHOF Pa RADKE Kurt BEKES Andre KWAN Yue Che MARIOTT Hele STEINHOFF Pa RADKE Kurt W BEKCS Andrej
出版者
慶応義塾大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

本研究に先行し、本研究組織中の長谷川、佐々木、砂川、細川の4名は平成4・5年度文部省科学研究費補助金(総合研究A)「外国人留学生のための『日本事情』教育のあり方についての基礎的調査研究」(課題番号04301098)を得て、国内の大学等高等機関における「日本事情」教育の教育状況を調査し、「日本事情」教育の向かうべき理論的方向を研究したが、本研究においてはその研究成果をさらに世界的視野に発展させ、世界の諸大学の「日本事情」教育について調査し、その結果をもとに、意見交換を行ないながら、「日本事情」教育の国際比較研究を行なった。その結果、「日本事情」という名称の特殊性、あるいは地域による教育方法の差異が明確になり、従来漠然と指摘されていたこと等が本調査研究によって確認されるとともに、今後の質的研究のための基礎が形成できた。今後はこうした研究をさらに深めるため、「日本事情」教育の内容についての理論・実践を具体的に検討することが必要となる。
著者
金子 清俊 天野 甲子穂 窪田 公子 細川 彰
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.248-252, 1968
被引用文献数
1

某産婦人科医院で分娩した新生児の耳から計8匹のクサニクバエ幼虫を得た.この耳蝿症の報告は1945年以来, 本邦での初めての記録である.1)患者が生後1日目の新生児で, 記録としては最年少者である点注目に価する.2)クサニクバエParasarcophaga harpaxを原因とする蝿症は世界で最初である.3)蝿幼虫の侵入経路としては, 新生児の外耳道にあつた凝血または羊水に誘引されたクサニクバエが幼虫を産出したものと想像する.
著者
細川 純一 魏書剛
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.7, pp.69-74, 2003-01-28
被引用文献数
1

従来の2進数演算に基づく浮動小数点演算システムでは、2の補数表現を用いて加減算を行っている。加減算の演算数の仮数部は絶対値と符号からなるため、演算数の順番の入れ換えや加算における桁上げ伝搬は演算の速度を制限してしまう。本論文では、2進SD(Signed-Digit)数演算を導入することにより、従来の方法における演算数の入れ換え及び桁上げによる演算制限を軽減させ、高速な2進浮動小数点加算回路を実現するのを目的とする。提案する浮動小数点加算回路の内部はSD数加算回路を中心とした構成になるが、外部の入出力数表現は従来の2進小数点数表現を用いる。そのために、効率的な丸め及びSD数-2進数変換回路を提案する。VHDLによる回路設計及びシミュレーションを行い、従来の浮動小数点加算回路と比較することにより回路性能を考察する。In a floating-point number arithmetic system based on the conventional binary number arithmetic, two's complement number representation is used to perform addition/subtraction in the floating-point addition circuit. Since the significands for addition/subtraction are expresse in a signed-magnitude number representation, the swapping operation of the two operands is required. Moreover, the carry propagation in the addition will also limit the arithmetic speed. In this paper, we introduce a radix-two signed-digit(SD) number arithmetic to the floating-point number arithmetic system. Then the swapping operation is not required and the carry propagation becomes free for the inner addition. We present an addition circuit architecture using the SD arithmetic with the input/output data in a normal binary floating-point number representation. Efficient SD number rounding and SD-to-binary conversion circuits are also proposed.
著者
西川 潤 細川 歩 渕野 真代 高取 俊介 岩本 真也 菓子井 良郎 坂東 正 清水 哲朗 峯村 正実 杉山 敏郎
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.115, no.3, pp.299-304, 2018-03-10 (Released:2018-03-12)
参考文献数
27

エソメプラゾール投与により発症した横紋筋融解症の1例を経験した.逆流性食道炎に対してエソメプラゾールを投与したところ,約10カ月後に横紋筋融解症を発症した.投薬の中止と補液によって腎障害を合併することなく改善した.横紋筋融解症はプロトンポンプ阻害薬投与にともなうまれな副作用であるが,速やかな診断と対応が求められる貴重な症例であり報告した.
著者
細川 洋一郎 門前 暁 寺嶋 真悟 羽澤 勝治 吉野 浩教
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

放射線治療の効果を高めることを目的に、アスコルビン酸併用放射線治療の研究を行った。白血病細胞、線維肉腫細胞、腺癌細胞、扁平上皮癌細胞の計4種類の癌細胞を使い、放射線照射単独とアスコルビン酸併用放射線照射の比較をすると、アスコルビン酸により細胞死が増加し、すべての細胞で、アスコルビン酸併用放射線照射群では生存率が有意に低下していた。今後、放射線にアスコルビン酸を併用することで、放射線治療の効果が高まることが期待され、臨床研究を行う必要がある。
著者
吉田 大地 細川 清人 北山 一樹 加藤 智絵里 小川 真 猪原 秀典
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.223-232, 2021 (Released:2021-08-26)
参考文献数
35
被引用文献数
2 2

Acoustic Voice Quality Index(AVQI)は持続母音と文章音読の両者の録音音声を用いた音響分析手法であり,日本語においても高い診断性能が報告されている.しかしながら,文章音読の課題文が異なれば診断性能が損なわれる可能性がある.そこで当研究では,課題文の変更による診断性能への影響を調査した.全311録音について,「北風と太陽」の第2文までの計58音節を既報で使用された前半30音節と検証用の後半28音節に分割しそれぞれのAVQI値を求めた.聴覚心理的評価との相関係数はそれぞれ0.850および0.842,受信者操作特性曲線の曲線下面積はそれぞれ0.897および0.892であり,ともに良好な診断性能が確認された.また,両者の値の差はわずかであった.当検討における課題文の変更はAVQI値の変動に大きな影響を与えず,AVQIは課題文変更をある程度許容できる可能性が示唆された.
著者
細川 蓮 山田 優生 小川 祐樹 上田 健太郎 諏訪 博彦 梅原 英一 山下 達雄 坪内 孝太
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1B3GS201, 2023 (Released:2023-07-10)

近年,個人で資産を形成するために,株式投資による人々の投資行動の需要が高まっている.株式投資において,将来の市場の動向を予測することは,投資家の投資リスクの低減や収益のために重要である.金融指標の一つに,ボラティリティ・インデックス(以下,VI )があり,これは投資家の市場に対する心理状態を表している.一方で,新聞メディアやソーシャルメディアの投稿には,社会情勢や人々の心理状態などを表しており,これらは,VI 指数に影響していると考えられる.本研究では,新聞記事とソーシャルメディアの投稿文書を用いて,日本における VI である日経平均VIの上昇を予測する.さらに,本研究の有用性を検証するために,予測した日経平均VIを用いてオプション取引の売買シミュレーションによる検証を行う.結果として,両メディアを用いることで日経平均VI上昇の予測精度の向上が確認され,売買シミュレーションにおいても収益に対する有用性が確認された.
著者
園田 潤 國岡 達也 高橋 信 細川 寿樹
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J104-B, no.5, pp.414-416, 2021-05-01

アスファルト舗装下の深さ1.0 mと2.0 mの比誘電率をTDR (Time Domain Reflectometry)で1年間測定し,比誘電率の変動を調べた.この結果からアスファルト舗装下の比誘電率と,埋設管探査における深さ推定の誤差を定量化した.
著者
城下 卓也 本多 一宏 井本 光次郎 細川 浩 林田 洋一 岡村 直樹 宮本 和彦
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.71-75, 2020-03-25 (Released:2020-04-30)
参考文献数
10

C-armガイド下に刺入した腸骨仙骨スクリュー(iliosacral screw)と経腸骨経仙骨スクリュー(transiliac- transsacral screw)の刺入精度と安全性を検討したので報告する.2017年12月から2019年4月の期間に不安定型骨盤骨折に対して,スクリューで後方固定を行った8例(男性5例,女性3例,平均64.8歳),11本(IS 6本,TITS 5本)を対象とした.全例が高エネルギー外傷で,5例にTAEを行った.骨折型はAO/OTA分類61B1:2例,B2:3例,B3:1例,C1:2例であった.Smith分類で正確性の評価を行い,Grade0,1,2,3が,それぞれ9,1,0,1本であり,術後合併症は認めなかった.術後整復位はRommensとHessmannの評価法を使用し,anatomic:3例,nearly anatomic:4例,moderate:1例であった.逸脱率は18.2%とC-armガイド下に安全にスクリューを刺入することが可能であったが,より正確な刺入を行うためには術中ナビゲーションの使用が望ましいと考えられる.
著者
國島 広之 山崎 行敬 中谷 佳子 細川 聖子 駒瀬 裕子 三田 由美子 竹村 弘
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.123-126, 2017-05-25 (Released:2017-07-05)
参考文献数
11
被引用文献数
1

医療従事者の針刺し切創事例は,リキャップ禁止などの啓発活動や安全器材の普及により減少しているものの,全体に占めるペン型注入器用注射針の針刺し切創事例は増加傾向にある.今回,針刺し損傷防止機構付ペン型注入器用注射針(以下,「安全機構付注射針」)の導入による医療従事者の安全性への効果を把握するべく,3病院でのペン型注入器用注射針による針刺し切創発生件数を調査した.ペン型注入器用注射針による針刺し切創事例は,リキャップおよび廃棄に伴う事例が多く,安全機構付注射針の導入により月あたりの針刺し切創の発生件数は,0.33件/月から0.20件/月と減少がみられ,医療従事者の安全な就業環境の確保が得られたことが示唆された.
著者
細川 豊史
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.368-371, 1994-06-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
10
著者
細川 亜佐子 太田 直斗 北神 慎司
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.76-82, 2023 (Released:2023-04-25)
参考文献数
24
被引用文献数
1

The present study examines whether the activation of visuospatial perceptual processing affects empathic responses during narrative comprehension. Specifically, using a dual-task method, we investigated the effects of load on a visuospatial memory task and capacity of visuospatial working memory on empathic response rating scores for reading. Consequently, the results revealed that the effects of load on the visuospatial memory task reduced empathic response scores for reading in the higher visuospatial working memory capacity. The results suggest that the activation of visuospatial perceptual processing influence empathic responses during narrative comprehension. Moreover, elaboration through activation of visuospatial perceptual processing plays an important role in empathic responses, particularly for readers having a large capacity of visuospatial working memory.