著者
野元 野元 広瀬 健一郎 前田 耕司 廣瀬 隆人 若園 雄志郎 清水 裕二 上野 昌之 慎 基成 套 図格 紅 桂蘭 ゲーマン ジェフ JENNIFER Hixson DAVID Adcock PAUL Hixson 洪 〓柔 SANDRA L Morrison
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

アイヌ民族教育の原理・制度、アイヌ民族教育に関する実践、海外の先住民族・少数民族の教育3つの研究課題の柱に沿って研究・調査行い、アイヌ民族の当事者が設立を求めているアイヌ民族学校、アイヌ民族大学などのアイヌ民族教育機関の具体的なイメージを持つとともに、管理・運営のためのアイヌ民族教育委員会制度や教育内容・方法について検討することができた
著者
千田 若菜 岡田 智
出版者
北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.57-66, 2021-03-25

ASDのある人のメンタルヘルスにおける、不適応の予防的観点から、過剰適応の概念に着目する必要性を整理することを目的に、わが国におけるASDの過剰適応について報告した文献を概観した。過剰適応はわが国に特有の概念と考えられており、海外では類似する概念としてperfectionism(完璧主義)やburnout(燃え尽き)、camouflage(カモフラージュ)が、ASDのメンタルヘルスに関わる要因として指摘されている。特にカモフラージュは、近年のASD研究で注目されており、実証研究を通じ有用な知見が見出されている。過剰適応もカモフラージュも、社会的状況で生じ、従事している間は外見上問題がないように見えるが、従事した結果の悪影響があることは共通している。一方で、臨床家から過剰適応として指摘されている現象の中には、カモフラージュでは説明しきれない特徴や変数が存在する。ASDのある人への不適応の予防的支援に向け、過剰適応と他の類似する概念の整理が研究上の課題となっている。
著者
卯野木 健 林田 敬 河合 佑亮 對東 俊介 安藤 守秀 飯田 有輝 笠井 史人 川崎 達也 神津 玲 近藤 豊 齊藤 正和 櫻本 秀明 佐々木 信幸 佐浦 隆一 中村 謙介 大内 玲 岡本 菜子 岡村 正嗣 栗原 知己 栗山 明 松石 雄二朗 山本 憲督 吉廣 尚大 矢坂 泰介 安部 諒 飯塚 崇仁 井上 拓保 内山 侑紀 遠藤 聡 大倉 和貴 太田 浩平 大塚 貴久 岡田 大輔 小幡 賢吾 片山 雪子 金田 直樹 北山 未央 喜納 俊介 草葉 隆一 桑原 政成 笹沼 直樹 高橋 正浩 髙山 千尋 田代 尚範 立野 淳子 田村 貴彦 田本 光拡 土谷 飛鳥 堤 悠介 長門 直 成田 知大 名和 智裕 野々山 忠芳 花田 匡利 平川 功太郎 牧野 晃子 正木 宏享 松木 良介 松嶋 真哉 松田 航 宮城島 沙織 諸見里 勝 柳 尚弥 山内 康太 山下 遊平 山本 夏啓 劉 啓文 若林 侑起 渡辺 伸一 米倉 寛 中西 信人 高橋 哲也 西田 修 日本集中治療医学会集中治療早期リハビリテーション委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.30, no.Supplement2, pp.S905-S972, 2023 (Released:2023-12-10)

重症患者に対する標準化された質の高いリハビリテーションの提供は,取り組むべき重要課題である。日本集中治療医学会では,2017年に「集中治療における早期リハビリテーション ―根拠に基づくエキスパートコンセンサス―」を発行したが,系統的にエビデンスを評価したものではなく,あくまでも専門家のコンセンサスに基づくものであった。そこで,日本集中治療医学会では,質が高く,かつ,医療従事者が理解しやすく,その意思決定に資することを目的に,システマティックレビューおよびGRADE(grading of recommendations, assessment, development and evaluation)アプローチを用いた診療ガイドラインを作成した。 重症患者に対するリハビリテーションに特化し,かつ,GRADEアプローチを用いた診療ガイドラインとしては,世界初の試みである。本ガイドラインは日本集中治療医学会集中治療早期リハビリテーション委員会を核に,ワーキンググループ,システマティックレビュー班,アカデミックガイドライン推進班から構成された診療ガイドライン作成グループの合計73名からなるメンバーで作成した。リハビリテーションでは多職種連携が非常に重要であることはいうまでもない。本ガイドラインも多職種,かつ多様な専門分野を持つ医師や医療従事者,ICU患者経験者を含む多くのメンバーが作成に寄与した。 本ガイドラインでは,グループメンバーによる議論に基づいて,8領域を注目すべき臨床重要領域とした。その上で,各領域から重要な14の臨床疑問(clinical question, CQ)を作成した。 パブリックコメントの募集を計2回行い,CQに対する回答としては,10のGRADEによる推奨,4つの背景疑問の解説が示された。また,CQごとに情報を視覚的診療フローとして作成し,各CQの位置付けがわかりやすいように配慮した。多職種が関与する重症患者に対するリハビリテーションにおいて,本ガイドラインが活用されることを期待する。
著者
柏木 惠子 若松 素子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.72-83, 1994-06-30 (Released:2017-07-20)
被引用文献数
19

「親となる」ことによって親にどのような人格的・社会的な行動や態度に変化 (親の発達) が生じたかを, 就学前幼児をもつ父親と母親346組を対象として比較検討を行った。加えて, 子どもや育児に対する感情・態度及ぴ性役割に関する価値観の測定も行い, 母親の職業の有無, 父親の子育て・家事参加度との関連で分析を行った。その結果, 「親となる」ことによる発達は柔軟性, 自己抑制, 視野の広がり, 自己の強さ, 生き甲斐など多岐にわたるが, いずれの面でも父親より母親において著しいこと, 子ども・育児に対して父親が青定的な感情面だけを強く持っているのに対して, 母親では肯定面と同時に否定的な感情もあわせもつアンヴィバレントなものであること, 父親の育児・家事参加度の高さは母親の否定的感情の軽減につながる, 同時に父親自身の子どもへの肯定的感情が強まり, 母親のそれと近いものになること, 父親及び母親の性役割についての価値観は, 父親の育児・家事参加及び母親の有職と相互に一貫した形では対応しており"言行一致"があること, などが見出された。
著者
廣瀬 正幸 平川 昭彦 丹羽 若菜 東口 貴彦 田島 康介 加藤 貴大 山田 成樹
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.141, no.12, pp.1389-1392, 2021-12-01 (Released:2021-12-01)
参考文献数
13
被引用文献数
4

We discuss the current status of, and possible countermeasures for, acute drug poisoning among adolescents using OTC drugs. In the last 10 years, 36 patients aged <20 years who overdosed on OTC drugs were examined for the type of drug ingested, its active ingredients in cases of lethal dose intake, and the relevant place of purchase. Patients aged <20 years accounted for 30% of all the cases. The ingestion of multi-ingredient common-cold medication was the highest at 23%, and no ingestion of any first-class OTC drugs was observed. Caffeine accounted for 54% of the cases of lethal dose intake. At 80%, the most common method of drug purchase was from drugstores and other OTC vendors. In recent years, the number of adolescents patients who take lethal doses of OTC drugs has been increasing, and new measures are needed to avoid such cases. School pharmacists and vendors play a major role in reducing the incidences of drug poisoning. As drugs can be easily purchased over the counter, increasing the vendors' awareness of the problem throughout society may be the quickest way to reduce the incidences of acute drug poisoning among adolescents.
著者
馬場 安里 伊藤 麻結 若林 和貴 矢野 瑞紀 高砂 美和子 岡田 直人 北原 隆志
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.143, no.12, pp.1069-1073, 2023-12-01 (Released:2023-12-01)
参考文献数
8

A consistent and uninterrupted supply of pharmaceuticals is essential for optimal pharmacotherapy. However, some cases of supply disruptions and recalls have been reported. In particular, the withdrawal of some drugs from the market was occurred in recent year. Nevertheless, the characteristics of these drugs were unknown. The aim of this study was to analyze the ratio of generic drugs and the profile of generic drugs that have been withdrawn from the market. Data were collected from a drug information database for the period between April 2017 and March 2022 and analyzed for characteristics, such as price, number of suppliers, and reasons for withdrawal. The results showed a 1.4-fold increase in the number of drugs discontinued in 2021 compared with that in 2017, with 78.6% of the drugs discontinued being generic drugs. The proportion of discontinued generic drugs costing less than 10 yen (29.2%) was higher than those remaining on the market (15.0%). Additionally, the proportion of withdrawn generic drugs sold by four or more suppliers (67.6%) was higher than those that remained in the market (38.4%). In most cases (78.8%), the reasons for the discontinuation of these generic drugs were not disclosed. This study showed that most drugs withdrawn in Japan during the study period were generic drugs, characterized by low prices or many suppliers. Our study contributes to the understanding of the instability in the pharmaceutical supply chain in Japan.
著者
若山亀吉 著
出版者
文松堂出版
巻号頁・発行日
1944
著者
清野 哲也 福士 智哉 倉橋 太志 若葉 陽一
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構 木更津工業高等専門学校
雑誌
木更津工業高等専門学校紀要 (ISSN:21889201)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.9-24, 2020 (Released:2020-04-01)
参考文献数
4

It's been over thirty years since we set the divided group life system into the dorm. During this period, as the Information Technology develops, many things have changed and sometimes students do undesirable actions that are beyond our imagination. To capture the situations in the dorm, we conducted a questionnaire survey on their daily life. This paper shows the following things: how they spend their daily life, how they build their connections with other students, what they think about facilities of the dorm and so on.
著者
江川 裕人 尾形 哲 山本 雅一 高原 武志 若林 剛 藤山 泰二 高田 泰次 保田 裕子 八木 孝仁 岡島 英明 海道 利実 上本 伸二 伊藤 孝司 吉村 了勇 吉住 朋晴 調 憲 前原 喜彦 阪本 靖介 猪股 裕紀洋 篠田 昌宏 板野 理 北川 雄光 川岸 直樹 石山 宏平 井手 健太郎 大段 秀樹 水野 修吾 伊佐地 秀司 浅岡 忠史 永野 浩昭 梅下 浩司 日髙 匡章 江口 晋 小倉 靖弘
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.062-077, 2015-03-10 (Released:2015-03-31)
参考文献数
12

【Objective】To estimate a standard dosage of rituximab prophylaxis for ABO incompatible living donor liver transplantation (ABO-I LDLT), we retrospectively investigated rituximab dosage, efficacy and safety in 37 patients including 4 children undergoing ABO-I LDLT with rituximab prophylaxis in 15 centers in 2013.【Methods】We analyzed the data collected by questionnaire that were sent to registered surgeons or hepatologists of the Japanese Liver Transplantation Society.【Results】Doses of rituximab in adult patients were 500 mg/body in 16 cases (48%), 375 mg/m2 in 12 cases (36%) and 300 mg/body or 100 mg/body in 5 cases. The number of administration was one in 29 cases (89%). The scheduled timing of initial administration was 2 weeks of operation or earlier in 14 centers (93%), and the median of actual timing was 14 days prior to transplantation. One-year patient survival rate was 82%, and the incidence of antibody-mediated rejection (AMR) was 9%. Patients with a standard regimen consisting of 500 mg/body or 375 mg /m2 rituximab 2 weeks before operation or earlier had significantly better one-year survival rate compared to a non-standard regimen consisting of 100mg/body or 300mg/body rituximab later than 2 weeks (100% vs. 70%, p = 0.009) and a lower incidence of AMR (0% vs. 15%, p=0.074). ABO-I LDLT with rituximab prophylaxis was well tolerated.【Conclusion】The recommended regimen for rituximab prophylaxis is a single dose of 375 mg/m2 body surface area 2 weeks before transplantation or earlier. The dose should be reduced carefully according to patient condition.
著者
若林 明子 菊地 幹夫 井上 亙 川原 浩 古井戸 良雄
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.119-124, 1975-12-25 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

界面活性剤の水棲生物に対する影響をヒメダカに対する半数致死濃度測定で調べた。界面活性剤はn-ラウリル硫酸ナトリウム (C12-AS), n-ミリスチル硫酸ナトリウム (C14-AS), n-セチル酸ナトリウム (C16-AS), 直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム (LAS) および脂肪酸ナトリウム塩 (セッケン) を用いた。ASは蒸留水中でLASとセッケンについては蒸留水および人工軟水中で試験を行なった。これらの界面活性剤の蒸留水中の毒性はC16-AS>セッケン=C14-AS>LAS>C12-ASの順であり, ASはアルキル基の長短により毒性が大きく異なった。LASは人工軟水中で共存塩の影響を強く受けて毒性が増大するが, セッケンは反対に毒性が急激に減少し, LASに比較して毒性はずっと小さくなる。したがって実際の河川水中の毒性はC16-AS>C14-AS>LAS>C12-AS>セッケンの順となる。
著者
若林 秀隆
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.81-86, 2020-08-31 (Released:2020-09-02)
参考文献数
16

誤嚥性肺炎患者には,発症前からサルコペニアや低栄養を認めることが多い.また,誤嚥性肺炎の発症でサルコペニアや低栄養がさらに悪化して,摂食嚥下機能や呼吸機能が低下しやすい.そのため,誤嚥性肺炎とサルコペニアの悪循環を断つことが,誤嚥性肺炎予防に重要である.それには,リハビリテーション栄養の視点による医原性サルコペニアの予防や,攻めのリハビリテーション栄養管理によるサルコペニアの改善が求められる.全身のサルコペニア予防が,摂食嚥下障害や誤嚥性肺炎の予防につながる.また,誤嚥性肺炎入院時の「とりあえず安静」「とりあえず禁食」「とりあえず水電解質輸液」の指示が,医原性サルコペニアやサルコペニアの摂食嚥下障害の原因であり,誤嚥性肺炎の再発につながる.サルコペニアとリハビリテーション栄養を視野に入れたチーム医療を臨床現場で実施して,医原性サルコペニアと誤嚥性肺炎を予防してほしい.
著者
八木 由奈 東野 博彦 吉田 英樹 廣川 秀徹 奥町 彰礼 髙野 正子 信田 真里 松岡 太郎 笹井 康典 福島 若葉 田中 智之
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.566-573, 2015 (Released:2015-11-25)
参考文献数
11

目的 大阪府における2014年の麻疹の流行状況を分析し,府内の今後の麻疹対策について検討を行う。方法 2014年に大阪府内で麻疹と報告された46例に府内集団発生事例で感染者の居住地が他府県であった 1 例を加えた47例について年齢分布,週別患者発生状況,推定感染経路,渡航歴,麻疹含有ワクチン歴,ウイルス検出状況,発症から届出までに要した日数について分析を行った。結果 患者は青年層成人(20~39歳)が24例(51%)と半数以上を占めていた。患者報告数は 2 週から27週にかけてピークを形成し,47週に終息した。主な感染経路としては,感染源不明の国内感染が47例中16例(34%)と最多で,次いで家族内感染(26%),渡航や海外からの輸入事例(21%)の順であった。また患者の83%が接種歴なし,または不明であった。検出ウイルスは B3,H1,D8 とすべて海外由来株であった。15歳以上群は15歳未満群に比べ,発症から届出までの日数が有意に長かった(P=0.001)。結論 府内の麻疹を制圧するためには発症から届け出の遅れを最小限にすることが求められる。医療機関,とくに成人を診療する医療機関への啓発が必要とされる。またすべての感受性者に対する麻疹含有ワクチン接種が必要である。
著者
若林 二郎 森 寿久 住田 侑 石井 一典 川太 徳夫 飯島 隆
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.913-923, 1986-10-30 (Released:2010-01-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

原子力発電所の運転形態を従来の基底負荷運転から負荷追従運転も含んだ形に拡大していく必要が高まりつつある。電力系統の負荷は季節変化,日変化,さらにより小さな時間スケールの変動成分よりなる複雑な変化を示し,それに対応して原子力発電所を運転するには新しい制御方策の導入と複数種の制御手段の有機的な統合利用が必要となる。本稿では,現在盛んに開発が進められているこの種技術の実情について、BWR,PWR,ATRの各炉型ごとに要約して紹介する
著者
鶴若 麻理 大桃 美穂 角田 ますみ
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.90-99, 2016 (Released:2017-09-30)
参考文献数
26
被引用文献数
6

本稿の目的は、在宅看取りを支援する訪問看護師による高齢者の意向確認のタイミングと援助の分析を通して、アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning、以下 ACP とする)のプロセスと具体的支援を考えるものである。65歳以上で同居の家族がいる非がんの事例に絞り、3 年以上の訪問看護経験者にガイドを用いた半構造化面接を行った。対象看護師は23名で34事例を分析した。訪問看護師が意向確認をする6 つの状況(在宅ケア開始時、日々のケア、身体状況の変化、終末期、家族らの介護負担、家族の不十分な介護力)とそれに伴う18のタイミングが抽出でき、繰り返し意向確認が行われていた。看護師は心身の変化等の目にみえるタイミングに意図的に働きかけるだけでなく、ケアを通した療養者との日々の会話の中で表出される思いから、意向を引き出すタイミングに繋げていた。看護師は療養者、家族、療養者と家族の関係性に対して支援を行い、療養者の意向や希望を第一に、療養者の意思決定を促すようサポートし、療養者にあったエンドオブライフケアの提供を行っていた。本研究で見出された訪問看護師による働きかけのタイミングとそれに伴う療養者、家族、医療チームとの継続的な話し合いが ACP の具体的プロセスの一端を示していると考える。ACP を支援する看護師にとって、日常ケアを大切にし、医学的知識に裏打ちされたアセスメントから導き出される見通力と、信頼を築き療養者や家族の意思を表出させるためのコミュニケーション力が重要であると示唆された。
著者
若井 郁次郎
出版者
水資源・環境学会
雑誌
水資源・環境研究 (ISSN:09138277)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.51-56, 2014 (Released:2014-12-27)
参考文献数
5
被引用文献数
2 1
著者
若林 明雄 東條 吉邦 Simon Baron-Cohen Sally Wheelwright
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.78-84, 2004-04-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
16
被引用文献数
127 194

Baron-Cohen, Wheelwright, Skinner, Martin, and Clubley (2001) constructed brief, self-administered instruments named the Autism-Spectrum Quotient (AQ), for measuring the degree to which an adult with normal intelligence has the traits associated with the autistic spectrum. In this paper, we report on a Japanese version of this new instrument. Three groups of Japanese subjects were assessed. Group 1 (n=57) consisted of adults with Asperger Syndrome (AS) or high-functioning autism (HFA). The other two groups were control groups. Subjects of Group 2 (n=194) were normal adults and those of Group 3 (n=1050) were students selected from five Universities in Tokyo and Chiba. The adults with AS/HFA had a mean AQ score of 37.9 (SD=5.31), which was significantly higher than the two control groups (Group 2: X=18.5, SD=6.21, and Group 3: X=20.7, SD=6.388). While eighty-eight percent of the adults with AS/HFA scored more than 33 points, only 3% of subjects in the two control groups indicated those points. Among the controls, males scored slightly but significantly higher than females. The reliability of the AQ in both test-retest and inter-rater measures were significantly high.
著者
河合 駿 鉾碕 竜範 鈴木 彩代 若宮 卓也 中野 裕介 渡辺 重朗 岩本 眞理
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2015-04-21

【背景】動脈管早期収縮は胎生期に動脈管が狭小化することにより出生後から遷延性肺高血圧や右室壁肥厚を来す疾患である。母体が摂取する様々な物質が本疾患を誘起することが報告されている。今回我々は妊娠中の食生活が影響したと推測される動脈管早期収縮の一例を経験したので報告する。【症例】日齢6の女児。在胎39週3日、体重3792g、APS8/9、自然分娩で出生。出生3時間後からチアノーゼ(体動によりSpO2が80~95%で変動する)を指摘されて前医NICUに入院した。日齢1より酸素投与(鼻カヌラ1.0L/min)開始したがその後もチアノーゼは改善せず、日齢6で当院NICUに新生児搬送となった。心エコー検査で右室求心性肥大と右室圧上昇、卵円孔での両方向性短絡を認め、わずかに開存している動脈管を確認した。動脈管は前医での出生直後の心エコー検査でも同様に細かったことが確認されており、遷延性肺高血圧の原因となる他の疾患を認めないことから、動脈管早期収縮を疑った。転院後も酸素投与のみで経過観察を継続し、日齢13で肺高血圧の改善を確認し酸素投与を中止、再増悪なく日齢18で退院した。母からの聴取により、妊娠中は毎日プルーン3個と種々のドライフルーツ、1日1杯市販の青汁を積極的に摂取していたことが判明した。【考察】プルーンに多く含まれるアントシアニンなどのポリフェノールにはMAP kinaseやPI-3 kinaseの作用を阻害することによるCOX-2発現の抑制作用が報告されている。胎児の動脈管は胎生期後半に増加するPGE2によりその開存が維持されるが、COX-2阻害によりPGE2の産生を抑制されると、妊娠後期に動脈管狭小化を引き起こす。本症例では胎児期の動脈管は評価できていないが、経過より妊娠中のポリフェノール過剰摂取が関与した可能性が疑われた。【結語】ポリフェノールは様々な健康食品に含まれる。妊娠中の過剰摂取は動脈管早期収縮の原因となる可能性もあるため、その危険性を周知する必要がある。
著者
宮崎 朝子 志村 浩己 堀内 里枝子 岩村 洋子 志村 浩美 小林 哲郎 若林 哲也 田草川 正弘
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.789-797, 2011 (Released:2013-07-31)
参考文献数
18

目的:人間ドックにおいて甲状腺腫瘤の有所見率は非常に高く,臨床的に治療の必要がある腫瘤性病変を,的確にスクリーニングするためにはエビデンスに基づく基準が求められている.そのため,今回過去5年間にわたる当院の甲状腺超音波検査結果およびその推移について検討した.方法:2004年4月から2009年3月までの人間ドック受診者全例,21,856名に甲状腺超音波検査を実施した.結果:充実性腫瘤が4,978名(22.8%)に認められた.細胞診にてクラスIまたはII(B群)が165名,クラスIII(B/M群)が20名,クラスIVまたはV(M群)が57名であった.各群間で性差や精査時平均年齢,平均腫瘤径に有意差はなかった.平均腫瘤径の年間変化を検討したところ,B群では+0.2±0.3,B/M群では+0.8±0.5,M群では +1.3±0.5 mm/yearであり, M群ではB群と比較して有意差をもって増大傾向が認められた.また,M群では腫瘍径の縮小した症例は認めなかった.さらに,M群において腫瘍径が10 mm以下の場合,腫瘍増大はほとんどみられなかったが,11 mm以上では腫瘍増大傾向が認められた.結論:本研究より,超音波健診にて多数発見される甲状腺腫瘤に対する対応において,腫瘤径分類による方針決定とその後の経過観察の重要性が示唆された.