著者
若宮 由美 Yumi WAKAMIYA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
no.13, pp.167-179, 2013-12

"Aus der Musikstadt" is the piano collection by ten composers who lived in the 19th century in Vienna, and it was published by Viennese Gustav Lewy in 1892. The composers were Josef Bayer, Alfons Czibulka, Johann Nepomuk Fuchs, Robert Fuchs, Joseph Hellmesberger jun., Karel Komzák jun., Carl Millöcker, Adolpf Müller jun., Johann Strauss jun. and Franz von Suppé. The title of each short piece was designed beautifully and the composer's portrait was also drawn on the side of the title. The score puts prominent composers in order seems to be an musical exihibition. "The International Exhibition of Music and the Theatre" was just held in Vienna in 1892. With the Exibition the concept which treats music as goods was born. In that sense, a score was not only for a performance but also a souvenir. It seems that the collection was related to the Exhibition, because it was not so expensive and good-looking, and it looks like a famous composers' exihibition.
著者
小玉 幸助 大竹 伸治 森谷 就慶 若林 真衣子
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部保健福祉学科
雑誌
保健福祉学研究 = Journal of health and social services (ISSN:13484567)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-8, 2018-03-31

2017年度に内閣府が公表した『平成29年版子供・若者白書』によると、不登校児童・生徒数は、小中学生で12万5,991人、高校生は₄万9,563人であった。小中学生の不登校は増加傾向にある。不登校児童・生徒の解消には、学校と関係機関との連携が必要不可欠な状況であり、この役割を担うのがスクールソーシャルワーカー(以下、schoolsocial worker:SSW)である。SSWは小中学校および高等学校で導入されており、効果検証も行われてきている。しかしながら、スクールソーシャルワーク活用事業に関しては経済分析が行われておらず、経済効果が明らかにされていない。本研究では不登校児童・生徒解消数を公表する北海道、山形県、東京都、長野県、鳥取県、島根県、広島県、福岡県、佐賀県(以下、₁都₁道₇県)の不登校児童・生徒を対象にSSWにおける経済効果を算出することを目的に、所得を中心に経済学的視点からシミュレーション分析を試みた。
著者
小林 真之 武知 茉莉亜 近藤 亨子 大藤 さとこ 福島 若葉 前田 章子 廣田 良夫
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.605-611, 2010 (Released:2014-06-12)
参考文献数
27

目的 不活化インフルエンザワクチン接種とギラン•バレー症候群(GBS)の関連について文献的に考察する。方法 米国予防接種諮問委員会(The US Advisory Committee on Immunization Practices: US-ACIP)の勧告に引用されている文献を中心に,不活化インフルエンザワクチンと GBS の関連についてこれまでの報告を要約するとともに,考察を加える。結果 1976年,米国において接種キャンペーンが実施された A/New Jersey/76インフルエンザワクチンについては GBS との因果関係が明らかであった。その後の季節性インフルエンザワクチンと GBS については,一貫した論拠は得られなかった。統計学的に有意な関連を報告した文献では,研究の限界を考慮した寄与危険は最大で100万接種あたり1.6例と推定されていた。考察 通常の季節性インフルエンザワクチンと GBS の因果関係について,結論は得られなかった。しかし,これまで報告されているインフルエンザの疾病負担およびワクチン有効性と対比すると,インフルエンザワクチン接種が疾病負担を軽減する有益性は,観察されている季節性ワクチン接種後の GBS のリスクを大きく上まわると考察された。
著者
若松 加寿江 先名 重樹 小澤 京子
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1_43-1_62, 2017 (Released:2017-02-27)
参考文献数
31
被引用文献数
1 1

本論文は, 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による液状化発生地点の分布の特徴を俯瞰すると共に, 液状化の発生と地震動強さ, 微地形区分, 土地条件の関係について検討している.液状化の発生は, 東北・関東地方の1都12県193市区町村に及んだ.液状化の広がりを250mメッシュ単位でカウントすると合計で8680メッシュとなった.東北地方より関東地方の方が圧倒的に多く約12倍である.液状化発生地点は, 東京湾岸地域や利根川, 阿武隈川, 鳴瀬川などの規模が大きい河川の沿岸地域に集中していた.本震の震央から最も遠い液状化地点は, 神奈川県平塚市で震央距離約440kmである.地震動強さとの関係を調べた結果, 液状化メッシュの約95%が推定震度5強以上, 98%が140cm/s2以上, 99%が15cm/s以上の地域であった.震度5強以上の地域における微地形区分ごとの液状化発生率は, 埋立地, 砂丘, 旧河道・旧池沼, 砂州・砂礫州, 干拓地の順に高かった.東北地方と関東地方で液状化の発生率等に大きな差異が生じた理由を探るために, 液状化発生地点において「宅地の液状化可能性判定に係る技術指針」に示された二次判定手法により液状化被害の可能性の判定を行った.その結果, 関東地方の方が東北地方に比べて液状化被害を受けやすい地盤が多いことが分かった.
著者
安冨 歩 若林 正丈 金 早雪 松重 充浩 深尾 葉子 長崎 暢子 長崎 暢子 福井 康太 若林 正丈 金 早雪 鄭 雅英 三谷 博 北田 暁大 深尾 葉子 久末 亮一 本條 晴一郎 與那覇 潤 千葉 泉
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

「魂」という学問で取り扱うことを忌避されてきた概念に、正当な地位を与えることができた。それは人間の創発を支える暗黙の次元に属する身体の作動であり、本来的に解明しえぬ(する必要のない) ものである。学問はそれを喜びをもって受け入れ、尊重し、その作動を抑圧するものを解明し、除去する役割を果たせばよい。そのような学問は、抽象的空間で展開する論理や実証ではなく、「私」自身を含む具体的な歴史的時空のなかで展開される合理的思考である。このような生きるための思考を通じた「私」の成長のみが、学問的客観性を保証する。この観点に立つことで我々は、日本とその周辺諸国におけるポスト・コロニアル状況の打破のためには、人々の魂の叫び声に耳を傾け、それを苦しませている「悪魔」を如何に打破するか、という方向で考えるべきであることを理解した。謝罪も反論も、魂に響くものでなければ、意味がなく、逆に魂に響くものであれば、戦争と直接の関係がなくても構わない。たとえば四川大地震において日本の救助隊が「老百姓」の母子の遺体に捧げた黙祷や、「なでしこジャパン」がブーイングを繰り返す観衆に対して掲げた「ARIGATO 謝謝 CHINA」という横断幕などが、その例である。我々の協力者の大野のり子氏は、山西省の三光作戦の村に三年にわたって住み込み、老人のお葬式用の写真を撮ってあげる代わりに、当時の話の聞き取りをさせてもらうという活動を行い、それをまとめて『記憶にであう--中国黄土高原 紅棗(なつめ) がみのる村から』(未来社) という書物を出版したが、このような研究こそが、真に意味のある歴史学であるということになる。
著者
坂崎 俊介 若原 俊彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.564, pp.85-90, 2005-01-13

近年, インターネットの普及により教育分野にもネットワークに接続されたコンピュータが大量に導入され, ネットワークを利用した教育の普及が進んでいる. 米国のADL(Advanced Distributed learning Initiative)が中心となって進められてきた国際標準化によって, SCORM(Sharable Content Object Reference Model)対応のシステム・コンテンツ市場が拡大している. また教材や素材のための学習オブジェクトメタデータ(LOM : Learning Object Metadata)も大きく進展してきており, 今後教育現場においてeラーニングの需要はますます高まると思われる. 本報告では, 学習教材を受講者の理解度や学習パターンに合わせた内容にカスタマイズさせることで, 学習効果を改善させることを狙いとした学習支援システムを提案し, 学習教材の作成手法および支援方法について具体的に述べる.
著者
岡村 佳代子 草川 恵子 中田 紋子 若野 暢代 福本 純子 奥田 豊子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 2 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.37-47, 2009-02
被引用文献数
1

近年,青少年の基本的な生活習慣は,夜型生活,朝食欠食など不規則に乱れ,健康に悪影響を及ぼしている。そこで,本研究では,小学生の食生活や生活習慣の実態を知り,食育を推進するための確実な着眼点をみつけるために小学生5・6年生864名を対象とし,質問紙調査を実施し,食育のあり方を検討することを目的とした。 その結果,朝食摂食群(86.9%)は,欠食することがある群(13.1%)に比べて早寝・早起きし,起床・就寝時刻が習慣化している割合が有意に高かった。摂食群は,起床時の空腹感があり,ゲーム・テレビ・ビデオの視聴時間は短い児童の割合が有意に高く,リズムある生活習慣ができていた。また,食事意識は高く,自己効力感があり,心身ともに健康である割合が高値であった。以上の結果から,朝食を欠食する児童に,朝食を摂取するよう指導するためには,まず就寝時刻を習慣化し,早寝,早起きして,生活リズムを定着させることが重要であることが示唆された。Recently, the youth's lifestyle has become irregular, and the disorders of life rhythm and dietary life have been focused upon. In this study, we examined the eating habits, sleeping behavior, dietary consciousness, and health condition in the elementary school children to elucidate parameters for effective health education. This study was conducted based on the results of questionnaire survey taken from 864 students of the fifth and sixth grades. The percentage of children who ate breakfast everyday was 86.9% (eating group). Compared with skipping group, the eating group showed higher rates in going to bed early and getting up early, and the rising/sleeping time was routine. The eating group had better life rhythm in terms of better appetite at the time of rising and shorter time of view games, television, and video than the skipping group. Compared with skipping group, the eating group showed higher scores in dietary consciousness as well as the mental and physical health conditions. To make instructions that would encourage the children of the skipping group to have breakfast, the sleeping time was set first; i.e., early going to bed and early rising, and the importance of this habit was emphasized so that the life rhythm may be fixed.
著者
若林 茂 里内 美津子 植田 由香 大隈 一裕
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.557-562_1, 1992-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
13
被引用文献数
10 15

馬鈴薯デンプンを加熱, 酵素処理して調製した水溶性食物繊維 (一般名: 難消化性デキストリン, 商品名: パインファイバーC, 以下PF-C) について機能性食品素材として開発を進めるに当たり急性毒性及び変異原性試験を実施した. さらにラットを用いて便通に及ぼす影響を検討した. (1) マウスを用いた急性毒性試験においてPF-C摂取による死亡例は最大投与可能量の20g/kgにおいても見られなかった. (2) 細菌を用いた変異原性試験において, PF-Cは代謝活性化の有無に関わらず復帰変異コロニー数を増加させなかった. (3) ラットを用いた単回投与試験においてPF-Cのふん便への排泄率は約36%であった. (4) PF-C連続投与により盲腸重量は増加し, さらに盲腸内容物のpHの低下が観察された. また, PF-Cは14.29g/kg wt. (1g/70g wt.) において下痢を誘起しなかった. (5) PF-Cの連続投与により食餌の消化管通過時間は非投与群に比して有意に短縮された.
著者
温 若寒 三浦 麻子
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.52-63, 2022 (Released:2023-09-30)
参考文献数
46

On the Internet, the appearance of behaviors that differ from those used in real-life may be observed. The online disinhibition theory, pioneered by Suler (2004), has frequently been cited in empirical studies to explain this phenomenon. However, scholars have not reached a consensus regarding the construct of online disinhibition. In this study, an appropriate construct of online disinhibition for psychological research was explored and a model was proposed to explain its functioning. First, this study highlighted that previous studies have examined online disinhibition from three perspectives. This paper discusses the contributions and limitations of previous studies and postulates that psychological research on online disinhibition should be conducted from the perspective of the mental state. Three significant models that explain the working of online disinhibition were reviewed: the “benign/toxic disinhibition model,” “online disinhibition/behaviors model,” and “online disinhibition and deindividuation model.” Finally, the “motivation-based online disinhibition model” is proposed as an improved model that solves the limitations of the aforementioned models.
著者
日本小児歯科学会 有田 憲司 阿部 洋子 仲野 和彦 齊藤 正人 島村 和宏 大須賀 直人 清水 武彦 石通 宏行 松村 誠士 尾崎 正雄 石谷 徳人 濱田 義彦 渥美 信子 小平 裕恵 高風 亜由美 長谷川 大子 林 文子 藤岡 万里 茂木 瑞穂 八若 保孝 田中 光郎 福本 敏 早﨑 治明 関本 恒夫 渡部 茂 新谷 誠康 井上 美津子 白川 哲夫 宮新 美智世 苅部 洋行 朝田 芳信 木本 茂成 福田 理 飯沼 光生 仲野 道代 香西 克之 岩本 勉 野中 和明 牧 憲司 藤原 卓 山﨑 要一
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.45-53, 2019-02-25 (Released:2020-01-31)
参考文献数
18

日本人乳歯の萌出時期および萌出順序を明らかにし,乳歯の萌出に変化が生じているか否かを検討する目的で,全国的に3 か月から3 歳11 か月の小児8,724 名を調査し,以下の結果を得た。1 .男児の乳歯萌出は,A が5 か月-9 か月,A が7 か月-11 か月,B が9 か月-1 歳2 か月,B が9 か月-1 歳3 か月,D が1 歳1 か月-1 歳6 か月,D が1 歳1 か月-1 歳7 か月,C が1 歳2 か月-1 歳8 か月,C が1 歳2 か月-1 歳9 か月,E が1 歳11 か月-2 歳7 か月,E が2 歳0 か月-2 歳11 か月の順だったが,BB 間とD, D, C およびC の間には有意な差は認められなかった。2 .女児の乳歯萌出は,A が6 か月-9 か月,A が7 か月-11 か月,B が9 か月-1 歳1 か月,B が9 か月-1 歳2 か月,D が1 歳1 か月-1 歳7 か月,D が1 歳1 か月-1 歳7 か月,C が1 歳3 か月-1 歳9 か月,C が1 歳4 か月-1 歳9 か月,E が1 歳11 か月-2 歳7 か月,E が2 歳1 か月-2 歳10 か月の順だったが,AA 間,AB 間,BB 間,DD 間,CC 間には有意な差は認められなかった。3 .性差は大部分の歯で認めず,C とC の萌出時期にのみ有意な差を認め,いずれも男児が1 か月早く萌出していた。4 .前回報告(1988 年)に比べて,男児はA, A, C, D の,女児はA とD の,萌出時期が有意に早くなっていることを認めた。
著者
若田 忠之 齋藤 美穂
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.591-601, 2014 (Released:2014-12-26)
参考文献数
24
被引用文献数
5 3

Classification of fragrances has not accepted widely, because the range of stimuli was very wide and words of evaluation were a little. This study picked up essential oils, and selected words from prior questionnaire. Purpose of this study was to classify fragrances by psychological method. This study consisted of 2 experiments, A and B. The same materials and procedures were used in both experiments. Subjects were asked to evaluate fragrances by SD(semantic differential) method. In experiment A, a total of 220 subjects were joined and 15 pair words were used. In experiment B, 75 subjects were joined and 18 pair words were used. Cluster analysis and Factor analysis were used for analyzing the data. As a result, in both experiments, 11 clusters and 3 factors were observed, and clusters of citrus fragrances were showed. The factor of “Pleasantness” was showed in the first factor. This factor was common both experiments.
著者
若林 芳樹 鈴木 晃志郎
出版者
Japan Cartographers Association
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.3-16, 2003-12-28 (Released:2011-07-19)
参考文献数
107
被引用文献数
1
著者
若林 明雄
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.122-137, 1998-03-31 (Released:2017-07-24)

本論は, 1980年以降アメリカを中心に社会現象にまでなった`多重人格(現在は解離性同一性障害)'という現象について, その基底症状である解離という現象と併せて精神病理学的ならびに認知心理学的に再検討し, その症状の発現メカニズムについて考察することを目的とする.まず, 多重人格の基底症状である解離性障害(従来のヒステリー)について精神分析学的視点から病因論的に考察し, Freud以降心因論的に説明されていた解離症状が外傷性障害として再認識される傾向があることを指摘した.次に, パーソナリティ傾向と多重人格との関係について, 被催眠性-ヒステリー傾向の観点から両者の親和性を明らかにした.さらに, 多重人格を含む解離性障害の基本症状である健忘(記憶障害)について認知心理学的に検討し, 解離は心因性の記憶機能障害であり, 脳神経レベルの機能障害を伴うこと, そして多重人格は特殊な場合における記憶障害である可能性があることを示唆した.さらに, 解離および多重人格と記憶に関する神経生理学的研究から, 障害の基底に大脳辺縁系が関与していることを示した.以上の諸点を整理した結果, 多重人格症状は, 生得的な被催眠性の高さを準備状態とし, そこに自我形成期の前後にわたる重大な外傷的体験を被ることによって形成される個人内同一性間健忘という特殊な解離症状として説明できることを明らかにした.
著者
若林 秀隆
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.43-49, 2016 (Released:2016-04-05)
参考文献数
22
被引用文献数
1

リハビリテーション栄養とは,栄養状態も含めて国際生活機能分類で評価を行ったうえで,障害者や高齢者の機能,活動,参加を最大限発揮できるような栄養管理を行うことである.サルコペニアは,加齢のみが原因の原発性サルコペニアと,活動,栄養,疾患が原因の二次性サルコペニアに分類される.サルコペニアの治療はその原因によって異なり,リハビリテーション栄養の考え方が有用である.特に活動と栄養による医原性サルコペニアの予防が重要である. 老嚥とは健常高齢者における嚥下機能低下であり,嚥下のフレイルといえる.老嚥の原因の1 つが嚥下関連筋のサルコペニアである.サルコペニアの摂食嚥下障害とは,全身および嚥下に関連する筋肉の筋肉量減少と筋力低下による摂食嚥下障害である.特に誤嚥性肺炎後に認めやすい.サルコペニアの摂食嚥下障害への対応は全身のサルコペニアと同様で,特に早期リハビリテーションと早期経口摂取が大切である.
著者
若曽根 了太 若曽根 了太
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.1-69, 2021

仏教的王権観念の地域への浸透は,中心から周縁への不可逆的な力の作用の結果として議論されることが多い。本稿では 19 世紀後半から 20 世紀初頭シャム東北地方ラオ社会(周縁)における仏教的王権観念の展開を,ラオス山地社会(外縁)を含む地域の視点で見直し,史料に依拠して描く。明示されたのはラオの聖者が,山地の先住民カーに支えられる神話的王権の力を宗教運動で取り込み,仏教的王権の神聖性を支える力へ転換させた点である。これは頭陀行僧による仏法をピーの上位におく信仰の序列化と並行し,結果シャム王権の仏教国教化を担うタンマユット派の地域進出を支えた。つまり仏教的王権観念の地域への浸透は,周縁と外縁のカリスマ宗教者の活動に依拠したと考えるのが妥当である。中心―周縁―外縁の枠組みは,中心を受容しうる周縁の動態性やロジックを可視化させ,中心史観の相対化をはかる点で有効である。Penetration of the Buddhist concept of kingship in a region is understood to be the result of an action with irreversible force, extending from the center to the periphery. The examination described in this paper draws on the history of kingship in the Buddhist conception of northeastern Lao society, which existed on the periphery of Siam during the late nineteenth and early twentieth centuries, with a perspective from the regional context of Lao mountain society (outer edge) using historical documents. Results indicate that the power of mythical kingship of the indigenous Kha people in these mountains was usurped by Lao saints in a religious movement and was transformed by them into a force of Buddhist kingship. This usurpation accompanied the growth of a pecking order in faith among head ascetic monks, who positioned the Buddha-dharma above and the spirits below. Consequently, they supported regional penetration of the Thammayut group, which was responsible for Buddhist thought on Siamese kingship. It is reasonable to assume that penetration of the Buddhist concept of kingship into the area was based on the activity of charismatic religious leaders of the periphery, including mountainous areas. The center – periphery – outer edge framework is useful for visualizing the dynamics and logic of a periphery that can accept the center and which can relativize the view of central history.
著者
若林 明彦
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.703-725, 2003-12-30 (Released:2017-07-14)

環境問題を根本的に解決するための思想や哲学の構築において、日本は七〇年代に「水俣病」をその象徴とする悲惨な公害被害体験をしたにもかかわらず、欧米に比べて遅れていると言わざるを得ない。近年になってやっと、欧米の「環境倫理学」が注目され、その研究が盛んになったが、そのー方で、そうした「環境倫理学」に対抗するかのように、その倫理学的アプローチを皮相的なものとし、古代日本に見られる自然共生的エトス(心的傾向)を再生することこそが根本的な解決に繋がるとする梅原猛・安田喜憲らの「森の思想」や岩田慶治の「ネオ・アニミズム」論も注目されている。本論文では、まず欧米の環境思想の主要な理論を概観し、それらが共通して倫理学的アプローチをとっていることを指摘し、次にそれと対比的にエトスからのアプローチをとる「森の思想」や「ネオ・アニミズム」論の問題点を指摘する。最後に、両アプローチの相補的関係について述べる。
著者
杉原 瑶子 三田 覚 岩佐 真弓 山上 明子 若倉 雅登 井上 賢治
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.64-70, 2018-03-25 (Released:2018-03-31)
参考文献数
11

網膜硝子体手術後の合併症の一つに斜視がある.その原因として局所麻酔薬による筋毒性,外眼筋の損傷,機械的因子などが挙げられる.今回硝子体手術後に斜視を呈した3症例を経験した.3例とも術眼の下斜視と上転制限を呈していた.手術時の麻酔はbupivacaineによる球後麻酔であった.2例ではMRIで下直筋の球後での肥大を認めた.硝子体手術後の斜視はbupivacaine筋毒性による下直筋障害が原因と考えられた.2例は斜視手術により良好な眼位を得られた.
著者
岸本 由香 若林 茂 徳永 勝人
出版者
Japanese Association for Dietary Fiber Research
雑誌
日本食物繊維研究会誌 (ISSN:13431994)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.59-65, 2000-12-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
29
被引用文献数
1

We conducted a clinical trial in order to evaluate the effects of continual ingestion of indigestible dextrin on both glucose and lipid metabolism, and fat accumulation and its distribution in human subjects. There were twelve male subjects with either serum total-cholesterol level more than 220 mg/dl or triacylglycerol level more than 150 mg/dl. Subjects were concurrently ingested l0g of indigestible dextrin with meal (3 times/day) for three month. Each was subjected to a glucose tolerance test and CT scan at umbilical level, and also taken blood sample to measure the clinical laboratory data before and after the test period. Compared to the starting levels, percent body fat in all the subjects and the area of visceral fat in subjects with obesity were significantly decreased. Although the average peak level of serum glucose was more than 200 mg/dl at 60 min after 75 g glucose administration, glucose tolerance was improved and the average levels of serum glucose at 30, 60, and 120 min were significantly reduced after the test period. Likewise, serum total-cholesterol and triacylglycerol levels were significantly reduced. No adverse event such as diarrhea was observed through the test period. In conclusion, continual ingestion of indigestible dextrin is useful for reducing the body fat accumulation, especially visceral fat.