著者
苅部 康子 若林 秀隆
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.1526-1530, 2017 (Released:2017-12-20)
参考文献数
20

【目的】ロイシン高配合必須アミノ酸(LEAA)混合物摂取が、介護老人保健施設入所の要介護高齢者の日常生活活動(ADL)改善に有効か検討する。【方法】65歳以上の要介護高齢者(n=30、84.9±5.6歳、男性n=8、女性n=22)を対象とした。研究デザインは前後比較試験。ロイシン高配合必須アミノ酸(必須アミノ酸3g、ロイシン1.2g、30kcal)を通常の食事に加え12週間摂取した。一次アウトカムをFunctional Independence Measure(以下、FIMと略)利得、二次アウトカムをMini Nutritional Assessment Short-Form(以下、MNA®-SFと略)変化量とした。解析方法は、t検定、Mann-Whitney U検定と12週間の変化量とした。【結果】FIM利得とFIMスコアの前後の変化は、FIM利得(4.2±5.8、P<0.01)、FIM運動項目(3.5±4.8、P<0.01)で、有意差を認めた。MNA®-SFの変化量(2.2±2.6、P<0.01)に有意差を認めた。Vitality Index(P<0.01)および左手の握力(P<0.01)に有意差を認めた。【結論】ロイシン高配合必須アミノ酸(LEAA)混合物は、要介護高齢者のADL改善と栄養改善に影響を与える可能性がある。
著者
入江 洋正 松本 聡 兼清 信介 松田 憲昌 若松 弘也 松本 美志也 坂部 武史
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.519-524, 2010-10-01 (Released:2011-04-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1

塩酸バンコマイシン(vancomycin, VCM)は,経口投与では腸管粘膜から吸収されないため血中への移行はないとされるが,血清濃度が上昇した2症例を経験した。【症例1】61歳の女性。敗血症,急性腎傷害,Clostridium difficile関連疾患(Clostridium difficile associated disease, CDAD)で,VCMの経口投与と静脈内投与,持続血液濾過透析(continuous hemodiafiltration, CHDF)を行っていた。ICU入室4日目にトラフ値が33.7μg/mlであったためVCMの静脈内投与を中止したが,血清濃度の高値が持続した(中止2日後43.5μg/ml,7日後45.0μg/ml)。【症例2】63歳の女性。敗血症,CDAD,急性腎傷害でVCMの経口投与,CHDFを行っていたが,投与10日目のVCM血清濃度は10.3μg/mlであった。2症例とも腸管粘膜傷害と腎機能障害を合併していたため,VCMの腸管粘膜から血中への移行,腎からの排泄障害によって血清濃度が上昇したと考えられた。
著者
若林 秀隆
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.627-632, 2021-06-18 (Released:2021-08-16)
参考文献数
12

サルコペニア肥満とは,サルコペニアと肥満を合併した病態である.サルコペニア肥満に関する論文は多数あるが,現時点で統一した定義,診断基準,カットオフ値は存在しない.欧州と日本で現在,検討中である.回復期リハビリテーション病棟では,サルコペニアと体脂肪率で診断したサルコペニア肥満が,ADL自立度や自宅退院率と関連するため,その評価と対応が重要である.運動療法ではレジスタンストレーニングと持久性トレーニングが重要である.栄養療法では栄養のゴールを設定して,1日エネルギー必要量=1日エネルギー消費量-1日エネルギー蓄積量とした攻めの栄養療法が重要であり,ケアプロセスを活用すべきである.
著者
黄 啓徳 百崎 良 宮崎 慎二郎 若林 秀隆 社本 博
出版者
The University of Occupational and Environmental Health, Japan
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.303-315, 2019-09-01 (Released:2019-09-20)
参考文献数
35
被引用文献数
4 7

急性疾患に対するリハビリテーションと栄養療法の併用効果検証を目的としたシステマティックレビューを行った.MEDLINE,CENTRAL,EMBASEと医中誌データベース検索の986件と他ソース16件の論文からリハビリテーション治療中の急性疾患症例に対する栄養介入効果を検証した2件のランダム化比較試験を抽出した.コクランrisk of bias評価とランダム効果モデルを用いた解析,GRADEアプローチでエビデンスの質評価を行った.Jonesらの研究ではQOL改善効果がなかった(標準化平均差[SMD] 0.55, 95%信頼区間[CI] -0.05 - 1.15; P = 0.12)が,Hegerovaらの研究では筋肉量(SMD 0.65; 95%CI, 0.36 - 0.93; P < 0.00001)とADL(SMD 0.28, 95%CI 0.00 - 0.56; P = 0.05)に改善効果を認めた.急性疾患に対するリハビリテーション栄養療法は筋肉量増加とADL改善に効果的な可能性がある.しかしアウトカム全般にわたる全体的エビデンスの質は低く,さらに研究が必要である.
著者
若林 秀隆 栢下 淳
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.871-876, 2014 (Released:2014-06-23)
参考文献数
9

【目的】摂食嚥下障害スクリーニング質問紙票であるEAT-10の日本語版を作成し、信頼性・妥当性を検証する。【対象及び方法】EAT-10英語版の順翻訳、逆翻訳、英語原版と逆翻訳の整合性の検討を行い、EAT-10日本語版を作成した。次に摂食嚥下障害もしくは摂食嚥下障害疑いの要介護高齢者393人を対象にEAT-10日本語版を実施した。信頼性を内的整合性であるクロンバッハのα係数で、妥当性を臨床的重症度分類とスペアマンの順位相関係数でそれぞれ検討した。【結果】EAT-10日本語版を実施できたのは237人(60%)であった。クロンバッハのα係数は0.946であった。EAT-10を実施できない場合、摂食嚥下障害と誤嚥を有意に多く認めた。EAT-10と臨床的重症度分類に有意な負の相関(r=-0.530、p<0.001)を認めた。EAT-10で3点以上の場合、誤嚥の感度0.758、特異度0.749であった。【結論】EAT-10日本語版の信頼性・妥当性が検証された。EAT-10日本語版は、摂食嚥下障害スクリーニングに有用な質問紙票である。
著者
小林 めぐみ 水野 大 吉田 宗平 佐々木 秀策 有末 篤弘 若林 剛
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.267-272, 2014-04-20 (Released:2014-04-20)
参考文献数
16

開腹手術を要した菓子昆布による食餌性イレウスの2 小児例を経験したので報告する.〈症例1〉1 歳11 か月女児.嘔吐と腹痛のため来院.身体所見で脱水を認め,腹部CT で腹水の貯留と広範な小腸の拡張からイレウスと診断した.保存的治療を行うも腹部症状の改善がみられず,開腹手術を行った.手術では広範な小腸の拡張の先端部に鶏卵大の内容物を認め,小切開にて昆布塊を回収した.〈症例2〉14 歳女児.嘔吐と腹痛のため来院.腹部CT でbubbly mass and impaction, small bowel feces sign を認めた.腹膜刺激症状を伴い,絞扼の危険性も危惧されたため緊急手術を行った.手術では回腸末端までの腸管拡張とメッケル憩室を認めた.憩室を切除する際に内容物である昆布を大量に回収した.2 例とも発症前に菓子昆布を食べたことが確認された.食餌性イレウスは,頻度が低いものの小児外科医が周知しておくべき疾患である.
著者
峯垣 哲也 湯月 翔太 伯井 理恵子 藤井 尚子 濱田 美輝 若林 未稀 辻本 雅之 西口 工司
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.97-103, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Objective: A simple suspension method in our previous study indicated that the amount of amlodipine recovered from a Norvasc®OD tablet was decreased by simultaneous suspension of a Magmitt®tablet containing magnesium oxide, due to the increase in pH.  However, it is still unclear whether this incompatibility arises in both brand name and generic tablets because the tablets may have different additives and mechanical properties.  In this study, we evaluated the degree of incompatibility between Magmitt®tablets and a range of amlodipine besylate tablets, including original and generic versions.Methods: Twenty-four kinds of amlodipine besylate tablets were used.  Magmitt®and amlodipine besylate tablets were suspended in warm water (55°C), and 10 min or 2 h later, the amount of amlodipine in the suspension was measured by HPLC-UV.Results: For almost all tested tablets, the recovery amount of amlodipine was significantly decreased in the presence of Magmitt®, and the amount recovered varied significantly between the types of amlodipine tablets.  However, Magmitt®tablet had little effect on the recovery of amlodipine from two specific brand tablets.Conclusions: An incompatibility between Magmitt®and most types of amlodipine besylate could be observed, although the degree of incompatibility depended on the brand of amlodipine.  These results are useful for the proper use of drugs.
著者
若松 美智子 佐野 遙 伊藤 亜希子 中村 和子 松倉 節子 蒲原 毅
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.160-163, 2020-02-01

64歳,女性。初診時,右拇指に爪甲の肥厚,粗糙化,破壊と爪甲下の膿疱が認められた。病理組織学的にKogoj海綿状膿疱がみられたが,当初は皮膚カンジダ症が合併していたことなど,診断に苦慮した。無菌性膿疱が慢性に繰り返してみられたこと,再度皮膚生検を施行し病理組織学的にKogoj海綿状膿疱が確認できたことからHallopeau稽留性肢端皮膚炎と診断することができた。エトレチナート20mg/日内服で膿疱は速やかに消失し,ほぼ正常な爪甲の再生がみられた。これまでエトレチナート減量や中止で汎発化した既報告例が散見されるため,今後も注意深い経過観察が必要であると考えられた。
著者
若狭 徹
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.211, pp.307-350, 2018-03-30

東国の上毛野地域を軸に据えて,古墳時代の地域開発と社会変容の諸段階について考察した。前期前半は東海西部からの大規模な集団移動によって,東国の低湿地開発が大規模に推し進められるとともに,畿内から関東内陸部まで連続する水上交通ネットワークが構築された。在来弥生集団は再編され,農業生産力の向上を達成した首長層が,大型前方後方墳・前方後円墳を築造した。前期後半から中期初頭は,最大首長墓にヤマトの佐紀古墳群の規格が採用され,佐紀王権との連携が考えられる。一河川水利を超えた広域水利網の構築,広域交通拠点の掌握という2点の理由によって,上毛野半分程度の範囲で首長の共立が推し進められた。また,集団合意形成のための象徴施設である大規模な首長居館が成立している。中期前半には東国最大の前方後円墳の太田天神山古墳が成立したが,河内の古市古墳群を造営した王権との連合の所産とみられる。この頃から東国に朝鮮半島文物が移入されることから,倭王権に呼応して対外進出・対外交流を行うために外交・軍事指揮者を選任したことが巨大前方後円墳の成立背景と考えた。中期後半には渡来人や外来技術が獲得されたため,共立の必要性は解消し,各水系の首長がそれぞれ渡来人を編成して地域経済を活性化させている。後期の継体期には,東国最大の七輿山古墳が成立したが,その成立母体が解消すると,複数の中型前方後円墳が多数併存するようになる。こうした考古学的な遺跡動態や,古代碑・『日本書紀』『万葉集』などの文献の検討を合わせて,屯倉の成立と地域開発の在り方を考えた。武蔵国造の乱にも触れ,緑野屯倉・佐野屯倉の実態ならびに上毛野国造との関係性についても論及した。
著者
森田 健 津村 有紀 若村 智子 福田 裕美
出版者
福岡女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、健康で快適な生活を確立する上で重要な食事内容と受光履歴の関係を、メラトニン分泌リズムを代表とするサーカディアンリズム及び睡眠への影響の観点から明らかにすることを目的とした。33名の男子大学生被験者を、高・低トリプトファン朝食と日中の高・低照度光環境を組み合わせた4グループに分け、それぞれの条件下で5日間過ごした場合の、メラトニン挙動と睡眠評価を比較した。高トリプトファン食の朝食と高照度光環境は、夜間のメラトニン分泌挙動に大きく影響し、分泌量の増加又は分泌位相の前進が示唆された。この事は、サーカディアンリズムを是正し、睡眠障害を始めとする健康問題の解決につながる可能性を示すものである。
著者
白石 愛 吉村 芳弘 鄭 丞媛 辻 友里 嶋津 さゆり 若林 秀隆
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.711-717, 2016 (Released:2016-04-26)
参考文献数
35
被引用文献数
1

【目的】高齢入院患者の口腔機能障害の実態ならびに、口腔機能障害とサルコペニア、低栄養との関連性を明らかにする。【方法】2013年6月より10月までに連続入院した65歳以上の患者108名(男性55名、女性53名、平均年齢80.5±6.8才)を対象とした横断研究。改定口腔アセスメントガイド(ROAG)を用いて口腔機能状態を評価し、サルコペニアや栄養状態との関連性を解析した。【結果】軽度の口腔機能障害を59人(54.6%)、中?重度の口腔機能障害を34人(31.5%)に認めた。ROAGスコアに関連する因子として、年齢、サルコペニアの有無、MNA-SFスコア、経口摂取の有無、FIM運動項目などが抽出された。【結論】多くの高齢入院患者に口腔機能障害を認め、口腔機能障害とサルコペニア、低栄養との関連が示唆された。ROAGは入院時口腔機能スクリーニングとして有用性があると考えられた。
著者
安冨 歩 深尾 葉子 脇田 晴子 長崎 暢子 中村 尚司 生田 美智子 千葉 泉 西川 英彦 中山 俊秀 葛城 政明 苅部 直 渡辺 己 星 泉 小寺 敦 上田 貴子 椎野 若菜 與那覇 潤 黒田 明伸
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

人間を含む生命の生きる力を「神秘」として捉え、その発揮を阻害する要因たる「暴力」を合理的に解明する研究戦略を「合理的な神秘主義」として見出した。こうして発揮される神秘的な力こそが秩序形成の原動力であり、それは個々人の魂の脱植民地化を通じて実現される。この側面を無視した秩序論は必然的に暴力を正当化することになる。
著者
若木 太一
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学総合環境研究 (ISSN:13446258)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.A1-A14, 2007-08

長崎諏訪神社に伝来する謡曲「諏訪」の諸本を検討し、本文と構成、作者と成立時期、および本曲の主題と時代的背景を考察する。「諏訪」の本文を翻刻紹介し注釈を行う。また作者を能役者早水治部と伝承する根拠を掲げ、あわせて諏訪神社の能楽上演の歴史的記録を付す。
著者
二村 正之 若原 弘之 宮本 龍夫
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.60-64, 2014

イナズマチョウ属Euthaliaの幼虫の棘に毒性があるかどうかを調べるために,モニナイナズマEuthalia moninaとビャッコイナズマE. byakko各々5齢幼虫の形態を観察し,さらに被験者(50歳,男性)の皮膚へ直接触れさせる方法により皮膚炎発症の有無を確認する実験を行った.形態観察の結果,E. moninaの幼虫背面の棘に黄色の球状部が多数認められるのに対し,E. byakkoにはほとんど認められないことが判明した.さらに,被験者の前腕部に虫体を付着させる実験で,E. moninaでは虫体が皮膚に触れると疼痛をもたらし,10分後に早くも付着部皮膚に皮膚炎(痒みを伴う紅斑や膨疹)が出現し,48時間後にはそれが幼虫の形に浮き出るほど進行した.結局,これらの症状が消失するまでに120時間(5日間)以上を要した.これは既に毒棘による皮膚炎の発症が報告されているマダラガ科Zygaenidae幼虫による反応に近いと考えられた.一方,E. byakkoでは皮膚にそのような変化はまったく認められなかった.以上の結果から,E. monina 5齢幼虫の棘から毒液が分泌される可能性が示され,これが,背部の棘にある黄色の球状部に含まれている可能性があることが示唆された.一方E. byakko 5齢幼虫にはそのようなことがなかったという事実は,毒棘がEuthalia属幼虫すべてに存在するものではないことを示している.
著者
柴田 長吉郎 玉井 秀昭 田中 勤 若松 求
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.110, no.6, pp.370-375, 1990-06-20 (Released:2008-12-19)
参考文献数
3

In accordance with rapid increase of industrial microwave application on heating, more and more high power microwave sources are required. Among many microwave devices, magnetron is most advantageous in economical point of view. Responding to these requirements, a super high power magnetron with output power of 420kW in CW which will be the largest in the world at this time, objective power being 500kW, was developed. In this paper, the design principle, the construction and the scale of each parts are described. The measured characteristics of the developed device reveal satisfactory.
著者
志村 浩己 遠藤 登代志 太田 一保 原口 和貴 女屋 敏正 若林 哲也
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.146-152, 2001-08-31 (Released:2012-08-27)
参考文献数
22
被引用文献数
2

甲状腺超音波検診による結節性甲状腺疾患および甲状腺機能異常のスクリーニングにおける有用性と問題点を明らかにするため,3,886名の甲状腺超音波検診の結果について検討した。その結果,充実性腫瘤は19.4%に認められ,このうち甲状腺癌は21例(0.5%),Plummer病は1例,原発性副甲状腺機能充進症も4例発見された。び慢性甲状腺腫あるいは内部エコーレベルの異常は11.7%に認められ,このうち17%で精査が行われ,橋本病47例(1.2%),バセドウ病4例,亜急性甲状腺炎1例が発見された。
著者
道前 洋史 若原 正己
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.33-39, 2007
参考文献数
52
被引用文献数
1

表現型可塑性は生物が環境の変化に対して示す適応的反応であり、理論的にも適応進化できることが報告されている。この場合、自然淘汰は、個々の表現型ではなく反応基準を標的としているのである。しかし、表現型可塑性を適応進化させる生態的・環境的条件の実証的研究結果が十分にそろっているとはいい難い。本稿では、この問題について、北海道に生息する有尾両生類エゾサンショウウオ幼生の可塑的形態「頭でっかち型」を題材に議論を進め、表現型可塑性について、分野横断的(生態学的・生理学・内分泌学的)なアプローチも紹介する。