著者
鈴木 真輔 辻 正博 椎名 和弘 小谷野博正 小泉 洸 川嵜 洋平 佐藤 輝幸 山田 武千代
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.183-190, 2018 (Released:2018-11-13)
参考文献数
12

クマ外傷は顔面を含む頭頸部に多いとされ,しばしば複雑で重篤な損傷を伴う。今回われわれが経験したクマ外傷13例について報告し,クマ外傷の特徴と治療における注意点を考察する。対象となる13症例はいずれも顔面に外傷を伴っていたが,10例では顔面骨の骨折が認められ,うち1例では頭蓋底骨折を伴っていた。頭頸部以外では上肢に損傷が多く,3例では上肢や体幹の骨折が認められた。また3例では出血性ショックを合併していた。顔面の皮膚欠損を伴った4例では皮弁や植皮による欠損部の再建術を要した。クマ外傷への対応ではその特徴を理解するとともに,それぞれの損傷部位に応じた適切で迅速な治療が重要である。
著者
辻 正人 斉藤 元章 吉田 雅治 中林 公正 北本 清 長沢 俊彦 干川 就可
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.700-704, 1988-05-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
19

症例は39才,男性. 28才時に全身性エリテマトーデスの診断にて,以後ステロイド療法が施行された. 34才時,胸痛が出現し急性心筋梗塞と診断された. 36才時に言語障害と右不全麻痺が出現し,脳梗塞を合併した. 39才時,二度目の心筋梗塞発作で死亡した.剖検上,全身の著しい動脈硬化性病変を認め,特に冠状動脈と中大脳動脈に器質化血栓を伴うアテローム性動脈硬化症が認められた.全身性エリテマトーデス症例における動脈硬化促進因子については,全身性エリテマトーデス固有の血管炎・血栓をきたしやすい病態,ステロイド長期投与の影響の他に,高血圧,高脂血症,大量喫煙などの多様な因子の存在も重要な役割を果たしていると考えられた.
著者
辻 正富 斉藤 宣彦 井上 修二
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.118, no.5, pp.340-346, 2001 (Released:2002-09-27)
参考文献数
28
被引用文献数
5 3

消化吸収阻害系薬物には, 1)脂質吸収阻害薬と2)糖質吸収阻害薬がある. 脂質吸収阻害薬としてはオルリスタットが, 米国, 欧州で実用化されている. 本邦でも治験が開始されている. カワラケウメイ抽出物はその作用成分が同定されれば薬物として開発される可能性があるが, 当面は食品添加による特定保健用食品(機能性食品)としての実用化が考えられる. 脂肪代替食品としては脂肪の味覚を保持し, 消化吸収されないオレストラ, 蔗糖ポリエステルがあるがまだスナック菓子の添加物として使用されている段階である. 糖質消化吸収阻害薬としては主として, 小腸絨毛にある二糖類分解酵素活性を阻害するα-グリコシダーゼ阻害薬が食後高血糖を抑制する作用により糖尿病薬として実用化されている. これが抗肥満薬として開発されるには下痢, 放屁等の消化器系副作用の克服が鍵になる.
著者
アンスコム[著] 大辻 正晴[訳]
出版者
熊本大学
雑誌
文学部論叢 (ISSN:03887073)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.115-137, 2013-03-10

A Japanese translation of G.E.M. Anscombe, "The First Person", an important article on the topic of the self. Anscombe argues that if "I" is a name it requires a conception, i.e. a way of being given, of the object referred to, through which "I" refers to the I, but that we can find no such conception. Then she points out that "I" can make no reference failure although such regular referring expressions as names and even demonstratives can ones, and concludes that "I" is no referring expression, there being no such thing as the self. Anscombe goes on to say that "I am E.A." is then not an identity proposition, but that it implies the verificational relation between her I-thoughts, such as "I am standing", etc., and her body. Finally she asserts that I-thoughts are unmediated, "subjectless" conceptions about that body which one is.
著者
小林 朋子 鳥居 春己 川渕 貴子 辻 正義 谷山 弘行 遠藤 大二 板垣 匡 浅川 満彦
出版者
奈良教育大学自然環境教育センター
雑誌
奈良教育大学自然環境教育センター紀要 (ISSN:21887187)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-8, 2011-03-01

2005年と2006年に奈良公園およびその周辺地域に生息する天然記念物ニホンジカ(Cervus nippn,以後,シカとする)における,人獣共通寄生虫の感染状況,感染個体の栄養状態に関する調査を実施した.奈良公園内のシカ15頭の第四胃から結腸までの消化管内寄生蠕虫検査では,日本の他地域に生息するシカから得られた寄生虫と同属種が検出された.また,奈良公園内において40頭のシカの排泄直後に採取した糞における吸虫卵調査では,87.5%の個体から肝蛭卵が検出された.また,14頭のシカの剖検において肝蛭の虫体が見つかった8頭の病理学的検査と寄生状況の調査では,肝臓表面に赤紫の小斑点あるいは蛇行状の病巣などが観察され,割面では胆管の拡張,壁の肥厚がみられた.得られた肝蛭のNADH脱水素酵素サブユニット遺伝子(ND1)およびチトクロームcオキシダーゼサブユニットI遺伝子(COⅠ)の配列はFasciola hepaticaと97%(ND1)と99%(COⅠ)一致し,F.giganticaと95%(ND1)と100%(COⅠ)一致した.1976年の調査でも奈良公園の肝蛭による汚染が指摘されていたが,シカ個体数が約300頭増加した今日も大幅な寄生率の変化はなく高度な汚染が維持されていることが明らかとなった.シカから排泄された肝蛭虫卵はメタセルカリアとなり,ヒトや家畜への感染源になり得ることをふまえて,早急に充分な対策を講じる必要があろう.
著者
貝辻 正利 北後 明彦
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.63-71, 2012-07-27 (Released:2018-04-16)
参考文献数
5
被引用文献数
1

To clarify the mechanism of how a crowd accident occurs, phenomena in a high-density crowd accumulation were analyzed based on videos of extra-high-density crowd accumulation, crowd disaster investigation committee's reports and observation of high-density crowd phenomena of large-scale events. When the crowd density reaches 8 persons per square meter or so, crowd shock waves of 20 cm to 60 cm will occur due to the fluctuating density and pressure distribution in the crowd. When the density reaches 10 persons per square meter or more, people feel a surge of panic because of a fear of being crushed, possibility of crowd disaster will be higher with complicated critical crowd shock waves.
著者
外村 洋一 小野 忠弘 辻 正彦 堀尾 豊 庄野 元 本田 義信 櫛山 三蔵 徳臣 晴比古
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.309-317, 1977-04-01 (Released:2013-05-24)
参考文献数
23

Kent型WPW症候群3例について,副伝導路不応期の測定を試みた.3例共従来のRapid pacingによってはwide QRS のnormalizationはまったくみられず,ERPAPの測定は不可能でExtrastimulus法で以下のごとき種々の条件でのERPAPの測定を行った.Basic cyclelengthによる変化,およびOuabain ,Procainamide投与前後におけるERPAPの変化を検討した.ERPAPはBCLの短縮に伴い,短縮した.3例共,Ouabain投与後,ERPAPはBCLに関係なく減少を示した.その後,第1例,第3例にProcainamideの静注を行った所,ERPAPが延長した.3例共,心房細動によると思われる頻拍発作の既往を持ち,これに対するDigitalis使用はERPAPを短縮し,頻拍発作をさらに増悪する可能性があるので,注意を要する.
著者
山内 直人 赤井 伸郎 石田 祐 稲葉 陽二 大野 ゆう子 金谷 信子 田中 敬文 樽見 弘紀 辻 正次 西出 優子 松永 佳甫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」の定量的把握および統計的分析からその経済社会的効果を分析し、政策的意義について検討・評価することを目的としたものである。 研究の成果を通じて、抽象的概念であるソーシャル・キャピタルの定量的把握に関する手法を開発、新しいソーシャル・キャピタル指標を提示し、それを用いた実証分析を行うことが可能となった。また、これまで十分に解明されてこなかったソーシャル・キャピタルの日本的特徴を把握し、多様な政策対象とソーシャル・キャピタルとの関係性に関する理論的、実証的示唆を得るとともに、ソーシャル・キャピタルの社会的意義や政策的インプリケーションに関する検討課題や論点を整理した。
著者
辻 正文 鎌田 清一郎 イースン・リチャード 河口 英二
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.7, pp.173-180, 1992-01-23

A camera calibration technique plays an important role in the field of robot vision. There are a lot of techniques to this field for several decades. In this paper we present a method for determining the position of a camera using a few target-points. We use 3 rotation angles and translation vector to describe the position of the camera for a pinhole model. In general for solving the 6 unknown parameters a minimum of six target-points in a world coordinate system is required to uniquely define the matrix. However we show that by using the properties of the matrix we can reduce this number to four. Some experimental results of this method using synthetic data and real image data are also shown.A camera calibration technique plays an important role in the field of robot vision. There are a lot of techniques to this field for several decades. In this paper, we present a method for determining the position of a camera using a few target-points. We use 3 rotation angles and translation vector to describe the position of the camera for a pinhole model. In general, for solving the 6 unknown parameters, a minimum of six target-points in a world coordinate system is required to uniquely define the matrix. However, we show that by using the properties of the matrix we can reduce this number to four. Some experimental results of this method using synthetic data and real image data are also shown.
著者
辻 正矩
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.309, pp.157-166, 1981-11-30
被引用文献数
3

1)心斎橋, 東梅田の両調査から, 街区の性格によって特徴のある滞留人口の時刻変動パタン(平日)が得られた。高級専門店, 買回り品店などの多い都心商店街では, 図-3中の3のように, 午後3〜4時にピークをもつ山型のパタンを示す。しかし百貨店を含む街区では, 客の収容力の高い百貨店の店内人口のパタンに大きく引きずられる(図-3中の1)。飲食店, 娯楽施設, 風俗営業施設などの多い歓楽街では, 昼間の人口は少ないが, 午後5時頃から急激に人口が増える尻上り型のパタンを示す(図-3中の4)。ピークは8時から10時頃までの間にある。盛り場地区全体の時刻変動パタンは, 性格の異なったいくつかの街区から構成されているから, それらの複合したものとなる。夜間の滞留人口が昼間の滞留人口よりも10〜20%多い, 図-2, 図-5のような人口変動パタンが描かれる。2)心斎橋地区の昼間の滞留人口は3万2千人, ピークの午後6時30分で3万6千人, 人口密度ではそれぞれ1000人/ha, 1100人/haであった。東梅田地区では, 昼間の人口は2万3千人, 午後7時で2万7千人, 人口密度では2100人/ha, 2500人/haであった。ただし, この人口のなかには自動車利用者は含まれていないので, 実際の滞留人口は, これより2〜3割程度多くなるものと思われる。3)間欠時間調査の推定精度を検討した結果, 地区延流入人数と延流出人数の推定の場合は, 95%信頼度で2〜6%の誤差であり, 妥当な精度と考えられるが, 滞留人口では, 心斎橋で11〜20%, 東梅田で20〜37%と, かなり大きな誤差範囲で推定されている。その原因としては, 滞留人口に比べて出入通行量が多かったためであるが, とくに通過通行量が時間的に集中すると誤差が生じやすい。4)調査の精度を向上させる方法としては, 通行量が多くかつ変動の大きい調査地点では, できるだけ長い実測時間をとることである。全体の精度が厳しく要求される場合には, 通行量の少ない地点でも, 30分間に10分程度の実測時間をとることが必要である。東梅田のように朝の通過通行量の多い地区では, 全時間帯にわたって実測時間を長くとることよりも, 通勤ラッシュ時に限って, 実測時間を長くとる方が効果的である。終りにあたって, 常に御指導を賜る大阪大学岡田光正教授, ならびに東京工業大学谷口汎邦助教授に感謝の意を表します。また, 調査にあたって御助力を得た大阪大学卒業生の早川邦夫, 杉原正美の両君をはじめ, 大阪大学岡田研究室, 近畿大学斉藤研究室の諸氏にたいしても, 心よりお礼を申し上げたい。
著者
黒田 怜佑 松田 憲 楠見 孝 辻 正二
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.173-182, 2016

Rapid urbanization and information technology has reduced human connection and a sense of regional community among local populations around the world. This may have led to a decrease in people's sense of belonging and feelings of fellowship toward their neighbors and towns. We hypothesized that one's sense of belonging and feelings of fellowship toward their town will increase after hearing the sounds of bells. Participants were asked to observe virtual scenes in which they heard the bell signaling every hour. We assessed how listening to the bell influenced participants' feelings of community membership and whether viewing particular scenes and the sound increased these feelings and participants' sense of belonging. Results showed that for scenes involving an overhead view of the bell, e.g., scenes that included facilities such as temples or churches, participants reported an increased immersive experience. as a result of the shared sense of time with their neighbors.
著者
末次 正寛 辻 正利 谷川 義之 南部 紘一郎 西岡 將美
出版者
鈴鹿工業高等専門学校
雑誌
紀要 (ISSN:02865483)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.9-16, 2013-02-28

弓道に使用される和弓は複数の材料を組み合わせた複合構造材であり,それらの接着層が弓の湾曲によって発生する応力で剥離する場合がある.本研究では,木材とカーボンファイバーで構成された初級者・中級者用の和弓を対象とし,弓幹内部の境界層に生じるせん断応力を実験ならびに有限要素法(FEM)によって解析した.その結果,せん断力は弓の下端部において最大となり,かつその部分の内側の境界層で最大のせん断応力が発生していることがわかった.また,実験値と FEM解析値は概ね一致しており,作成した FEM大変形解析プログラムの有効性が示された.
著者
壇辻 正剛 坪田 康 河崎 靖 道坂 昭廣 平岡 斉士 大木 充 河原 達也 木南 敦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、日本人学習者の外国語のコミュニケーション能力向上を目指して、ICT(情報通信技術)を利用したCALL(コンピュータ支援型語学教育)やe-ラーニングを含む応用言語学的研究を展開した。国際化時代に有効な会話主体の外国語教育支援システムの開発を推進し、良質で多様な言語文化の理解が可能なコンテンツの開発に基づきICT支援型の教材も作成した。研究成果の一部であるマルチメディア教材は希望する教育機関や研究機関に提供することができた。
著者
森 康裕 高辻 正基 安岡 高志
出版者
日本生物環境工学会
雑誌
植物工場学会誌 (ISSN:09186638)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.136-140, 2002-09-01 (Released:2011-03-02)
参考文献数
15
被引用文献数
15 18

Lettuce was grown under pulsed white LED light at variation pulse cycles and DT ratios (illuminated period/cycle), and the relative growth rate per unit luminous energy and photosynthetic rate were examined. Both the growth rate and photosynthetic rate were generally increased (except at a pulse cycle of 10ms and a DT ratio of 50%) compared with continuous illumination. Particularly, both the growth rate and photosynthetic rate were increased by 20% or more at a pulse cycle of 400μs and a DT ratio of 50%. A further slight increase in the growth rate was observed when the DT ratio was 33%. These results may be explained by the presence of a period of 200μs duration in which light is unnecessary (period of electron transport) in the light reaction of photosynthesis. This study supports the feasibility of LED plant factories.