著者
辻 義人 杉山 成
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Suppl., pp.45-48, 2017-01-15 (Released:2017-03-06)
参考文献数
7
被引用文献数
1

大学教育の質保証の手段として,アクティブラーニング(以下,AL)への注目が高まっている.AL形式の授業では,多方向的かつ学生の自主的な学びが重視された活動が行われている.本研究では,同一科目について,従来の座学形式と,AL形式で開講したとき,どのように履修者の自主学習への態度や行動,授業内容の理解度に違いが見られるのかに注目し,比較を行った.その結果,以下の2点が明らかになった.①AL形式において学習者の自学自習の意欲が高く,実際に自学自習が行われている.②両形式間において,最終的な理解度に差は見られない.しかし,AL形式の授業では,自学自習への動機づけが維持される効果が期待される.
著者
細田 耕 木村 浩 辻田 勝吉 井上 康介 田熊 隆史
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

生物のさまざまな適応的行動の中から特にロコモーションに注目し,反射やCPGなどによってもたらされるリズミックな制御系と,振る舞い全体を修飾する調整制御系の相互作用によって適応性の実現を試みた.これらの実現には生物のような筋骨格系が大きな役割を果たしているとの仮説のもとに,二足,四足,ヘビ型とさまざまなロコモーションについて筋骨格からなる新しいロボットを多数試作し,リズミック制御系と調整制御系の役割を実験的に検証した.
著者
辻本 拓司 和南城 伸也 石垣 美歩 西村 信也 戸次 賢治 Gerhard Hensler
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

金やプラチナに代表される中性子を素早く捕獲して形成されるr過程元素の天体物理学的起源については、未だ同定できていない。2017年の夏、連星系にある2つの中性子星の合体がその起源であるという極めて有力な手掛かりを我々は掴むこととなったが、まだ断定できる状況には程遠い。さらに、中性子星合体が唯一の起源であることに対し、複数の観測事実が疑問を呈している。本研究は星の化学組成という独自の視点からr過程元素の起源に迫ろうとするものであり、我々は中性子星合体が支持されること、しかし一方で銀河形成初期では特殊な超新星(磁気駆動型超新星)が出現していたことを突き止めた。
著者
佐野 梓 末次 王卓 秦 晃二郎 柊迫 美咲 片山 美幸 田中 瑠美 田島 壮一郎 グリム 理恵子 辻 敏和 渡邊 裕之 金谷 朗子 増田 智先
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.229-235, 2018-05-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
16
被引用文献数
4

We have disclosed 14 standardized laboratory data on out-of-hospital prescriptions since June 2015. In this study, we analyzed questions on out-of-hospital prescriptions related to laboratory data over 2 years. There were 229 prescription questions related to laboratory data (3.4% of the total prescription questions), and 79.5% of these were related to renal function. Among renal function-associated laboratory data, serum creatinine was used in most cases. The rate of prescription change after prescription questions was 66.5% for laboratory data associated with renal function, which was significantly higher (P < 0.001) than the 25.5% for other types of data. Furthermore, the clear description of dose reduction requirements on a package insert was confirmed to be one of the common factors for renal excretory drugs. Therefore, it is important to provide renal function laboratory data to facilitate the appropriate adjustment of out-of-hospital prescription doses. In addition, to enable appropriate dose adjustments using laboratory data, the description on the drug package insert should make it easy for pharmacists who are auditing prescriptions to make appropriate judgments.
著者
永野 敬子 勝谷 友宏 紙野 晃人 吉岩 あおい 池田 学 田辺 敬貴 武田 雅俊 西村 健 吉澤 利弘 田中 一 辻 省次 柳沢 勝彦 成瀬 聡 宮武 正 榊 佳之 中嶋 照夫 米田 博 堺 俊明 今川 正樹 浦上 克哉 伊井 邦雄 松村 裕 三好 功峰 三木 哲郎 荻原 俊男
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.111-122, 1995-02-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

近年の疾病構造の欧米型への移行が指摘される中, 日本人における痴呆疾患の割合はアルツハイマー病の比率が脳血管性痴呆を越えたともいわれている. 本邦におけるアルツハイマー病の疫学的調査は, アルツハイマー病の原因究明に於ける前提条件であり, 特に遺伝的背景を持つ家族性アルツハイマー病 (FAD) の全国調査は発症原因の究明においても極めて重要であると考える.私たちは, FAD家系の連鎖分析により原因遺伝子座位を決定し, 分子遺伝学的手法に基づき原因遺伝子そのものを単離同定することを目標としている. 本研究では日本人のFAD家系について全国調査を実施すると共に, これまでの文献報告例と併せて疫学的検討を行った. また, 日本人のFAD家系に頻度の高いβ/A4アミロイド前駆体蛋白 (APP) の717番目のアミノ酸変異 (717Va→Ile) をもった家系の分子遺伝学的考察も行った.その結果, FADの総家系数は69家系でその内, 平均発症年齢が65歳未満の早期発症型FADは57家系, 総患者数202人, 平均発症年齢43.4±8.6歳 (n=94), 平均死亡年齢51.1±10.5歳 (n=85), 平均罹患期間6.9±4.1年 (n=89) であった. APP717の点突然変異の解析の結果, 31家系中6家系 (19%) に変異を認めた. また各家系間で発症年齢に明らかな有意差を認めた. 1991年に実施した全国調査では確認されなかった晩期発症型FAD (平均発症年齢65歳以上) 家系が今回の調査では12家系にのぼった.FADの原因遺伝子座位は, 現在のところ第14染色体長腕 (14q24.3; AD3座位), APP遺伝子 (AD1座位) そのもの, 第19染色体長腕 (19q13.2; AD2座位), 座位不明に分類され, 異なった染色体の4箇所以上に分布していることとなる. 日本人のFAD座位は, APPの点突然変異のあった6家系はAD1座位であるが, 他の大部分の家系ではAD3座位にあると考えられている. 今回の解析結果より, 各家系間の発症年齢に差異があることからも遺伝的異質性の存在を示唆する結果を得たが, FAD遺伝子座位が単一であるかどうかを同定する上でも, 詳細な臨床経過の把握も重要と考えられた.
著者
辻 久美子 池内 佳子
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
和歌山県立医科大学保健看護学部紀要 (ISSN:18801366)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.37-44, 2005
被引用文献数
2

この研究の目的は、妊娠中の体脂肪率の変化を明らかにすることと、それに関係する生活習慣因子を同定することである。対象妊婦は、健康診断ごとに体脂肪率を測り、妊娠期間中に3回、生活習慣についてのアンケートに回答した。その結果、以下の4点が明らかになった。1、体脂肪率は妊娠30週まで増加し、その後変化しなかった。2、体脂肪率の変化を部位別で見ると、体脂肪の蓄積しやすい部位は腕部から体幹部、足部へと徐々に広がっていた。3、食生活では、たんぱく質、野菜、果物については適正摂取量の60%しか摂取できていなかった。それは、たんぱく質等は料理に取り込みにくいためと考えられた。脂質は、適正摂取量より多く摂取していた。さらに、脂質摂取が適正量より多いと妊娠中期までに体脂肪率が増えやすかった。4、運動習慣がある人は、体脂肪率が妊娠中期以降に増加しなかった。これらの結果から、妊婦管理において、体重だけでなく体脂肪率に注意を払う必要性が示唆された。妊娠中の指導は、たんぱく質の多い、脂質の控えめな料理を取ることと、適度な運動習慣を付けることを含めて行なう必要がある。
著者
辻 順平 能登 正人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.C-H98_1-9, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
14

In the theme park problem, it is important to find a coordination algorithm that effectively shortens the visiting time of an entire theme park while guaranteeing individual optimality for each visitor. In a previous study, a coordination algorithm, called statement-based cost estimate (SCE), was proposed that allows individual visitors to select plans that minimize a visitor’s visiting time while shortening the visiting time of the entire theme park. However, the improvement in visiting time was not sufficient from their experiment using SCE. We thought it necessary to relax the premise constraint “minimize individual visiting time” to further improve SCE. In this paper, we propose a framework to further reduce visiting time by considering Pareto optimality. In the proposed framework, each visitor determines several Pareto optimal plans based on the evaluation value calculated using SCE and presents them to a coordination system. Then, the coordination system searches for the entire optimal plan that minimizes the predicted value of the total visiting time of the entire theme park among the Pareto optimal plan candidates. The proposed framework guarantees visitors’ “personal optimality” in the meaning of Pareto optimality, and there is a possibility that the framework will shorten the visiting time of the entire theme park. We conducted a simulation experiment using a coordination algorithm based on the proposed framework and clarified the effectiveness of the framework.
著者
福島 建次郎 大野 耕一 小田巻 俊孝 高津 善太 前田 真吾 辻本 元
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.13-19, 2018-04-10 (Released:2018-05-18)
参考文献数
8

近年、炎症性腸疾患(IBD)の病態や治療に関連して、腸内細菌叢や消化管粘膜の免疫寛容などに関しての関心が高まっている。しかしながら日本国内において、プロバイオティクスやプレバイオティクスの投与が動物の消化管に及ぼす影響に関する基礎的な研究は限られている。本研究では健常犬6頭にビフィズス菌・乳酸菌製剤(ビヒラクチンDXTM)およびサイリウムを2週間同時投与し、投与前、投与後の腸内細菌叢および腸粘膜における制御性T細胞(T-reg)数の変化について検討した。腸内細菌叢の解析では、投与後に Firmicutes門が減少し、Fusobacterium門および Bacteroides門の菌の構成比が増加していた。 また6頭中5頭で、投与後の細菌構成比が類似したパターンへと変化したことが明らかとなった。しかしながら消化管粘膜におけるTreg数については、有意な変化は認められなかった。今後はT-regの制御に関わるとされる短鎖脂肪酸の解析も実施し、また症例犬を用いた臨床的な検討も必要であると思われる。
著者
中村 佳正 江口 真透 辻本 諭 小原 敦美 太田 泰広 広田 良吾
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

中村は正定値行列の空間上の算術平均演算と調和平均演算の繰り返しによって,与えられた正定値行列の平方根行列に2次収束する算術調和平均のアルゴリズムを定式化した.このアルゴリズムは情報幾何学的には空間の2点間の互いに双対な測地線上の中点をたどる算法という意味をもつ.小原は算術調和平均のアルゴリズムが定義される正定値行列空間を対称錘の空間上に拡張し,これらの平均演算が測地線の中点を定めるなど対称錘の空間の情報幾何構造を解明した.正定値が成り立たない場合,算術調和平均のアルゴリズムは一般に収束しない.近藤と中村は,算術調和平均のアルゴリズムの漸化式の一般項が行列式表示されることを発見した.可解なロジスティックマップについても同様な表示が見つかった.さらに,この表本式と系の可解性に基づいて,不変測度と積分計算によらずに,系のLyapunov指数が正となることを示した.さらに,中村と辻本はアルゴリズム機能をもつ離散時間可積分系のプロトタイプである離散時間戸田方程式(qdアルゴリズム)の並列化の研究を開始した.まず,2個のプロセッサーによる分散メモリ型並列計算機システムを構築し,qd表を左右に2分割してそれぞれのプロセッサーで並列に計算させることに成功した.この並列化によって3重対角行列の固有値計算時間が約60%に減少した.さらに,qd表の特性に注目して一部を斜め45度に分割することでさらに並列化効率が改善されることを確認した.以上の研究は可積分によるアルゴリズム開発の今後の研究において有用になるものと考えられる.