著者
神田 玲子 辻 さつき 米原 英典
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.68-78, 2014
被引用文献数
3

In general, the press is considered to have amplified the level of public's anxiety and perception of risk. In the present study, we analyzed newspaper article headlines and Internet contents that were released from March 11, 2011 to January 31, 2012 using text mining techniques. The aim is to reveal the particular characteristics of the information propagated regarding the Fukushima NPP Accident. The article headlines of the newspapers which had a largest circulation were chosen for analysis, and contents of Internet media were chosen based on the number of times they were linked or retweeted. According to our text mining analysis, newspapers frequently reported the "measurement, investigation and examination" of radiation/radioactive materials caused by the Fukushima Accident, and this information might be spread selectively via the social media. On the other hand, the words related to health effects of radiation exposure (i. e., cancer, hereditary effects) were rare in newspaper headlines. Instead, words like "anxiety" and "safe" were often used to convey the degree of health effects. Particularly in March of 2011, the concept of "danger" was used frequently in newspaper headlines. These indirect characterizations of the situation may have contributed more or less to the misunderstanding of the health effects and to the enhanced perception of risk felt by the public. In conclusion, there were found no evidence to suggest that newspapers or Internet media users released sensational information that increased the health anxiety of readers throughout the period of analysis.
著者
石黒 格 辻 竜平
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.295-312, 2006-09-30 (Released:2007-08-02)
参考文献数
10
被引用文献数
2

携帯電話のアドレス帳に登録されている知人の数(アドレス帳登録数)の、ネットワーク・サイズ測定指標としての有用性について検討した。全国から25~74歳の男女2200名(回収数1445)を抽出した調査データを分析に用いた。第一の目的は、アドレス帳の利用率と利用を規定する属性要因を検討することであり、全体として利用率は60%程度であること、若年、高学歴、高収入、都市部在住者で利用が多いことが明らかになった。特に重要な要因は年齢で、利用率を80ポイント以上変動させていた。第二の目的は、電話帳法による知人数推定値をネットワーク・サイズの指標とし、それとアドレス帳登録数との相関を検討することだった。分析の結果、アドレス帳登録数と電話帳法による知人数の推定値は年齢によらず一貫して正相関していた。都市規模別に見たときには、人口5000~9999人の郡部を除いた地域では有意に正相関していた。人口10000未満の郡部では相関は弱めでかつ利用者が少ないため、人口1万人以上の都市で、特に若年層を中心として調査する場合に、アドレス帳登録数がネットワーク・サイズの指標として利用可能であることが示唆された。
著者
松岡 弥玲 岡田 涼 谷 伊織 大西 将史 中島 俊思 辻井 正次
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.179-188, 2011-06-20
被引用文献数
1 1

本研究では,発達臨床場面における介入や支援における養育スタイルの変化を捉えるための尺度を作成し,養育スタイルの発達的変化とADHD傾向との関連について検討した。ペアレント・トレーニングや発達障害児の親支援の経験をもつ複数の臨床心理士と小児科医師によって,養育スタイルを測定する項目が作成された。単一市内の公立保育園,小学校,中学校に通う子どもの保護者に対する全数調査を行い,7,000名以上の保護者からデータを得た。因子分析の結果,「肯定的働きかけ」「相談・つきそい」「叱責」「育てにくさ」「対応の難しさ」の5下位尺度からなる養育スタイル尺度が作成された。ADHD傾向との関連を検討したところ,肯定的働きかけと相談・つきそいは負の関連,叱責,育てにくさ,対応の難しさは正の関連を示した。また,子どもの年齢による養育スタイルの変化を検討したところ,肯定的働きかけ以外は年齢にともなって非線形に減少していく傾向がみられた。本研究で作成された尺度の発達臨床場面における使用について論じた。
著者
林部 敬吉 阿部 圭一 辻 敬一郎 雨宮 正彦 ヴァレリ ウイルキンソン 松王 政浩
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

心理学的視点と教育工学的視点から、日本伝統工芸技能の修得過程の分析、外国の技能研修制度と修得過程の分析および両者の修得過程における異文化間比較、さらに暗黙知である技能の修得を促進するわざことばの調査を通して、伝統工芸技能修得の認知的なプロセスの特徴を明らかにし、この認知的モデルに依拠した効果的な技能修得の方法と支援について提案することを目指した。陶磁器、指物、筆、硯、染色、和紙、漆器、織物など主に伝統工芸産地指定を受けた親方と弟子に対しての面接と取材調査、ドイツのマイスター制度とデュアル制度の現地調査、浜松の楽器製造産業における技能の継承についての取材調査、さらにすべての伝統工芸産地指定約220箇所の伝統工芸士に対して、「わざことば」のアンケート調査を実施した。伝統工芸士に対する取材調査では、実際の工程でのもの作りをビデオおよび3次元ビデオに録画すると共に、主要な「わざ」の手指の型を3次元カメラで取得した。企業については、工芸技能の世代間継承の方法、実態について調査した。これらの調査と分析の結果、次のことを明らかにできた。(1)「わざ」の伝承は、一種の徒弟方式である「師弟相伝」で行われる。技能伝承の基本は、技能の熟練者(親方)の模範を継承者(弟子)が観察・模倣するにあり、また継承者の技能習得を助けるものとして「わざことば」が存在する。技能伝承を効果的にするには、伝承者と継承者との間に信頼にもとつく人間的な紐帯が形成されることが大切である。2)日本の徒弟制度とドイツのマスター制度を比較すると、日本のそれの良い点は、極めて優れた技能保持者を生み出せるのに対して、ドイツのそれは、一定の技能水準をもつ技能者を育てることができることにある。徒弟制度の悪い点は、技能の修得過程が明文化されていないことで、教え方が親方の独善的なものに陥りやすい。デュアル制度の短所は、名人といわれるような技能の伝承が行われにくく、獲得した技能が一代限りで終わる点である。(3)企業における「わざ」の伝承でも、「師弟相伝」方式が採用され、技能の熟練者と継承者が相互信頼に基づき相互啓発しながら行われる。この場合、弟子の技能習得を助けるものとして「伝承メモ」(熟練者)と「継承ノート」(継承者)を介在させることが重要である。(4)「わざことば」は、技能の枢要な事項を比喩的あるいは示唆的に表現したもので、それ自体が技能の内容を余すところなく記述したものではないが、しかし技能上達のヒントともなるべきものである。
著者
大塚 康吉 池田 英二 梅森 君樹 辻 尚志
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.126-131, 1994

小児甲状腺癌の1例を経験したので,本邦小児甲状腺癌報告例の集計を加え報告する. 症例は2歳11ヵ月の男児で前頚部腫瘤を主訴とし入院. 甲状腺機能低下症を伴った甲状腺癌の診断で甲状腺亜全摘除術,保存的リンパ節廓清を行なった. 病理組織診断は甲状腺濾胞癌で,術後6年の現在健康である. 性別頻度は15歳以下では女 : 男 = 125 : 56,6歳以下では11 : 9と年齢が低い程男女差が少なくなっている. 年齢別頻度は15歳が38例で最も多く,年齢が低くなるにつれ頻度も低くなっている. 組線型別頻度は乳頭癌約70%,濾胞癌約20%と年齢による差は殆どない. 転移については乳頭癌の約20%に肺転移がみられ,濾胞癌より肺転移の率が高く,進行癌が多いにもかかわらず予後は良好である.
著者
小林功介 辻本拓也 安本匡佑 羽田久一 太田高志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.207-209, 2013-03-06

2012年10月の就職内定率が6割を切り、就職難と叫ばれて久しい。多くの就職活動生(以下就活生)は、いくつもの企業の選考を受けてもなお内定を獲得することができず、その代わりに数多の「不採用通知メール(通称 お祈りメール)」を受け取っている。 本研究では、お祈りメールが就活生に与える虚しさに着目し、これを題材にしたインタラクティブコンテンツを開発することで、就職難という昨今の世相の皮肉的な表現を試みている。神社の参拝を模したお祈りのジェスチャーに反応して、映像と音楽に併せて加工したお祈りメールの文面を提示する作品である。 なお、このコンテンツは今年10月30日から1週間に渡って開催された東京デザイナーズウィーク2012に出展され、閲覧者の好意的な反応を多数得た。
著者
辻 哲夫
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工業教育 (ISSN:18839002)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.23-27, 1993-05-30 (Released:2009-04-10)

明治以後,日本人は初めて本物の機械文明を学び始めた。その時,近代技術の科学的基礎が,日本人にとって非常にわかりにくいものだった。科学文化の欠除は,伝統思想,とくに技芸の観念で補われたと思われる。こうした歴史的体験は,日本における現在の工学教育にも大切な教訓となるかもしれない。
著者
山口 泰 辻本 徳介 鈴木 宏正
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.35, pp.31-36, 2001-04-20
参考文献数
2

狭山事件においては足跡石膏型が重要な証拠の1つとされてきた.すなわち,犯行現場に残された足跡と押収された地下足袋で作られた足跡との,類似性が争点となっている.従来の鑑定は写真を基本として類似性を議論している.すなわち,足跡石膏型を写真撮影した上で長さや角度を測定し.形状の類似性を立証しようとしている.石膏型が,本来3次元形状であることから,今回,我々は3次元スキャナを用いて足跡を計測した.その上で足跡の3次元形状を観察するとともに,2つの足跡の類似性を検討した.Plaster casts of footprints have been considered as important evidences in the Sayama case. Namely, one of the issues is either thefootprints at the scene correspond with the footwears. The previous opinion was based on photos of the plaster casts. They measured distances and angles in the photos. We have taken range images of the plaster casts by using three dimensional laser scanner. This report discusses the three dimensional shapes of the plaster casts and their similarity.
著者
荒井 俊介 辻 慶太
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-19, 2013-02-20 (Released:2013-04-18)
参考文献数
34
被引用文献数
1 2

Blog やTwitter に書かれた日常的な質問を収集し回答を呼びかけるWeb サイトを構築すれば,記事の著者は効率よく回答を得ることが出来るかもしれない。本研究では次の2 つのステップからなる記事の収集方法を提案し,実際に質問を提示するWebサイトを構築して,有効性の検証を行った。即ち,(1)疑問の書かれた記事に特徴的な表現を用いた,既存のサーチエンジンによる検索,(2)テキスト自動分類を用いた疑問の書かれた記事の抽出,である。(1)では「タイトルが思い出せない」をキーワードとして用いることで,効率的に疑問の書かれた記事を抽出できることを明らかにした。(2)ではブースティングと決定木を用いる事で効率よく抽出できることを明らかにした。さらに疑問の書かれたBlog 記事30 個とTwitter 記事31 個をWeb サイトに提示した結果,それぞれ6 個と5 個の記事の著者を満足させる回答が得られた。
著者
桐戸 創也 山本 景子 倉本 到 辻野 嘉宏 水口 充
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告 エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.7, pp.1-6, 2011-03-19

インターネットの発達により,個人で簡単にインターネット放送を行える環境が整っている.個人でインターネット放送をしているとき,放送者が次に何を話せばいいか分からなくなるという問題が発生することがある.この問題は "ある話題の中で次に話す内容を忘れた","ある話題の終了後,次の話題が思い浮かばない","視聴者との話と関連した話題が思い浮かばない" の 3 つの場面に分けられる.本研究は,3 つの場面において,放送者が次に何を話せばいいのか分からなくなるという問題を解決することを目的とする.ここで,話題を収集し,各場面に応じて適切に選択および提示することで,放送者が放送を続けるための支援を行う手法を提案する.また,提案手法を実現したシステムである "言うストリーム" を実装し,提案システムを用いて実際にインターネット放送を行ったところ,提案システムが放送者を支援するユースケースを得た.これは,提案手法は放送者が放送を続けるための支援ができることを示唆している.It has been much easier to perform live streaming via the Internet. When some performers broadcast, it is occurred that the performers have no idea for what they should talk next. Such cases are classified into three: the performers forget a phrase which they want to talk next in a topic, the performers cannot remind a new topic after finishing a certain topic, and the performers cannot realize a topic that relates to some talk with audiences. IUstream is a personal live streaming support system which solves the problem by recommending proper topic to the performers in those cases, so that it supports them to keep talking in their video streaming. We found the cases that IUsream supports the performers in actual personal live streaming. This indicates that IUstream can supports performers to keep talking in their webcast.
著者
辻 大介
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.43-52, 2006-03-25

本稿では、中村[2003]の先行研究によって明らかになった携帯メールと孤独不安の関連について、さらなる検討・考察を加える。2004年の予備調査および2005年の大学生調査の分析結果からは、携帯メールの利用頻度と孤独不安とが正の相関を示すことが確認され、また、携帯メール利用と孤独不安が互いに互いを高めるような螺旋状の増幅過程の存する可能性が示唆された。宮台[2005]はこうした「悪循環」の過程の背後には対人不信が潜んでいると論じているが、2003年の全国調査のデータを再分析した結果からは、孤独不安と一般的信頼尺度はむしろ正の相関関係にあることが認められた。山岸[1998]の信頼に関する議論にしたがえば、この結果は、関係性の流動化による社会的不確実状況への適応として、関係性への敏感さが求められつつ、そのことがまた関係性の不安の感じやすさにつながっているものと解釈できる。
著者
松村 雅史 辻 竜之介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.372, pp.7-12, 2005-10-20

笑いは, ストレス低減など生理学的あるいは健康的な効果があるとの報告がある.本研究では, 笑いと健康増進および介護予防に関わる生理学的要因の関係を明らかにするために, 笑い声の無拘束・長時間モニタリングするシステムの開発を研究目的としている.本研究では, まず, 日常会話の中で笑い声をハンズフリーかつワイヤレスで無拘束・長時間モニタリングするシステム(爆笑計)を開発した.本システムは, 頸部表面に装着した喉頭マイクロホンにより声帯振動を検出し, 会話音声中の中の笑い声は, 繰り返し発声が行われることを特徴量として識別できることを示す.