著者
近藤 正幸
雑誌
事業創造大学院大学紀要 (ISSN:21854769)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-15, 2021-04

2004年の国立大学法人化は国立大学のマネジメントを劇的に変化させている。本稿では、国立大学の産学連携と知的財産マネジメントがどのように変化したかを、文部科学省のデータを用いて、私立大学や公立大学と比較しながら分析した。その結果、国立大学は法人化後に企業との共同研究、企業からの受託研究が増加した。企業との共同研究の件数については私立大学の方が伸びが大きかったが、他では国立大学の伸びが大きかった。知的財産マネジメントの変化は、権利が大学帰属になったことにより、より顕著であった。特許出願件数やライセンス件数は大幅に増加した。
著者
角田 直也 金久 博昭 福永 哲夫 近藤 正勝 池川 繁樹
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.192-199, 1986-08-01 (Released:2010-12-10)
参考文献数
11
被引用文献数
11 3

本研究では, スポーツ選手89名 (短距離5名, 長距離10名, バレーボール8名, サッカー12名, ボート22名, スピードスケート16名, 相撲16名) と一般男子14名を対象に, 大腿四頭筋 (MQF) とそれを構成する大腿直筋 (RF) , 外側広筋 (VL) , 内側広筋 (VM) , 中間広筋 (VI) の各断面積における種目差および等尺性脚脚伸展力 (KES) との関係について検討し, 以下の結果を得た.1.MQF断面積は, 相撲 (110.18cm2) が最も高く, ついでスピードスケート (104.09cm2) , バレーボール (99.36cm2) , ボート (96.30cm2) , サッカー (89.92cm2) , 短距離 (86.34cm2) の順であり, 長距離 (73.86cm2) が最も低い値を示した.短距離および長距離を除く他の種目は, 一般人 (75.32cm2) より有意に高い値であった.2.MQFを構成する各断面積は, 相撲, バレーボール, スピードスケートが高い値を示し, 短距離と長距離は, 一般人とほぼ同様な値であった.3.大腿部の全筋断面積に対するMQF断面積の比率は, バレーボール (58.66%) およびボート (57.53%) が高く, サッカー (53.81%) が低い値を示した.しかし, MQF断面積比率は, いずれの種目も一般人との間に有意な差を示さなかった.4.MQF断面積に対する各構成筋群の断面積比率では, サッカーがRFで, スピードスケートがVLで, それぞれ一般人および他の種目より有意に高く, 種目によって特異的に発達する筋が認められた.5.MQF断面積とKESの間には, 0.1%水準で有意な相関関係が認められた.またMQFを構成する各断面積も, KESと0.1%水準で, 有意な相関関係にあり, 断面積が大きな筋ほど, 相関係係数が高くなる傾向が認められた.6.MQF断面積当りのKESは, サッカー (8.97N/cm2) が最も高く, バレーボール (7.10N/cm2) が最も低い値を示した.サッカーのMQF断面積当りのKESは, 一般人 (8.06N/cm2) および長距離 (7.31N/cm2) より5%水準で, バレーポールと相 (7.50N/cm2) より1%水準で, それぞれ有意に高い値であった.サッカーを除く他の種目間の値には, 有意な差は認められなかった.
著者
近藤 正憲 Masanori KONDO
雑誌
世界の日本語教育. 日本語教育論集 = Japanese language education around the globe ; Japanese language education around the globe (ISSN:09172920)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.175-192, 2005-11-10

戦前の中東欧の日本語教育についてはまだ知られていないことが多い。しかし、政治的、経済的な交流の深まりとともに中東欧地域はこれまでになく日本人に身近な存在になりつつあり、 現時点でこの地域の日本語教育の歴史について研究することは意味のあることであると考える。 本稿は20世紀初頭にハンガリーではじめて出版された日本語教科書を題材に、出版された当時の日本についての知識と、背景となった社会状況を明らかにすることを目的とする。ハンガリーではじめての、ハンガリー語で書かれた教科書は1905年に出版された。同書は日本に長期滞在した経験のあるハンガリー語母語話者が自らの経験と知識を総動員して書き上げた著作であると考えられる。今日の目から見ると教科書としては難点が多いとは言うものの、 母語で書かれた教科書の出版は日本語学習の大きな障害の一つを取り除いた点で高く評価されるべきである。また、同書の出版という事実そのものが当時のハンガリー人一般の日本に対する興味の高まりを物語っている。この日本への関心の高まりは日露戦争という政治的事件が契機となったものであるが、この背景には当時のハンガリー人自身が持っていた反露意識と、高揚するナショナリズムが存在していたと考えられる。この反露意識の裏返しとしての親日意識は自ずと限界があった。極東において帝国主義的性格を強める日本がロシアとの協調関係を築き、足元のバルカン半島でスラヴ系諸民族による反オーストリア=ハンガリーの運動が激化するにつれ、日本に関する興味関心は次第に退潮していった。中東欧に限らず、ある地域の日本語教育の歴史を振り返ることは、その国や地域や民族の対日認識の歴史そのものと向き合う作業であり、それを知ることは外国で日本語を教えるものにとっては特に大切なことであると考える。
著者
近藤 正春
出版者
日本教育政策学会
雑誌
日本教育政策学会年報 (ISSN:24241474)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.25-34, 2003-06-23 (Released:2017-12-06)

In this paper, the Fundamental Law of Education is examined in terms of its relationship to a number of contemporary educational policy issues. The following five themes have been selected for detailed examination. (1) Change in the recognition of the relationship between education and society, in terms of planning educational policy issues. (2) The transformation of "nation-building education" into "citizen-building education". (3) Revision and development of the principle of Equal Opportunity in Education. (4) Expanded deregulation in the area of the rules and formalities governing the establishment of educational institutions. (5) Changes in the role and the system of educational administration.
著者
中島 研吾 坂本 龍一 星野 哲也 有間 英志 塙 敏博 近藤 正章
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2020-HPC-174, no.5, pp.1-9, 2020-05-06

近年,科学技術計算において,低精度演算を積極的に活用することにより,計算時間を短縮する試みが活発に行われている.また,低精度演算による計算の精度を保証するための実用的手法についても研究が進められている.本研究では,アプリケーションの実装方法,問題規模と低精度演算による性能改善の関係に注目し,様々なハードウェア環境下での検討を実施した.
著者
天野 英晴 並木 美太郎 中村 宏 宇佐美 公良 近藤 正章 鯉渕 道紘 黒田 忠広
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

誘導結合チップ間無線インタフェース(Through Chip Interface:TCI)を用いて小規模なチップを多数結合し、多様な大規模システムを構築する「ビルディングブロック型計算システム」のチップブリッジを用いたシステム統合方式について研究する。既に開発された複数のLSIチップを、チップ自体をブリッジとすることにより組み合わせ、様々な機能、性能、エネルギー要求を満足するシステム構成の構築法を確立することを目的とする。具体的には、安価なボンディングを用いて多数のチップを組み合わせる積層手法、ソフトウェアからアナログ技術までを駆使して性能、電力をチューニングする手法、チップ内のスイッチとアクセラレータを統合する機構について研究する。2018年度は、TCIを用いたIP(Intellectual Property)の動作検証と、実チップテストを行うためのTCITesterチップを開発した。このチップは、ルネサスエレクトロニクス社65nmプロセスを利用して、3mm X 3mmのサイズで実装した。TCIを装備する様々なチップの上に装着し、その電気的特性を計測し、連続運転試験を行うことができる。他のチップ上に積層するのに先立ち、開発したTCI Tester同士を積層し、TCI IPの転送可能周波数、電源ドロップを計測し、TCI IPを組み込む場合の指針を得た。また、TCI IPを装備したKVSチップ、SNACCチップ、CCSOTBチップそれぞれの単体性能を実チップで計測した。また、積層を行った場合の発熱の時間経過を計測するTHERMO2の積層を行った。様々なチップ積層の可能性を探るため、熱解析ツールの改良を行った。
著者
近藤 正樹
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.311-321, 2016-12-25 (Released:2017-01-18)
参考文献数
46

後頭葉病変では純粋失読が主体であり,後頭葉病変による失書の発症は後頭葉と頭頂葉,側頭葉の境界域を含めた病巣の広がりと関係していると考えた.頭頂葉であれば角回への広がり,側頭葉であれば中・下側頭回への広がりにより失読失書が出現し,後頭葉から離れて頭頂葉ないし側頭葉寄りになると純粋失書になることが想定された.境界に関係する部位として,側頭葉では中・下側頭回,頭頂葉では角回への病変の広がりに注目する必要がある.また,純粋失読にまつわる話題として,視覚性語形領域(visual word form area:VWFA)に関する最近の知見,数字読み,逐次読みの病態機序に関する報告を紹介した.
著者
近藤 正太 井手 裕一朗 井関 康武
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.C3O3068, 2010

【目的】肩の有痛性運動機能障害、特に腱板損傷症例においては関節窩に対し上腕骨頭が腹頭側偏位することは臨床場面で多く経験すると共に文献的にも示されている. このアライメント異常がアウトレットインピンジメントを発生させ運動時痛を伴う機能障害の誘発要因であると考える. 従来、腱板損傷に対するトレーニングはセラバンド等を用いて負荷をかけた回旋運動、アウターマッスルの過活動を誘発するような運動等、上腕骨頭の中心化を考慮しないトレーニングが一般的と思われる. そこで今回、この骨頭の腹頭側偏位を修正し関節窩に対し骨頭の中心化を促すトレーニングが、肩外転時における外転筋の筋発揮能力に改善が見られるか検討したので報告する.【方法】腱板損傷と診断され、視診、触診にて骨頭の腹頭側変位を認めた15例18肩. 男性7例、女性8例、平均年齢62.8歳(31~79歳)を対象とし、上腕骨頭の中心化を促すための治療(中心化トレーニング)を施行し、その前後における外転筋力を測定した. さらに15例18肩の中から、一般的に行われている腱板損傷に対するトレーニング(腱板トレーニング)が施行可能であった13例16肩に対し、腱板トレーニング前後での外転筋力を同様に測定した. トレーニングとして、1.骨頭の中心化トレーニング:まず関節窩に対して骨頭の中心化を促すため、背臥位において骨頭の背側へのモビリゼーションを、Grade2(軟部組織の伸張による制限を感じるところまで)までを用い、中心化が得られるまで断続的に2分~3分間施行した. その後椅子座位で、肩約30°~45°外転位にし上腕骨を肩甲骨面上に保持し、肘をベッドに置き軽度外旋位から骨頭を背側誘導しながら肩甲下筋による内旋運動を、各症例の疲労を考慮し30回~50回行わせた. 2.腱板トレーニング:肩を下垂位、肘90°屈曲位にした椅子座位で肩の内旋、外旋運動をセラバンドにより、筋疲労を起こさない程度の抵抗量でそれぞれ30回、手を顎に当てた状態で90°までの肩屈曲運動をセラバンドで抵抗を加え同様に30回施行した. 外転筋力測定:端坐位にて肩甲骨面上で肩90°外転、手掌を床に向けた肢位を保持させ、最大での等尺性肩外転筋力をhand-held dynamometer(マイクロFETII)を用い前腕遠位に抵抗を加え、中心化トレーニングと腱板トレーニングの施行前後でそれぞれ2回測定し、最大筋力を測定値(単位;ニュートン)として比較した. なお中心化トレーニングと腱板トレーニングは日を変えて行った. 統計学的検討は対応あるt検定を用い、危険率1%未満を有意差ありとした. 【説明と同意】被検者に研究の内容を説明し同意を得た.【結果】腱板損傷15例18肩の平均最大外転筋力は28.41N±8.51であったが、上腕骨頭の中心化トレーニング後では34.57N±10.09と筋力の増加を示し、有意な差を認めた(p<0.005). また平均増加率は24.1%でありトレーニング後、筋力低下を示したのは18肩中1肩だけであった. その中から中心化トレーニングと腱板トレーニング共に施行可能であった13例16肩の中心化トレーニング前後の筋力は、それぞれ29.28N±8.49、35.01N±10.66となり有意な差を認め(p<0.001)、平均増加率は20.8%であったが、腱板トレーニング前後では、トレーニング前30.58N±14.5、トレーニング後は31.93N±15.4であり統計学的有意差を認めず(p<0.12)、平均増加率も5.07%にとどまり、しかも、逆にトレーニング後筋力低下を示したものは16肩中4肩に認められた.【考察】今回、上腕骨頭の中心化トレーニングにより、最大外転筋力が平均28.41Nから34.57Nに向上し、平均24.1%の増加率を示した. また腱板トレーニングも施行可能であった13症例16肩に限定しても中心化トレーニング後は筋発揮能力の改善を見た. つまり、効率的外転運動を行うためには上腕骨頭の回旋軸は外転運動の全般にわたり、関節窩の中心に位置するよう比較的一定していなければならないことを示すものであり、健常人の肩運動時におけるバイオメカニクスの研究と一致する. これを裏付けるものとして、今回骨頭の中心化を考慮しない肩の回旋筋強化を主とした腱板トレーニング前後において、最大外転筋力にあまり変化なく効果は認めなかった. しかも4肩で逆に筋力低下を示した事は、この腱板トレーニングが大胸筋や三角筋後部繊維、小円筋、棘下筋の筋スパズムを複合的に強化し骨頭の腹頭側偏位を助長したためと考えられ、このことからも腱板損傷症例に対する骨頭の中心化は重要であり、トレーニングの有用性を示すものと考える.【理学療法学研究としての意義】腱板損傷に対する理学療法を骨頭の位置異常と言う視点からも捉える事で、より高いレベルでの治療効果の可能性が期待出来る.
著者
近藤 正
出版者
成蹊大学アジア太平洋研究センター
雑誌
アジア太平洋研究 (ISSN:09138439)
巻号頁・発行日
no.38, pp.247-261, 2013

This paper presents a brief process of creating a 72 spell calendar out of Henry D. Thoreau's Journal. The 72 Spells is a kind of Japanese calendar that shows the seasonal transitions by dividing one year into 72 segments. It serves as the basis of the Saijiki or the book of season-words which is commonly used among Japanese haiku and renku poets. Since 1969, when Octavio Paz organized the first international renku session in Paris, there has been a growing worldwide interest in the international renku. Consequently, there has been a growing need for an international version of the Saijiki. The 72 Spells can provide a common framework for classifying seasonal words on a global scale. In this paper I show the process of making a 72 spell calendar by analyzing the 1852 section in Journal. With the rapid development of databases and computer linguistics in the backdrop, I originally began a project of making a 72 spell calendar out of the database of the Journal. However, a lack of budget and limited time have forced me to present only a simplified version. Further information can be found in another paper, "Thoreau's Concept of Spring: A Comparative Study with the Japanese 24 Seasonal Periods and the 72 Spells," in The Journal of the Faculty of Economics (Seikei University), No. 45(1), to be published on July 20, 2014.

1 0 0 0 OA 健康の経済学

著者
近藤 正英
出版者
日本健康学会
雑誌
日本健康学会誌 (ISSN:24326712)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.37-38, 2018-03-31 (Released:2018-04-20)
著者
山下 良 近藤 正章 平澤 将一 本多 弘樹
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.1-8, 2011-03-03

近年,データセンタの省エネルギー化への要求が高まっている.データセンタでは機器の更新が頻繁に行われるため,様々な計算機で構成されているヘテロジニアス構成であることが多い.そのため,同一タスクを処理するのに要する消費エネルギーはサーバ毎に異なり,スケジューリングによって,タスクセットの処理に必要な消費エネルギーも異なる.本稿では,先行制約を持つタスクセットを対象に,ヘテロジニアスなサーバ計算機環境を考慮した低消費エネルギー化タスクスケジューリング手法を提案する.提案手法は,従来の Heterogeneous Earliest Finish Time (HEFT) 法のスケジューリング結果を基に,プロセッサのアイドル時,またはスタンバイモード時の消費電力を考慮しつつ,サーバへのタスク再割り当てを行うことで,タスク処理のエネルギーを削減するものである.本提案手法を評価したところ,HEFT 法に比べ,タスクセットのスケジュール長を変えずに消費エネルギーを削減できることがわかった.Reducing energy consumption of data-centers is one of the important requirement for data-center operations. Since the hardware of server systems is replaced frequently, there is a heterogeneity in data-centers. Therefore, the energy consumption for processing a task depends on the server that the task is allocated. In this paper, we propose a task scheduling method to reduce energy consumption for processing a task set in which each task has dependency to other tasks. Our method is based on the Heterogeneous Earliest Finish Time (HEFT) scheduling algorithm. After HEFT scheduling, we re-allocate tasks to low-power servers without increasing the critical path length of the task set. We evaluate the proposed method and the evaluation results reveal that the proposed method successfully reduces energy consumption in most of the evaluated cases.
著者
近藤正斎
巻号頁・発行日
vol.[1], 1810
著者
内田 芳雄 野村 茂治 近藤 正一 佐伯 満 前川 正幸
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.651-655, 1980-01-10 (Released:2010-02-25)
参考文献数
8

Congenital metatarsus varus is different from congenital club foot in many respects, but thy have been often confused.We experienced eight cases of this deformity during the years 1970 through 1979 which is sufficiently severe to require treatment in corrective casts. Two were unilateral and six were bilateral.Here we discuss the diagnosis and results of treatment in our clinic.
著者
佐竹 洋之 福田 浩二 近藤 正輝 中野 誠 瀬川 将人 伊藤 健太 下川 宏明
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SUPPL.1, pp.S1_147-S1_152, 2015 (Released:2016-12-14)
参考文献数
5

症例は30歳代男性, 市民ハーフマラソン大会に出場し, スタートから15km付近を走行中に心肺停止状態となった. 同マラソン大会に救命救急のプロジェクトとして参加していた医師・看護師により, 速やかにCPRが施行され, AED (VFドキュメント) にて心拍再開を得た. その後, 当院へ救急搬送・低体温療法にて神経学的後遺症を残さず回復した. 心エコーおよび画像検査からは器質的心疾患の存在は否定的であり, 後日施行した冠動脈造影では器質的狭窄は認めず, 冠攣縮誘発試験でSpasm陽性, 電気生理検査ではVFは誘発されず, サンリズム負荷試験も陰性であった. VFの発生に冠攣縮の関与も疑われたが, 過去, またCPA時に胸痛がないため, 特発性心室細動と診断し, ICD植込みを施行, Ca拮抗薬の内服も開始し退院となった. 若年者のスポーツ中の突然死は, 肥大型心筋症などの器質的心疾患に多いとされているが, 今回, 器質的心疾患を認めない若年者に発生した特発性心室細動を経験したので報告する.
著者
浜野 龍夫 近藤 正和 大橋 裕 立石 健 藤村 治夫 末吉 隆
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.249-254, 1996-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10
被引用文献数
1

マナマコ種苗が放流地点から急速に見られなくなる原因を究明するため, 水槽とタイドプールを使って実験を行った。その結果, 主因は, 食害による減耗ではなく, 「観察者による見落とし」と「種苗の移動」と推察された。
著者
富澤 宏之 林 隆之 山下 泰弘 近藤 正幸
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.2-10, 2006 (Released:2006-04-01)
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

科学研究とイノベーションの関係の分析のために,特許における科学論文の引用頻度を指標化したサイエンスリンケージ指標が貴重なツールとして用いられてきたが,この指標は引用された科学論文の多様な情報を全く反映していない。そこで,本研究では,有力特許に引用された科学論文のリストを作成し,それをScience Citation Index (SCI)データベースと照合させて書誌情報を取得し,その特性の分析を試みた。この分析により,有力特許に引用された科学論文における日本のシェアは,米国とイギリスに次いで大きいことが確認できた。また,特許発明の源泉となった科学知識の生産に関して,世界的に大学が主要な貢献をしていることや,日本の政府研究機関の貢献は他の国の政府機関と比較して小さいと考えられることが明らかになった。また,日本のライフサイエンスに関して,1) 特許件数が少ないこと,2) 特許発明者による科学知識の活用が盛んでないこと,3) 世界的な特許発明の源泉となった科学論文が相対的に少ないこと,という3つの課題があることが判明した。