著者
橋本 聖子 宮岡 佳子 鈴木 眞理 加茂 登志子
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学文学部紀要 = Journal of Atomi University, Faculty of Literature (ISSN:13481444)
巻号頁・発行日
no.53, pp.265-276, 2018-03

[目的]摂食障害は、拒食、過食など摂食行動の異常を呈する精神疾患である。摂食行動の異常のみならず、肥満恐怖、ボディイメージの障害を生じる。患者は若い女性に多いが、発症には、やせを礼賛するマスメディアの影響が人きい。このような社会文化的要因に、個人のもつ生物学的脆弱性、性格傾向、ストレスフルな環境、家族関係などの要因がからんで発症する。近年、新しいメディアのツールとして、ソーシヤルネットワーキングサービス(social networking service : SNS)が急速に普及している。 SNSでは気軽に他者の写真を見ることができるため、摂食障害を引き起こす誘因のひとつになる可能性がある。そこで本研究では、SNSの使用状況、食行動異常、ボディイメージとの関連について調べることにした。[方法]調査対象は、20~30代の女性摂食障害患者42名(患者群、平均年齢25.3歳)および、一般女子大学生143名(一般群、平均年齢20.4歳)に質問紙調査を行い比較検討した。[結果](1)一般群のほうが患者群よりもSNSを利用する傾向があり、SNSの写真をコーディネートの参考にしていた。一方、患者群のほうがSNSで他人の写真の体型が気になると回答した。(2)自分の体型についてどう認知しているかによって、患者群、一般群それぞれ3群に分けた(「自分が実際よりも太っているという認知が患者または一般群内で高い群(1群)」、「中間群(2群)」、「自分が実際よりも太っているという認知が患者または一般群内で低い群(3群)」)。患者群の「自分が実際よりも太っているという認知が高い群」は、摂食障害の中でもボティイメージの障害が強い群と考えられる。この群は他の患者群よりも、ダイエット(体重を減らすこと)に関心があり、SNSではブログをより使っていた。[考察]ブログは、他のSNSと比較すると長い文章を記載することができる。やせや体型へのこだわりの強い摂食障害患者ほど、食生活やダイエットに関する記事、摂食障害患者の日記や闘病記などを読んでいる可能性が示唆された。
著者
戸倉 毅 鈴木 隆子 中村 浩子 牧野 優子 高倉 穂
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.20-28, 1988-01-15
被引用文献数
5

本論文では ワードプロセッサ等のOA機器に個性的で美しい日本語出力を実現することを目的とした 毛筆体文字の計算機による生成方式について論じる.毛筆体文字は ストロークごとに生成する.各ストロークは骨格線上の3?7点のx y座標と太さ情報をパラメータとし それらを3次スプライン補間し輪郭情報を得る.ストロークの起筆・収筆部は 12角形の筆触形をあてはめることにより筆らしさを表現する.文字をストローク単位に生成しているため 文字の変形が可能であり ひらがなに対してつづけ字を実現している.また 各ストロークのパラメータを半自動的に抽出し文字データを容易に作成できるエディタ 外字を簡単に作成できるエディタも同時に実現した.JIS第1水準の漢字およびひらがな 片仮名計3148字の行書体文字を作成し 実用レベルの出力品質が得られていることを確認した.データ量は 平均的な11画の漢字について約150バイト 作成した3148文字に対し432kバイトであり 実用上妥当な量である.
著者
鈴木 学 鈴木 将 邵 繁 黒田 理人 徳岡 信行 川口 泰範 冨永 秀樹 須川 成利
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 40.12 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.25-28, 2016-03-04 (Released:2017-09-22)

光感度の向上と低消費電力化を達成した,画素領域周辺部にオンチップ記憶メモリを有する高速度CMOSイメージセンサとそれを搭載した最高撮影速度1000万コマ/秒の高速度ビデオカメラについて報告する.また,それを用いた高速現象の撮影について述べ,撮影例を報告する.
著者
広岡 佑三郎 鈴木 彰 浅沼 信治 黒沢 和雄 阿部 栄四郎 佐々木 喜一郎 桜井 賢彦 河西 朗 松島 松翠
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.198-202, 1984

sallmonella typhimuruin TA98, TA100, TA 1535, TA1537で有機リン系殺菌剤, ジフェニルエーテル系除草剤およびPCNBについて変異原性試験を行なった。<BR>有機リン系殺菌剤ではエスセブン, デス, シュアサイドにそれぞれ変異原性が認められた。また, ジフェニルエーテル系除草剤, MOニップ, X-52およびPCNBにも同様に変異原性が認められた。
著者
藏田 伸雄 森岡 正博 村山 達也 久木田 水生 古田 徹也 鈴木 生郎 八重樫 徹 吉沢 文武 杉本 俊介
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、「人生の意味」に関するメタ倫理学的研究と「死」の形而上学的研究との関連を、「人生の意味」についての規範的議論を手掛かりにして検討する。さらに「人生の意味」という概念の規範性について批判的に検討する。またこの分野での主張に見られる、「人生の意味」に関する命題についても真理条件が成立するという前提について検討を進める。そして決定論的な世界観を採用することは、「人生の意味」の価値を減じるのかという問題について分析する。
著者
杉山 峰崇 笹野 佑 鈴木 俊宏 原島 俊
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.820-826, 2016
被引用文献数
1

<i>Saccharomyces cerevisiae</i>(以下,出芽酵母)は,エタノールや異種生物由来の有用物質の高い生産能力をもつことから,バイオエタノールやプラスチックの原料となる乳酸の発酵生産宿主として利用・検討されている.これらの生産を効率化するためには,高い温度域でも増殖し発酵を行う高温ストレス耐性や乳酸などの有機酸へのストレス耐性が重要となる.本稿では,出芽酵母の高温ストレスや有機酸ストレスへの適応応答について紹介し,われわれが取り組んできた耐性出芽酵母の開発から得られた成果を紹介したい.
著者
吉原 崇恵 加賀 恵子 鈴木 裕乃
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.80, 2008

目的 家庭科は体験的な学習をとおして、生活のしくみやよりよく生活するための知識や技術を習得することを目指してきたそのために実験や実習、そのほかの多様な体験的学習の方法も開発してきた。なかでも実習授業は子どもが気づき、考え、わかる、できることを育てる問題解決学習過程の中で、導入、展開あるいはまとめの段階において位置づけられ、豊かな教材と価値を生み出してきたと思われる。しかしながら、子どもたちの手が「虫歯」になっただけではない。「自分が傷ついたり」「他人を傷つけたり」する、またはその前段階の事例も多く、指導過程において危険回避の指導スキルが求められてきた。各教科書において「安全喚起マーク」のページやスペースを設けられているのも工夫の証である。ただしこの「安全喚起」の内容は、「ガスコンロのそばに燃えやすいものを置かない」「包丁は持ったまま歩き回らない」という表現になっている点が特徴的である。危険を予知し、回避する能力の育成とそのための指導の方策を追究しなければならない。そのために実習授業の観察記録をもとにKYTシートを作成し、危険箇所チェックと危険度の評価調査を行っている。昨年の報告では、大学生の教育実習経験者と未経験者で比較した。その結果、二者の間では大きな違いは見られなかった。今年度は中学生、小学生自身の危険予知の実態を把握することを目的とした。方法 調査内容は調理実習時間と被服製作時間における危険な場面をイラストによって想定したKYTシートを用いた。また危険度の評価をさせた。危険な場面の想定は次のとおりである。調理実習の場合。1.ザルから水をこぼしている。2.包丁の使い方がよくない。3.(調理台の)扉が開いている。4.まな板が机から出ている。5.火の傍に燃えるものがある。6.歩く時の包丁の持ち方が良くない。被服製作実習の場合。1.よそ見しながらアイロンを使っている。2.はさみを振り上げている。3.アイロンがコンセントにつながれたままになっている。4.ミシンの使い方。5.マチ針が出しっぱなし。6.ミシンの電源が入ったまま針を取り付けている。危険度の評価は高い順に4段階である。a.すぐにやめさせる。b.状況が変わると重大事故、状況を見て注意。c.いつか事故になるかもしれないので後で注意。d.事故にはならない。調査対象は小学校が浜松市公立小学校、附属小学校各1校(計132名)。中学校は附属浜松中学校、焼津市、藤枝市公立中学校(計205名)。対照として教員免許取得希望大学生(計42名)である。調査時期は2008年2月~3月。結果と考察 危険度a評価について調理場面では火の傍に燃えるものを置かない、歩く時の包丁の持ち方が多く指摘された。小中大学生ともに同様であった。被服製作場面ではミシンやアイロンの電源が入ったままについて多く、次によそみの作業、はさみの扱いが続いた。小中大学生ともにほぼ同様であった。危険度b評価は、状況を見る項目である。これは調理、被服場面のいずれにおいても小学生が多くあげており、調理では、まな板が机からはみ出ている、ザルから水をこぼしている、を指摘していた。同じく小学生が多くあげたb評価の被服場面ではよそ見しながらのアイロン使い、マチ針を出しっぱなしであった。大学生は他に比べてa評価項目が多く、小学生は他に比べてb評価項目が多くなっていた。大学生が指導的立場で考え指示が多くなるのではないかと思われた。子どものわかり方を把握すれば変化するかもしれないと考えさせた。小学生のb評価は自分の不安さが表れていると考えられる。同じ視点で見ると中学生が他に比べてaもbも少なくcの一般的注意、注意しないという評価が多くなっていることは自信、過信を示していると思われた。
著者
河野 紀美子 鈴木 陽 渡辺 美恵子 近藤 由紀子 向井 陽 大溝 法孝 高濱 靖英
出版者
Japanese Cleft Palate Association
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.159-170, 1989

九州大学歯学部附属病院矯正科における口唇裂口蓋裂患者の実態を把握するために,昭和45年8月の当科開設以来昭和63年末までに受診した口唇裂口蓋裂患者996名(男性525名,女性471名)を対象に臨床統計的観察を行い以下の結果を得た。<BR>1.初診時年齢のピークは3歳時であった。<BR>2.口唇裂口蓋裂の裂型別頻度は,唇裂6.0%,唇顎裂17.4%,唇顎口蓋裂59.8%,口蓋裂16.8%であった。<BR>3.裂の発生部位は左側53.4%,右側27.6%,両側18.6%であった。<BR>4.性差は唇裂で男性が女性の約1.4倍,唇顎裂では男女ほぼ同率,唇顎口蓋裂では男性が女性の約1.5倍,ロ蓋裂では女性が男性の約2.4倍であった。<BR>5.生下時の平均身・体重・低出生体重児の頻度は日本人一般平均と有意差は認められなかったが,早期出産傾向は有意に認められた。母親の年齢の影響は認められなかった。<BR>6.初診時における同胞数は2人が最も多く,出生順位は高位の者が多かった。末子である比率は66.9%であった。<BR>7.片側性唇顎口蓋裂患者の上顎歯列弓セグメントの接触状態は,接触型81.4%,遊離型11.8%,重複型6.8%であった。<BR>8.1歯以上の反対対咬(いわゆるクロスバイト)がある者は84.6%であった。反対対咬は前歯と破裂部位に隣接する歯牙に高頻度であった。乳歯列より永久歯列の方が反対対咬を呈する歯牙が多かった。<BR>9.当科受診後,矯正治療を受けなかった者の割合は,唇裂患者の23.3%,ロ蓋裂患者の21.6%,唇顎裂患者の16.7%,唇顎裂患者の11.8%であった。
著者
鈴木 孝 佐々木 淳
出版者
日本カウンセリング学会
雑誌
カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.145-156, 2019-02-28 (Released:2020-10-06)
参考文献数
25

臨床心理面接にて,カウンセラー(以下,Co.)がクライエント(以下,Cl.)に対して自己開示をする効果が指摘されており,多くのCo. が自己開示を使用している。その効果については実証研究が蓄積されてきた。しかし,どのような自己開示をCl. が求めているか,そしてCo. がその期待にどう応じるのかは明らかにされていない。そこで本研究では,Co. の自己開示について,Cl. の期待とCo. の実際の応答との差異を検討することを目的とした。心理援助職14名(Co. 役)と大学生53名(Cl. 役)を対象に,Cl. がCo. に自己開示を求めた仮想事例を提示し,Co. 役には自身がすると予想する応答を,Cl. 役には自身がCo. に求める応答を回答させた。Co. の気持ちの開示を求めた仮想事例では,傾聴に徹することが両者に共通する応答として見いだされた。一方で,Co. の見立ての開示を求めた仮想事例では,Cl. 役は解決策の開示を期待したのに対し,多くのCo. 役が解決策を提示しないと予想した。Cl. の期待とCo. の応答が異なる点について,面接における時間軸の観点から考察し,Co. に求められる姿勢を論じた。
著者
鈴木 伸洋
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 海洋学部 (ISSN:13487620)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.25-30, 2004-07-31
被引用文献数
1

It is well known that bitterlings deposit eggs in the gill cavity of freshwater bivalves. After hatching the larvae stay and develop in the bivalve, until well-developed swim out from the bivalve. The development of the bitterling Rhodeus spinalis is surprisingly few. This study attempts to clarify the early bitterling ontogeny of R. spinalis collected from Hainan Island, southern China. The development of egg and larvae of R. spinalis was observed under controlled water temperature of 22℃. The ripe unfertilized egg is nearly elliptical shaped, like the egg of R. ocellatus which is elliptical, and the yolk remains a opaque yellow rather than a pale yellow color, measuring about 3.0mm in length, 1.8mm in breadth. R. spinalis is shared a pair of wing-like processes which the yolk is anteroventrally convex with other Rhodeus larvae during the advanced stages (i.e. 12day-old). The anterior part of the yolk sac found in hatched larva of R. spinalis has plumped up, unlike other Rhodeus larvae shaped like an arrow. The larvae began to feed, when larvae reached the free swimming stage, so that larvae emerge from freshwater bivalve in the wild and the dorsal and anal fin rays are formed completely from 26 to 28 days after hatching. The time of the formations is later than other Rhodeus larvae (i.e.18-22day-old). Melanophores on the dorsal fin aggregated at its anterior region become a black spot in juvenile stage (i.e.44day-old), and the spot is true round-shaped unlike spots of other Rhodeus larvae which are ellipse-shaped in R. atremius atremius, R. atremius suigensis, R. notatus, new moon-shaped in R. ocellatus ocelllatus and nearly rectangle-shaped in R. sinensis.人工授精による22℃の飼育下でのRhodeus spinalisの完熟卵形および発育形態について報告した. 本種の完熟卵形は, 紡錘形をしていた. Rhodeus spinalisの孵化直後仔魚は, Rhodeus属の他の種と同様に翼状突起がよく発達していた.しかし, 卵黄囊の前端部は比較的卵黄量が多く存在し, 太丸く突き出る点で既往のRhodeus 属の孵化直後仔魚の形態と識別できると考えられた. 本種は26~28日齢で二枚貝から浮出して自由遊泳期になるものと推定され, この日数はRhodeus 属のどの種よりも遅かった. 背鰭の稚魚斑を形成する黒色色素胞叢の分布は第3不分岐軟条から第5,6分岐軟条で, その分布の後端は鰭基底に達しない. また, 背鰭稚魚斑の形態が楕円というよりは真円に近い円形である点でいずれのRhodeus属の種のものとも識別できるものと考えられた.
著者
髙木 武蔵 久保 大輔 鈴木 智高 菅原 憲一
出版者
日本基礎理学療法学会
雑誌
日本基礎理学療法学雑誌 (ISSN:21860742)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.107-116, 2021-03-08 (Released:2021-03-09)

The purpose of the present study was to examine the effect of changes in the trunk position on the H-wave and motor evoked potential MEP) of the tibialis posterior TP) muscle in healthy subjects, and clarify the necessity of postural control for the treatment of spastic clubfoot in stroke patients. The participants were 13 healthy people 6 men, mean age 21.6±1.3 years). The following measurements were obtained with the participants in trunk flexion or trunk extension in the sitting position. The electromyography reaction time of ankle dorsiflexion as well as the H-wave and MEP of the TP were measured. The effect of the trunk position on each measured value was determined. When the tibialis anterior TA) muscle was at 5% and 20% of the maximum voluntary contraction MVC), the H wave of the TP was significantly lower in the trunk extended position than in the trunk flexed position. There was no significant difference in the MEP during the different trunk positions at 5% and 20%MVC of the TA. However, under the condition of imaging 20%MVC of the TA, the MEP was significantly higher in the trunk extension position. It was revealed that the spinal reflex of the TP was suppressed by maintaining trunk extension. Moreover, it was suggested that excitability changes in the primary motor cortex of the TP might be involved in this process.
著者
佐藤 宏之 鈴木 保宏 奥野 員敏 平野 博之 井辺 時雄
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.13-19, 2001-03-01 (Released:2012-01-20)
参考文献数
21
被引用文献数
9 11

イネ (Oryza sativa L..) 品種コシヒカリの受精卵に, メチルニトロソウレア (MNU) 突然変異原処理を行って育成された品種ミルキークイーンの低アミロース性の遺伝子分析を行った. ミルキークイーンとその野生型であるコシヒカリを正逆交雑したF1種子のアミロース含量は両親の中間値を示したが, ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF1種子よりも, コシヒカリ/ミルキークイーン由来F1種子の方が高いアミロース含量を示した. 従って, ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子には量的効果があることが分かった. また, ミルキークイーン/コシヒカリ由来のF2集団のアミロース含量は, コシヒカリ型とミルキークイーン型が3: 1に分離し, さらにミルキークイーン/コシヒカリ//ミルキークイーン由来の戻し交雑集団のアミロース含量が, 野生型と低アミロース型が1: 1に分離したことから, ミルキークイーンの低アミロース性を支配する遺伝子は単因子劣性であると考えられた. 次に, イネのアミロース合成に関与する既知の遺伝子, wx並びにdu 1, 2, 3, 4及び5との対立性を検定した結果, ミルキークイーンにおいて突然変異を生じた遺伝子は, wxの対立遺伝子であることが示唆された.
著者
鈴木 吉彦 竹内 郁男 細川 和広 渥美 義仁 松岡 健平
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.31-35, 1994-01-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
7
被引用文献数
2

糖尿病発病から数年でインスリン分泌が減少しketotic proneであることからインスリン依存型糖尿病 (以下IDDMと略す) と診断し, 経過観察中に多発性硬化症 (以下MSと略す) の疑いある病像を併発した23歳女性を報告する.MSは, 発病年齢が若いこと, 中枢神経病巣が複数あること, 他疾患を除外しうること, 症状が一過性であったことなどから疑いありと診断した.両疾患合併が疑われた報告は本邦で最初である.両疾患が合併しやすい理由には糖脂肪代謝異常による脱髄現象説, ウイルス感染説など種々の説がある.両者とも発病年齢, 性差, 地理的特徴, 発病頻度, 寛解期を有する点, 自己免疫異常機構を介した機序が考えられる点に共通性がある.本症例ではIDDMに対し疾患感受性HLA遺伝子であるDR4とMSに対するDR2を有する点は遺伝的背景を疑わせる.またMSの併発は糖尿病治療に種々の幣害を及ぼし, 通院中断や過食, 神経症に対する誤診を導くなど悪影響を認めた.