著者
鈴木 悠太
出版者
日本教育方法学会
雑誌
教育方法学研究 (ISSN:03859746)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.71-82, 2014

本研究はマクロフリンの研究の系譜における教師の「専門家共同体」の形成と展開を明らかにすることを課題とした。その成果は以下の3つの契機に即し総括される。<br> 第一に,スタンフォードCRC は教職の「文脈」を中心概念とする学校改革研究のナショナル・センターとして出発した。マクロフリンは「現に存在する制約の中で」専門性開発を「実現可能にする」ことを目指し,教職の「文脈」に照準を合わせた。<br> 第二に,教師の「専門家共同体」の概念は教職の「文脈」の鍵概念として形成された。「専門家共同体」は,様々な重荷を抱える「今日の生徒」に対峙する高校教師の授業実践が多様な展開を示していることを踏まえ,最も革新的な授業実践を追求する教職の「文脈」としてマクロフリンらが同定した概念であった。<br> 第三に,マクロフリンらの研究の成果は,授業の3類型を中心とし,教師共同体の3類型,教職キャリアの3類型の連関において定式化され,「専門家共同体」は教職の多層的な「文脈」の中に位置づけられるに至った。<br> これらを踏まえ,マクロフリンの研究の系譜における教師の「専門家共同体」は,教職の「文脈」の概念によって射程に収める,教師を中核とする多様な改革の担い手による学校改革の追求という構図の中にあり,あくまでも現存する制約の中で学校改革の実現可能性を追求するマクロフリンらの愚直な姿勢が鮮明となった。その中核に教師の「専門家共同体」の形成と展開があった。
著者
鈴木 優治
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.163-168, 2015-03-25 (Released:2015-05-10)
参考文献数
11

市販のpH試験紙9種類[thymol blue (TB), bromophenol blue (BPB), bromocresol green (BCG), bromocresol purple (BCP), bromothymol blue (BTB), methyl red (MR), phenol red (PR), cresol red (CR), alizarin yellow (AZY)]における非イオン性界面活性剤(Brij 35およびTriton X-100)により生じる測定誤差について検討した。界面活性剤により負誤差が生じた。測定誤差は界面活性剤濃度に比例し,Brij 35存在下ではBTB,BCG,BCP,BPBにおいて大きく,Triton X-100存在下ではBTB,BCGにおいて大きかった。PR,CR,MR,AZYによる測定誤差は小さかった。測定誤差はpH指示薬の分子量と相関傾向を示した。
著者
鈴木 哲 大熊 孝 小野沢 透 桐生 三男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
日本土木史研究発表会論文集 (ISSN:09134107)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.37-41, 1986

除雪技術システムは、筆者らの区分によれば、現在、大・中・小技術システムから成り立つ。住民と行政の対応関係が特に問題となるのは、その中の中技術システムで、その中心は流雪溝である。その変遷過程を考えた。流雪溝の設置・管理・運営における住民と行政の対応関係は、戦前すでに見られた。戦後、車社会化と共に、地域道路除雪への地域住民の要求が高まり、住住民と行政の組織的対応が柏重要になってきた。高度成長期では、行政主導型だったが、才イルショック後は、公設民営型の対等な協力関係と役割分担関係が確立してきた。
著者
鈴木 勇波 川本 真也 肥田 不二夫 土田 修
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.211, 2014 (Released:2014-07-04)

これは産学共同プロジェクトの一つとして行った手洗い衛生環境を考えたハンドドライヤーのデザイン開発研究である。 近年、流行性感冒はじめ様々な感染による疾病発生により人々の手指衛生に対する意識・要請が高まってきている。従来型のハンドドライヤーの多くは送風により手に付いた水滴を吹き飛ばし、手を乾かすだけで多くの水滴は霧状となり様々な細菌とともに周囲に飛散飛沫させていることが近年明らかになってきた。このような衛生問題を改善するため完全吸引循環式ハンドドライヤーの普及を進めている(株)T社と連携し、理想的な手指衛生環境を実現させるために現在業務用機を民生用機として公共の場にも設置する必要があると考えている。 本研究はデザイン本来の目的の一つである人の心理、行為に訴える「機能」と「造形」の高い次元での調和であるが、 人々の安全・衛生を守り健康的な生活を送ることが「幸せ」 な生活の基本であることをその根本において人間工学とユニバーサルデザインの観点から人に優しく親近感のあるデザインを目標に進めて来た研究成果報告である。
著者
菊地 明宏 鈴木 博人 本間 秀文 田中 直樹 川上 真吾 藤澤 宏幸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
雑誌
東北理学療法学 (ISSN:09152180)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.97-102, 2016-08-30 (Released:2016-09-07)
参考文献数
9

【目的】端坐位での前下方へのリーチ動作における指先の運動軌道および,胸椎,腰椎,骨盤の角度変化と,各セグメントの寄与を明らかにすることとした。【対象】課題動作に影響を与える腰部と下肢に既往のない,健常若年男性20名とした。【方法】規定した開始姿勢から,足関節リーチと足尖リーチを実施させた。骨指標の3次元座標から,胸椎,腰椎,骨盤の屈曲・前傾角度と指先軌道を算出した。寄与について,4セグメントモデルを作成し,指先軌道の変化量に対して,それぞれの寄与率を算出した。【結果・結語】指先の運動軌道において,足関節リーチは下方へ曲線を描いていたが,足尖リーチでは後半に直線に近い軌道をとった。角度変化は,前半に胸椎および腰椎の運動が,後半に骨盤の運動が大きくなり,滑らかな指先軌道が形成されていることが明らかとなった。寄与について,前半に上肢が,後半に胸椎の寄与が大きい結果となった
著者
廣川 佐千男 中藤 哲也 殷 成久 鈴木 孝彦 橋本 喜代太
雑誌
人工知能学会全国大会
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-2, 2012-06-12

Since evaluation of food is subjective and the feeling is expressed in Japanese, onomatopoeia is used in many cases. In cooking and sweets, the onomatopoeia used is different. In order to grasp the meaning of onomatopoeia, we need to read and compare the situation where each onomatopoeia is used. In this report, the "Double Rank" method which the first author proposed is applied to Blog documents to compare and to analyze Blogs.set of all words gains the best performance if 90% of the data are used as a training data. However, the set of a small number of words with positive scores outperforms other feature sets, if the training data is only 10%. In such a realistic situation, the feature words are effective in improving discernment.
著者
鈴木 倫保 末廣 栄一
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.11, pp.817-828, 2017 (Released:2017-11-25)
参考文献数
3
被引用文献数
2

脳神経外科専門医の10年間の変化を報告した. 日本脳卒中学会, 日本脳神経血管内治療学会, 日本脊髄外科学会専門医を併せて取得する者が増加した. 専門領域は, 脳腫瘍, 脳血管外科, 脊椎・脊髄, 小児, 定位・機能, 脳神経外傷は減少し, 脳血管内治療, 神経内視鏡, てんかん, リハビリテーション, 救急/神経集中治療を専門とする医師が増加した. これは1999年の脳神経外科専門医の再定義が影響している可能性がある. 過労死レベルの就労時間を訴える回答者も多く, 入会者・受験者の減少, 近年の外科系離れを考え合わせると, 従来型の診療体制維持に不安を抱く. 施設・専攻医の集約化とローテーション方法の熟慮, 研修・研究の集約化と効率化の工夫が必須だろう.
著者
前田 康成 後藤 文太朗 升井 洋志 桝井 文人 鈴木 正清 松嶋 敏泰
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.69-81, 2013
参考文献数
14

従来からマルコフ決定過程(MDP)を用いたロールプレイングゲーム(RPG)のモデル化が行われている.しかし,RPGの攻略法を能動的に学習する研究は行われていない.そこで,本研究では,真のパラメータが未知のMDPで表現されたRPGにおける期待総利得をベイズ基準のもとで最大にする攻略法を求める能動的な学習方法を提案する.シミュレーションをとおして,提案方法の有効性を確認する.
著者
鈴木 建治
出版者
北海道大学大学院文学研究科北方研究教育センター
雑誌
北方人文研究 (ISSN:1882773X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-12, 2012-03-31

The purpose of the paper is to examine the contents and a part of history of an Ainu collection which were collected by A.V. Grigor’ev at the time of Japanese stay for one year from 1879 to 1880: 1) Why did he stay in Japan? 2) What kinds of materials were collected by him? 3) Why did he begin research Ainu culture and collect Ainu materials?
著者
鈴木 進一 Suzuki Shinichi
出版者
神奈川大学
雑誌
神奈川大学心理・教育研究論集 (ISSN:02884674)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.103-106, 2015-11-30

指導法・実践報告
著者
鈴木 仁 高橋 美佐子 瀬戸 隆子 長嶋 真知子 奥本 千代美 安田 一郎
出版者
特定非営利活動法人 化学生物総合管理学会
雑誌
化学生物総合管理 (ISSN:13499041)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.34-42, 2008 (Released:2008-09-12)
参考文献数
8

NMRを用いたラッシュ系薬物の確認方法を確立した。従来の方法では、確認できる薬物は標準品があるものに限定されること、また位置異性体を含む亜硝酸エステル各化合物マススペクトルに大差がないことから、より正確な確認方法が必要であった。そこで、ラッシュ系薬物を溶媒と混和してNMRを測定し、そのスペクトル値から亜硝酸エステルの同定及び確認する方法を開発した。また、標準品のない亜硝酸エステルは合成するとともに、NMR及びGC/MSより確認した。市販製品中から亜硝酸iso-プロピル、亜硝酸iso-ブチル、亜硝酸n-アミル、亜硝酸iso-アミル及び亜硝酸2-メチルブチルの存在を明らかにした。
著者
鈴木 信雄 津田 和彦
雑誌
第69回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.1, pp.71-72, 2007-03-06
著者
田中 義浩 亀高 正男 岡崎 和彦 鈴木 一成 瀬下 和芳 青木 和弘 島田 耕史 渡邊 貴央 中山 一彦
出版者
一般社団法人 日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.13-27, 2018-04-10 (Released:2019-08-26)
参考文献数
26
被引用文献数
1 5

上載地層法が適用できない断層の活動性評価に資するため,活断層と非活断層の断層露頭で断層面の形態観察を実施し,断層活動性評価の指標を検討した.活断層としては五助橋断層の五助ダム上流露頭と六甲断層の船坂西露頭を,非活断層として六甲蓬莱峡のK地点を対象に,断層面の「連続性」,「切断関係」,「平滑性」に着目した.連続性は「断面形状の連続区間率測定」,切断関係は「周辺構造の切断率測定」を行った. 平滑性については「断面形状の平面区間率測定」,「粗さ/うねり形状の測定」及び「写真解析による算術平均粗さ測定」という3種類の測定を行い,合計5つの測定手法を検討した.本研究結果から,「断面形状の連続区間率測定」,「周辺構造の切断率測定」,「断面形状の平面区間率測定」について,活断層と非活断層を見分ける識別基準値を有する可能性が示された.なお,引き続き,識別基準値の明確化とその検証のために測定事例の追加・検討,議論が必要である.
著者
鈴木 大慈
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.141-157, 2018-03-30 (Released:2018-10-05)
参考文献数
43

Multiple Kernel Learning (MKL) について正則化法およびベイズ推定法を紹介し,その汎化誤差解析について概説する.正則化法については,ℓ1-正則化およびエラスティックネット型の正則化を考察する.エラスティックネット型の正則化はスパース性を誘導するℓ1-正則化と滑らかさを制御するℓ2-正則化の組み合わせで表される.ベースとなるカーネル関数の数は多くても,真の関数に必要なカーネル関数の数は少ないスパースな状況を考察し,これまで得られていたレートよりも速い収束レートを導出する.さらに,ガウシアンプロセス事前分布を用いたベイズ推定量を考察し,一次独立性の条件を仮定せずとも速い収束レートを達成できることを示す.