著者
黒川 正人 柳沢 曜 川崎 雅人 岩山 隆憲 長谷川 弘毅
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.167-173, 2012 (Released:2012-10-01)
参考文献数
9

われわれは巻き爪に対して, 全抜爪を行わず, 爪甲露出部のみの部分抜爪を行ったのちに手術を行っている。 両側の側爪郭に切開を加えて, 爪床骨膜弁は双茎皮弁として挙上する。 このときに, 中枢側に切開を延長して, 弯曲している部分の爪母は切除する。 次に, 骨ヤスリを用いて末節骨遠位部の骨棘を削り, 末節骨背側も平坦化する。 最後に, 側爪郭の皮膚を2~3mm の幅で脱上皮して, その上に双茎爪床骨膜皮弁を両側に開いて縫合する。 本法を9例22趾に対して施行し, 全例において形態は改善し, 症状も軽快した。 全抜爪を行わないために, 術後の爪甲変形は少なく, 爪甲が元の長さまで戻る期間も短かった。 また, 爪床骨膜弁は双茎皮弁として挙上するので, 血行は良好で, 創傷治癒にも有効であった。
著者
小林 文彦 松浦 稔 長谷川 紀昭 吉崎 敏夫 原田 喜男
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement7, pp.1029-1071, 1980-11-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
8

Oxacephem系抗生物質6059-Sの400, 800および1.600 (800×2) mg/kg/日をビーグル犬 (雄25頭, 雌24頭) に32日間連続静脈内投与を行い, Cefazolin (CEZ) を対照藁として亜急性毒性試験を実施した。成績を要約すると, 以下のごとくである。1) 一般状態: 流涎, 嘔吐, 排便動作等の中枢作用は, CEZに比較して6059-Sでは軽度であった。2) 肝への影響: 6059-SおよびCEZの800/mg/kg以上の投与で軽度な肝肥大がみられ, 電顕的にグリコーゲン野の減少をともなった滑面小胞体の軽度増加があったが, 肝単位重量当りの薬物代謝酵素活性はむしろ軽度低下を示したので, この変化は薬剤の大量投与による機能低下に対する単なる非特異的な代償性肥大と考えられる。3) 腎への影響: 6059-S 800mg/kg以上の投与で軽度な腎肥大が生じ, 近位尿細管上皮細胞でvesicleの増加, lysosoneの減少, 細胞間隙の拡張および酸phosphataseの軽度増加がみられたが, PSP排泄ではむしろ軽度亢進があったので, この変化は腎の排泄機能亢進像であって, 6059-Sには腎障害作用は無いといえる。4) その他: 6059-S投与群で, 検体の高浸透圧液大量投与を反映した摂水量の増加およびそれにともなう尿量の増加, 血漿中GPTの軽度減少, 脂質の増加, 軽度な局所刺激作用がみられたが, GPTの変化を除いては, いずれもCEZと同程度であった。CEZ投与群ではGPTの顕著な減少を認めた。その他の検査項目については異常は認められなかった。
著者
小林 文彦 古川 仁 長谷川 紀昭 吉崎 敏夫 原田 喜男
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement7, pp.1007-1028, 1980-11-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
8

SPRAGUE-DAWLEY系ラット雌雄に6059-Sの760, 1, 260, 2, 100および3, 500mg/kgとCEZの760, 1, 260mg/kgを1日1回連続35日閥静脈内投与し, 毒性を比較検討した。なお, 一部の動物については, 最終投与後, さらに28日間の休薬期間をおき回復性をみた。6059-Sの高用量投与群とCEZ投与全群に, 毎回の投与後一過性の呼吸困難や脱力および顔面浮腫などがみられ, 投与期間中, 6059-S 3, 500 mg/kg投与群の雌雄各2/16例とCEZ 1, 260 mg/kg投与群の雄10/24例が, いずれも急性中毒症状を呈して死亡した。投与期間終了時点の血液検査で6059-S 3, 500mg/kg投与群に軽度の貧血がみられた。生化学分析では, CEZ投与群に血漿GOT, GPT活性の著しい低下があった。病理所見では, 6059-SおよびCEZ投与全群の盲腸の異常拡張を認めたのみで, その他に特記すべき著変はなかった。なお, 以上の変化は, 投与中止後の回復試験ですべて良好な回復性を示した。以上の結果から, 6059-Sのラットでの最大無作用量は1, 260 mg/kgと判断され。また, CEZとの毒性比較において, 6059-Sは毒性が極めて弱く, 安全性の高い化合物と結論された。
著者
西内 偉格 吉田 真里子 木下 春樹 高岸 靖 山田 秀雄 稲沢 和博 中野 正行 能登谷 満 長谷川 博司 水平 敏知 菅野 浩一
出版者
The Japanese Society for the Study of Xenobiotics
雑誌
薬物動態 (ISSN:09161139)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.179-197, 1990 (Released:2007-03-29)
参考文献数
4
被引用文献数
7

The distribution, excretion and metabolism of recombinant human interleukin-2 (S-6820) were studied using 125I-labeled compound (125I-S-6820)1. At 5min after intravenous injection of 125I-S-6820 to male and female rats, high radioactivity was observed in the kidney. Radioactivities in the other organs were lower than the serum level. Results obtained by whole-body autoradiography showed that high concentrations of radioactivity were found in the cortex renis.2. At 5min after intravenous injection of 125I-S-6820 to 20-th day pregnant rats, no radioactivities were detected in the amniotic fluid and fetus.3. Within 24hr after intravenous injection of 125I-S-6820, 78% and 1 % of administered radioactivity were excreted in the urine and feces, respectively. However, 98% of excreted radioactivity in the urine was not precipitated with trichloroacetic acid.4. In the kidney after intravenous injection of 125I-S-6820, a low molecular weight degradation products of 125I-S-6820 were observed as revealed by gel filtration radio-chromatography. In addition, micro-autoradiogram of cortex renis after intravenous injection of 125I-S-6820 showed that S-6820 was likely to be ultrafiltrated by the glomerulus and absorbed by proximal tubules. S-6820 appeared to be degraded in the kidney.
著者
櫻田 顕子 枌原 直人 黒田 麻利子 辻本 勝 杉本 義彦 長谷川 健
出版者
公益社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
日本船舶海洋工学会論文集 (ISSN:18803717)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.33-38, 2017 (Released:2017-09-06)
参考文献数
8
被引用文献数
2

Recently enormous amount of data can be obtained from running ships, so that the needs of the analysis of the data are increasing. For the analysis, the relationship among ship speed, engine revolution and engine power in calm sea is important. In order to estimate the relationship accurately, data in calm sea distributed widely in terms of ship speed are necessary, but ship speed does not change much in some voyages. In the paper, The method of correction for the displacement using Admiralty coefficient and weather correction method is explained to obtain more accurate relationship among ship speed, engine revolution and engine power in calm sea. Using the methods, the voyages of different displacements are investigated and the range of application of Admiralty coefficient is revealed.
著者
渡邉 光男 長谷川 敏 島垣 満 橋本 知之 中村 憲明 永浦 克司 吉田 義樹
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.1-7, 2007-02

LE-7 液体酸素ターボポンプ開発の初期段階において、軸の回転速度よりもわずかに速い(軸の回転速度の約1.1〜1.3倍)回転非同期の軸振動が現れたが、インデューサ入口部のケーシング形状を変更することによりほぼ完全に抑制することができた。液体水素ターボポンプでも旋回キャビテーションによりインデューサが疲労破壊を起こしたことが、H-IIロケット8 号機のLE-7 エンジントラブルの原因のひとつとされた。インデューサに発生するキャビテーションに起因する不安定現象の解明に資するため、インデューサ入口流れを高速度ビデオ、PIVにより可視化しその検証を行った。
著者
陳 黎明 長谷川 伸
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.615-623, 1992
被引用文献数
2 1

カラー画素をマトリクス状に配した画像表示装置の解像度に関する表示特性の評価は, 固体撮像素子のように単にサンプリング定理での解釈だけでは済まず, 人間の目の視覚特性を取り入れて一緒に考えなければならない.本論文では, 3種類のカラー画素配列について, それぞれの画素逆格子による表示ナイキト限界を導入した後に, 静止画および動画表示における2次元視認解像度限界を主観評価で定量的に求め, カラー画素配列の評価を行っている.まず静止画表示では, それぞれが静止した白黒正弦波および単色正弦波を表示したときの2次元視認解像度限界を, 多数の被験者によるシミュレーション画像の主観評価から求め, 表示ナイキスト限界との比, すなわちケルファクタともいうべき解像度限界係数を求めた.その結果, 白黒表示ではその限界係数は約0.6〜0.7で, 単色表示ではそれは約0.5〜0.6であった.また3種類のうち, 総合的にデルタ配列が最も優れていると評価された.一方, 動画表示では, 定速度で水平, 斜め, 垂直方向に動く白黒正弦波パターンを表示したときの視認解像度限界を同様にして求め, この種の表示装置の動画表示における視認解像度特性と動きの速度, 画素配列との関係について検討した結果, どの画素配列においても, 最適速度で一般にその視認解像度限界は, 静止画表示と比べ, 最大約10%〜20%の改善をしていることを明らかにした.
著者
呉 泰棋 桜本 和美 長谷川 誠三
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.866-873, 2002-11-15
参考文献数
23
被引用文献数
7 6

日本海北部11海域のスケトウダラの漁獲量変動と表面水温との関係について検討した。30年間の漁獲量と月別水温を用いた相関分析,因子分析を行うことにより,以下の結果を得た。(1)北海道日本海側北部海域の表面水温は日本海北部海域の漁獲量変動と極めて強い負の相関を示した。(2)上記t年の漁獲量は特に,t-τ年(τ=3,4,5)の1月,2月,9月の表面水温と強い負の相関を示した。以上の結果から,水温がスケトウダラの再生産,資源変動などに強く影響している可能性が示唆された。
著者
西岡 智哉 池脇 義弘 秋山 諭 山本 圭吾 田中 咲絵 宮原 一隆 原田 和弘 山下 泰司 濱﨑 正明 長谷川 尋士 本田 恵二
出版者
日本プランクトン学会
雑誌
日本プランクトン学会報 (ISSN:03878961)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.36-43, 2018-08-25 (Released:2018-10-26)
参考文献数
19

A widespread bloom of the harmful raphidophyte Chattonella ovata Y. Hara & Chihara occurred for the first time in the east Seto Inland Sea in the summer of 2016. From July 11 to 17, cell densities in Hiuchi-Nada and Bisan-Seto reached 10 cells mL-1. From July 19 to 24, the highly dense distribution area expanded to Harima-Nada, and cell densities reached their peak (max. 222 cells mL-1) in all areas affected from July 25 to 31. In Harima-Nada, the species decreased rapidly, whereas the level at Hiuchi-Nada and Bisan-Seto was maintained until August. From July 11 to 18, a westerly wind had prevailed in the Takamatsu area facing Bisan-Seto while the wind was weak during other periods. That caused eastward wind-induced passage flow, and expansion of the cell distribution from Bisan-Seto to Harima-Nada. In addition, the sunlight hours were long (average 8.6 h) and the water temperature was high (approximately 25 to 29˚C).Furthermore, salinity remained at around optimum for C. ovata (approximately 28 to 31) in the east Seto Inland Sea while the species bloomed. This indicates that these environmental conditions were suitable for growth of this species, which is adapted to strong irradiance, high water temperature and high salinity. In Bisan-Seto and Hiuchi-Nada, Chattonella marina and Chattonella antiqua appeared at high cell densities in mid-July when the distribution of C. ovata expanded. However, in Harima-Nada, C. marina and C. antiqua maintained low cell densities consistently. In Harima-Nada, DIN (dissolved inorganic nitrogen) and DIP (dissolved inorganic phosphorus) remained at 0.51–1.17 µM and 0.08–0.25 µM, respectively, from July 4 to August 15. The minimum cell quotas of nitrogen for C. ovata are lower than for C. antiqua. We presumed this gave a competitive advantage to C. ovata for growth. In Harima-Nada, cell density of diatoms decreased temporarily in late-July, but the density remained above 100 cells mL-1 after August. However, in Hiuchi-Nada and Bisan-Seto, cell densities of diatoms were kept below 100 cells mL-1 through the observation period. We inferred that a low concentration of nutrients, less westerly wind, and a high density of diatoms were factors that led to the regulation of the low level of C. ovata after August in Harima-Nada. We considered that the low diatom density was one of the causes of the C. ovata bloom being prolonged in Hiuchi-Nada and Bisan-Seto.
著者
長谷川 直子 横山 俊一
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100040, 2015 (Released:2015-04-13)

1. はじめに サイエンス・コミュニケーションとは一般的に、一般市民にわかりやすく科学の知識を伝えることとして認識されている。日本においては特に理科離れが叫ばれるようになって以降、理科教育の分野でサイエンス・コミュニケーターの重要性が叫ばれ,育成が活発化して来ている(例えばJSTによる科学コミュニケーションの推進など)。 ところで、最近日本史の必修化の検討の動きがあったり、社会の中で地理学の面白さや重要性が充分に認識されていないようにも思える。一方で一般市民に地理的な素養や視点が充分に備わっていないという問題が度々指摘される。それに対して、具体的な市民への啓蒙アプローチは充分に検討し尽くされているとは言いがたい。特に学校教育のみならず、社会人を含む一般人にも地理学者がアウトリーチ活動を積極的に行っていかないと、社会の地理に対する認識は変わっていかないと考える。 2. サブカルチャーの地理への地理学者のコミット 一般社会の中でヒットしている地理的視点を含んだコンテンツは多くある。テレビ番組で言えばブラタモリ、秘密のケンミンSHOW、世界の果てまでイッテQ、路線バスの旅等の旅番組など、挙げればきりがない。また、書籍においても坂道をテーマにした本は1万部、青春出版社の「世界で一番○○な地図帳」シリーズは1シリーズで15万部や40万部売り上げている*1。これら以外にもご当地もののブームも地理に関係する。これらは少なくとも何らかの地理的エッセンスを含んでいるが、地理以外の人たちが仕掛けている。専門家から見ると物足りないと感じる部分があるかもしれないが、これだけ多くのものが世で展開されているということは,一般の人がそれらの中にある「地域に関する発見」に面白さを感じているという証といえる。 一方で地理に限ったことではないが、アカデミックな分野においては、活動が専門的な研究中心となり、アウトリーチも学会誌への公表や専門的な書籍の執筆等が多く、一般への直接的な活動が余り行われない。コンビニペーパーバックを出している出版社の編集者の話では、歴史では専門家がこの手の普及本を書くことはあるが地理では聞いたことがないそうである。そのような活動を地理でも積極的に行う余地がありそうだ。 以上のことから,サブカルチャーの中で、「地理」との認識なく「地理っぽいもの」を盛り上げている地理でない人たちと、地理をある程度わかっている地理学者とがうまくコラボして行くことで、ご当地グルメの迷走*2を改善したり、一般への地理の普及を効果的に行えるのではないかと考える。演者らはこのような活動を行う地理学者を、サイエンス・コミュニケーターをもじってジオグラフィー・コミュニケーターと呼ぶ。サブカルチャーの中で一般人にウケている地理ネタのデータ集積と、地理を学ぶ大学生のジオコミュ育成を併せてジオコミュセンターを設立してはどうだろうか。 3. 様々なレベルに応じたアウトリーチの形 ジオパークや博物館、カルチャースクールに来る人、勉強する気のある人たちにアウトリーチするだけではパイが限られる。勉強する気はなく、娯楽として前出のようなサブカルチャーと接している人たちに対し、これら娯楽の中で少しでも地理の素養を身につけてもらう点が裾野を広げるには重要かつ未開であり、検討の余地がある。 ブラタモリの演出家林さんによると、ブラタモリの番組構成の際には「歴史」や「地理」といった単語は出さない。勉強的にしない。下世話な話から入る。色々説明したくなっちゃうけどぐっとこらえて、「説明は3分以内で」というルールを決めてそれを守った。とのことである(Gexpo2014日本地図学会シンポ「都市冒険と地図的好奇心」での講演より抜粋)。専門家がコミットすると専門色が強くなりお勉強的になってしまい娯楽志向の一般人から避けられる。一般ウケする娯楽感性は学者には乏しいので学者外とのコラボが重要となる。 演者らは“一般の人への地理的な素養の普及”を研究グループの第一目的として活動を行っている。本話題のコンセプトに近いものとしてはご当地グルメを用いた地域理解促進を考えている。ご当地グルメのご当地度を星付けした娯楽本(おもしろおかしくちょっとだけ地理:地理度10%)、前出地図帳シリーズのように小学校の先生がネタ本として使えるようなご当地グルメ本(地理度30%)、自ら学ぶ気のある人向けには雑学的な文庫(地理度70%)を出す等、様々な読者層に対応した普及手段を検討中である。これを図に示すと右のようになる。
著者
平本 真知子 松井 知之 東 善一 瀬尾 和弥 福嶋 秀記 長谷川 敏史 西尾 大地 相馬 寛人 伊藤 盛春 山内 紀子 水嶋 祐史 森原 徹 木田 圭重 堀井 基行 久保 俊一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100563, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに】 投球障害のリハビリテーションでは、局所のみならず、全身の評価・アプローチが重要である。投球障害の原因として、身長や関節可動域の低下が報告されているが、成長期である小学生・中学生と高校生における関節可動域の変化については明らかではない。われわれは、投球障害のリハビリテーションを行う上の、小・中・高校生の関節可動域特性を明らかにする目的で、投手に対して上肢・体幹・下肢関節可動域を測定し、比較検討した。【方法】 対象は2008年から2011年にメディカルチェックに参加した京都府下の小・中・高校生投手517例であった。内訳は高校生264例、中学生182例、小学生71例であった。 検討項目は、肩関節2nd外旋および内旋、肩関節3rd内旋、股関節内旋および外旋(90°屈曲位)、SLR、HBD、頚部・胸腰部回旋の各関節角度とし、日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会の測定方法に準じて行った。 検者は操作、固定、角度測定、記入を分担し、代償動作に十分注意し、4名1グループで行った。 得られたデータを小・中・高校生の各年代間で比較検討した。検定は、クラスカル・ワーリス検定を用い、事後検定として、多重比較検定(Steel-Dwass法)を用いた。有意水準は5%とした。【説明と同意】 本研究は京都府立医科大学倫理委員会の承認を得た。参加者およびチーム責任者に対し、メディカルチェックの意義、重要性の説明を行った。同意を得られた希望者のみを対象とした。【結果】 肩関節2nd外旋では、小学生133.2±12.3度、中学生124.1±11.6度、高校生125.3±9.9度であった。小学生が中・高校生に比べ有意に大きな値であった。 投球側股関節外旋では、小学生62.5±13.1度、中学生56.9±8.4度、高校生56.1±10.1度であり,小学生が中・高校生に比べ有意に大きな値であった。 非投球側股関節内旋では、小学生41.3±12.2度、中学生41.3±13.6度、高校生35.6±12.9度であり,小・中学生が高校生よりも有意に大きい値であった。 投球側SLRでは、小学生59.3±12.1度、中学生58.6±9.1度、高校生53.7±13.9度であった。非投球側SLRでは、小学生59.7±11.0度、中学生58.9±9.5度、高校生54.8±14.8度であった。投球側、非投球側ともに小・中学生が高校生よりも有意に大きい値であった。 投球側HBDでは、小学生6.1±5.3度、中学生10.8±6.0度、高校生14±6.6度であった。非投球側HBDでは、小学生6.3±5.5度、中学生11.3±6.5度、高校生14.2±6.5度であった。投球側・非投球側ともに年代が上がるとともに有意に増加した。 投球側頚部回旋では、小学生83.5±12.6度、中学生85.4±14度、高校生77.9±12.8度であった。非投球側頚部回旋では、小学生83.6±9度、中学生82.5±12.6度、高校生77.3±10度であった。投球側・非投球側ともに小・中学生が高校生に対して有意に大きな値であった。 投球側胸腰部回旋では、小学生46.0±13.4度、中学生47.4±11.9度、高校生50.9±9度であった。非投球側胸腰部回旋では、小学生46.7±12.8度、中学生47.3±12度、高校生52.3±9.2度であった。投球側・非投球側ともに高校生が小・中学生よりも有意に大きな値であった。【考察】 全国的に投球障害の早期発見・治療を目的とした検診やメディカルチェックが行われているが、野球選手の身体特性を検討したメディカルチェックの報告は少ない。 一般健常人は年齢と共に柔軟性が減少すると報告されている。本研究の結果も、年代が上がるにつれ関節可動域は減少する傾向であった。しかし、胸腰部回旋のみ高校生が有意に大きな値であった。投球動作中における体幹機能については,成長とともに、体幹回旋角度が増大する、体幹の回旋が投球スピードに影響を与えるなど多数報告されている。 年代が上がるにつれて、各関節可動域は減少していくが、投球動作に重要な要素である胸腰部回旋角度は増大する傾向であった。投球障害を有する選手へのリハビリテーションを考える上で、各年代の関節可動域特性を理解することは重要である。【理学療法学研究としての意義】 各年代の関節可動域特性が明らかになり,投球障害で受診した選手へのリハビリテーション、投球障害予防におけるスポーツ現場でのコンディショニング指導の基礎的なデータとなりうる。
著者
長谷川 悠里
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.111-133, 2010-10-20 (Released:2017-04-05)

L'affermazione che esista nell'universo un'armonia cosmica venne sostenuta da autorita antiche come Pitagora, Platone, Cicerone e Macrobio, ma venne rifiutata da Aristotele e dai suoi commentatori medievali come Tommaso d'Aquino. Rispetto a questo, Dante, parlando dell'armonia delle sfere sin dal primo canto del Paradiso, dichiara la sua posizione riguardo a tale dottrina. La concezione che il moto delle sfere risultasse in un'armonia sonora ha origine negli studi matematici di tradizione pitagorica ed e stata in seguito sviluppata in diversi modelli dell'armonia musicale al fine di calcolare le distanze tra i pianeti e dalla Terra, nonche le dimensioni complessive dell'universo. I secolari studi matematico-musicali sull'argomento vennero poi categorizzati da Boezio nella cosiddetta musica mundana. Questo lavoro muove dalla considerazione di alcuni trattati che potrebbero aver formato la concezione musicale di Dante, insieme ad un breve accenno al concetto matematico-musicale del Medioevo. Come e noto, alla musica nel Medioevo era attribuito un carattere peculiare ereditato dalla cultura greca, radicalmente diverso dal concetto di musica moderno. Vengono poi analizzate le tre note categorie di musica formulate da Boezio (la musica mundana, la musica humana e la musica instrumentalis) e confrontate con le tre cantiche della Commedia, facendo riferimento ai diversi saggi che hanno trattato questo argomento. Nel Paradiso il punto di vista privilegiato per osservare l'armonia delle sfere e il cielo del Sole. L'analogia dell'universo dantesco con le scale celesti discusse nel De Institutione musica di Boezio potrebbe rappresentare una spiegazione del panorama che si apre nel cielo del Sole. Boezio e Isidoro sono presenti insieme ad altri teologi e filosofi nel cielo del Sole, dove viene descritta la danza trinitaria eseguita dai tre cerchi che ne rappresentano il simbolo. Anche al di fuori del campo della musica, vari studiosi hanno riconosciuto l'influenza dei loro trattati nelle opere di Dante. Per questa ragione si tratteranno qui alcuni passi delle Etymologiae di Isidoro, aggiungendovi una considerazione sulle Institutiones di Cassiodoro, a cui Isidoro stesso fece riferimento per compiere il suo lavoro enciclopedico. Dante, da parte sua, non scrisse alcun trattato sulla musica, ma ne parlo, per esempio nel Convivio, in cui la musica viene paragonata al cielo del Marte. Il poeta scrive che la musica si fonda sulla legge dell'armonia, e che "in essa scienza massimamente e bella". La sua conoscenza sulla musica e la sua familiarita con l'ambiente musicale del tempo si riconosce soprattutto nei versi del Paradiso che rappresentano la danza e la musica polifonica dei beati. L'esame prosegue, dopo la breve ma necessaria spiegazione sulla scala musicale greca, attraverso la presentazione delle scale celesti di Nicomaco e di Cicerone, prendendo spunto dalle citazioni dantesche presenti nei principali studi finora pubblicati in Italia. Dapprima, riguardo a Cicerone, si citera Il sogno di Scipione, il Commento al sogno di Scipione di Macrobio ed infine il De Institutione musica di Boezio. In merito a Nicomaco verranno trattati il suo Manuale di armonia e Institutione di Boezio. Benche lo studio della simbologia e la struttura numerica della Commedia abbia avuto esiti piuttosto significativi negli ultimi decenni, il tema dell'armonia cosmica delle sfere, pur avendo un aspetto numerico anch'esso, non ha ricevuto altrettanta attenzione. Nel canto X del Paradiso, Dante invita il lettore a contemplare la bellezza del cielo e l'armonia delle sfere. Se guardiamo il disegno dell'universo che aveva in mente Dante dal punto di vista della musica del suo tempo, ci si offre una visione fantasiosa, ma nello stesso tempo estremamente 'poetica', alla quale l'astronomia del(View PDF for the rest of the abstract.)
著者
松井 丈夫 阿部 太郎 吉田 博一 牧野 瑤子 長谷川 誠 石田 宏司
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育学会年会物理教育研究大会予稿集 22(2005) (ISSN:24330655)
巻号頁・発行日
pp.128-129, 2005-08-06 (Released:2017-07-20)

平成16年度採択の文部科学省「現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)」に基づくプロジェクトとして、学生グループが考案・開発した「LEDで遊ぼう」「電気の世界」と題する実験授業の内容ならびにその中で使用した実験教材を紹介する。これらは、小学5・6年生の総合的な学習の時間で、実際に演示した。「LEDで遊ぼう」では、簡単なLED点灯回路を作成し、次にそのLEDを実際に点灯させながら、別途配布した豆電球点灯回路との類似点・相違点を小学生に考えさせた。また、「電気の世界」では、小型モータを利用した手回し発電、さらに風力発電や水力発電を、実際に体験させた。両テーマとも、身近な素材を利用することで小学生の理科への関心の喚起を心がけるとともに、小学生が積極的に実験に参加し且つ現象や結果を観察して自らの考えをまとめていくような配慮がなされている。