著者
阿部 仁美 百名 伸之 中西 浩一 浜田 聡 屋冝 孟 屋良 朝太郎 上原 朋子 屋良 朝雄 玉城 昭彦 佐辺 直也 新垣 京子
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.168-172, 2020

<p>症例は生来健康な1歳男児.主訴は咳嗽,発熱,多呼吸.レントゲン所見から横隔膜ヘルニアが疑われ紹介となり,血液検査および画像検査にて感染を合併したCPAMと診断された.抗菌薬投与により症状は改善したが,その後症状が再燃したため肺部分切除術を施行した.病理検査で胸膜肺芽腫の診断に至り,切除断端は陰性であった.腫瘍細胞の遺伝子解析でDICER1遺伝子にホモ変異が検出されたが,生殖細胞変異は認めなかった.術後化学療法(IVADo療法)を施行し,終了後9か月時点で寛解生存中である.胸膜肺芽腫は稀な予後不良の悪性腫瘍であり,一部では様々な悪性疾患に関連するDICER1遺伝子変異を有する.本症例より嚢胞性肺病変の鑑別診断として,胸膜肺芽腫を念頭に置くべきである.また今後再発や遠隔転移の可能性も含め,長期的なフォローを要する.</p>
著者
保立 透 エルファディング スザンネ 阿部 成治 前川 和彦 橋本 政史
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.40.3, pp.547-552, 2005-10-25 (Released:2017-07-01)
参考文献数
16

本研究は、道路と建物とを立体的に整備した多くの事例を持つドイツを対象に、実例を検討した上で制度面を明らかにすることにより、今後の我が国で「立体道路制度」を発展させる方向を考えることを目的としている。ドイツでは、幹線道路による市街地の分断や交通騒音を解消するなどの目的で、道路と建物の立体化が行われている。我が国の「立体道路制度」に比べ、市町村が街づくりの観点から個別事情に応じた柔軟な対応をしていることが特徴的である。そのための法制度としては、道路の計画確定、特別利用許可(又は契約)などとともに、特に Bプランで各種利害を衡量した上で立体的な用途指定を行えることが重要な役割を果たしている。
著者
阿部 周平 Shuhei Abe
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2013-03-25

現在、世の中には数多くのゲームが存在している。これらゲームはインタラクティブ性、マルチメディア性、コンテンツ性という3つの特性をもっている。以上の特性をもつものを本研究ではインタラクティブマルチメディアコンテンツ(以下IMC)と呼ぶ。IMCの典型例であるゲームには様々なジャンルがあり、例えば恋愛アドベンチャーゲーム(以下恋愛ADV)がある。IMCの品質においては、面白さのような感性品質が重要となる。感性品質はユーザーの感性によって決定される品質である。感性品質を高めるためには感性品質を評価する必要がある。感性品質に関する既存研究は棟近らの「感性品質の調査に用いる評価用語選定の指針」と阿部の「インタラクティブマルチメディアコンテンツに対する感性品質の評価手法の提案」の2つがある。しかし、棟近らの手法は物理特性があるものの評価を対象としているため、IMCの評価は行えない。阿部の手法はIMCの評価は行える。しかし、阿部の手法では静的な印象が得られる感性品質の評価しか行えず、「ヒロインの態度が素っ気ないから可愛らしいへ変化する」のような変化する感性品質の評価は行えない。本研究ではIMCに対する変化する感性品質の評価手法を提案する。本研究では変化する感性品質をTS感性品質と呼び、TS感性品質を評価するためにモデル化を行う。提案するのは時間経過による変化をモデル化したタイムストリーム図と変化の種類をモデル化した変化パターンである。タイムストリーム図はTS感性品質の元となる感性品質とTS感性品質の関係などをモデル化した図である。変化パターンは変化の種類をモデル化したもので、ギャップパターンと増加パターンの2つを提案している。提案したタイムストリーム図と変化パターンを用いてIMCに対する感性品質の評価手法を提案する。評価手法を被験者に使用してもらい、TS感性品質を抽出することができるかという点と、抽出したTS感性品質がIMCの感性品質の評価に有用なものであるかという点について検証を行い、本研究の有用性を示す。
著者
星野 和義 村上 雅一 塩田 摂成 万木 英一 阿部 重郎 岸本 宏之
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.1754-1759, 1998-07-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

過去5年間の計46例のマムシ咬傷に対し検討を行った.年間の症例数は,平均9.2人,月別では, 4月から11月までに見られ, 7月, 8月に症例が多かった.年齢は4歳から86歳までにわたり,平均60歳で,特に51歳以上で全体の83%を占めていた.受傷部位は,手指,足背,足趾の順に多かった.症状は,咬傷部位の腫脹が多く,その他に皮下出血,内出血,眼症状等が見られた.最大腫脹日は,腫脹が軽度のものでは1日目,高度のものでは2, 3日目が多かった.腫脹が高度のものに全身症状が多く見られた.腫脹が高度のもの,全身症状出現例に入院期間の延長が見られた.局所の切開,洗浄,マムシ抗毒素血清(血清),セファランチン投与の治療にて全例治癒しえた.血清の使用率は80%であり,有用な治療法と考えられた.血清の皮内反応陽性率は41%と高かったが,血清病の発症は8%と低かった.
著者
阿部 百合子 住友 直方 大熊 洋美 福原 淳示 市川 理恵 平井 麻衣子 中村 隆広 松村 昌治 金丸 浩 七野 浩之 鮎沢 衛 陳 基明 麦島 秀雄
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.44, no.SUPPL.2, pp.S2_64-S2_68, 2012 (Released:2013-09-18)
参考文献数
8

背景:抗真菌薬には種々の副作用が報告されている.抗真菌薬使用後QT延長に基づくtorsade de pointes(TdP),無脈性心室頻拍(VT),心室細動(VF)に対し静注用アミオダロンの効果が認められた小児例を報告する.症例:15歳,男児.再発急性リンパ性白血病(ALL)の化学療法後の骨髄抑制期間に深在性真菌感染をきたし,抗真菌薬であるアムホテリシンBリポソーム製剤(L-AMB)を投与した.L-AMBの副作用と考えられる低カリウム血症を認め,補正を行ったが低カリウム血症が続いた.その後,真菌感染の増悪を認めたため,アゾール系抗真菌薬であるボリコナゾール(VRCZ)の追加投与を行った.VRCZ投与6日後から副作用と考えられるQT延長を認め,7日後からTdP,無脈性VT,VFをきたした.抗真菌薬の副作用と診断し,薬剤を変更して,さらなる低カリウムの補正を行い,メキシレチン,プロプラノロール,ニフェカラント,リドカインを投与したがVT,VFのコントロールは非常に困難であった.その後,アミオダロン1.6mg/kgの単回静注したところ,TdP,VTは停止し,アミオダロンの持続静注を開始したところVT,VFはコントロールされた.VT,VFは消失したが,抗真菌薬の変更を余儀なくされ,真菌感染の増悪を招き死亡した.結語:低カリウム血症を認めた場合に,ボリコナゾール(VRCZ)などQT延長を認める可能性のある薬剤の使用には注意が必要である.このような場合,アミオダロンの使用には注意が必要であるが,一部の症例では有効と考えられた.
著者
松本 直人 大西 亮吉 阿部 博
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2020-IOT-51, no.6, pp.1-6, 2020-08-27

近年,携帯電話網を通じたデバイスの常時接続が増加している.しかし携帯電話網では,デバイス通信に用いる IP アドレスを地域毎に細かく管理していない.このため全国に展開する大量のデバイスがサーバ接続した時,一般的なサーバ負荷分散処理を経由すると,多数のサーバに地域毎のデータが分散してしまう問題がある.本稿ではデバイス通信時のサーバリクエストにエリア属性を付与することにより,地域に閉じたデータ処理へ集約する仕組みについて考察する.
著者
田澤 一二 阿部 利徳 笹原 健夫
出版者
日本植物細胞分子生物学会
雑誌
植物組織培養 = Plant tissue culture letters (ISSN:02895773)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.7-14, 1996-04-01
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

本研究では, シオデの節間由来のプロトコーム様体 (PLB) を液体培養することによって大量に形成させ, シオデの大量増殖を可能にした. すなわち, NAAを含む液体培地でシオデのPLBを液体振盈培養することによって, 1個のPLBから大量のPLB (クラスター) を形成させ, これらが幼芽に生長したのち, 一定期間の前培養を行い, ホルモン・フリーの固体培地に移植して発根させ, 大量の植物体を順化させた.<br>さらに, 液体培養したPLB-クラスターから人為的に切り取ったPLBを再度液体培地に移植した. この二次増殖系では, ホルモン・フリーの固体培地に移植することによってより多くのPLB-クラスターおよび幼芽・幼根が形成された. この手法によって, 多循環的にPLB-クラスターおよび植物体の再生・増殖が可能となった.<br>なお, 固体培地と異なり, 液体培地は褐変し, PLBおよびクラスターも褐変し枯死する結果となった. また, 褐変とともに液体培地のpHが低下した. この褐変とpHの低下は, 液体培地を2ないし3日間隔で新鮮培地で交換することによって緩和することができた.
著者
田沢 一二 阿部 利徳 笹原 健夫
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要 農学 (ISSN:05134676)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.395-401, 1997-01

【摘要】一般にアスパラガス(Asparagus officinalis L.)では雄株の方が雌株より生産性が良いことが知られている.このことは同じ雌雄異株植物である山菜のシオデ(Smilax old hami Miq.)でも経験的に認められている.本研究は,雌雄異株植物であるアスパラガスとシオデにおけるアイソザイムパターンの差異を調べ雌雄の判定ができるかどうかの基礎的知見を得ようとしたものである.幼植物の茎葉部から抽出用の緩衝液で粗タンパク質を抽出した後2種類の電気泳動によってタンパク質を分離し,その後それぞれの活性染色を行って差異を調べた.ネティブポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った後に,エステラーゼ,リンゴ酸脱水素酵素,酸性ホスファターゼ,およびグルコース6-リン酸脱水素の活性染色を行った結果,アスパラガスおよびシオデの雌雄間で差異が認められた.等電点電気泳動後に各種酵素の活性染色を行った結果では,エステラーゼおよび酸性ホスファターゼにおいて,雌雄間で差異が認められた.以上のことから,これらアイソザイムは雌雄異株植物であるアスパラガスおよびシオデの雌雄識別の基礎資料になると推察される.
著者
井上 幹生 末國 仙理 藤田 知功 福家 柔 奥谷 孝弘 後藤 将太 阿部 博文 市守 大介 篠原 拓馬
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、天然林と人工林から成るパッチモザイク構造とサケ科渓流魚個体群の時空間的動態との関係を水系スケールで検討した。サケ科魚類の産卵場所は水系内で極めて不均一に分布するが、孵化した当歳魚の移動分散によって均一化がおこり、そのことが水系全体の効率的利用に帰結することが示された。その過程において、天然林パッチは当歳魚の初期成長を高める場として機能することが示唆された。
著者
阿部 和道 高橋 敦史 大平 弘正
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.772-779, 2013 (Released:2013-05-07)
参考文献数
65

自然免疫応答は病原体の体内への侵入に対し初期におこる生体反応である.近年,自然免疫の過剰反応が自己免疫性疾患の発症に関与することが明らかになってきた.肝臓は独自の免疫機構を有し,自己免疫性肝疾患である自己免疫性肝炎(AIH),原発性胆汁性肝硬変(PBC),原発性硬化性胆管炎(PSC)においても,自然免疫に関する知見が数多く示されている.PBCではToll様受容体を主体とする自然免疫と病態形成に関する研究が進められ,AIHやPSCにおいても腸管微生物由来の病原体関連分子パターンとパターン認識受容体を介する病態の関与が推察されている.自然免疫の理解がこれら疾患の病態を考える上で重要である.