著者
清水 啓二 池永 昌之 杉田 智子 嶽小原 恵 數野 智恵子 久保田 拓志 大越 猛 青木 佐知子 加村 玲奈 今村 拓也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.174-181, 2016 (Released:2016-06-16)
参考文献数
35

【目的】外来がん患者のオピオイド使用を実態調査し,乱用や依存につながる不適正使用の是正を通して,緩和ケアチームの課題を考察する.【方法】2014年の4カ月間に外来通院中のオピオイド使用がん患者について,緩和ケアチームがカルテ調査した.乱用や依存につながる不適正使用とは「がん疼痛または呼吸困難以外の目的でのオピオイド使用」とした.主治医と協議して不適正使用の判断と是正を図った.【結果】オピオイド使用67人中,乱用や依存につながる不適正使用は5人(7.4%)で,その内訳は,①がん疼痛で開始されたが,治療により責任病変が消失:3人(4.5%),②がん疼痛と考え開始されたが,精査で良性疾患と判明:2人(3%)であった.5人中4人でオピオイドを中止できた.【考察】外来でのオピオイド使用は,乱用や依存につながる不適正使用が見逃される危険がある.常に疼痛の原因を可能な限り明らかにする姿勢が重要であった.
著者
奥村 弥生 森田 愛望 青木 多寿子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.17343, (Released:2019-07-10)
参考文献数
16
被引用文献数
2

This study aimed to examine the relationship between parents’ involvement in adolescents’ career decision making and its effect on the independence and adaptability of university students. Questionnaires were completed by 180 university students. The results revealed that parents’ involvement was positively related to the dependency and obedience of adolescents, and that decision-making ability was negatively related to obedience. Parents’involvement also decreased decision-responsibility, although it increased decision-making ability. In addition, parents’ involvement was related to students’ satisfaction with university life. First, decision-making ability was positively related to satisfaction with university life. Second, when decision-making ability was high, parents’involvement was not related to satisfaction, while the contrary was also true. When career decision making was difficult, parents’ involvement may have supported better career decision making. In conclusion, it is better that parents are not too involved and encourage decision-making; however, if this is difficult, giving support is better than leaving them alone.
著者
二瓶 正登 荒井 穂菜美 前田 香 青木 俊太郎 土屋垣内 晶 岩野 卓 冨岡 奈津代 岡村 尚昌 三原 健吾 城月 健太郎 堀内 聡 坂野 雄二
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.54-63, 2018-10-31 (Released:2018-12-28)
参考文献数
16
被引用文献数
3

Fear of Negative Evaluation Scale日本語短縮版(SFNE)はFNEを測定する1因子構造の尺度である。しかし近年の研究においてSFNEが順向項目因子と逆転項目因子の2因子から構成される尺度である可能性が報告された。本研究ではWeb調査を通して参加した一般成人500名と大学生・専門学校生82名を対象に,SFNEの因子構造,信頼性および妥当性を検討した。探索的因子分析の結果,8項目からなる順向項目因子と4項目からなる逆転項目因子の2因子が抽出された。各因子の内的整合性と再検査信頼性は十分に高かった。逆転項目因子と比較して,順向項目因子の方が高い妥当性を有していた。本結果は逆転項目因子に比べ順向項目因子の方がFNEを正確に測定していることを示しており,FNEの測定においてはSFNEの順向項目因子を使用することが推奨される。本結果の意義と本研究の課題について検討した。

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著者
青木廉平 著
出版者
東京堂書店
巻号頁・発行日
1923
著者
中澤 高清 菅原 敏 岡野 章一 青木 周司 田中 正之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

大気中のメタンの循環を解明するために、まず、その安定炭素同位体比を精密に測定する技術を開発した。メタンを二酸化炭素へ変換するために白金-アルミナを用いた自動変換装置を製作し、変換効率が99.9%であることを確認した。また、炭素同位体比の値が既知である精製空気を本装置で精製し、得られた二酸化炭素を質量分析計を用いて分析することによって、総合精度が0.07パ-ミルであることを確認した。使用した大気試料は約3Lであり、従来の研究において必要とされた量の1/5に減ずることができた。本装置を用いて、ロシア中央気象観測局の協力を得てロシア上空の対流圏各層で採取された大気試料を分析し、観測の大きな空白域となっていたこの地域のメタンの炭素同位体比を初めて測定した。特に、湿地と化石燃料起源のメタンが定量的にも明瞭に区別できることを示した。また、日本上空の対流圏で採集された大気試料、および日本上空の成層圏の14km-35km間で採集された大気試料についても分析した。その結果、炭素同位体比は対流圏では約-48‰であり、成層圏においては、濃度とは対照的に高度と共に増加し、35kmで約-38.5‰であることが明らかとなった。このような高度分布の原因を明らかにするために、1次元光化学-拡散モデルを開発し、メタンの炭素同位体比の高度分布を計算したところ、主な成層圏におけるメタンの消滅源はOHとの反応であるが、炭素同位体比の高度分布にとってはC1との反応が特に重要であることが分かった。なお、成層圏でのC1との反応によるメタンの消滅量は10-15%と推定された。さらに、対流圏のメタン収支の解明に炭素同位体比を利用するために、2次元メタン循環モデルに炭素同位体の発生・消滅過程を組み込み、濃度と同位体比の緯度分布を解析することによって、近年の地球表層のメタンの発生量および消滅量を評価した。
著者
杉本 沢民 青木 麻由美
出版者
一般社団法人 プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会誌 (ISSN:1345031X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.9-14, 2010

IT技術の進歩とユーザーニーズの多様化により,業務アプリケーションはますます複雑化する傾向にある.企業は,パフォーマンスや可用性といった様々な品質要素をいかに確保するかということが大きな課題となっている.品質を確保するために,ミッションクリティカルなプロジェクトでは,通常では考えられないほどのテストリソースが投入される.一方,十分な妥当性検討もされないまま,開発コスト削減の観点から,テスト工程が必要以上に圧縮されてしまうプロジェクトもある.どのくらいのテストをすれば良いのか,企業にとっては悩みの種である.また,テストツールの導入のしやすさから,テスト作業の中心はどうしても下流の方ヘシフトしがちである.これでは欠陥の検出時期を遅らせるだけでなく,欠陥を修復するためのコストが高くなる原因ともなる.本稿では,まずIBMグローバルで標準的に使用されているテスト技法であるFLT(Full Lifecycle Testing)を紹介する.この技法は,テスト計画をプロジェクト作業計画と融合し,プロジェクト全体のテスト作業を最適化したものである.次に,上流工程におけるFLTの適用方法を説明し,静的テストを効率的に実施するための手順を紹介する.
著者
細江 達郎 青木 慎一郎 細越 久美子 糸田 尚史 小野 澤章子
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

青森県下北半島出身者(昭和39年中卒者)の職業的社会化過程に関する追跡調査の一環として、現住地面接調査(有効面接数47)・質問紙調査(有効回答数125)を実施した。その結果、老年期移行期は都市周辺地域居住型と出身地域回帰型に分けられ、後者は対象者の50歳台時点での予測(40%以上)とは異なり少数であった。前者は、都市周辺地域社会内で生活基盤を形成してきたものが多く、再適応が比較的安定している一方で、都市不安定就労を継続し出身地域とも交流に欠ける者も少なくない
著者
高畑 雅一 冨永 佳也 神崎 亮平 青木 清 宗岡 洋二郎 水波 誠 山口 恒夫 堀田 凱樹 横張 文男 鈴木 良次 桑澤 清明 勝木 元也
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1998

平成10〜13年度に実施した特定領域研究(A)「微小脳システムの適応的設計」の研究成果を、2つの研究項目についてそれぞれの班長および領域代表が中心となって詳細に吟味し、領域としての到達点と今後の展望を取りまとめて、研究成果報告書を作成し関係者に配付した。到達点として特に着目される業績としては、感覚連合中枢であるキノコ体のモジュール構造の発見やキノコ体のシグナル伝達機構の解明、また、湿度温度受容を含む機械感覚統合に関する多くの新しい知見などがあげられる。研究報告書には、計画および公募研究課題で公表された主要論文の別刷を添付し、最終的は400頁を越える分量となった。また、平成14年10月に文部科学省にて実施された最終ヒアリングにおいて、領域代表と研究項目代表者が出席して、領域研究の成果が、<わが国における節足動物微小脳による行動制御機構の研究を、従来の個々のモダリティーの感覚情報処理、個々の種特異的行動のパターン形成機構、具体的行動から単離され一般化された神経回路網の学習・記憶機構などの研究から、個体レベルの行動の多様性および複雑性と密接に関連づける研究という方向に向けて、大きく舵を切ったものと意義づけられる>という結論を報告し、審査員と質疑応答を行った結果、<期待どおり研究が進展した>との評価Aを受けた。また、審査報告に述べられた<今後もさらに個体レベルの行動の多様性や複雑性の解明へと取り組んでいただきたい>とのコメントを受け、次年度からの新しい微小脳プロジェクト申請のための打合せ会議を開催し、「微小脳システムの適応的設計」での成果をさらに発展させる目的で平成15年度特定領域研究「コミュニケーションのニューロン機構」(領域代表横張文男福岡大学教授)を申請した。
著者
青木 栄一
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.201-212, 2019 (Released:2019-10-12)
参考文献数
28

教育行政学の親学問候補は政治学、経済学、社会学、歴史学、哲学等多様であってよい。その中で筆者自身は政治学を親学問として措定している。教育行政学は親学問としての政治学に貢献することを意識するべきである。政治学、教育学はアカデミアの中でそれぞれポスト、学会、雑誌、助成プログラム、ネットワークを有するコミュニティである。教育行政学の研究者はそれら両方のコミュニティに貢献する必要がある。
著者
田崎 和江 竹原 照明 橋田 由美子 橋田 省三 中村 圭一 横山 明彦 青木 小波 田崎 史江
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.97-113, 2017-07-25 (Released:2018-01-14)
参考文献数
21
被引用文献数
1

黒柿はカキノキ科の一つであり,幹・枝・根の断面に黒色の部分があり,心材や辺材には縞が美しい孔雀の羽根のような模様(孔雀杢 くじゃくもく)がある.孔雀杢は何百年と樹齢を重ね,かつ,様々な条件を満たした柿の木だけが黒と白の美しい模様を持つようになった希少な銘木である.材質が竪硬で粘りもあり,細かい細工をする指物に適しており和家具,茶道具などが金沢伝統工芸品となっている.しかし,江戸時代に加賀藩が黒柿の栽培を行っていたとされるものの,その科学的な記録はない.なぜ柿の木の幹に黒い色の美しい模様ができるのかを究明するために,石川県金沢市内に生育している黒柿を採取して,IP,XRD,ICP-MS,XRF,SEM-EDS,放射能測定器を用いて物理化学的,鉱物学的,微生物学的特徴を調べた.本研究試料の「黒柿」のXRD 分析では,セルロースの他に低温型α- クリストバライト,生体アパタイト(燐灰石),ハロイサイトなどの粘土鉱物が含まれていた.黒柿の黒色化した幹に形成する孔雀杢は“珪化木”ということができる.本研究結果から,①黒柿が“珪化木”になるには,まず,根の中心の白色部に認められた微生物がCa >>> P,S >> Mg > Si,Fe,Cl,K,Mn を取り込み,生体アパタイトを形成する.②成長するにしたがって,放射能核種やB,Br を伴って, さらにCa,P,S >> K,Mg,Si,Sr > Cl,Mn,Fe などの元素を取り込みながら黒色化する.③そして,年月を経るにしたがって, 幹の辺材部に黒色の縞模様(孔雀杢)を作りながら低温型α- クリストバライト(珪化木)を形成することが明らかになった.
著者
水野 健太 渡部 要一 小林 正樹 野口 孝俊 青木 康哲 山本 隆信 高橋 充
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.78-84, 2012-01-15 (Released:2012-01-20)
参考文献数
9

In the construction of the D-runway in Tokyo International Airport (Haneda Airport), “the settlement prediction and management system (HSAP)” which can efficiently evaluate the consolidation settlement of artificial reclamation was developed. The reclamation history data base which reflected the actual construction until July, 2009 and the reclamation plan after that was made. The actual measurement and the calculation value were compared and the various consolidation parameters were identified. Moreover, the long-term consolidation test and constant strain rate consolidation test were executed, and the secondary consolidation parameter was set based on the isotache model's concept. Based on the prediction result of the residual consolidation settlement, the filling height of the D-runway at the start of in-service period was decided to be 0.70m, which is required from the aviation operation.
著者
三角 順一 青木 一雄 海老根 直之
出版者
大分大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

本研究は牛乳中の女性ホルモンが人体に影響を及ぼすか否かについて検討しようとしたものである。市販の牛乳の75%は妊娠中の乳牛から搾乳されている。しかし、牛乳中の種類別β-エストラジオールの濃度に関する報告はこれまで行われていない。今回、牛乳を18,000rpm60分間超遠心し、乳清を蒸発乾固の後、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液に溶解、β-グルクロニダーゼを加えて加水分解し、希釈エタノールに溶解した後、3,300rpm30分間遠心分離してその上清を再び蒸発乾燥固し、10%メタノールに溶解、ELISAキットを用いて吸光度からホルモン濃度を測定した。その結果、種類別牛乳、低脂肪乳、特濃、ナイトミルク各4サンプルの平均値と標準偏差はそれぞれ50.0±11.3、64.7±7.8、64.4±4.8、66.3±11.2ng/ml乳清であった。20-35歳の成人男性11名に対して牛乳1lを飲用してもらった。飲用前30分、1時間、および90分後に血清中のエストステロン(E1)、エストラジオール(E2)、テストステロン(Tステロン)の濃度変化について検討した結果、男性9名の血中E1、E2濃度は飲用後60分で最高値に達し、平均値で65.2pg/mlおよび47.2pg/mlとなった。これは前値と比較して、E1で57.2%、E2で46.3%増加していた。一方、血中Tステロン値は前値5.14、30分値3.46、1時間後3.25ng/mlと低下が見られた。体脂肪率とTステロン値(前値)との間には負の相関(r=0.87)があった。また、別の調査においては、男性12名のE2値は17.6〜56.8pg/mlに分布していた。Tステロン値は2.07〜6.76ng/ml、平均値と標準偏差は4.2±1.37ng/mlであった。女性6名のTステロン値は0,21〜0.77ng/ml、平均値と標準偏差は0.41±0.22ng/mlであった。Tステロン/E2比の値は女性では0.15〜0.35、男性では6.7〜29.5であった。47〜60歳の月経のなくなった女性28名を2群に分け、3ヶ月間1日に2本(400ml)の牛乳を飲用してもらい、飲用前と3ヵ月後のE2、Tステロン濃度を測定した結果、飲用前のE2は未飲用群の11.6±9.1に対し、飲用群では9.6±4.2ng/ml、3ヶ月後未飲用群12.2±4.3に対し、飲用群では13.6±6.5ng/mlと著しい上昇がみられた。E2/Tes比も未飲用群は0.5→0.5と変化がみられなかったが、飲用群では0.4→0.6と50%の増加がみられ有意差があった。(P<0.05)。
著者
西川 朋美 青木 由香 細野 尚子 樋口 万喜子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.160, pp.64-78, 2015 (Released:2017-06-21)
参考文献数
20
被引用文献数
1

本研究では,日本で(生まれ)育った日本語を第二言語とする(以下,JSL)子どもの和語動詞の産出について,記述式調査票を用い,量的に調査した。調査対象とする動詞は,日本語モノリンガルが母語習得過程で自然に身につけると考えられる31語である。本稿では,比較対象とする同年齢のモノリンガルの点数が安定する小学4年生以上に的を絞り,結果を報告する(モノリンガル n=924;JSL n=124)。分散分析の結果,全ての学年において,JSLとモノリンガルの得点には有意差があり,効果量も大きいことが分かった。一部の「できない子」は,JSLとモノリンガルのどちらにも存在するが,最下位層と位置付けられた子どもの割合は,JSLとモノリンガルでは5~10倍程度の違いが見られた。また,誤答の詳細を分析した結果,JSLでは学校場面で用いられることの少ない動詞・用法の産出が弱く,動詞の意味範囲を間違って適用したケースや母語の影響と考えられる誤用も見られた。
著者
柴田 雅士 上嶋 健治 平盛 勝彦 遠藤 重厚 佐藤 紀夫 鈴木 知己 青木 英彦 鈴木 智之
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.25-31, 1998-01-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
38

マグネシウム(Mg)は細胞内へのカルシウム(Ca)流入を抑制するCa拮抗物質で,インターロイキン6(IL-6)は臓器の侵襲程度を反映するサイトカインである。心筋梗塞症(AMI)急性期に硫酸Mgを投与し,再灌流障害を示唆する現象の抑制効果を検討した。再灌流療法施行患者連続22例を,再灌流療法前に硫酸Mg0.27mmol・kg-1を静脈内投与する群11例(Mg群)と非投与群11例(C群)とに無作為に割り付け,血中Mg2+濃度とIL-6を測定した。再灌流時の現象は再灌流不整脈,12誘導心電図上のST再上昇および胸痛の増悪とした。再灌流成功は20例(Mg群9例,C群11例)で,Mg群の平均血中Mg2+濃度は投与前0.39mmol・l-1から投与後1.04mmol・l-1に上昇した。再灌流不整脈の出現率はMg群がC群より有意に低く,ST再上昇度はMg群がC群より低い傾向にあった。血中IL-6ピーク値はMg群がC群より低かった。AMI急性期再灌流療法時の硫酸Mg投与は,虚血再灌流障害から心筋細胞を保護する可能性がある。